時間に伴う変化を表現する [試験対策]
実技の学習がひと通り済んだら、ムダのない分かりやすい回答文を作成することを目指しましょう。
気象のロジックが頭に入っていても、設問に応じて必要なキーワードを盛り込んだ分かりやすい文章を作れるようになるには、それを意識した練習が必要です。
出題に応じてどのように回答文を作成するか、ある程度パターン化をして対策を講じておくことで、試験時間と文字数という資源の節約が可能になります。
回答文を作る基本ルールは2つです。
ルール2にはいくつかの派生パターンがあります。ここでは次の3つのパターンに類型化してみました。
早速、具体的な事例を見ていきます。
【事例1】
主語は「気温」ですが、15文字制限があるので省略します。記号「−(マイナス)」「℃」を1文字とカウントすると、これで14文字になります。
「昇温する」は「上昇する」でも良いと思います。
【事例2】
聞かれている項目が主語となります。
卓越波向と波高という異なる項目を聞かれているので、「卓越波向は〜だが、波高は〜である」と重文で回答することで文字数を減らします。
前半の文は主語が「卓越波向」、述語が「変化ない」となります。後半の文は主語が「波高」、述語が「高まる」となります。文の構成は単純です。「高まる」は「高くなる」でも良いと思います。
設問では波高の変化を直接聞かれていませんが、「波高が高まる」という回答では物足りなく感じます。図から具体的な数値が読み取れる場合は、文字数オーバーとならない限りは変化量を盛り込むのが良いと思います。
【事例3】
ルール1にある「AからBに変化する」を思い出してください。変化については必ず開始点と終了点があります。終了点だけ示す「35ノットに強まる」だけでは変化量が分かりません。何ノットの風がどれだけ変化したのか、両端の値を特定します。
【事例4】
設問にある「相対的な位置関係を示して」を意識しすぎると、パターン3と判断してしまうかもしれません。聞かれているのはあくまでも「レーダーエコーの形状と強さの変化」であることを見抜きましょう。
主語は「エコー」ですが、形状を問われているので「フック状」「線状」という修飾語がキーワードになっています。
重文の前半の述語は「不明瞭になり」ですが、後半の「強まった」との対比関係では「弱まって」が事実上の述語です。
気象ロジックを理解した上で普通に回答文を作ると、「エコーは低気圧の中心付近にありフック状だったが、2時間後には中心付近から南側に伸びる線状に変化した。」となるでしょうか。模範解答は主語や述語の修飾語に詰め込む傾向があるようです。
【事例5】
この設問のように一定時間後の移動状況を聞かれた場合、「初期時刻には・・・だが、24時間後には・・・となる」と丁寧に回答すると、あっという間に文字数オーバーとなります。長い回答文を折り畳んで指定文字数に収める工夫が必要です。
この解答の工夫は主語の選択です。主語を「風」と「暖気移流」「寒気移流」にしてしまうと、どうしても文字数が増えてしまいます。風と気流は因果関係があるので、「風による移流」というように「風」を「暖気移流」「寒気移流」の修飾語にしています。
【事例1】
「地上低気圧と500hPa渦度場の関係」と言われると難しそうですが、主語はあくまでも擾乱(地上低気圧)であることと、低気圧の消長は500hPaの渦度で判断することを知っていれば解答を導けます。
【事例1】
ルール1に従って主語を決めます。「XとYの相対的な位置関係」を問う問題では主語の候補としてXとYの二つがありますが、気象の擾乱(低気圧、台風など)を主語とするのが自然です。
時間経過に伴う変化についてですが、題意に沿って「12時間後は・・・だが、36時間後は・・・である」と時間経過に伴う状況を述べると文字数超過となります。問われている時間帯における事象の変化に注目して、ルール2のように「◯から△に変化する」を意識して作文します。
なお、ルール1に従えば「台風の中心は24時間後までは前線の南側にあるが、36時間後には前線付近にある。」となります。模範解答と比べても文字数はほぼ同じです。
【事例2】
低気圧の中心とトラフとの位置関係を問われているので、本来は「低気圧の中心」と「トラフ」のいずれを主語にしても良いでしょう。しかし気象で関心があるのは「低気圧の中心」ですから、これを主語に選ぶのが自然です。
12時間ごと24時間後の状況を重文でつなげば良いので、構文的には単純です。
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気象のロジックが頭に入っていても、設問に応じて必要なキーワードを盛り込んだ分かりやすい文章を作れるようになるには、それを意識した練習が必要です。
出題に応じてどのように回答文を作成するか、ある程度パターン化をして対策を講じておくことで、試験時間と文字数という資源の節約が可能になります。
基本ルール
回答文を作る基本ルールは2つです。
ルール1
主語を決めます。
ルール2
基本的に「<主語>は<述語>する」というように、状態変化を表す述語(自動詞)を使った構文を作ります。
主語を決めます。
ルール2
基本的に「<主語>は<述語>する」というように、状態変化を表す述語(自動詞)を使った構文を作ります。
ルール2にはいくつかの派生パターンがあります。ここでは次の3つのパターンに類型化してみました。
パターン1 変化量を問われる
変化量を聞かれた場合は、状態変化を表す動詞を使って「<主語>はAからBにCする」とします。
※「AからBに」は変化量を表します。
パターン2 移動先を問われる
一定時間後の移動先を聞かれた場合は、「<主語>はDに進む(到達する)」とします。
※「Dに」は移動先を表します。
パターン3 2者の相対的な位置関係の変化を問われる
相対的な位置関係を問われた場合は、「<主語>は◯時間後はEにあり、△時間後にはFにある」とします。
※「E」は◯時間後の位置、「F」は△時間後の位置を表します。
変化量を聞かれた場合は、状態変化を表す動詞を使って「<主語>はAからBにCする」とします。
※「AからBに」は変化量を表します。
パターン2 移動先を問われる
一定時間後の移動先を聞かれた場合は、「<主語>はDに進む(到達する)」とします。
※「Dに」は移動先を表します。
パターン3 2者の相対的な位置関係の変化を問われる
相対的な位置関係を問われた場合は、「<主語>は◯時間後はEにあり、△時間後にはFにある」とします。
※「E」は◯時間後の位置、「F」は△時間後の位置を表します。
早速、具体的な事例を見ていきます。
パターン1:変化量を答える
【事例1】
(問)12時間後から24時間後の気温の変化を15文字程度で述べよ。
(解)−9℃からー6℃に昇温する。
(解)−9℃からー6℃に昇温する。
主語は「気温」ですが、15文字制限があるので省略します。記号「−(マイナス)」「℃」を1文字とカウントすると、これで14文字になります。
「昇温する」は「上昇する」でも良いと思います。
【事例2】
(問)12時間後から24時間後にかけての卓越波向と波高の状況を、30字程度で述べよ。
(解)卓越波向は北東で変化ないが、波高は2mから5mに高まる。
(解)卓越波向は北東で変化ないが、波高は2mから5mに高まる。
聞かれている項目が主語となります。
卓越波向と波高という異なる項目を聞かれているので、「卓越波向は〜だが、波高は〜である」と重文で回答することで文字数を減らします。
前半の文は主語が「卓越波向」、述語が「変化ない」となります。後半の文は主語が「波高」、述語が「高まる」となります。文の構成は単純です。「高まる」は「高くなる」でも良いと思います。
設問では波高の変化を直接聞かれていませんが、「波高が高まる」という回答では物足りなく感じます。図から具体的な数値が読み取れる場合は、文字数オーバーとならない限りは変化量を盛り込むのが良いと思います。
【事例3】
(問)0時から12時に予想されている風向・風速の変化を、風速値を示して35文字程度で述べよ。
(解)風向は東北東から北に変わり、風速は25ノットから35ノットに強まる。
(解)風向は東北東から北に変わり、風速は25ノットから35ノットに強まる。
ルール1にある「AからBに変化する」を思い出してください。変化については必ず開始点と終了点があります。終了点だけ示す「35ノットに強まる」だけでは変化量が分かりません。何ノットの風がどれだけ変化したのか、両端の値を特定します。
【事例4】
(問)この2時間における低気圧付近のレーダーエコーの形状及び強さの変化を、低気圧中心との相対的な位置関係を示して55字程度で述べよ。
(解)低気圧の中心付近のフック状のエコーは弱まって不明瞭になり、中心付近から南側へ伸びる線状のエコーが強まった。
(解)低気圧の中心付近のフック状のエコーは弱まって不明瞭になり、中心付近から南側へ伸びる線状のエコーが強まった。
設問にある「相対的な位置関係を示して」を意識しすぎると、パターン3と判断してしまうかもしれません。聞かれているのはあくまでも「レーダーエコーの形状と強さの変化」であることを見抜きましょう。
主語は「エコー」ですが、形状を問われているので「フック状」「線状」という修飾語がキーワードになっています。
重文の前半の述語は「不明瞭になり」ですが、後半の「強まった」との対比関係では「弱まって」が事実上の述語です。
気象ロジックを理解した上で普通に回答文を作ると、「エコーは低気圧の中心付近にありフック状だったが、2時間後には中心付近から南側に伸びる線状に変化した。」となるでしょうか。模範解答は主語や述語の修飾語に詰め込む傾向があるようです。
【事例5】
(問)850hPaにおいて初期時刻から24時間後にかけて予想される低気圧前面及び後面の、風と温度場の変化について55字程度で述べよ。
(解)低気圧前面では南よりの風による暖気の流入が強まり、後面では西南西〜北西の風による寒気の流入が強まる。
(解)低気圧前面では南よりの風による暖気の流入が強まり、後面では西南西〜北西の風による寒気の流入が強まる。
この設問のように一定時間後の移動状況を聞かれた場合、「初期時刻には・・・だが、24時間後には・・・となる」と丁寧に回答すると、あっという間に文字数オーバーとなります。長い回答文を折り畳んで指定文字数に収める工夫が必要です。
この解答の工夫は主語の選択です。主語を「風」と「暖気移流」「寒気移流」にしてしまうと、どうしても文字数が増えてしまいます。風と気流は因果関係があるので、「風による移流」というように「風」を「暖気移流」「寒気移流」の修飾語にしています。
パターン2:移動状況を答える
【事例1】
(問)12時間後から24時間後にかけてみられる閉塞過程の特徴を、地上低気圧と500hPa渦度場の関係から45字程度で述べよ。
(解)地上低気圧の中心が500hPaの負渦度域から正渦度域に進む。
(解)地上低気圧の中心が500hPaの負渦度域から正渦度域に進む。
「地上低気圧と500hPa渦度場の関係」と言われると難しそうですが、主語はあくまでも擾乱(地上低気圧)であることと、低気圧の消長は500hPaの渦度で判断することを知っていれば解答を導けます。
パターン3:相対的な位置関係の変化を答える
【事例1】
(問)12時間後から36時間後にかけて、台風の中心と前線の相対的な位置はどのように変化するかを40字程度で述べよ。
(解)24時間後までは前線の南側にある台風の中心が36時間後には前線付近にある。
(解)24時間後までは前線の南側にある台風の中心が36時間後には前線付近にある。
ルール1に従って主語を決めます。「XとYの相対的な位置関係」を問う問題では主語の候補としてXとYの二つがありますが、気象の擾乱(低気圧、台風など)を主語とするのが自然です。
時間経過に伴う変化についてですが、題意に沿って「12時間後は・・・だが、36時間後は・・・である」と時間経過に伴う状況を述べると文字数超過となります。問われている時間帯における事象の変化に注目して、ルール2のように「◯から△に変化する」を意識して作文します。
なお、ルール1に従えば「台風の中心は24時間後までは前線の南側にあるが、36時間後には前線付近にある。」となります。模範解答と比べても文字数はほぼ同じです。
【事例2】
(問)二つの低気圧は24時間後には一つにまとまって閉塞すると予想される。24時間後に閉塞すると予想される根拠を、12時間後と24時間後における低気圧の中心と500hPaのトラフとの位置関係の観点から60字程度で述べよ。
(解)二つの低気圧の中心は12時間後にはトラフの東側にあるが、24時間後には一つにまとまってトラフとほぼ同じ位置になるため。
(解)二つの低気圧の中心は12時間後にはトラフの東側にあるが、24時間後には一つにまとまってトラフとほぼ同じ位置になるため。
低気圧の中心とトラフとの位置関係を問われているので、本来は「低気圧の中心」と「トラフ」のいずれを主語にしても良いでしょう。しかし気象で関心があるのは「低気圧の中心」ですから、これを主語に選ぶのが自然です。
12時間ごと24時間後の状況を重文でつなげば良いので、構文的には単純です。
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2017-10-10 10:34
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