計算問題はここに注意しよう [試験対策]
計算問題毎回のように出題されています。数字の扱い方に慣れておきましょう。
観測装置やグラフの読み取りには、必ず誤差が含まれます。誤差の大きい数値と小さい数値が混在している場合は、あまり細かいところに気を使っても労力のムダです。
そこで有効数字という考え方を用いて、一定のルールに従って数値の処理を行います。有効数字とは最下位の桁に誤差を含む数値のことです。
結論から言うと、気象予報士試験では有効数字の考えが徹底されていません。計算問題では与えられた数値をそのまま使って計算すれば問題ありません。解答でもある程度の数値の幅が許容されています。
しかし以下の2点だけは頭に入れておきましょう。
グラフの読み取りでは、軸で与えられた最小目盛の1/10まで読み取ります。そこまでは目分量で読むことができるからです。
試験でよく出される問題に、「降水量の時系列図から、最大降水量を読み取り答えよ。」があります。
こちらは第45回実技2、問3(3)で出題された地上風・降水量の時系列図です。
前1時間降水量は縦軸で表されています。最小目盛は2mmなので、その1/10の0.2mmまでを読み取ります。
例えば、
19時までの前1時間 ・・・15.6mm(15.5mm)
20時までの前1時間 ・・・21.0mm(21.0mm)
21時までの前1時間 ・・・12.0mm(12.0mm)
と読み取ることができます。
【補足】
上記の読み取り値で()内は「模範解答と解説」(東京堂出版)の解説に示された読み取り値です。これだと最小目盛の1/20まで読んでいることになります。そもそも与えられた図の目盛は定規で読み取っても4.5mm程度であり、これ自体誤差を含んでいます。したがって、1/20まで読み取る必要はありません。
有効数字はちゃんとやろうとすると少し面倒ですが、試験対策上は「求められている桁数より、途中の計算では1桁分だけ桁数の大きな数で行う」ことを覚えておきましょう。
例えば、「小数点第1位を四捨五入して答えよ」とあれば、途中の計算は小数点第2位までで行います。
ただし、小数点の掛け算・割り算で混乱が発生することがあります。次の問題を見てください。
①の解説:
風速の最小目盛は1(m/s)なので、0.1(m/s)まで読み取ります。
最大瞬間風速は0時50分の21.9(m/s)と読み取れるので、「1(m/s)刻み」との指示に従い22(m/s)が答えになります。
②の解説:
この時の平均風速も0.1(m/s)まで読み取り、8.9(m/s)と読み取ります。
さて、瞬間風速の平均風速に対する比を計算するときに、どの数値を使えば良いのでしょうか。
瞬間風速は21.9もしくは22、平均風速は8.9もしくは9が考えられます。①と②で有効数字が揃っていないのでこの混乱が生じます。
②では「小数第1位で答えよ」とあるので、
・計算に使う数値も小数第1位のものを使う
・途中の計算は小数第2位まで行う
・最後に小数第2位を四捨五入する
とするのが最善策です。
21.9÷8.9=2.46 →2.5となります。
ちなみに、①で1(m/s)刻みとしているので、センター発表の解答例では 22÷9=2.4 も許容されています。
センター発表解答例:
瞬間風速の平均風速に対する比: 2.5(2.4)
端数処理とは数値を丸めることで、計算結果を最大有効桁位にするのに用いられいます。
試験では「四捨五入して答えよ」のような指示に従えば良いだけです。一般的な端数処理は四捨五入ですが、過去には「二捨三入」が出題されたことがあります。
本番でびっくりしないように慣れておきましょう。
過去4回分(第45回〜第48回)の試験問題を分析すると、四捨五入の問題は次の二つに大別できます。
①小数第1位を四捨五入して、整数で答えさせる。
問題文としては「小数第1位を四捨五入して整数で答えよ」「四捨五入により整数値で答えよ」「四捨五入により1mm刻みで答えよ」というものです。
求める数値は整数なので、途中の計算は小数第1位まで計算し、最後に小数第1位を四捨五入して整数にします。
例) 43.5 →43
②四捨五入により小数第1位までの数値で答えさせる。
問題文としては、そのまま「四捨五入により小数第1位までの数値で答えよ」です。
小数点以下第1位までの数値を求めるので、途中の計算は小数第2位までで行います。最後に小数第2位を四捨五入して小数第1位までの数値にします。
例) 43.54 →43.5
最小の位の数字を「0」か「5」に揃えるために用いられます。
この処理から「二捨三入・七捨八入」とも呼ばれます。
分かりにくいので、具体例で見てみましょう。
例)「41から50までの整数を二捨三入しなさい」
答) 41、42 → 40
43、44、45、46、47 → 45
48、49、50 → 50
降水量の時系列図(ここでは省略)から最大3時間降水量は48mmもしくは49mmと読み取ることができます。
いずれの数値でも、1桁目を七捨八入をして50mmとなります。
この前の問題で
地点a: 気温 16.0℃、 混合比 13(g/kg)
地点b: 気温 16.0℃、 混合比 7(g/kg)
と求まっています。
有効数字は3桁として仮温度を求めます。
地点a: T=16.0+0.18×13=18.34 →18.3(小数第2位を四捨五入)
地点b: T=16.0+0.18×7=17.26 →17.3(小数2位を四捨五入)
小数第1位を二捨三入して、Ta=18.5、Tb=17.5 を得ます。
上記では小数第2位を四捨五入してから小数第1位を二捨三入するというステップを踏みました。では、小数第2位を切り捨てて小数1位を二捨三入するとどうなるでしょうか。センター発表の正解例では許容範囲になっています。
地点a: 18.34 →18.3(小数第2位を切り捨て) →18.5(小数第1位を二捨三入)
地点b: 17.26 →17.2(小数第2位を切り捨て) →17.0(小数第1位を二捨三入)
センター発表解答例:
地点a: 18.5(18.0)
地点b: 17.5(17.0、18.0)
そもそもですが・・・、本番の試験で計算間違いは絶対に避けなければなりません。そのためには日頃から、間違い防止を意識した計算を実践しましょう。
まず、次の例題を解いてみてください。
すんなり回答できなかったという方は、かけ算対策をすべきです。本番では検算をしている余裕はありません。一回で確実に計算できるようにしましょう。
答えは次の通りです。
①計算は大きな字で、はっきりと書く
計算に時間をかけたくないので、用紙の隅の方に、まるで悪いことでもしているかのように書いていませんか?走り書き程度だと字がはっきりしないし、桁上がりなどを間違える可能性が高まります。
②縦の列を揃えて書くように意識する
縦の列が揃っていないと、計算の最後に同じ桁の数字を足す時に間違えが発生します。意識して列を揃えるようにします。
③繰り上がりの数字を書く
下の写真のように、繰り上がる数字を忘れないようにメモっていくやり方です。すでに実践している人も多いかと思います。
④新しい計算法を習得する
世の中にはいろんな計算法があります。「インド式」「レンガ筆算」「繰り上がり分離法」などで検索すると出てきます。いずれも③の変形法で、繰り上がる数字を明示的に書くものです。最後の足し算が長くなるというデメリットがあります。
国が異なれば計算法も異なります。気象の勉強を忘れて、計算法にのめり込みすぎないように注意!
人気ブログランキングへ
今回のポイント
・グラフの読み取りは最小目盛の1/10までを読む。
・小数点の計算は、求められる結果より一桁多い桁数で計算する。
・四捨五入だけではなく、「二捨三入・七捨八入」にも慣れておく。
・筆算は大きな字ではっきりと、縦の列を揃えて書く。
・小数点の計算は、求められる結果より一桁多い桁数で計算する。
・四捨五入だけではなく、「二捨三入・七捨八入」にも慣れておく。
・筆算は大きな字ではっきりと、縦の列を揃えて書く。
有効数字に気をつけろ!
観測装置やグラフの読み取りには、必ず誤差が含まれます。誤差の大きい数値と小さい数値が混在している場合は、あまり細かいところに気を使っても労力のムダです。
そこで有効数字という考え方を用いて、一定のルールに従って数値の処理を行います。有効数字とは最下位の桁に誤差を含む数値のことです。
結論から言うと、気象予報士試験では有効数字の考えが徹底されていません。計算問題では与えられた数値をそのまま使って計算すれば問題ありません。解答でもある程度の数値の幅が許容されています。
しかし以下の2点だけは頭に入れておきましょう。
グラフの読み取り
グラフの読み取りでは、軸で与えられた最小目盛の1/10まで読み取ります。そこまでは目分量で読むことができるからです。
試験でよく出される問題に、「降水量の時系列図から、最大降水量を読み取り答えよ。」があります。
こちらは第45回実技2、問3(3)で出題された地上風・降水量の時系列図です。
前1時間降水量は縦軸で表されています。最小目盛は2mmなので、その1/10の0.2mmまでを読み取ります。
例えば、
19時までの前1時間 ・・・15.6mm(15.5mm)
20時までの前1時間 ・・・21.0mm(21.0mm)
21時までの前1時間 ・・・12.0mm(12.0mm)
と読み取ることができます。
【補足】
上記の読み取り値で()内は「模範解答と解説」(東京堂出版)の解説に示された読み取り値です。これだと最小目盛の1/20まで読んでいることになります。そもそも与えられた図の目盛は定規で読み取っても4.5mm程度であり、これ自体誤差を含んでいます。したがって、1/20まで読み取る必要はありません。
小数点の計算
有効数字はちゃんとやろうとすると少し面倒ですが、試験対策上は「求められている桁数より、途中の計算では1桁分だけ桁数の大きな数で行う」ことを覚えておきましょう。
例えば、「小数点第1位を四捨五入して答えよ」とあれば、途中の計算は小数点第2位までで行います。
ただし、小数点の掛け算・割り算で混乱が発生することがあります。次の問題を見てください。
気象要素の時系列図を見て次の問いに答えよ。
①瞬間風速が最大となった時刻(10分刻み)とその風速(1m/s刻み)を答えよ。
②その時刻における瞬間風速の平均風速に対する比を四捨五入により小数第1位までの数値で答えよ。
①瞬間風速が最大となった時刻(10分刻み)とその風速(1m/s刻み)を答えよ。
②その時刻における瞬間風速の平均風速に対する比を四捨五入により小数第1位までの数値で答えよ。
(第45回実技1、問3(4)①を改変)
①の解説:
風速の最小目盛は1(m/s)なので、0.1(m/s)まで読み取ります。
最大瞬間風速は0時50分の21.9(m/s)と読み取れるので、「1(m/s)刻み」との指示に従い22(m/s)が答えになります。
②の解説:
この時の平均風速も0.1(m/s)まで読み取り、8.9(m/s)と読み取ります。
さて、瞬間風速の平均風速に対する比を計算するときに、どの数値を使えば良いのでしょうか。
瞬間風速は21.9もしくは22、平均風速は8.9もしくは9が考えられます。①と②で有効数字が揃っていないのでこの混乱が生じます。
②では「小数第1位で答えよ」とあるので、
・計算に使う数値も小数第1位のものを使う
・途中の計算は小数第2位まで行う
・最後に小数第2位を四捨五入する
とするのが最善策です。
21.9÷8.9=2.46 →2.5となります。
ちなみに、①で1(m/s)刻みとしているので、センター発表の解答例では 22÷9=2.4 も許容されています。
センター発表解答例:
瞬間風速の平均風速に対する比: 2.5(2.4)
端数処理
端数処理とは数値を丸めることで、計算結果を最大有効桁位にするのに用いられいます。
試験では「四捨五入して答えよ」のような指示に従えば良いだけです。一般的な端数処理は四捨五入ですが、過去には「二捨三入」が出題されたことがあります。
本番でびっくりしないように慣れておきましょう。
四捨五入の問題
過去4回分(第45回〜第48回)の試験問題を分析すると、四捨五入の問題は次の二つに大別できます。
①小数第1位を四捨五入して、整数で答えさせる。
問題文としては「小数第1位を四捨五入して整数で答えよ」「四捨五入により整数値で答えよ」「四捨五入により1mm刻みで答えよ」というものです。
求める数値は整数なので、途中の計算は小数第1位まで計算し、最後に小数第1位を四捨五入して整数にします。
例) 43.5 →43
②四捨五入により小数第1位までの数値で答えさせる。
問題文としては、そのまま「四捨五入により小数第1位までの数値で答えよ」です。
小数点以下第1位までの数値を求めるので、途中の計算は小数第2位までで行います。最後に小数第2位を四捨五入して小数第1位までの数値にします。
例) 43.54 →43.5
二捨三入とは
最小の位の数字を「0」か「5」に揃えるために用いられます。
【二捨三入の処理】
端数が・・・
1・2のときは0として切り捨てる
3・4・5・6・7のときは5にする
8・9のときは10として切り上げる
端数が・・・
1・2のときは0として切り捨てる
3・4・5・6・7のときは5にする
8・9のときは10として切り上げる
この処理から「二捨三入・七捨八入」とも呼ばれます。
分かりにくいので、具体例で見てみましょう。
例)「41から50までの整数を二捨三入しなさい」
答) 41、42 → 40
43、44、45、46、47 → 45
48、49、50 → 50
二捨三入の出題事例①
最大3時間降水量を図から読み取り、二捨三入して5mm刻みで答えよ。
第45回実技2、問3(3)②(一部改変)
降水量の時系列図(ここでは省略)から最大3時間降水量は48mmもしくは49mmと読み取ることができます。
いずれの数値でも、1桁目を七捨八入をして50mmとなります。
二捨三入の出題事例②
仮温度は気温Tに水蒸気量に関する項Twを加えたものである。850hPaにおける混合比w(g/kg)からTwを求める概算式Tw=0.18wを用いて、地点aと地点bの850hPaの仮温度を求め、二捨三入により0.5℃刻みで答えよ。
第47回実技1、問2(3)②(一部改変)
この前の問題で
地点a: 気温 16.0℃、 混合比 13(g/kg)
地点b: 気温 16.0℃、 混合比 7(g/kg)
と求まっています。
有効数字は3桁として仮温度を求めます。
地点a: T=16.0+0.18×13=18.34 →18.3(小数第2位を四捨五入)
地点b: T=16.0+0.18×7=17.26 →17.3(小数2位を四捨五入)
小数第1位を二捨三入して、Ta=18.5、Tb=17.5 を得ます。
上記では小数第2位を四捨五入してから小数第1位を二捨三入するというステップを踏みました。では、小数第2位を切り捨てて小数1位を二捨三入するとどうなるでしょうか。センター発表の正解例では許容範囲になっています。
地点a: 18.34 →18.3(小数第2位を切り捨て) →18.5(小数第1位を二捨三入)
地点b: 17.26 →17.2(小数第2位を切り捨て) →17.0(小数第1位を二捨三入)
センター発表解答例:
地点a: 18.5(18.0)
地点b: 17.5(17.0、18.0)
かけ算を確実に!
そもそもですが・・・、本番の試験で計算間違いは絶対に避けなければなりません。そのためには日頃から、間違い防止を意識した計算を実践しましょう。
小手調べから
まず、次の例題を解いてみてください。
9637×3、9637×73、683×296
すんなり回答できなかったという方は、かけ算対策をすべきです。本番では検算をしている余裕はありません。一回で確実に計算できるようにしましょう。
答えは次の通りです。
9637×3=28911
9637×73=703501
683×296=202168
9637×73=703501
683×296=202168
対策
①計算は大きな字で、はっきりと書く
計算に時間をかけたくないので、用紙の隅の方に、まるで悪いことでもしているかのように書いていませんか?走り書き程度だと字がはっきりしないし、桁上がりなどを間違える可能性が高まります。
②縦の列を揃えて書くように意識する
縦の列が揃っていないと、計算の最後に同じ桁の数字を足す時に間違えが発生します。意識して列を揃えるようにします。
③繰り上がりの数字を書く
下の写真のように、繰り上がる数字を忘れないようにメモっていくやり方です。すでに実践している人も多いかと思います。
④新しい計算法を習得する
世の中にはいろんな計算法があります。「インド式」「レンガ筆算」「繰り上がり分離法」などで検索すると出てきます。いずれも③の変形法で、繰り上がる数字を明示的に書くものです。最後の足し算が長くなるというデメリットがあります。
国が異なれば計算法も異なります。気象の勉強を忘れて、計算法にのめり込みすぎないように注意!
人気ブログランキングへ
2018-01-11 15:36
nice!(0)
コメント(0)
コメント 0