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トラフの描き方の疑問 [箸休め]

トラフの描き方を学びたくてこのページにたどり着いた方、ごめんなさい。このページは「トラフの描き方が分からない」ことをまとめたものなので、お役に立てません。

そう。正直に告白すると、私はトラフの描き方が分かりません。

そもそも世の中にトラフの見本が少なすぎて学習材料に乏しいのですが、数少ない見本を見ると自分の解析と大きくずれていることもあります。

本稿ではトラフの見本を集めてみたので、時間の余裕のある方のみご覧ください。

今回のポイント

・学習材料となるトラフの見本が少ない。
・参考書の説明に従っても、見本通りのトラフが描けない。
・自分にはトラフを描くための着眼点が不足している。


トラフってなんだ?

まず、トラフの定義をおさらいしておきましょう。

【トラフ】

「高圧部と高圧部の間の気圧の低いところ」
(気象庁HP)

「トラフは、等高度線が南へ凸になっている所」
(気象予報士試験 模範回答と解説)

「正渦度の極大域付近がトラフになる」
(気象予報士試験 模範回答と解説)

「等高線が高度の低いほうから高いほうへ凸に湾曲している形態をトラフと呼ぶ」
(気象学入門)

「トラフは、低気圧や低圧部から延び、周辺よりも高度(気圧)が低い部分であり、低気圧性曲率の最も大きい部分を連ねた線」
(ひとりで学べる!気象予報士実技試験)


抽象的ですね。ここで分かることは、トラフというのは高層天気図(500hPa面)の等高度線の形状で定まるものであり、数式などで求められるものではないということ。主観的な観点が入ってしまうということです。

そもそもなぜ、トラフに注目しなくてはいけないのでしょうか。それはトラフが次のように、温帯低気圧の消長(発達と衰退)の目安になるからです。

・トラフ前面の地上低気圧は発達する、後面の地上低気圧は衰退する。
・トラフが地上低気圧の真上の時、地上低気圧は発達の最盛期である。
・トラフが深まると地上低気圧は発達する。

トラフは周囲と比べると気圧が低く、また寒気を伴っているため、下層に暖かい空気が流れ込むとそれが上昇してきて雲が発生します。このため天気が崩れやすくなります。

ちなみに日本では「トラフ」は高層天気図で使われる言葉で、「気圧の谷」というと地上天気図も含めて広く使われているようです。「上空の気圧の谷」と言えば、トラフのことを指します。

トラフの描き方(らしきもの)

トラフの描き方

トラフ軸の定義はトラフの描き方を示唆しています(多くの参考書では「トラフ軸」の意味で「トラフ」を用いているようです)。

【トラフ軸】

「トラフのところで高度がもっとも低い点を結んだ線をトラフ軸という」
(気象学入門)


暗黙のルール

次の2点は、事例を見ながら個人的に感じていることです。

「トラフは強風軸よりも暖気側にはみ出さない。」

強風軸の寒気側は低気圧性循環ですが、暖気側は高気圧性循環になっています。トラフは低気圧性ですから、強風軸の寒気側に留めなくてはなりません。

当然すぎるからなのか、参考書には書かれていません。

「日本の東海上にあるトラフは解析しない。」

トラフ解析をする目的は、その前面の低気圧の動きを知りたいからです。日本を通過してしまったトラフは用済みなので、通常は解析されません。

以上を実践して見本通りのトラフが描ければ問題ないのですが、実際のところどうなのかを見ていきます。


トラフの疑問

トラフを描いてみて解答と比べて一致しない時の疑問をあげてみます。

①なぜそこに描くのか分からない
「もっと他に解析できそうなところがあるのに、なぜそこに描くのか?」というケース。トラフが浅すぎるケースが該当します。

②傾きが分からない
「傾きはもっと急(あるいは緩やか)じゃない?」というケース。もっと曲率半径の短いところを通しても良さそうと思います。

③引き始め(終わり)が分からない
「その辺りに解析できそうなのは同意だけど、なぜそこから描き始めるの?」というケース。


トラフのコレクション

上記の疑問別にトラフの例をまとめてみました。出典は、トラフの見本を比較的豊富に掲載している「天気図の使い方と楽しみ方」(オーム社)です。

あくまでも私が見本の趣旨を理解できないという不勉強を晒しているだけで、他意はありません。

①なぜそこに描くのか分からないケース

CCI20180202_00005.jpg
(P.53 図3-10)
いやあ、唐突すぎてコメントに困るくらいです。すごく浅いところに描いているように思います。自分だったら5700mの東経109°に引きたいのですが。

CCI20180202_00007.jpg
(P.94 図4-8)
これも大胆です。自分は朝鮮半島の北部に引きたいところです。

CCI20180202_00002.jpg
(P.33 図2-23)
これでトラフ、描きます?描くのだったら2本に分けて、1本は5640mから、もう1本は5760mから引きたいです。


②傾きが分からないケース

CCI20180202_00000.jpg
(P.15 図2-2)
もっと水平に寝てしまっても良いのではないかと思えます。しかも5760mで止めて良いのではないでしょうか。

CCI20180202_00007(2).jpg
(P.94 図4-9)
こちらももっと寝かせてあげたい例。

CCI20180202_00003.jpg
(P.39 図2-30)
こちらは逆に、5700mのところ引き始めをもっと西に持ってきて、傾きを経度線と平行ぐらいに立てたい例です。

CCI20180202_00004.jpg
(P.47 図3-2)
トラフが2つ解析されていますが、いずれももっと立ててあげたいです。


③引き始め(終わり)が分からないケース

CCI20180202_00006.jpg
(P.63 図3-23)
不可解な例です。引き始めと引き終わりをどう選んだのでしょうか。しかも、どうしてこんなにアーチ状に描けるのか分かりません。

CCI20180202_00009.jpg
(P.145 図6-4)
エッ、そこから引きますか?5200mの東経148°から引きたいんですが。


最後に

地形図の「谷」に例えて「気圧の谷」と呼ばれていますが、「谷」を選んでも「気圧の谷」にはならないのです。何かスパイスというか、抜け落ちている着眼点がありそうな気がしています。

「トラフの描き方」をまとめたかったのですが、未熟者の自分に現在できるのはここまでです。


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はじバルズ

わかりすぎてつらいw

by はじバルズ (2019-06-26 14:34) 

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