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地上実況図など [傾向と対策]

図の概要

本項では「地上実況図」「アメダス実況図」「地上実況図、レーダーエコー合成図」として出題されたものを扱う。

気象現象は気圧、気温、風などの気象要素に特徴ある分布が現れるので、複数の要素を同時に解析することで今後の展開予測が可能となる。

地上実況図は、地方地図に重ねて気圧、気温、風などが書き込まれている。

気圧は0.1hPa単位で表した下3桁が表記される。
例)「863」→1086.3hPa、「023」→1002.3hPa

風速の単位は秒速(m/s)表示が多いが、ノット表示のこともあるので、その都度、凡例で確認のこと。

実測値の他に、気温や気圧の等値線が書かれていることもある。等圧線は2hPa単位で書かれていることが多い。

アメダスの観測項目は降水量、風向、風速、気温、日照時間、積雪の深さであり、気圧は含まれない。したがって、「アメダス実況図」には通常、風向、風速、気温が書き込まれている。

また、レーダーエコーと気象要素の対応を見るために、レーダーエコー合成図に地上実況図を重ねた「レーダーエコー合成図・地上実況図」も出題される。

地上実況図.png


出題の傾向

テーマとなった気象現象は台風、温帯低気圧、沿岸前線である。

問われる内容としては、
・シアーラインの解析(作図、読み取り)
・等圧線の解析(記入)
・風向、風速、気温の読み取り
・気圧、気温、風の分布の特徴
・異なる時刻の図から、気圧の特徴の変化を読み取る
・台風や低気圧の中心位置の記入
などである。

シアーライン解析は3回出題されているが、2回は沿岸に形成される事例であった。シアーラインの作図(記入)は後述する練習をしていれば困難ではない。

等圧線の解析(記入)問題は、未記入の等圧線を2〜3本とそれぞれの等圧線の値を記入させるものである。
等圧線の分布の特徴問題では「低気圧の分裂」が出題されているので、これについては対策編で触れる。

以下に、回別の出題概要を記す。

第40回実技1
①地上気圧・風の予想図(風速はノット)(関東地方)
・気圧の分布と風の分布の予想
②アメダス実況図
・シアーライン(沿岸前線)の解析(読み取り)

第42回実技1
レーダーエコー合成図・地上気圧実況図(九州地方)
・強雨域の位置する地上気圧場の特徴

第42回実技2
地上実況図、レーダーエコー合成図(風速はノット)(西日本)
・等圧線解析
・レーダーエコー分布と気圧分布の対応の特徴
・時刻経過に伴う気圧の谷の変化と移動の状況

第44回実技1
地上実況図(気温、風)(風速はm/s)、レーダーエコー合成図(関東地方)
・風向、風速、気温の読み取り
・降水域に対応する地上風の分布と気温分布の特徴

第45回実技1
地上実況図(風速はm/s)(九州地方)
・等圧線の記入、台風の中心位置の記入
・台風中心の移動距離と平均の早さを算出

第46回実技1
地上実況図(風)(風速はm/s)(九州地方)
・台風の中心位置の読み取り

第46回実技2
レーダーエコー合成図・地上実況図(風速はm/s)(北海道・東北)
・帯状エコーに対応したシアーラインの解析(作図)、等圧線の記入
・気圧場の特徴

第47回実技1
地上実況図(風速はm/s)(関東地方)
・強い雨の要因となった風向分布の特徴(風の収束)

第48回実技2
アメダス実況図(風、気温)(風速はm/s)(関東地方)
・気温と風の読み取り

第49回実技1
アメダス実況図(風速はm/s)(福岡県)
・気温、風の読み取り
・シアーライン解析(作図)

第49回実技2
地上実況図(風速はm/s)(東日本)
・台風上陸時の等圧線の記入
・気圧分布の特徴


対策

答案対策

シアーラインや実測値の読み取り問題では、「内陸部の最大風速は?」のように、「沿岸部」と「内陸部」の見極めが求められることがある。「海岸線から〇〇km以内が沿岸部」と捉えるのではなく、解析されたシアーラインの一方を沿岸部、もう一方を内陸部というように相対的に捉えるのが適切であろう。

気象庁の「地域に関する用語」には次のようにある。

沿岸:海岸線の両側のある広さを持った地域と水域。
内陸:海岸(地方)に対して、海から遠く離れた地帯。「沿岸(部)」を除く。

具体的な事例ではどうだろうか。こちらは「山形県の気象特性」(山形地方気象台)から。

山形気象台.png


海岸線から最大で20kmほどは沿岸部と読み取れそうである。

一方で、第49回実技1では、福岡県の日本海側沿岸のアメダス実況図読み取りとシアーライン解析が出題された。

第49回_2.png


この問題における沿岸部と内陸側は上の図のようになっている。南の風50m/sは博多の測定値だが、模範解答では博多は内陸部とされている。

次に、気圧の分布の問題で着目すべきは、
・高気圧(高圧部)、低気圧(低圧部)が形成されている位置
・それらが地形要因などで分断されている模様
・気圧の谷の状況
であり、それを記述する。

例)
・神奈川県から房総半島にかけて気圧の谷となる。
・低気圧の中心が北海道の日本海側とオホーツク海側に分かれている。

気圧分布では、低気圧が2つに分裂する問題が2回出題されている。台風や低気圧は山脈などの地形の影響を受けて、等圧線が変形したり分裂することがある。

具体的には低圧部がひょうたん型になり中心が分裂したり、山脈に沿って伸びたりする。このようにして発生した低気圧は副低気圧と呼ばれる。最近では、2017年の台風5号が中部山岳地帯(日本アルプス)により分裂した実例がある。

風の分布については、どこにどのような風向の風が吹いているかを答える。

例)
・南海上から南西風が南部沿岸に達するが、内陸部では風が弱い。


日頃の練習

地上実況図の入手は一般には困難なため、代用できるもので練習したい。

シアーラインの作図練習は、850hPa風・相当温位予想図(FXJP854)や850hPa天気図(AUPQ78)で行う。これらの天気図は総観規模ではあるが府県単位の地上実況図とはスケールが異なるが、練習材料にはなる。

等値線(等温線、等圧線)を短時間で書く練習をすること。良質な練習材料は乏しいが、気象庁HPの地方別のアメダス気温観測値で1℃ごとに等温線を引いてみるのが手頃。

アメダス.png


また、過去問題や参考書の問題などを、日頃から練習の素材としてコピーして集めておき、試験前の2週間ほどは毎日繰り返して作業を手に覚えさせると良い。

気圧や風の分布を記述するときは具体的な地名を記すことがあるので、県名や海域名を確実に覚えておきたい。過去によく出題されている関東地方、九州地方については、白地図で県名を言えるようにしておこう。

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