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千島近海って? [知識]

実技試験では時折、地名や海域名を問われることがあります。気象庁のホームページに掲載されている地名と海域名は最低限、白地図で特定できるようにしておきたいものです。

全般気象情報などに用いるアジア・北西太平洋域の地名、海域名
全般気象情報などに用いる日本付近の地名、海域名

今回は、第48回試験(2019年度第1回)実技1で問われた「千島近海」を取り上げ、この海域名がどのような文脈で登場するのかを調べたいと思います。

千島近海を確認しよう

まず、千島近海の場所を確認しておきましょう。気象庁のホームページでは下図のように示されています。

千島近海.jpg

出典:気象庁(原本の破線表示を赤線で表示した)

気象庁「日本および日本の周辺を個別的に表す地名」には「北方四島は千島列島に含めない。」とあります。

しかし上図をみる限り、千島近海は北海道東部から北方四島も含めたカムチャッカ半島南端までの海域を指しているように見えます。

千島近海には、北太平洋やオホーツク海から千島列島に沿って南下し、日本の東まで達する寒流が流れています。これを一般的には「親潮」と言いますが、「千島海流」と呼ぶこともあります。親潮は魚類や海藻類を養う栄養分に富んでいます。

ちなみに、道東では夏の時期、太平洋高気圧からくる暖かく湿った空気が親潮に冷やされて、濃霧が発生します。このような霧を「移流霧」と言うのでしたね。

①台風の墓場として登場!

千島近海の海域名が登場する一つ目の事例は、「台風の墓場」です。台風の墓場とは私が勝手に名付けた名称ですが、台風が温帯低気圧に変わった後の向かう先の一つということです。

2016年の台風5号で見てみましょう。台風5号は8月4日に発生し、10日に温帯低気圧に変わりました。

台風5号の経路図を見ると、10日に千島近海を通過しているのが分かります。(経路の左に書いてある数字が通過日です。)

2016年台風5号.png
出典:気象庁

この台風について、次のように報道されています。

(2016年8月5日配信)
熱帯低気圧は小笠原の南海で台風5号に変わり、発達しながら北寄りに本州方向に接近している。気象庁は、来週以降、日本の東から千島近海に抜けるものとみて、今後の動向を注視している。(以下略)

(2016年8月10日配信)
台風5号は千島近海で温帯低気圧に変わりました。今日の日本付近は広い範囲で高気圧に覆われますが、湿った空気の影響を受ける所があるでしょう。(以下略)

台風は千島近海で温帯低気圧になったことが報じられています。温帯化時に984hPaだった低気圧は、その後988hpaに弱まった後、再度984hPaに発達しました。このように、台風は温帯低気圧に変わった後、発達することが多いので注意が必要です。

ではもう一つ、2017年の台風22号(10月)を見てみましょう。

(2017年10月30日配信)
台風22号は29日午前に九州・四国沖、午後から夜に東海・関東沖を東北東へ進み、30日午前0時に三陸沖で温帯低気圧に変わった。(中略)温帯低気圧は発達しながら北上し、30日朝に千島近海へ進む見込み。気象庁は引き続き暴風や高波、土砂災害に警戒するよう呼びかけた。(以下略)

これは10月29日22時32分発表の気象情報「平成29年 台風第22号に関する情報 第79号」に基づいた報道と思われます。

台風22号_79.png


9月、10月に発生する台風は太平洋高気圧の縁辺に沿って北東進するため、千島近海に至るものが多いのですね。

②冬の気圧配置にも登場!

二つ目の事例は、冬の気圧配置として有名な「西高東低型」の低気圧の居場所として登場してきます。

2016年3月1日の事例で見てみます。前日の午後から低気圧が急速に発達し、1日の北海道では暴風が吹き荒れ、最大瞬間風速は襟裳岬で41メートル、札幌は33.8メートルとなりました。

2016-03-01-1500.png

このように急速に発達する低気圧は、一般には爆弾低気圧と呼ばれます。これについて、1日の産経新聞は次のように伝えています。

発達した低気圧は1日午後、千島近海を東に進み、北海道付近は強い冬型の気圧配置が続いた。暴風雪の峠は越えたが、気象庁は引き続き2日昼前にかけて猛吹雪、吹きだまりや大雪による交通障害、高波、強風、雪崩に警戒を呼び掛けた。(以下略)

全国的にも北風が強く、北海道から本州の日本海側は所々で雪の降り方が強まり、青森県の酸ヶ湯では積雪が3メートルを超えました。

気象衛星画像を見ると、日本海側から太平洋にかけて筋状の雲が現れています。

衛星画像2016-03-301.png

大陸からの離岸距離はある程度空いているので、猛烈な冷え込みではなさそうです。

梅雨時期の西高東低型でも!?

季節はずれの西高東低型でも雪が降ることがあります。2016年6月2日の徳島新聞は次のように報じています。

(2016年6月2日配信)
低気圧が千島近海に停滞した影響で2日、北海道には北東から冷たい空気が流れ込み、山間部では6月にもかかわらず季節外れの雪が降った。
上川町の大雪山系黒岳(1984メートル)でロープウエーを運行する「りんゆう観光」によると、標高1300メートルの5合目では2日午前6時ごろ、約1センチの積雪が見られた。当時の気温は氷点下2度で、営業担当者は「ゴールデンウイーク以降に雪が降るのは珍しい」と驚いた様子だった。(以下略、一部修正)

気圧配置を見ると、北海道周辺では確かに季節外れの強い西高東低型になっています。

2016-06-02-0900.png

この低気圧は寒冷低気圧で、500hPa面で厳しい寒気が入っていました。

第48回試験の出題

最後に、過去の出題事例で「千島近海」をモノにしておきましょう。

前問で答えた⼆つの低気圧の動きと盛衰について述べた次の⽂章の空欄( ① )〜( ⑤ )に⼊る適切な語句を答えよ。なお,③は16 ⽅位,④は海域名で答えよ。

九州の南岸の低気圧および⽇本海の低気圧は,いずれも12 時間後から24 時間後にかけて中⼼の気圧が( ① )に( ② )する。九州の南岸にあった低気圧は24 時間後から36 時間後にかけて( ③ )に進み,( ④ )に達する。その移動の速さは24 時間後までと⽐較して( ⑤ )なっている。

地上気圧・降⽔量・⾵36 時間予想図を見ると、④の答えは「千島近海」となります。

図4.png


ちなみに、本番試験でビール隊長は「北海道の東海」と回答し、不正解でした。最初は「千島列島」と回答したのですが、見直しをしている時に「④は海域名で答えよ」に気づきました。海域名をたくさん覚えたつもりだったのですが、千島近海は知りませんでした。(^^;


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アーカイブのカテゴリー [アーカイブ]

【本カテゴリーの説明】

一定期間が経過すぎると削除されてしまう情報、試験勉強中は時間がなくて探す余裕がない情報。

そうしたものの中から有意義なものを、できるだけ見やすく整理していきます。

file archive.jpg
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初冬の旭岳遭難を考える [箸休め]

事故の概要

2017年10月17日、北海道の大雪山系旭岳で登山中の男女4名が下山中に道に迷い、夜半になり携帯電話で警察に救助を要請しました。4名は高齢の夫婦と海外から訪れた男女2名で、登山中に知り合い一緒に行動していました。

初報.png

警察のヘリが救助に向かうも雲が多く難航し、初日の発見には至りませんでした。
夫婦は雨具は持っているが軽装とみられるとのことで、吹雪いている中で低体温症にならないか心配しました。

二日目の朝、朗報がもたらされました。警察の山岳救助隊8名が午前3時前から捜索を続けていたところ、午前7時40分頃、遭難者と電話がつながったのです。4名全員の無事が確認できたものの、1名は低体温症で動けない状態ということが判明しました。

現場周辺の天候が悪く捜索は難航し、機動隊が増員されたほか、東川町は自衛隊に救助を要請しました。

陸上自衛隊は50人態勢で午後4時過ぎから捜索に合流しました。

2報.png

二日目も時間切れになるかと思われた午後5時40分頃、捜索隊が4名を発見しました。

1名は身体が震えて低体温症とみられるほか、他の3名も体力の消耗が激しいためこの日は捜索隊とビバークし、三日目に救助ヘリで搬送されました。

3報alt.png

全員が無事救出されて本当に良かったです。捜索、救助にあたられた方々にも頭が下がります。

大雪山系

大雪山系は大雪山国立公園に属する山域で、北大雪、表大雪、東大雪、十勝連峰の4山域に分けられます。

旭岳.png

図に大雪山系の山を黄色でプロットしてあります。これを見て分かることは、日本海側から西よりの風が入ると湿った空気が山の斜面を上昇し、雲ができやすいということです。

同様に太平洋側から東よりの風が入っても風の影響を受けやすいことが分かります。これは大雪山系が南北に連なり、周囲に風を遮る山脈がないからです。

旭岳は表大雪を構成する代表的な山で、標高は2291メートルです。
ロープウェイの山頂駅(姿見駅)から旭岳までは標高差683メートル、無雪期のコースタイムは往復で3時間10分です。ハイキング気分で足を伸ばしたとしても不思議はありません。

気象条件を確認してみる

これから天気図を見ていきます。遭難当日の分を見る前に、旭岳で初冠雪を観測した9月30日の天気図を見てみます。

■9月30日(初冠雪日)

Sept30.png

北海道周辺では等圧線が立て込んでおり、アメダスによると地上では10〜15m/sのやや強い風が吹いたところもありました。

約1500メートルの上空を表す850hPaの高層天気図を見ると、西南西の風が吹いていたことが分かります。
AUPQ78.png

上空の気温は高めのため一時的な降雪だったのでしょう。


■10月17日(遭難発生日)

Oct17.png

遭難が発生した日は西高東低の冬型の気圧配置になっています。前日の16日には「雪に関する北海道地方気象情報」が発表されており、16日夜から18日にかけて地上でも日本海側を中心に雪が降ることが予報されていました。

850hPa気温・風の予想図を見てみましょう。17日の朝9時の予想です(16日の朝9時を初期時刻とした24時間予報)。
FXFE5782.png

850hPaの気温は0℃以下の予想となっています。姿見駅の標高は1608メートル、4名が道を見失った7合目は1930メートルですから、この地点で雪が降るのは確実です。

実は旭岳では初冠雪以降雪が降っていて、特にこの一週間ほどで積雪が増えたようです。
17日12時19分、姿見駅から旭岳方面を見た画像です。
Oct17.12.19.png

10名以上の人の姿が見えますが、この人たちはこの先にある展望台を巡る散策コース(一周1時間)を回るのだと思います。

15時19分には先が見えなくなっています。
Oct17.15.19.png

こうした悪天候下で、4名はロープウェイ姿見駅までの道を見失ったのでしょう。

最後に

今回は4名全員が無事帰還できて、山登りをする者の一人として本当にホッとしました。暖かい衣類や食料もなく、発見があと一日遅かったら悲劇に転じていた可能性があります。

十分な装備を持たないで入山した4名の遭難した日が、初雪と重なったのは偶然でしょうか。山の天気に詳しくなくても地上で雪が降る予報なら、山は降って当然だから冬山装備で出かけようという判断は難しくないはずです。

しかし、「せっかくここまで来たんだから、ちょっと先まで行ってみよう」という誘惑を振り切るのは難しいものです。

悪天候の翌日、山は綺麗な姿を取り戻して新たな観光客を手招きしています。
Oct19.07.39.png

(参考)報道記事の一部

北海道 旭岳で4人遭難 電話つながる 全員生存も1人“動けない“
ヘリ出動も難航 気温-7℃

10/18(水) 9:33配信 北海道ニュースUHB

 10月17日夜、北海道の大雪山系旭岳で登山中の男女4人から救助要請があり、警察の山岳救助隊が捜索を行っていましたが、18日朝、4人と電話がつながり、現在、警察のヘリが救助に向かっていますが、雲が多く難航しています。

 17日午後7時30分過ぎ、大雪山系旭岳で、登山で訪れていた70代の男性から「下山中にルートから外れた」と警察に救助要請がありました。

 警察によりますと、男性は携帯電話で60代の妻と、若い外国人の男女と一緒の計4人で、7合目付近の沢の近くにいるなどと話し、連絡がとれなくなっていました。

 警察の山岳救助隊8人が、18日午前2時50分ごろから旭岳に入り捜索を続けていたところ、午前7時40分ごろ、遭難者と電話がつながったということです。

 4人とも生存しているとのことですが、うち一人が低体温症で動けない状態だということです。

 警察のヘリが18日午前8時ごろ、札幌市の丘珠空港を離陸。情報をもとに、7~8合目付近を中心に救助に向かっていますが、雲が多く、難航しています。

 遭難した4人は、最初は1組ずつ別々に行動していましたが、途中に偶然出会い、一緒に行動しているということです。

 旭岳は雪が積もっていて、18日午前7時の気温が、姿見駅付近で、マイナス7℃と冷え込んでいます。


北海道 旭岳で遭難 観光客4人を救助
10月19日 7時02分 NHK

北海道の大雪山系旭岳で17日に雪の積もった山中で道に迷った観光客4人について、警察は19日朝、ヘリコプターで全員を救助しました。いずれも意識ははっきりしていますが、体力の消耗が激しいということで、病院で手当てを受けています。
北海道で最も高い標高2291メートルの大雪山系旭岳では、登山に訪れていた横浜市神奈川区の治療院経営、加藤昌彦さん(71)と妻の由美子さん(65)、それに登山中に知り合って一緒に行動していた20代の外国人の男女の合わせて4人が17日、道に迷って下山できなくなりました。

旭岳は先週から雪に覆われ、18日も時折、ふぶいていましたが、警察などが捜索した結果、4人はほぼ1日たった18日夕方、登山道から外れた沢の近くで見つかりました。

警察によりますと、4人は居場所を知らせるため、持っていたライトを空に向けて照らし続けていたということで、捜索中の警察官がその光に気付いて発見に結びつきました。

4人は救助隊が山中に張ったテントで一夜を明かしましたが、警察は19日朝、ヘリコプターで救助に向かい、午前7時前までに全員を引き上げました。

警察によりますと、外国人の2人はマレーシア人の27歳の男性とシンガポール人の28歳の女性と確認されたということです。4人はいずれも意識ははっきりしていますが、体力の消耗が激しいということで、旭川市内の病院で手当てを受けています。


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白地図 [練習]

実技試験の勉強を始めると天気図を見る機会が格段に増えます。しかし天気図、中でも高層天気図は読み慣れないと苦労します。

今回は天気図を読む以前に必要となる、地図上に日本列島や各大陸がどのように表現されているのかを理解しましょう。

なぜ地図読み取りの練習が必要か?

高層天気図が描かれている地図には、日本列島および多くの擾乱がやってくる大陸が中心にくるように表示されています。

そこで、天気図を読むにはまず日本がどこにあるのか、そして台湾、朝鮮半島、カムチャッカ半島など、地図読み取りの際に目安となる日本周囲の島や半島を押さえなくてはなりません。

しかし、天気図には地図の上に等高線や各種の網がけ、文字情報がオーバーレイで重なって書き込まれているため、基本情報である地図が読みにくいケースがほとんどです。500hPa高度・渦度予想図に至っては網がけだらけで絶望的です。

位置関係を覚えよう

そこで下に用意した白地図を見ながら、日本列島と周辺の重要な半島や島の相対的な位置関係を確認しましょう。このステップを踏めば天気図を読む第1ステップはクリアできます。

最初に、以下で用いる表記を説明しておきます。

サンプルグリッド 象限入り.jpg


これは高層天気図から一部分を切り取ったものです。
この領域は2本の緯度線(20N、30N)と2本の経度線(140E、150E)に囲まれたグリッド(格子)です。これを「グリッド20/30N, 140/150E」と表現することにします。さらに便宜上、グリッドを4分割し、図のように反時計回りに順に第Ⅰ〜第Ⅳ象限と呼ぶことにします。

前提は以上です。

では早速、地図を見て確認していきましょう。

地図2.jpg

【日本の位置】
(あくまでも天気図を読むための目安なので、日本の国土とは一致しません。)
・日本列島を見つけるには、40N、140E(秋田市周辺)を目安にします。
・日本の南(九州を目安とする)はグリッド30/40, 130/140Eの第Ⅳ象限に収まります。
・日本の北(北海道を目安とする)はグリッド40/50N, 140/150Eの第Ⅲ象限にほぼ収まります。

【日本周辺】
・朝鮮半島は日本列島の大半が収まっているグリッド30/40, 130/140Eの西隣のグリッド30/40N, 120/130Eの第Ⅰ象限に収まります。
・台湾は朝鮮半島が収まっているグリッドの南のグリッド20/30N, 120/130Eの第Ⅲ象限に収まります(台湾はオーバーレイ表示があまりされず、見つけやすい)。
・カムチャッカ半島は北海道と同じグリッド40/50N, 140/150Eの第Ⅱ象限から北隣のグリッドまで突き抜けています。


白地図を何度もトレースして覚えよう!

白地図を2種類用意しました。1つは「アジア太平洋地上天気図(ASAS)」などで使われる広範囲に対応したものです。もう1つは「500hPa高度・渦度予想図」などで使われる、より狭い範囲に対応したものです。

【ASAS版】
A4フルサイズ版 ASAS版.pdf

【500hPa高度・渦度予想図版】
A4フルサイズ版 500hPa高度・渦度版(フル).pdf
A4 1/2サイズ版 500hPa高度・渦度版(ハーフ).pdf

印刷した白地図の上にトレーシングペーパー(百円ショップで売ってます)を重ねて、大陸や重要な島の形状や相対的な位置関係を体に覚え込ませましょう。

よく色鉛筆などで塗って覚えましょうと言われますが、大人の塗り絵なんて必要ありません。あくまでも緯度・軽度から判別できるまで繰り返してください。

慣れれば印刷しなくても、iPadなどの画面上で読めるようになるはずです。

頑張りましょう!

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気象庁に予報士の登録申請に行ってきた! [箸休め]

2017.10.12(木)

気象予報士試験に合格したら、気象庁長官の登録を受けて初めて気象予報士になることができます。
登録をしないで合格した状態では気象予報士ではありません。

このあたりは一般知識で学習されていて常識ですよね?

ビール隊長はこうした事務作業が苦手なので、合格通知が届いてもしばらくうだうだとしていました。しかし合格したタイミングを逃すと面倒臭くて一生登録しないかもしれない・・・。やっと重い腰を上げて申請することにしました。

IMG_7147.jpg

なお、詳細な登録手続きはこちらに記載されています。
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/shinsei/onestop/yohoshi_touroku.html#2


手数料安のオンライン申請を断念!

手続き方法は①オンライン申請、②書面による申請、の2通りあります。どちらでも良いのでは?と思いますが、実は申請料が異なるという重大な相違があります。オンライン申請の2,900円に対して、書面申請は3、700円なのです。この違いは何?

普通、オンライン申請にしますよね、安いんだから。しかし国交省のオンラインシステムはウィンドウズ(ブラウザはIEのみ)にしか対応していないのです。e-Gov電子申請用プログラムをインストールするのですが、その環境がウィンドウズ対応のみとなっているのです。国のいつものやり方です。

ビール隊長のマシンはMacなのですが、仮想マシン化してウィンドウズ対応になっています。しかしダウンロードが何度やってもうまくいきません。これで萎えて登録作業をあきらめそうになりました。

「仕方ない!高いけど、書面申請するしかないな。」


必要な書類は揃っていますか?

必要な書類一式は以下の通りです(2017年10月現在)
気象庁まで出かけて不備があると残念なので、よく確認しましょう。


1.様式1 気象予報士登録申請書(収入印紙を貼付のこと)
2.様式2 誓約書
3.気象予報士試験合格証明書の写し
4.宛先を明記した、返信用封筒(角形2号:長さ33㎝、幅24㎝程度)

書面申請の場合は、3、900円の収入印紙を貼ることになっています。でも、収入印紙ってどこで買うんですか?

調べてみたらコンビニや郵便局で売っていることが分かりました。コンビニだと多分少額の在庫しかなくて申請書に貼るのはかっこ悪いだろうと思い、郵便局で買うことにしました。

官公庁に郵便局はつきものと高を括って、気象庁で買い求めることにしました。
→地元の郵便局で事前購入してください。気象庁には郵便局がありませんでした。


観測施設に興奮する!

駿河台下方面からの道を南下して首都高をくぐると、観測施設が目に入ってきました。
IMG_7118.jpg

ヌオォォ〜ッ!この時点で興奮。
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こちらは気温計ですね。
IMG_7126.jpg

IMG_7129.jpg

実は現在、東京の気圧・気温・降雨などは北の丸公園にある観測地点で観測されています(平成26年12月より)。これは2020年に予定されている気象庁本庁の移転計画に伴う措置なので、気象庁前のこれら施設は現用ではないのでしょう。機会を見つけて、北の丸公園にも出かけてみたいです。


登録申請を行おう!

では入庁しましょう。
IMG_7120.jpg

入庁するには入り口で訪問先と自分の氏名・住所を記入して入館証を受け取ります。最近はどこの官庁でもセキュリティゲートが取り付けられており、駅の入場のように入館証をタッチしないと入館できません。
訪問先は「総務部」、用件は「申請のため」としました。

情報利用推進課のある総務部は5階です。廊下の突き当たりの角に入り口がありました。
IMG_7135.jpg

入り口付近で所在なさげに立っていると、奥から女性の方が出てこられたので「気象予報士の登録に来ました」と伝えました。
IMG_7134.jpg

必要な書類が揃っているか、収入印紙が貼られているか、返信用封筒があるか(登録申請書の住所と同一の住所が記載されているか)を確認して終了!合格までの苦労と比べると、あっさりとしたものです。

申請が立て込んでいるので処理には少し時間がかかるとのことでした。申請数が落ち着いた頃に、一括して長官の決裁を取るのでしょうね。

裏には東京管区気象台の入り口がありました。
IMG_7149.jpg


津村書店さん

登録申請が完了したので、1階にある津村書店に顔を出してみました。こちらは気象関連の書籍を中心に取り扱う専門書店です。

IMG_7137.jpg

こちらの奥様は書籍を担いでいろんなイベントで営業活動をされており、顔の広い方です。収入印紙を買いそびれたことを伝えたら、地下にある売店に連れていっていただきそこで無事に購入することができました。ありがとうございました!

7月に「合格したらお店に顔を出します!」と約束していたので、無事に顔を出すことができて良かったです。

タモリ倶楽部にも登場した津村書店の詳細はこちらで。
http://tenkinosusume.com/tag/津村書店
http://portal.nifty.com/kiji/150904194471_1.htm


最後に

地下の売店(生活協同組合)の奥に知っている方がおられました。気象予報士会の大西会長です。この夏に参加した試験対策の講習会で大西先生に教わり大いに刺激を受けました。今日は講師の顔から会長の顔に変身し、「予報士会には入ってもらえますよね?」と強い勧誘を受けました(笑)。とても接しやすく、温厚な方です。

e-Gov電子申請用プログラムをインストールできなかったことから気象庁まで出向いきましたが、観測施設を見たり顔なじみの方にもご挨拶ができて楽しい一日となりました。

オンライン申請もできますが、合格記念を兼ねて気象庁に出向いて申請するのも良い記念になります。皆さんも、合格されたらぜひ気象庁まで足を運んだらいかがでしょうか!

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時間に伴う変化を表現する [試験対策]

実技の学習がひと通り済んだら、ムダのない分かりやすい回答文を作成することを目指しましょう。

気象のロジックが頭に入っていても、設問に応じて必要なキーワードを盛り込んだ分かりやすい文章を作れるようになるには、それを意識した練習が必要です。

出題に応じてどのように回答文を作成するか、ある程度パターン化をして対策を講じておくことで、試験時間と文字数という資源の節約が可能になります。

基本ルール

回答文を作る基本ルールは2つです。

ルール1
主語を決めます。

ルール2
基本的に「<主語><述語>する」というように、状態変化を表す述語(自動詞)を使った構文を作ります。


ルール2にはいくつかの派生パターンがあります。ここでは次の3つのパターンに類型化してみました。

パターン1 変化量を問われる
  変化量を聞かれた場合は、状態変化を表す動詞を使って「<主語>AからBにCする」とします。
※「AからBに」は変化量を表します。

パターン2 移動先を問われる
  一定時間後の移動先を聞かれた場合は、「<主語>Dに進む(到達する)」とします。
※「Dに」は移動先を表します。

パターン3 2者の相対的な位置関係の変化を問われる
  相対的な位置関係を問われた場合は、「<主語>は◯時間後はEにあり、△時間後にはFにある」とします。
※「E」は◯時間後の位置、「F」は△時間後の位置を表します。


早速、具体的な事例を見ていきます。

パターン1:変化量を答える

【事例1】
(問)12時間後から24時間後の気温の変化を15文字程度で述べよ。
(解)−9℃からー6℃に昇温する

主語は「気温」ですが、15文字制限があるので省略します。記号「−(マイナス)」「℃」を1文字とカウントすると、これで14文字になります。
「昇温する」は「上昇する」でも良いと思います。

【事例2】
(問)12時間後から24時間後にかけての卓越波向と波高の状況を、30字程度で述べよ。
(解)卓越波向は北東で変化ないが、波高2mから5mに高まる

聞かれている項目が主語となります。
卓越波向と波高という異なる項目を聞かれているので、「卓越波向は〜だが、波高は〜である」と重文で回答することで文字数を減らします。

前半の文は主語が「卓越波向」、述語が「変化ない」となります。後半の文は主語が「波高」、述語が「高まる」となります。文の構成は単純です。「高まる」は「高くなる」でも良いと思います。

設問では波高の変化を直接聞かれていませんが、「波高が高まる」という回答では物足りなく感じます。図から具体的な数値が読み取れる場合は、文字数オーバーとならない限りは変化量を盛り込むのが良いと思います。

【事例3】
(問)0時から12時に予想されている風向・風速の変化を、風速値を示して35文字程度で述べよ。
(解)風向東北東から北に変わり風速25ノットから35ノットに強まる

ルール1にある「AからBに変化する」を思い出してください。変化については必ず開始点と終了点があります。終了点だけ示す「35ノットに強まる」だけでは変化量が分かりません。何ノットの風がどれだけ変化したのか、両端の値を特定します。

【事例4】
(問)この2時間における低気圧付近のレーダーエコーの形状及び強さの変化を、低気圧中心との相対的な位置関係を示して55字程度で述べよ。
(解)低気圧の中心付近のフック状のエコー弱まって不明瞭になり、中心付近から南側へ伸びる線状のエコー強まった

設問にある「相対的な位置関係を示して」を意識しすぎると、パターン3と判断してしまうかもしれません。聞かれているのはあくまでも「レーダーエコーの形状と強さの変化」であることを見抜きましょう。

主語は「エコー」ですが、形状を問われているので「フック状」「線状」という修飾語がキーワードになっています。

重文の前半の述語は「不明瞭になり」ですが、後半の「強まった」との対比関係では「弱まって」が事実上の述語です。

気象ロジックを理解した上で普通に回答文を作ると、「エコーは低気圧の中心付近にありフック状だったが、2時間後には中心付近から南側に伸びる線状に変化した。」となるでしょうか。模範解答は主語や述語の修飾語に詰め込む傾向があるようです。

【事例5】
(問)850hPaにおいて初期時刻から24時間後にかけて予想される低気圧前面及び後面の、風と温度場の変化について55字程度で述べよ。

(解)低気圧前面では南よりの風による暖気の流入強まり、後面では西南西〜北西の風による寒気の流入強まる

この設問のように一定時間後の移動状況を聞かれた場合、「初期時刻には・・・だが、24時間後には・・・となる」と丁寧に回答すると、あっという間に文字数オーバーとなります。長い回答文を折り畳んで指定文字数に収める工夫が必要です。

この解答の工夫は主語の選択です。主語を「風」と「暖気移流」「寒気移流」にしてしまうと、どうしても文字数が増えてしまいます。風と気流は因果関係があるので、「風による移流」というように「風」を「暖気移流」「寒気移流」の修飾語にしています。


パターン2:移動状況を答える

【事例1】
(問)12時間後から24時間後にかけてみられる閉塞過程の特徴を、地上低気圧と500hPa渦度場の関係から45字程度で述べよ。

(解)地上低気圧の中心が500hPaの負渦度域から正渦度域に進む

「地上低気圧と500hPa渦度場の関係」と言われると難しそうですが、主語はあくまでも擾乱(地上低気圧)であることと、低気圧の消長は500hPaの渦度で判断することを知っていれば解答を導けます。


パターン3:相対的な位置関係の変化を答える

【事例1】
(問)12時間後から36時間後にかけて、台風の中心と前線の相対的な位置はどのように変化するかを40字程度で述べよ。

(解)24時間後までは前線の南側ある台風の中心が36時間後には前線付近ある

ルール1に従って主語を決めます。「XとYの相対的な位置関係」を問う問題では主語の候補としてXとYの二つがありますが、気象の擾乱(低気圧、台風など)を主語とするのが自然です。

時間経過に伴う変化についてですが、題意に沿って「12時間後は・・・だが、36時間後は・・・である」と時間経過に伴う状況を述べると文字数超過となります。問われている時間帯における事象の変化に注目して、ルール2のように「◯から△に変化する」を意識して作文します。

なお、ルール1に従えば「台風の中心は24時間後までは前線の南側にあるが、36時間後には前線付近にある。」となります。模範解答と比べても文字数はほぼ同じです。

【事例2】
(問)二つの低気圧は24時間後には一つにまとまって閉塞すると予想される。24時間後に閉塞すると予想される根拠を、12時間後と24時間後における低気圧の中心と500hPaのトラフとの位置関係の観点から60字程度で述べよ。

(解)二つの低気圧の中心は12時間後にはトラフの東側あるが、24時間後には一つにまとまってトラフとほぼ同じ位置なるため。

低気圧の中心とトラフとの位置関係を問われているので、本来は「低気圧の中心」と「トラフ」のいずれを主語にしても良いでしょう。しかし気象で関心があるのは「低気圧の中心」ですから、これを主語に選ぶのが自然です。

12時間ごと24時間後の状況を重文でつなげば良いので、構文的には単純です。

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初回受験で合格しました [箸休め]

公開日:2017.10.6
更新日:2018.6.26

第48回気象予報士試験に合格することができました。
初めての受験でいろいろな壁にぶつかりながらも、あきらめずに良かったと思います。

今回の受験と学習方法などを振り返ってみたいと思います。

IMG_7083.jpg


第48回気象予報士試験について

気象業務支援センターが発表した試験結果資料をベースに、実施状況を見てみましょう。

受験者数2,962名に対して合格者数は145名で、合格率は4.9%でした。

受験番号(6桁)には次の意味合いがあると推定している方がいます。 →こちら

一番左の桁: 試験会場 「1」札幌、「2」仙台、「3」東京 など
二番目の桁: 受験科目 「0」免除なし、「1」専門免除、「2」一般免除、「3」学科免除
三桁目以降: 個人番号

私の受験番号は「30××××」でしたので、「東京会場の免除なし」となります。
ちなみに、東京では駒場会場は免除なし受験者の会場のようです(東京は駒場と吉祥寺の2会場)。

さて、これが正しいと仮定すると免除なしの合格者(2桁目が0)は17名しかいないことになります。
私が受験した駒場会場では約千名の受験者に対して免除なし合格者は11名なので、合格率は1%程度です。
数字上、「免除なし受験者」には厳しい試験と言えそうです。

しかし後述するように、合格率を気にする必要はありません。
自分の立てた計画をしっかりこなして試験場に臨み、普段通りの力を発揮するだけです。

合格基準は次の通りでした。

学科試験(予報業務に関する一般知識):15 問中正解が 11 以上
学科試験(予報業務に関する専門知識):15 問中正解が 11 以上
実技試験:総得点が満点の 63%以上


実技試験は70%が合格ラインの目標とされているので、今回は問題の難易度が高かったのかもしれません。

合格通知が届いてから初めて自己採点をしてみました。
すると一般知識、専門知識ともに合格ラインすれすれの11問正解でした。

ちなみに今回は最年少記録と女子最年長記録が樹立されたとメディアが報じています。 →こちら
なるほど、マスコミはそういうところに関心があるのかと、妙に納得してしまいました。

11歳の子は4回目の受験で合格したそうですが、どこまで理解して合格したのでしょうか。興味深いところです。


気象予報士試験は難しいのか?

気象予報士試験の合格率は4%程度です。
あの司法試験ですら20%以上、税理士試験でも15%です。それと比べて、気象予報士試験の合格率はなぜこんなに低いのでしょうか。

試験会場に行ってその理由の一端が分かりました。

パッと見た目の平均年齢が高い!この試験は中高年には厳しい試験です(老眼者には特に!)。専門知識の試験が終わって帰ってしまったお姉さん、なぜか実技1が終わって帰ってしまったおばさん。休憩時間に基本レベルの参考書を開いているおじさん。

明らかに勉強していないと思われる人が多いんです。「免除なし」の駒場会場だから、余計そうだったのかもしれません。真剣に準備をしてきた人の割合はかなり低いのではないかという印象を持ちました。

気象予報士試験の過去問の模範解答を見ても難しい内容は書かれていません。ですから、一般に言われているような難しい試験ではないと確信していました。しかし多くの方が合格するまでに2〜3回受験され、10回以上受験される方もいると聞きます。

その理由を考えてみました(ここでは実技試験を対象としています)。

①教材に良書がない

必要な知識や入手しにくい資料の読み取り方を懇切丁寧に説明した書籍はありません。市販の参考書は基本的に過去問の解説書です。これでは丁稚奉公のようにひたすら時間をかけて過去問を繰り返すしかありません。

気象予報士試験は過去に出題されていない重箱をつつく傾向があります。運悪くそうした出題にぶつかってしまうと合格できないのも当然です。


②入手困難な資料に基づいた出題がある

エマグラム、過去のウィンドプロファイラ、過去のレーダーエコー図、等値線(等高度線、等温線)、過去の気象情報など、一般に入手困難な資料が出題されます。もちろん気象解析にこれらが必要なのは分かりますが、だったらもっと情報を公開して受験生が利用しやすい環境を整備してもらいたいです。


③試験の性質に対応した対策ができていない

これは気象そのものとは関係しませんが、筆記試験であれば解答をどのようにまとめるのか、その対策が必要になります。試験時間は短いので答案を練っている余裕はありません。文字数制限があるので論文を書く時のような論理性は求められませんが、いかに要領よくまとめ上げるか文章力が問われます。

参考書にそのような解説がないのと同時に、多くの受験者がそのような対策をとっていないものと思われます。


私の学習法とスケジュール

昨年の12月に学習をスタートしました。
一般知識、専門知識まではスケジュールを組んでそれをこなせば良かったのですが、実技については学習スケジュールを何度組み直してもその通りにこなせずに苦労しました。

11月末
主要な参考書を購入。

12〜1月
一般知識の参考書を2回通読。

2〜3月
専門知識の参考書を2回通読。

4月下旬
実技参考書1。

5〜8月
実技参考書2を中心に実技参考書3、4を併用。
7月からは一般知識、専門知識の問題演習を隔日に実行。記憶物を開始(天気記号、台風の大きさ・強さなど)し、自前のチェックリストの作成にも着手。

【実技参考書】
1:らくらく突破 気象予報士かんたん合格テキスト(技術評論社)
2:ひとりで学べる!気象予報士実技試験 完全攻略テキスト&問題集
3:気象予報士試験 速習テキスト 実技編(オーム社)
4:気象予報士試験 模範解答と解説(東京堂出版)

実技の問題ではある気象現象が観察された時に、要因として考えられる選択肢の中からどれが最も適切であるかを選び、今後どのように推移・変化していくかを予測します。したがって、低気圧の消長の条件、雪が降るときの条件、雨が降る条件など、どのような時にどのような現象が発生するのかを整理して理解している必要があります。

また、エマグラムやウィンドプロファイラ、レーダーエコー、降水量など、解析に必要な情報の読み方も基本知識としてもちろん必要です。

しかし、必要な知識を体系化して解説してくれている書籍は残念ながらありません。皆無です。

私は気象予報士関連の書籍は50冊以上購入しましたが、1冊として満足できるものはありませんでした(写真はその一部です)。それが本サイトを作るきっかけにもなったわけです。

参考書に投じたお金でもっと他のことができたはずなのに・・・(泣)。

IMG_7090 2.jpg

それでも合格はできましたが、とても遠回りをしました。
過去問は25問ほどを延べ80回程度繰り返しましたが、2回目、3回目と繰り返す過程で自分がとんでもない誤解をしていることに気づくことがありました。


モチベーション

9ヶ月にわたり勉強を続けましたが、4月にスランプになり参考書を開くのが嫌になりました。
参考書に書いてあることが何度読んでも分からず先に進めなかったのがその原因です。一ヶ月ほど勉強が手につきませんでした。

また7月、8月と暑い中、実技の問題を何度繰り返しても時間切れになったり意味が分からなかったりしました。

それでも学習を継続できたのは、「一回で合格するぞ」という気力があったからだと思います。

自分の性格上、科目合格しながら時間をかけて受験していくということはできない、やるなら短期決戦で行くしかないと思いました。

講習会に参加すると受験ズレしたような方もいて(そのような方もなりたくてなったのではないでしょうが)、そうなる前に足を洗いたいと強く思いました。

独学を続ける自分にとって、TBS系列「ひるおび!」の森気象予報士のお天気コーナーは学習の参考になりました。この番組は気象解説に力を入れていて、日によっては40分も時間を割いています。一般視聴者はそこまで気象に関心ないんじゃないか?と杞憂するぐらいです。

MCの恵俊彰と森気象予報士のボケとツッコミのような掛け合いも面白いし、模型を使った説明は分かりやすく、自分にとってはeラーニングの役割を果たしてくれました。とは言え7月ごろからは学習時間が不足してきて、この番組すら見れなくなってしまいました。

平日昼間のワイドショーは他局もかなり詳しい気象解説をしてくれています。テレビ朝日系列の「羽鳥慎一モーニングショー」も時々、意外な特集を組んでくれます。

ハードディスクレコーダーに録画して、帰宅後に見直すのをお勧めします。


合格したときの気分

合格発表は、郵送と気象業務支援センターのホームページで行われます。
ハガキが来るならそれを見てドキドキしたいと思い、普段よりなぜか配達が遅い郵便をイライラして待ちました。

IMG_7084.jpg

ハガキ表面には「配達指定日 10月6日(金曜日)」と書かれています。ちゃんと合格発表日に届くように配慮がされているんですね。

圧着ハガキの四隅の下に「ゆっくり開いてね」という矢印が書かれているのでそこから開けると何も書いてありません。一番上に「気象予報士試験合格証明書」と見出しがあり、合格証明書番号が記載されています。

思わず「やった〜ぁ!」と小躍りしてしまいました。
その思いは喜びというよりも、「この夏の辛い学習を繰り返さなくて良いんだ」「周囲に受験宣言してしまった以上、何とかなって良かった」という安堵感によるものでした。


さいごに

試験には合格しましたが、未だに理解できていないことや消化できていないことがたくさんあると自覚しています。これからは自由に歩けと言われても、まだ歩き方が分かっていない状況で不安でいっぱいです。

本サイトは自分が知りたいことがどこにも解説されていないので自分で解説を作ろうと思い、試験勉強中に始めたものです。ですから受験生目線で、これから学習される方の役に立てると思います。しかし自分の実力不足で、数十ページが作成中のまま未公開となっています。

登山でも、山を歩いていると時はどんなコースを歩いているか分からなくても、ピークに達すると歩いてきた道がくっきりと分かることがあります。

これからさらに上を目指すことで理解できることも増えてくると信じ、合わせてサイトも充実させていきたいと思います。

【関連ページ】
受験レポート
気象庁に予報士の登録申請に行ってきた!
気象予報士の賞状が届きました


(追加)効果的な勉強法について

自分は本当に勉強が苦手で、落ち着いて一冊の本に取り組むということができないたちです。

大学受験の頃から参考書を一冊買って、ちょっとでも分からないことがあると、また別の参考書に手を伸ばすということを繰り返していました。勉強をしている時間より本屋で参考書を漁っている時間の方が長かったかも・・・。(^^;

そんな性格なので、気象予報士試験の学習でも、手当たり次第に参考書を購入してしまいました。「それでも一回で合格できたんだから良いじゃないか」と言われればそうなんですが、少し後ろめたい気がするのです。どうせならもっと省エネ型で臨みたいものです。

さて、東大法学部を首席で卒業、在学中に司法試験に合格、財務省に入省するも退官し、現在はフリーの山口真由さんという方がいます。最近はよくテレビにも出演しているので、ご存知の方もいるでしょう。

この方の勉強法は、一冊の教科書を7回読む、という単純なものなんです。ただし、コツが二つあります。


1. 学ぶべき内容を全て網羅した一冊のテキストを選ぶ
2. 自分が決めた一冊を反復・継続して読み続ける


あれもこれもと読み始めると身につかないので、一冊の本でじっくりと基本を習得する。そのためには、全ての分野を網羅した一冊を選びなさいということです。

山口さんの本を読んで、自分は真逆をやっていたな!と膝をうちました。確かに1回目に読んでいて分からないことでも2回目、3回目とやっているうちに理解できることってあります。

でもそのためには、飽きっぽい性格をどうしたら直せるかも教えて欲しいな・・・と思います。(笑)

勉強法に自信のない方は、学習を開始する前に山口さんの本に目を通すのも良いと思います。


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天気の崩れ [箸休め]

2017.10.5(木)

週末は近場の山に登りに行こうと思っていたら、低気圧の到来によりどうも金曜日あたりから崩れる予報が出ています。

そこで天気の崩れを時系列で追ってみることにしました。

以下、天気が崩れる予想の日を「当日」、その前日を「前日」と表記します。


前日(5日木曜日) AM

地上天気図で現在の状況を確認します。
前日天気図.png

移動性高気圧におおわれて、文句なしの快晴です。
これが翌日には雨になるなんて、やはり秋の天気なんですね。

その明日の予報はこんな感じで、西日本と関東を中心に雨の予報が出ています。
翌日の天気.png
出典:tenki.jp

天気が崩れる前々日の4日21時を初期時刻とした予想天気図を見てみます(高層天気図は9時と21時の一日2回発表です)。

48時間後(6日金曜日21時)の地上天気予想図
FSAS48.png

朝鮮半島の南に1012hPaの低圧部(赤×印)があります。
低気圧がすぐそこまで来ているんですね。

地上気圧・降水量・風48時間(6日金曜日21時)予想図
低気圧の位置や降水量の傾向を見るのに役立ちます。
FXFE504.png

中国地方で72mmの12時間前降水量が予測されています(数字がちょっと読み取りにくいかも)。かなりの雨になりそうです。

ただし、12時間前降水量で注意が必要なのは、1時間ごとに6mmずつ降って12時間で72mmになるのも、1時間で72mmドバッと降るのも同じ「72mm」と表現されてしまうことです。
それと数値予測なので、結構外れることも。

500hPa高度・渦度48時間(6日金曜日21時)予想図
500hPaでは渦度(トラフ)の解析を行います。
FXFE渦度.png

低気圧中心の西側に+151の渦度とトラフが見られます。
トラフの軸が西に傾いているので、この低気圧はこれから発達することを意味しています。

華北にも+266の渦度がありますが、こちらは今回は影響なしでしょう。

朝6時に、西の方向の空を見上げてみました。
空模様1.jpg

今朝は波状雲が見られた地域もあるようですが、こちらでは高積雲のようです。


前日(5日木曜日) PM

夕方(16時36分)になり「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報 第1号」が発表になりました。
全般気象情報1.png

気になったポイントを再掲しておきます。

6日朝、九州南部で前線が発生し、夜にかけて日本の南岸を東に進むでしょう。

低気圧が6日から7日にかけて対馬海峡から日本海に進む見込みです。


明日はこの2点に着目してみたいと思います。


当日(6日金曜日) AM

おはようございます。今日の夕方あたりから天気が崩れる予報です。

早朝の5時8分(気象用語では「明け方」ですね)に「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報 第2号」が発表されました。

全般気象情報_2.png

赤線は、第1号からの大きな変更点です。低気圧の進度が少し遅くなったのと、東日本についての記載が追加されました。

朝の天気解説でも、今日はかなりの雨になりそうなことを伝えています。
IMG_7082.jpg

朝の時点で降水状況はどうなっているでしょうか、レーダーエコーを見てみます。
レーダーエコー1.png

すでに西日本では広く雨が降り出しているのが分かります。

大分県には大雨警報、高知県にも大雨注意報が発表されています。
警報・注意報.png

朝9時の地上天気図です。
天気図2.png

昨夕の気象情報にあったように前線ができていますが、「九州南部」ではなく「九州西部」ですね。


当日(6日金曜日) PM

6日14時50分、都内でもパラパラと雨が降ってきました。
レーダーエコー2.png

大雨警報の出ている大分県はどうなっているでしょうか。
大分県天気2.png

幸いなことに強い雨にはなっていないようです。

15時の地上天気図。
天気図3.png

16時15分に、「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報 第3号」が発表になりました。
全般気象情報_3.png

低気圧の東進に伴い、防災事項に伊豆諸島及び関東地方が追加になりました。


翌日(7日土曜日) PM

都内は明け方まで強い雨音がしていましたが、朝5時ぐらいから小降りになってきました。

朝9時の地上天気図。

地上天気図Oct07_0900.png

気象情報にあったように、低気圧は南海上に東進しているのが分かります。

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初雪 [気象情報]

10月に入り、北海道で今季初の雪に関する気象情報が発表されました。

雪に関する気象情報

10月2日に札幌管区気象台が「雪に関する北海道地方気象情報」を発表しています。
北海道地方気象情報.jpg

ポイントは2点あります。

「3日夜から5日にかけて、標高の高い峠や山間部を中心に雪が降り、積雪状態となる見込みです」

「上空1500メートル付近に11月上旬並の寒気が入る」



地上で雪が降る目安として、「地上付近で3℃以下」「上空1,500m付近で-6℃」「上空5,000m付近で-30℃」とされています。


10月3日の状況

「上空1500メートル」とあるので、850hPaの実況図を見てみます。

10月3日21時の実況図。
AUPQ78_Oct3_2100alt.jpg

0℃線は青森市のあたりを通っています。


10月4日の状況

4日9時の実況図。
AUPQ_Oct4_0900alt.jpg

0℃線は若干南下して、八戸市のあたりです。

Oct04.jpg

この日、北海道の降雪を報じたのは朝のテレビ朝日のみで、映像は監視カメラからの借り物でした。
遠軽町は紋別の南、北見の西に位置します。

そして4日21時の850hPa実況図。
AUPQ78_Oct4_2100alt.jpg

0℃線の位置は気仙沼まで南下しています。


10月5日の状況

明けた10月5日の850hPa実況図。
AUPQ78_Oct5_0900alt.jpg

0℃線は石巻市まで南下し、本州で初冠雪となりました。

テレビ各局も山の見えるところで待ち構えていたのか、ニュースやお天気コーナーで山の映像が取り上げられ、「本州で初冠雪」と報道していました。

札幌の手稲山。
Oct05手稲山.jpg

1972年の冬季オリンピックでスキージャンプが開催されたのが手稲山です。
数年前に車で走ったことがありますが、施設の残骸はボロボロの状態でした。

盛岡の北西にある岩手山。
Oc505岩手山.jpg

標高2、038メートルで百名山の一つです。いずれ登ってみたいです。

そのほかにも吾妻山などで、例年よりも早い初冠雪が観測されました。


その後


明くる10月6日9時の850hPa実況図です。
AUPQ78_Oct6_0900alt.jpg
0℃線はサハリン南部まで北上し、ひとまず雪の心配はなくなりました。

これからの季節、北部の山を登る方は850hPa、500hPaの天気図で寒気を確認して行かれると良さそうです。

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