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参考書はこれだけで十分! [試験対策]

初稿:2017.11.20
修正:2017.12.28, 2019.5.7
今回のポイント

・実技試験対策の本は価格が高い上に、大型書店でも品揃えが少ない。

・本稿で紹介する事前準備用の3冊、演習用の2冊に十分取り組めば、合格レベルに達する可能性大。

・参考書がカバーしない知識や情報もたくさんあり、自ら補う必要がある。


実技参考書の事情

気象予報士試験の参考書は、学科(一般知識)、学科(専門)、実技に分かれています。学科を一冊にまとめたり、学科と実技を一冊にしたものもあります。

それぞれの構成は、①教科書のように解説が主体のもの、②問題演習が主体のもの、③解説と問題演習を合わせたもの、があります。

気象予報士試験の実技対策の参考書は③のタイプが主流で、次のような特徴があります。

・概して古い書籍(出版されてから年数が経っている)が多い。
・実技試験に絞った書籍は数多くないが、大型書店でも在庫を置いていないことがある。
・価格が高い。

古い書籍のメリットは、現在では入手困難な過去問題が含まれていることです。しかしデメリットもあります。最大の問題点は内容が更新されておらず、予報業務の変化が反映されていないことです。

近年は激しい気象現象が増加しており、それに応じて防災情報の拡充が行われています。警報の発表基準なども見直されています。

売れている書籍は改定により最新化を図っていますが、良書であっても増刷されずに古い在庫のみが並んでいることもあります。もちろん、最近の気象事例が取り上げられていないというのも古い書籍の懸念点です。

都心の大型書店でも気象予報士試験の対策本の品揃えが豊富な店は少ないです。ジュンク堂書店各店、三省堂書店神保町本店はだいたい揃っています。それ以外の書店では、市販されている参考書を全て揃えている店はあまりないと思います。

実技試験では高層天気図を扱うため、実技対策本は大型でページ数も多くなります。部数が出ないせいか、価格は3千円以上もします。

こうした事情からアマゾンでポチすることが多いものの、満足できる内容でないと本当にがっかりしてしまいます。

一方で、どの書籍も著者が苦労して執筆されているのでしょうが、受験者目線で見ると本当に知りたいことが書かれた本は残念ながらありません。

具体的に不足しているのは次の4項目です。

 ・基礎事項の解説
 ・天気図解析の手法解説
 ・気象現象の解説
 ・過去事例の紹介

しかし、現実には市販の教材を使うしかありません。そこでお金と時間をムダにしないよう、私の経験から数冊を厳選してみました。これらの本に取り組めば合格の可能性は高まります(事前知識ゼロの私が、これで合格できました)。

書籍名に付した番号順にステップアップしていくのがオススメです。

まずは実技問題に取り組む前に、準備として読むと良い書籍から紹介します。

事前準備編

①「改定新版 わかりやすい天気図の話」
大塚龍蔵・著、クライム気象図書出版、800円+税

天気図の書き方手引.png


・等圧線と前線について、試験対策書(後述)には書かれていない内容が平易に説明されている。

・何と言っても、全74ページと薄くて読みやすいのが嬉しいです。初版は昭和39年、ラジオで気象通報を聞いて天気図を書く人の入門書として書かれた古典です。時代の流れにも色褪せない基本が書かれています。


②「わかりやすい天気図の話」
クライム気象図書出版、800円+税

天気図の話.png


・①と似た感じの書籍なので、①を熟読して相性が合えばこれも手に取ると良いでしょう。


③「ダイナミック図解 天気と気象のしくみパーフェクト事典」
平井信行・監修、ナツメ社、1、500円+税

天気と気象のしくみ.png


・日本の四季の気候及び気象現象を豊富な写真と図解で解説しています。日々の天気予報や学習の過程で気になった現象を拾い読みすれば良い。頭から全ページ読む必要はありません。

・類似書は他にも出ているので、どれでも気に入ったものを一冊手元に置いておくと安心です。


続いては、問題演習の書籍です。

演習書

④「らくらく突破気象予報士かんたん合格テキスト 実技編」
気象予報士試験受験支援会・著、技術評論社、3,200円+税

らくらく突破.jpg


【本書の特徴】

・ほぼB5サイズで全447ページという、手にした瞬間に圧倒されるボリューム。前半はテキストで、後半が7問の「テーマ別事例演習」という構成。

・テキストは「実技のための基礎知識」「天気図の読み方と着眼点」「合格のための試験対策と作図対策」から構成。

・テーマ別事例演習は過去問題ではなく、本書のオリジナル問題と思われる。

【感想】

・この本の使い方は、前半のテキストは無視して、後半に「第4章 テーマ別事例演習」と題して7問の事例が掲載されているので、こちらから着手しましょう。最初はできなくて当然です。分からないなりにひと通りやってみると、土地勘が湧いてきます。その時点で前半のテキストを事典代わりに読んだり、他の参考書などに当たってみると無駄がありません。

・本書を1ページ目から順番に読むのは避けるべきです。枚数は多いですが、ダラダラと書いてあるだけで事象のイメージが湧かないからです。途中で挫折します(→しました)。「らくらく突破」シリーズは日本語が悪文で、読んでいるとイライラしてきます。しかも文章が冗長で、もっとストレートに要点だけ書いて欲しいとしばしば思いました。

・この書籍の良い点は、事例演習の解説が懇切親切な点です。知っておかなければならない知識が豊富に詰まっているので、解説は何度も読み返した上で、自分なりにエッセンスを体系化して要点集を作ると有効です。

・本書の問題は基本レベルです。知っておかなければならないことが多く含まれますが、これだけでは今日の試験に合格することはできません(本書にもその免責が書かれています)。本書を2〜3回程度やったら、次の参考書⑤にステップアップしましょう。


⑤「’15−‘16年版 ひとりで学べる!気象予報士実技試験 完全攻略テキスト&問題集」
気象予報士試験対策研究会・編著、ナツメ社、3,200円+税

ひとりで学べる.jpg


【本書の特徴】

・全335ページで、前半はテキスト、後半は問題集の解説という構成。問題集は別冊綴じ。

・テキストは「各種実況図・解析図などの見方」「各種解析」「気象情報」「気象現象別の攻略法」から構成。

・問題集は過去問(第33回〜42回)の中からテーマ別に11問を厳選して収録。テーマは以下の11分野:南岸低気圧、日本海低気圧、二つ玉低気圧、寒冷低気圧、温帯低気圧とポーラーロウ、梅雨前線、台風、台風と寒冷低気圧、台風と秋雨前線、日本海側の大雪、太平洋側の大雪。

【感想】

・私は参考書④を2回ほどやってから本書を始めたところ、④との難易度のギャップが大きく(本書の方が難しい)呆然としました。そのお陰で本腰を入れて勉強するようになったという副次効果?がありました。

・④と比べるとテキストに気象現象別の解説があるのは良いのですが、複数の執筆者が手がけているため、構成や内容の深さに統一感がありません。また、問題の解説が貧弱で(場合によっては全く解説がないこともある)、かなり自分で解釈を補わなくてはならないのでストレスが溜まります。

・本書は、あくまでもコスパの良い過去問題集と割り切って使うと良いと思います(注)。

(注)東京堂出版の試験回別の「気象予報士試験 模範解答と解説」は1回の試験分で2,500円します。
⑤の11テーマが満遍なく出題されたとしても、「気象予報士試験 模範解答と解説」を6回分(=15,000円)購入することになるので割高です。


ちなみに本書は2017年10月に「読んでスッキリ! 解いてスッキリ! 気象予報士実技試験合格テキスト&問題集」となりました。

スッキリ.png



⑥その他

参考書④(最低2回)と⑤(最低3回)をこなすのでかなり時間を要しますが、余力があれば「気象予報士試験 模範解答と解説」(東京堂出版)、「気象予報士試験 速習テキスト 実技編」(オーム社)はあっても良いでしょう。

これ以上の書籍はあっても、試験対策上で有意義な知識を追加的に得られることはないと断言できます。

最後に

今回紹介した書籍も内容について満足いくものではありません。

気象現象の解説は事実の列挙がされているだけで、なぜそうなるのかというプロセスが解説されていません。そのため論理の飛躍が多く、読んでいると疑問がどんどん湧いてきます。また、問題解説については、問題の解き方の若干のヒントを与えてくれるだけです。

現状では、気象解析に必要な実力をつけてくれる書籍やサイトはありません。自身があらゆる機会を利用して知識を増やしていくしかありません。本サイトも解説記事を充実し、応援していきたいと思います。

追記(2019.5.7):

試験勉強時には参考書を何回読んでも分からないところが多数あり、ページのあちこちに「?」がつけられています。

試験に合格して1年半。毎日とはいかないまでも気象解析をしたり、ブログ作成のために調べ物をしたりしてきました。当時と比べると若干は引き出しが増えてきたのでしょう。

改めて参考書を読んでみると、あら不思議!以前は分からなかったことが、行間を埋める知識が身についたおかげで、「ああ、こういうことね」と理解できるようになってきました。そんなこともあり、昔の参考書を引っ張り出して知識の再確認をするようになりました。

先日、池袋の有名なつけ麺屋さんで参考書を読みながら食事を待っていました。食べ終わって会計をしようとしたら、店の主人が「勉強頑張ってね!」「森田さんみたいになるんでしょ?気象予報士だよね」と応援してくれました。

今さら「資格を持ってます」とも言えずに、「はい、頑張ります!」と答えてしまいました。


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試験直前を意識した準備とは? [試験対策]

実技の勉強を始めてから、常に意識していたことがあります。それは「試験直前期になったら、何をしたら良いのか?」ということです。

試験がまだ数ヶ月先の間はひたすら過去問を解いていれば良いのですが、試験が近づいてくると学習が不十分なところが気になり始めるものです。そうなるとパニックで何も手につかなくなり、不安を抱えたまま試験に突入してしまいます。精神衛生上も良いはずがなく、戦う前から負けているようなものです。

ラスト・スパートの時期には新しいものには手を出さず、自分がこれまで犯してきたミスをしっかりと復習し再発を防止すること、そして大きな学習漏れのないよう全体を俯瞰しておくこと。そのためには自分だけの教材を早いうちから準備していかなくてはならないなと思っていたのです。

そこで実技対策の問題演習をするかたわらで、私がXデーを意識して行っていた準備をご紹介したいと思います。名付けて「三種の神器」です。

自分の最大の懸念事項(読み飛ばしても構いません)

問題演習をしていて、自分の課題として痛感したこと4つありました。

①気象の知識が不足している
一つは、気象に関する知識が圧倒的に不足していることでした。問題の解答を見ると専門用語が並んでいるわけではなく、素人でも分かるようなことが書かれています。しかし、与えられた気象現象を読み解き、それが発生した要因や今後の展開予想に結びつけるということが全くできません。

自分なりに理由を分析すると、気象現象を引き起こす要因にどのようなものがあるのかを知らないことが原因と思われました。例えば「雨が降る」という気象現象は「雲ができるから」ですが、雲ができる要因としては「日射による地表加熱」「地形性」「低気圧」「前線付近」などが考えられます。

②気象のロジックを理解していない
次に、与えられた特定の現象に対して、考えられる要因のどれが最も当てはまるかを結びつけるロジックを知らないということでした。先の例で続けると、「紀伊半島で雨が降っている」という現象に対して下層の暖湿気が入り、紀伊山地を上昇しているからだ、すなわち地形性による降雨だ」となります。

問題集というのはケーススタディですから、解説には素っ気なく「この現象に対してはこれが原因である」と書いてあるだけです。途中のロジックはほとんどすっ飛ばされています。ましてや「一般にこのような現象を引き起こす要因としては①・・・、②・・・、③・・・が考えられる。本事例では・・・という条件が解析されるので、②を要因と考えるのが妥当である。」のような説明はありません。

③気象関連図を読めない
三つ目は、気象関連図を読み解く経験の不足です。高層天気図、エマグラム、ウィンドプロファイラー、各種鉛直断面図、いろんな等値線など多種多様なツールがあり、日常的に使われています。しかし、そもそもこうした気象図の読み方を自分が納得できるレベルで解説してある書籍はありませんでした。また読み取る練習をしたいと思ってもエマグラムやウィンドプロファイラー、等値線などは入手困難です。どんな気象現象の時にどんな気象図になるのかを知りたいと思っても、そのようなケーススタディは提供されていませんでしたし、自分で過去データを整備する時間的余裕もありませんでした。作図の問題集もあればたくさん解いてみたかったところです。

④記憶力の衰えとの戦い
最後は、自分の記憶容量の乏しさです。歳を重ねると記憶容量は小さくなっていくようです。新しいことを一つ覚えると、少し前に覚えた別のことを忘れているのです。これは気象知識以前の話で、一度やった間違いを再び犯すというレベルの低い話です。

掛け算、割り算を間違える、等圧線を読み間違える、問題集を解いていても2周目に入ると、「こんな問題、解いたっけ?」と前回やったことをすっかり忘れている。したがって、以前と同じ間違いを繰り返す。単位を間違える、穴埋め問題で不必要な語尾をつけてしまうなどは朝飯前で(?)、「どうして自分はこうも学ばない人間なんだ?」と自己嫌悪に陥りかけました。

以下に述べる対策は主に④についてのものです。記憶容量の問題もありますが、問題を何度も解いていくと気象用語に慣れてくるので、単純な忘却は減っていったように思います。

試行錯誤を重ねる(読み飛ばしても構いません)

最初からどのような資料を作れば良いか明確なイメージがあったわけではなく、色々と試しながら試験の傾向に合うもの、自分の学習に合うものに調整していきました。

自分が単純ミスを重ねてしまうことに対しては、どのようなミスを犯す傾向があるのかを分析し、問題を解くときにはそのような単純ミスを防止できるようなプロトコル(良いクセ)をつけることにしました。

色々と試行錯誤して、自分なりに落ち着いた3つの手段、名付けて「三種の神器」を紹介したいと思います。

その1 「チェックリスト」

問題演習を通して自分の理解が不足していることが判明した分野について、参考書やウェブなどを参考にして解説文をワープロで作成。そして、重要と思われる箇所を穴埋めにしたもの(いわゆる「虫食い」です)を作りました。

私は初回受験だったので、実技だけでなく学科についても「寒冷低気圧」、「防災事項」、「台風」、「大気水象」、「平均図と偏差図」など、自分でテーマ名をつけていきました。最終的には40ページほどになったものを「チェックリスト」と名付け、起きたてのまだやる気がある時間帯などにひと通り目を通しました。

ワープロで作成しているので、学習を重ねる過程でチェックリストに不足が見つかればその都度補強していきました。試験直前まで作成を続けていて作成時間はそれなりに取られましたが、作成する過程で色々調べたり、どこを穴埋めにするかで重要ポイントを抽出するので、作成過程それ自体が学習にもなりました。

定義を丸暗記することが目的ではなく、穴埋めのところを頭に叩き込むことが大切なので、このチェックリストは気象ロジックや重要なキーワードを覚えるのに大変有効でした。

こちらは「ポーラーロー」についてまとめたものです。

ポーラー・ロウ.pdf

自分ひとりが使うものなので、素っ気ない作りです。合格者の体験記を読むと、立派なサブノートを作った話が載っていたりします。しかし、自分は手書きが苦手なのと大雑把な性格なので、サクッと作ってすぐに修正もできるこのやり方が合っていました。

その2 「暗記物一覧」

気象予報士試験にも、試験にはつきものの暗記ものがあります。ひと通り学習すると何を覚えなくてはならないかが分かってきました。

そこで、暗記するものは参考書やネットなどから印刷して、一冊のクリアファイル(百円ショップで購入して)にまとめました。一冊にまとめることで探す手間も省けるし、その一冊に全て収まっているという安心感を得ることができました。

そして、ファイリングした暗記項目を俯瞰できるように目次を作りました。毎日確認するので「日々の日課」と名付けてあります。

日々の日課.pdf

私は学科2科目も同時受験だったので、気象現象や法規も頭文字や略称にして暗記しました。

クリアファイルの最初のページにこの目次を入れて、その後に順に必要な資料(国際式天気記号や風の強さなど)をファイリングしました。

この準備は試験3週間前に完了し、試験日まで毎日繰り返して記憶を確実なものにしていきました。

【ポイント】
学習中に暗記ものが出てきたら、すぐその場で暗記するのが大事だと思います。例えば、演習をしていて風速の表現を知らなかったとします。風速表現の解説ページをコピーして覚えたら、そのコピーをファイリングしておきます。ひと通りの学習を終えると覚えなくてはならないコピーが溜まっていますから、それを整理して、とにかく回数多く見直すことです。

早くから覚えると忘れるから、本番直前に覚えるという人もいます。しかし本番直前には色々とやらなければいけないことが出てくるかもしれません。覚える量が溜まってしまうのも大変です。その都度覚えていって、記憶を定期的にリフレッシュしていくことが良いと思います。

その3 「添削入り解答用紙」

問題演習は、問題を解いてからが本番です。初めて挑戦した問題は解けなくても構いません。知らなかったことは何か、なぜ間違えたのか。それを分析して、同じ間違えをしないように徹底的に頭に叩き込むことが演習の目的です。

・・・と書くと難しそうですが、私のやったことはシンプルです。まず正解を赤字で書き写した後、自分がなぜ正解に至らなかったのかを分析します。そして改善箇所を青字で書き込みます。この青字部分を見直せば、自分だけの傾向と対策となります。

ただしこれは時間を要する作業です。75分間の演習を終えた後、この見直しに3時間ぐらいはかけていました。

CCI20171115_00000.jpg
CCI20171115_00002.jpg

こうして出来上がった自分なりの添削結果をクリアファイルに整理し、随時見直しをしました。これを何回か繰り返していけば自分が間違えるクセが分かってくるので、問題を解く時の流儀も変わってきます。

例えば、穴埋め問題で鉛直流の速度を問われている時、単位をつけるのか、符号はどうなのかということが気になり、必ず問題文をチェックするようになりました。

例えは悪いですが、公衆トイレに入って用を足した後で紙が切れていることに気づいたとします。次回からは用をたす前に、紙が十分あるかを確認するようになりますよね。こうした流儀を身につけていくことが大事です。

本番直前では添削ファイルをじっくり見直す必要はなくなっていましたが、これをパラパラとめくることで精神安定剤にはなったように思います。

参考書には問題の解答用紙が添付されていないものが大半です。私は自分で解答用紙を作成して、これに回答していました。1回分を作成するのに30〜40分ぐらいかかりましたが、同じ問題で3〜4回練習することを考えると時間効率は上がると思います。

【ポイント】
自分の経験上、同じ問題を最低で3回は繰り返す必要があると思います。1回目は気象知識がまったくない状態ですので、演習を通して知識と気象ロジックを整理していきます。2回目では、1回目にスルーしてしまっていた細かいところに気づいたり、1回目で理解したと思っていたことが誤解だと分かったりします。3回目になって初めて、自分の頭で考えながら問題を解くことができるようになります。

最後に

三種の神器はいずれもクリアファイルにファイリングし、カラーボックスに収納しました。その中に入っているものをしっかりと治めれば、「やるべきことはやったと思えるんだ」と自分に言い聞かせました。試験日にも精神安定剤として持ち込みました(実際に開くことはありませんでした)。

さて、ここまで読まれた方は気がつかれたかもしれませんが、最初にあげた4つの課題のうち、①気象の知識が不足している、②気象のロジックを理解していない、③気象関連図を読めない、の3つの対策がありません。

自分なりの資料を作り上げたかったのですが、十分に着手する前に試験日を迎えてしまいました。引き続き作成していき、このサイトで公開したいと思います。

なお、①については高校参考書の「地学図表」「地学図録」を読んだりしましたが、十分ではありませんでした。③についてはH社の短期講習に参加することである程度のレベルには達したかなと思います。


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気象情報を時系列で追ってみた [気象情報]

気象現象の接近、通過にともない、気象情報は更新されていきます。今回はその流れを追っかけてみたいと思います。

「気象情報のことを知ろう」に書いた内容を再掲しておきます。

どんな時に発表されるの?

気象情報が発表されるタイミングは目的に応じて決まっていて、次の4つです。

①警報や注意報に先立つ注意の喚起
現象が発生する24時間程度前に発表されるもので、顕著現象の発生に対する注意を呼びかけるものです。

②現象の経過、予想、防災上の留意点等の解説
警報や注意報がすでに発表されている時に追加で発表されるもので、現象の経過、予想、防災上の留意点等を解説するものです。これには「竜巻注意情報」「土砂災害警戒情報」も含まれることから分かるように、「警報」「注意報」「気象情報」は一体のものとして発表されています。

③記録的な短時間の大雨を観測したときの、より一層の警戒呼びかけ
数年に一度しか起こらないような記録的な短時間の大雨を観測したときに、より一層の警戒を呼びかけるものです。「記録的短時間大雨情報」がこれに該当します。

④社会的に影響の大きな天候についての解説など
社会的に影響の大きな天候について注意を呼びかけたり、解説したりするものです。長雨や少雨、低温などの気象情報が該当します。

では、2017年(平成29年)の台風18号で、大分県に発表された気象情報で実例を見てみます。

2019年 台風18号

台風18号は9月17日に鹿児島県に上陸したのを皮切りに高知、兵庫、北海道と次々に再上陸し、日本の本土4島に上陸した史上初の台風となりました。

台風18号経路図.png

大分県では台風が17日に最接近し、大分市内を流れる大野川と、佐伯市内を流れる番匠川支流の井崎川が氾濫しました。このため、佐伯、津久見、臼杵の3市は、全域の計約5万7千世帯12万9千人に避難指示を出しました。

日テレニュース24.png
出典:日テレニュース24

こちらはテレビ各局でも放映された番匠川の河川ライブ画像です。

番匠川.png

普段の番匠川と比べてみると水嵩の増え方が一目瞭然です。

番匠川_普段.png

①警報や注意報に先立つ注意の喚起

気象情報は本文を含めると長文になるので、見出しのみを掲載します。

台風の上陸を遡ること3日前、14日の九州北部地方気象情報第1号で、台風接近による天候悪化の可能性が伝えられました。

台風18号に関する九州北部地方気象情報 第1号
9月14日16時02分 福岡管区気象台発表
(見出し)
非常に強い台風第18号の接近に伴い、九州北部地方では16日午後から17日にかけて大荒れの天気となるおそれがあります。

翌15日、九州北部地方には第2号及び第3号が発表されました。第2号からは風の予想、波の予想、雨の予想が追加にされました。

台風18号に関する九州北部地方気象情報 第4号
9月16日05時43分 福岡管区気象台発表
(見出し)
台風18号は、大型で非常に強い勢力を維持したまま17日には九州にかなり接近し上陸するおそれがあります。暴風やうねりを伴った高波、土砂災害、低地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重に警戒してください。


第4号の最後に、「次の『台風18号に関する九州北部地方(山口県を含む)気象情報』は16日16時30分頃発表する予定です。」とありました。

警報の発表

大分県内では16日、大雨警報が発表されました。こちらは大きな被害の出た佐伯市の警報と注意報の発表履歴の一部です。

佐伯市_警報・注意報.png
出典:tenki.jp

大雨については16日11時10分に警報が発表され、18日3時15分まで更新されました。またその前後の時間帯に大雨注意報が出されています。

②現象の経過、予想、防災上の留意点等の解説
③記録的な短時間の大雨を観測したときの、より一層の警戒呼びかけ

大雨警報が発表されたからでしょうか、予定されていた16時10分よりも5時間ほど早く、気象情報が更新されました。

台風18号に関する九州北部地方気象情報 第5号
9月16日11時20分 福岡管区気象台発表
(見出し)
大型で強い台風18号は、勢力を維持したまま17日昼前から昼過ぎにかけて最も接近し、九州に上陸する見込みです。暴風やうねりを伴った高波、土砂災害、低地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重に警戒して下さい。

16日の地方気象情報は第7号まで発表されました。波の予想や雨の予想が若干見直しされていますが、内容に大きな差分はありません。

さて、台風が上陸した17日については、大分地方気象台発表の府県気象情報を見ていきます。

大分県では14日の16時16分から17日の5時25分にかけて、「台風18号に関する大分県気象情報」の第1号から第8号までが発表されています。

これに続けて6時3分、第9号が発表されています。これが珍しいのはPDF版のみで提供されていることです。

大分県気象情報_第9号.png

既に1時間に約90ミリの猛烈な雨が降っており、土砂災害に対する厳重な警戒が呼びかけられています。

それから間もなく、竜巻注意情報が発表されました。「竜巻注意情報」は「雷注意報」を補足する情報で、「竜巻発生確度ナウキャスト」で発生確度2が現れた地域に発表されます。有効期間は発表から約1時間です。

大分県竜巻注意情報 第1号
9月17日06時56分 大分地方気象台発表
大分県南部は、竜巻などの激しい突風が発生しやすい気象状況になっています。空の様子に注意してください。雷や急な風の変化など積乱雲が近づく兆しがある場合には、頑丈な建物内に移動するなど、安全確保に努めてください。落雷、ひょう、急な強い雨にも注意してください。
この情報は、17日08時10分まで有効です。

竜巻注意報はこの後、10時47分発表の第6号まで、ほぼ1時間間隔で更新されました。

大分県竜巻注意情報は12時00分まで有効の第6号でいったん打ち切られ、13時51分に発表された第7号が最終報となりました。

入れ替わり立ち替わりになりますが、竜巻注意報が出されている最中に記録的短時間大雨情報が発表になっています。

大分県記録的短時間大雨情報 第1号
9月17日09時07分 大分地方気象台発表
(見出し)
9時大分県で記録的短時間大雨
佐伯市佐伯付近で約110ミリ
佐伯市鶴見付近で約110ミリ
佐伯市米水津付近で約110ミリ

記録的短時間大雨情報は「記録的な短時間の大雨を観測したときの、より一層の警戒呼びかけ」の役割があります。大分県では17日、記録的短時間大雨情報が4回発表されました。「数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨」が1日に4回も解析されるのは珍しいことです。

11時半頃、台風が鹿児島県に上陸します。

台風18号に関する大分県気象情報 第14号
9月17日11時44分 大分地方気象台発表
(見出し)
台風第18号の中心は、17日11時半頃に、鹿児島県南九州市付近に上陸しました。

この後も、PDF版の気象情報の第15号と16号は、佐伯市、臼杵市、竹田市などにおける総降水量を伝え、土砂災害、低地の浸水、河川の増水や氾濫に対する厳重な警戒を呼びかけています。

15時を過ぎると大雨の終焉を予感させる気象情報が発表になります。

台風18号に関する大分県気象情報 第17号
9月17日15時32分 大分地方気象台発表
(見出し)
解析雨量では、17日15時00時までの1時間に、津久見市付近で約120ミリ、佐伯市付近では約110ミリの記録的な大雨となっており、猛烈な雨が降り続いています。中部や南部を中心に、今後1時間程度、大雨が続く見込みです。この地域の方は厳重に警戒してください。

この頃になると気象台の方もだいぶ疲労が溜まってきていたのでしょうか、「17日15時00分まで」とすべきところを「17日15時00時まで」と誤記されています。いやぁ、本当にお疲れさまです。

とは言え、15時47分には4回目の記録的短時間大雨情報が出されています。また、土砂災害警戒情報や洪水予報は大雨のピークを過ぎる頃から頻繁に発表されていくので、災害に対する警戒はいよいよ本番という感じです。

台風18号に関する大分県気象情報 第18号
9月17日17時10分 福岡管区気象台発表
(見出し)
大型の台風第18号は、大分県から遠ざかりつつあります。暴風やうねりを伴った高波、土砂災害、低地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重に警戒してください。

以上の気象情報、竜巻注意情報、記録的短時間大雨情報、土砂災害警戒情報の発表時刻を一覧にまとめてみました。また、番匠川の洪水予報も参考に掲載しました。どのタイミングでどのような情報が発表されるのか、お役に立てれば幸いです。

台風18号関連(大分県).pdf

(参考)

最後に、大雨のピーク頃と思われる時刻(15時10分)の解析図を掲載しておきます。こうした過去データも容易に入手できるようになると助かります。

降水ナウキャスト:
レーダーエコー.png

土砂災害警戒メッシュ判定情報:
土砂災害警戒判定メッシュ情報.png

洪水警報の危険度分布:
洪水警報の危険度分布.png


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気象情報のことを知ろう [知識]

気象情報って地味な存在で、直接目にする機会は少ない気がします。テレビやラジオの天気予報の元になっていて、間接的には触れているのですが・・・。「気象庁では注意を呼びかけています」というアレです。

実技試験では「天気図を見て気象情報を作成しなさい」なんて問題は出されません。が、過去には気象情報が虫食いになっていて、穴埋めをする出題がありました。

気象情報にはパターンがあるので、典型例から気象現象とその災害や重要なキーフレーズを学びましょう。

気象情報には種類があるんです

気象情報は対象となる地域、対象となる現象によって分類されます。また、その目的によって発表されるタイミングが異なります。

以下でそれぞれを見ていきましょう。

分類①: 対象となる地域

気象情報は対象とするエリアに応じて、全国を対象とする「全般気象情報」(気象庁予報部)、地方予報区(全国に11)を対象とする「地方気象情報」(管区気象台や沖縄気象台など)、都道府県を対象とする「府県気象情報」(地方気象台)があります(()内は発表元です)。

「気象情報」という名称はつかないものの、「台風情報」「潮位情報」も気象情報のサイトで発表されています。また、「記録的短時間大雨情報」「竜巻注意情報」「土砂災害警戒情報」も気象情報の一つとされています。

さて、こちらは気象庁の組織図です。

気象庁の組織.png

予報部というのは本庁の内部部局です。
予報課.png
出典:人事院資料

管区気象台は地域を統括する地方支分部局として、広域的な地域を管轄しています。東京、札幌、仙台、大阪、福岡の5台ですが、沖縄気象台も管区気象台と同列に並んでいます。

地方気象台は50あります。なぜ47以上あるかというと、例えば北海道には6気象台があります。一方で、東北地方は6県あるのに5気象台しかないというように、1都道府県=1地方気象台となっていないからです。

分類②: 対象となる現象

気象情報が発表される現象には大雨、大雪、暴風、突風、暴風雪、高波、低気圧、雷、降ひょうなどがあり、多くはこれらの組み合わせで発表されます。また、記録的な大雨、発達する低気圧、日照不足と長雨、強い冬型の気圧配置、黄砂に関する気象情報や台風情報もあります。

2016年10月〜2017年9月の期間に発表された全般気象情報を分類してみました。

【2月〜5月に多かった気象情報】
雷と突風及び降ひょうに関する全般気象情報
暴風と高波及び雷に関する全般気象情報
暴風と高波及び大雨に関する全般気象情報
雷と突風に関する全般気象情報

【5月に多かった気象情報】
黄砂に関する全般気象情報

【10月〜5月に多かった気象情報】
大雨と雷及び突風に関する全般気象情報
記録的な大雨に関する全般気象情報
雷と突風及び降ひょうに関する全般気象情報

【11月〜2月に多かった気象情報】
大雪に関する全般気象情報
大雪と高波に関する全般気象情報
大雪と暴風雪及び高波に関する全般気象情報
大雪と暴風雪に関する全般気象情報
大雪に関する全般気象情報
強い冬型の気圧配置に関する全般気象情報
暴風雪と高波及び大雪に関する全般気象情報
暴風雪と高波に関する全般気象情報
発達する低気圧に関する全般気象情報

気象情報はどんな顔つきをしているの?

気象情報は情報名と番号、発表日時、発表元、見出し、本文で構成されています。

番号は「第◯号」という形で通常は通番がふられています。しかし気象庁予報部が発表する全般気象情報のみは、なぜか番号が飛び飛びで欠番があります。

見出しには気象現象の概要と注意すべき防災事項が簡略に2〜3文ほどで記載されます。これに続く本文はかなり長文のことがあるので、見出しだけで内容がすぐに分かるように書かれています。

本文はおおむね気象概況、防災事項、補足事項で構成されています。防災事項には予想される雨量や最大風速、波の高さが記載されることもあります。

関東甲信地方気象情報_2.png

どんな時に発表されるの?

気象情報が発表されるタイミングは目的に応じて決まっていて、次の4つです。

①警報や注意報に先立つ注意の喚起
現象が発生する24時間程度前に発表されるもので、顕著現象の発生に対する注意を呼びかけるものです。

②現象の経過、予想、防災上の留意点等の解説
警報や注意報がすでに発表されている時に追加で発表されるもので、現象の経過、予想、防災上の留意点等を解説するものです。これには「竜巻注意情報」「土砂災害警戒情報」も含まれることから分かるように、「警報」「注意報」「気象情報」は一体のものとして発表されています。

③記録的な短時間の大雨を観測したときの、より一層の警戒呼びかけ
数年に一度しか起こらないような記録的な短時間の大雨を観測したときに、より一層の警戒を呼びかけるものです。「記録的短時間大雨情報」がこれに該当します。

④社会的に影響の大きな天候についての解説など
社会的に影響の大きな天候について注意を呼びかけたり、解説したりするものです。長雨や少雨、低温などの気象情報が該当します。

気象情報を見たいと思った方は、今すぐこちらからどうぞ!
気象情報: http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/


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