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暴風と高波 [警報・注意報]

擾乱に応じてどのような気象現象が発生するのか、またそれに応じた災害はどのようなものがあるのか。

実技試験対策ではこの対応関係を問われることが多いので、しっかりと覚えておきましょう。

今回は高波について見ていきます。

高波とは、強い風によって波が高くなる現象です。

暴風・強風と高波はセットで

実技試験では、

「低気圧の接近・通過に伴い、警戒・注意すべき現象は何か?」

と問われることがあります。

高波が疑わしい時は、海上で強い風が吹いているはずです。

そこで、ASAS(アジア太平洋地上天気図)を見て、海上警報が出ていないかを確認します。

[SW](海上暴風警報)が出ていれば高波が予想されます。

暴風だけでなく、強風の時でも高波がセットと考えて良いようです。

なお、高波に対する警報や注意報は「波浪警報」「波浪注意報」になります。「高波警報・注意報」とならないところが、ややこしいです。

実例: 台風5号(平成29年)

平成29年7月、台風5号は高気圧の狭間で迷走を続けていましたが、勢力を保ったまま、29日にかけて小笠原諸島に接近する見込みとなっています(7月28日現在)。

NHKのホームページ:
NHK.png

ASAS:
ASAS(一部).png

ASASを見ると、当然[TW](海上台風警報)が出ています。

気象庁は全般気象情報として「台風第5号に関する情報 第14号」を出しています。

台風5号_下線入り.jpg
(下線は筆者が追加)

暴風と高波がセットで警戒事項になっていることが分かります。

また、「29日に予想される波の高さは8メートル」とあります。FWJP04(沿岸波浪24・36・48時間数値計算予想図)を見てみます。

FWJP.png

29日21時の予想図で、26°N、142°E付近に小さな二重丸が見えます。この内側の◯が8mということですね。

高波に対する警報と注意報も見ておきます。

警報・注意報.png

小笠原諸島で波浪警報が、伊豆諸島で波浪注意報が出ています。

小笠原.png

小笠原諸島では波浪警報に加えて、現在の強風注意報が今後暴風警報に
切り替えられる可能性が高いです。

おまけ

全般気象情報の黄色の下線部を見てください。

大雨に対する防災事項として、

 ・土砂災害
 ・低い土地の浸水
 ・河川の増水や氾濫
 ・落雷
 ・突風

が挙げられています。

これもお決まりのセットなので、覚えておきましょう。

今回のポイント

暴風や強風の時にはセットで、高波が発生する可能性を押さえておきましょう。

氾濫発生情報 [警報・注意報]

2017年7月23日、東北地方に停滞する前線の影響で秋田県で大雨になり、
雄物川(おものがわ)上流氾濫発生情報が発表されました。

氾濫発生情報は、4つある指定河川洪水予報の中で最もレベルの高い情報です。

氾濫発生情報は夏の時期以外に発表されることは多分ないので、
各機関からどのような情報提供がされたのかを含めて記録を残しておきたいと思います。


■指定河川洪水予報

あらかじめ指定した河川について、区間を決めて水位または流量を示した
洪水の予報を「指定河川洪水予報」と言います。

河川の増水やはん濫などに対する水防活動の判断や住民の避難行動の
参考とするために発表されます。

指定河川洪水予報には氾濫注意情報、氾濫警戒情報、氾濫危険情報、
氾濫発生情報の4つがあります。

洪水予報.png


■気象状況

関東甲信は7月19日に梅雨明けしたと見られていますが、
東北地方は23日現在で梅雨が明けていません。

梅雨前線は7月20日にはサハリン南部まで北上していましたが、
23日現在は東北北部まで南下してきました。

天気図

天気図.png

雨雲

雨雲.png

衛星画像

衛星.png


■マスコミHP

マスコミ各局はホームページで分かりやすい情報提供をしています。

フジテレビHP

フジテレビ.png

NHK HP

NHKは気象業務法で気象などの警報を直ちに通知する義務があります。
情報提供も充実しています。

NHK1.png

テレビニュースを見逃しても、動画を見ることもできます。

NHK2.png

気象庁のHPで見るよりも、テレビの方が情報がよくまとまっていて、
かつ圧倒的に迅速性があります。
(気象庁HPの更新が後追いのこともあります)

NHK3.png

放送現場では乱れ飛ぶ気象情報や現地からの情報を取りまとめるのに
苦心されていることと思います。


■気象庁

気象庁のサイトは玄人好みというか、正直なところ見にくいです。
階層が深くなっているため、欲しい情報がどこにあるのか分かりにくいです。

指定河川洪水情報

気象庁1.png

秋田県の指定河川は次の7つです。

 国: 米代川、雄物川上流、雄物川下流、玉川、皆瀬川、子吉川
 県: 太平川

氾濫発生情報

雄物川上流氾濫発生情報を、国交省湯沢河川国道事務所と気象庁秋田地方気象台が
共同で発表しています。

氾濫発生情報.pdf

秋田県に出ている気象警報・注意報

気象庁2.png

大仙市の大雨(土砂災害、浸水害)、洪水警報

気象庁3.png

全般情報

気象庁予報部が23日4時53分に発表した
「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報 第1号」。

気象庁4.png

洪水警報の危険度分布

平成29年度から提供開始されましたが、ユーザビリティの改善が望まれます。

気象庁6.png

土砂災害警戒情報

RP050_20170723034500_dosha.pdf


■東北地方整備局

東地1.png

東地2.png

東地3.png

指定河川洪水予報の事例 [警報・注意報]

指定河川洪水予報の発表例を紹介します。

2017年7月18日の実例です。

新潟県の一部エリアで大雨警戒情報(土砂災害・浸水害)、土砂災害警戒情報、
洪水警報、河川氾濫警戒情報が発表されて、避難指示が出されました。

報道内容

信濃毎日新聞:
新潟県五泉市と同県阿賀町は、河川氾濫の恐れがあるとして、
計535世帯1485人に避難指示を出した。

朝日新聞:
五泉市では早出川や能代川の水位が上がり、土砂災害の危険性も高まっているとして、
午前8時20分すぎ、南田中など5地区288世帯に避難指示が出た。
避難指示の地域を除く市内全域約1万8千世帯にも避難勧告が出た。

阿賀町でも阿賀野川の増水の影響で午前9時10分、
津川地区の一部地域247世帯に避難指示が出た。
このほか、新潟、長岡、三条、燕、魚沼の各市でも避難勧告が出た。

位置関係

最初に五泉市、阿賀町と阿賀野川の位置関係を確認しておきます。

スクリーンショット 2017-07-18 11.53.43.png

五泉市の北には東西方向に阿賀野川が流れ、日本海につながっています。
阿賀町は五泉市の東側です。

スクリーンショット 2017-07-18 11.59.35.png

避難指示

五泉市の避難指示をホームページとツイッターで見てみます。

スクリーンショット 2017-07-18 11.16.57.png

スクリーンショット 2017-07-18 11.22.25.png

避難指示、避難勧告は市町村長が出します。

指定河川洪水予報

指定河川洪水予報が北陸地方で発表されています。
なお、指定河川洪水予報について知りたい方は、本文の最後を見てください。

スクリーンショット 2017-07-18 11.28.35.png

北陸地方の「発表中」をクリックすると、

 氾濫警戒情報 ・・・信濃川下流(国の指定河川)・中ノ口川(県の指定河川)
 氾濫注意情報 ・・・阿賀野川(国の指定河川)

となっています。

スクリーンショット 2017-07-18 11.27.06.png

こちらは新潟県河川防災情報システムの画面です。

スクリーンショット 2017-07-18 13.27.36.png

赤いエリアをクリックすると下の画面がポップアップして、
津川で10時に避難判断水位を超えたことが分かります。

スクリーンショット 2017-07-18 13.30.32.png

土砂災害警戒情報

この時、五泉市では土砂災害警戒情報が発表されていました。

スクリーンショット 2017-07-18 11.15.57.png

土砂災害警戒情報
RP150_20170718073000_dosha.pdf

土砂災害警戒判定メッシュ情報には「極めて危険」が表示されています。

スクリーンショット 2017-07-18 11.25.34.png

天気図と衛星画像

7月18日朝9時の天気図。

スクリーンショット 2017-07-18 12.12.09.png

7月18日12時の衛星画像(雨雲が重ねてあります)。

スクリーンショット 2017-07-18 12.14.25.png

新潟県から東北にかけて積乱雲が発生し、
新潟県では激しい雨が降っていることがわかります。


(参考)指定河川洪水予報とは

気象庁HPから引用します。

河川の増水や氾濫などに対する水防活動の判断や住民の避難行動の参考となるように、
気象庁は国土交通省または都道府県の機関と共同して、あらかじめ指定した河川について、
区間を決めて水位または流量を示した洪水の予報を行っています。
これを「指定河川洪水予報」と呼んでいます。

まぁ、文字が並んでいて難しいですね。

要約すると、

 ・気象庁は、指定河川の管轄に応じて国交省、または都道府県と共同して洪水予報を出す

 ・洪水予報は水防活動の判断や住民の避難行動の参考にしてもらう
  (水防活動とは、洪水時には巡視・警戒、水防工法などを行うことです)
  
 ・予報内容には河川区間の水位または流量が示される

ということです。

これは水防法第10条、第11条で定められています。

洪水予報には4種類あり、

 氾濫注意情報<氾濫警戒情報<氾濫危険情報<氾濫発生情報

という関係です。

スクリーンショット 2017-07-18 13.21.34.png

ちなみに、気象庁が単独で行う洪水注意報や洪水警報というものもあります。
これは対象地域にある不特定の河川の増水による災害に対して発表されます。
河川を特定しないため、水位や流量の予測は行われません。

補足

(2017.10追記)
気象庁は平成29年度の出水期(梅雨の時期と思えば良いです)から大雨警報(浸水)と内水氾濫による洪水警報の基準として降水量を使用せず、その代わりに表面雨量指数が採用されることになりました。これにより大雨警報および洪水警報の基準として降水量は使われなくなりました。土壌雨量指数、流域雨量指数に次ぐ指数の採用です。

こうした気象庁の取り組みの成果の表れでしょうか、産経新聞に面白い記事が出ていました。国交省などが運用する「指定河川洪水予報」の予測精度の低さが露呈する一方で、気象庁の「洪水警報の危険度分布」は精度が高いという内容です。面白おかしく書きすぎている感じがしますが、気象庁は国交省の外局なのだからちゃんと連携して欲しいものです。


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