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雪に関する気象情報 [気象情報]

初稿:2017年12月8日
追加:2018年 1月3日
今回のポイント

降雪時に特有な防災事項として下記を覚えておきましょう。

積雪路面凍結による交通障害
・降雪による視程障害
農作物や農業施設の管理
電線や架線、樹木などへの着雪 (ただし、気温が0℃前後のとき)

赤字下線部は過去の実技試験に穴埋め問題として出題されたことがあるキーワードです。

(注)
下記事例には登場しませんが、「吹きだまりによる交通障害に注意してください」という表現があります。
また、札幌管区気象台では平成26年から「数年に一度の猛ふぶきとなるおそれがあります。外出は控えてください。」という表現を使い始めました。

事例検討

2017年12月5日の九州北部地方の地方気象情報と、長野県の府県気象情報を取り上げます。

この日、日本上空には強い寒気が流れ込んで冷え込みが強まり、九州や四国、中国地方の各地で初雪を観測しました。福岡で降雪があったほか、松江市や山口県下関市、高松市、熊本市、佐賀市では初雪となりました。

こちらは4日21時(UTC12時)を初期時刻とする850hPa気温・風、700hPa上昇流の24時間予想図です。

2017-12-05-2100.png

九州北部にマイナス9℃の等温線がかかっています。

この状況で、福岡管区気象台は4日10時55分、大雪に関する地方気象情報第1号を発表しました。

こちらは5日に発表された第2号です。

大雪に関する九州北部地方(山口県を含む)気象情報 第2号

平成29年12月5日05時30分 福岡管区気象台発表

(見出し)
九州北部地方では、5日夜遅くにかけて山地を中心に大雪となる恐れがあります。積雪や路面凍結による交通障害、農作物や農業施設の管理などに注意してください。

(本文)
 九州北部地方では、5日は強い冬型の気圧配置となり上空約1500メートルに氷点下9度以下の強い寒気が南下する見込みです。
 5日05時の気象衛星やレーダーによりますと、対馬海峡には寒気に伴う雪雲が観測され、九州北部地方へ流れ込んでいます。
 このため、九州北部地方では5日は局地的に雷を伴い断続的に雪か雨が降り、5日遅くにかけて山地を中心に大雪となるおそれがあります。

<降雪の深さの予想>
 5日06時から6日06時までの降雪の深さ(多い所)
  山地(標高200メートルを超える地域)
  福岡県、佐賀県 10センチ

<防災事項>
 積雪や路面凍結による交通障害、降雪による視程障害、農作物や農業施設の管理に注意してください。

 今後、地元の気象台が発表する注意報や気象情報等に留意してください。

 次の「大雪に関する九州北部地方(山口県を含む)気象情報」は、5日11時頃発表の予定です。

一方、長野地方気象台がほぼ同時刻に発表した気象情報がこちらです。

大雪に関する長野県気象情報 第1号

平成29年12月5日05時54分 長野地方気象台発表

(見出し)
北部の山沿いでは、5日夜のはじめ頃から6日明け方にかけて、大雪となる見込みです。大雪による交通障害に警戒してください。

(本文)
[気象状況と予想]  日本付近は冬型の気圧配置となっています。北日本から東日本の上空約5500メートルに氷点下30度以下の寒気が流れ込み、6日にかけて日本付近は冬型の気圧配置が続く見込みです。
 このため、5日夜のはじめ頃から6日明け方にかけて、北部の山沿いを中心にまとまった降雪となるでしょう。

[予想降雪量]  5日6時から5日18時までの12時間降雪量は、いずれも多い所で、
  北部 長野地域山沿い         :5センチ
     中野飯山地域          :5センチ
     大北地域山沿い         :10センチ
  その他の地域             :3センチ未満

 5日6時から6日6時までの24時間降雪量は、いずれも多い所で、
  北部 長野地域山沿い         :30センチ
     長野地域平地          :10センチ
     中野飯山地域          :30センチ
     大北地域山沿い         :40センチ
     大北地域平地          :10センチ
  中部 上田地域の菅平周辺       :10センチ
     松本地域の聖高原周辺      :10センチ
     乗鞍上高地地域         :10センチ
  南部 木曽地域            :10センチ
  その他の地域             :3センチ未満
 の見込みです。

[防災事項]
 大雪による交通障害に警戒してください。
 また、落雷、突風、電線や架線、樹木などへの着雪に注意してください。

[特記事項]
 平成29年6月25日に発生した長野県南部の地震に伴い、揺れの大きかった王滝村、木曽町については、大雨警報・注意報の発表基準(土壌雨量指数基準)を暫定的に引き下げて運用しています。

[補足事項]
 今後、気象台が発表する警報や注意報、気象情報に留意してください。
 次の「大雪に関する長野県気象情報」は、5日17時頃に発表する予定です。

防災事項に、九州北部の気象情報にはなかった「電線や架線、樹木などへの着雪に注意」があります。

気温0℃前後で降る雪は湿っていて物に付着しやすくなっています(これを「着雪」といいます)。着雪は、電線等の断線や送電鉄塔や樹木の倒壊等の被害を発生させる恐れがあります。

長野と九州北部を比較すると、地上気温こそ長野の方が低いですが、850hPaの気温は長野のマイナス3℃に対して九州北部はマイナス9℃です。この違いにより、長野県では着雪への注意が出ていたものと思われます。

最後に

5日13時の衛星画像を見ると、面白い状況が見えます。

まず赤外画像(IR)です。

赤外画像.png

そして可視画像(VIS)です。

可視画像.png

日本海側に積乱雲が発生しているのが分かりますが、関東平野だけ見事に雲がかかっていません。

この日の東京は西よりの風が吹いていたのですが、日本海側で雪を降らした雲は水分を落とし、関東周辺では乾燥した風を吹かせたということです。


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気象情報を時系列で追ってみた [気象情報]

気象現象の接近、通過にともない、気象情報は更新されていきます。今回はその流れを追っかけてみたいと思います。

「気象情報のことを知ろう」に書いた内容を再掲しておきます。

どんな時に発表されるの?

気象情報が発表されるタイミングは目的に応じて決まっていて、次の4つです。

①警報や注意報に先立つ注意の喚起
現象が発生する24時間程度前に発表されるもので、顕著現象の発生に対する注意を呼びかけるものです。

②現象の経過、予想、防災上の留意点等の解説
警報や注意報がすでに発表されている時に追加で発表されるもので、現象の経過、予想、防災上の留意点等を解説するものです。これには「竜巻注意情報」「土砂災害警戒情報」も含まれることから分かるように、「警報」「注意報」「気象情報」は一体のものとして発表されています。

③記録的な短時間の大雨を観測したときの、より一層の警戒呼びかけ
数年に一度しか起こらないような記録的な短時間の大雨を観測したときに、より一層の警戒を呼びかけるものです。「記録的短時間大雨情報」がこれに該当します。

④社会的に影響の大きな天候についての解説など
社会的に影響の大きな天候について注意を呼びかけたり、解説したりするものです。長雨や少雨、低温などの気象情報が該当します。

では、2017年(平成29年)の台風18号で、大分県に発表された気象情報で実例を見てみます。

2019年 台風18号

台風18号は9月17日に鹿児島県に上陸したのを皮切りに高知、兵庫、北海道と次々に再上陸し、日本の本土4島に上陸した史上初の台風となりました。

台風18号経路図.png

大分県では台風が17日に最接近し、大分市内を流れる大野川と、佐伯市内を流れる番匠川支流の井崎川が氾濫しました。このため、佐伯、津久見、臼杵の3市は、全域の計約5万7千世帯12万9千人に避難指示を出しました。

日テレニュース24.png
出典:日テレニュース24

こちらはテレビ各局でも放映された番匠川の河川ライブ画像です。

番匠川.png

普段の番匠川と比べてみると水嵩の増え方が一目瞭然です。

番匠川_普段.png

①警報や注意報に先立つ注意の喚起

気象情報は本文を含めると長文になるので、見出しのみを掲載します。

台風の上陸を遡ること3日前、14日の九州北部地方気象情報第1号で、台風接近による天候悪化の可能性が伝えられました。

台風18号に関する九州北部地方気象情報 第1号
9月14日16時02分 福岡管区気象台発表
(見出し)
非常に強い台風第18号の接近に伴い、九州北部地方では16日午後から17日にかけて大荒れの天気となるおそれがあります。

翌15日、九州北部地方には第2号及び第3号が発表されました。第2号からは風の予想、波の予想、雨の予想が追加にされました。

台風18号に関する九州北部地方気象情報 第4号
9月16日05時43分 福岡管区気象台発表
(見出し)
台風18号は、大型で非常に強い勢力を維持したまま17日には九州にかなり接近し上陸するおそれがあります。暴風やうねりを伴った高波、土砂災害、低地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重に警戒してください。


第4号の最後に、「次の『台風18号に関する九州北部地方(山口県を含む)気象情報』は16日16時30分頃発表する予定です。」とありました。

警報の発表

大分県内では16日、大雨警報が発表されました。こちらは大きな被害の出た佐伯市の警報と注意報の発表履歴の一部です。

佐伯市_警報・注意報.png
出典:tenki.jp

大雨については16日11時10分に警報が発表され、18日3時15分まで更新されました。またその前後の時間帯に大雨注意報が出されています。

②現象の経過、予想、防災上の留意点等の解説
③記録的な短時間の大雨を観測したときの、より一層の警戒呼びかけ

大雨警報が発表されたからでしょうか、予定されていた16時10分よりも5時間ほど早く、気象情報が更新されました。

台風18号に関する九州北部地方気象情報 第5号
9月16日11時20分 福岡管区気象台発表
(見出し)
大型で強い台風18号は、勢力を維持したまま17日昼前から昼過ぎにかけて最も接近し、九州に上陸する見込みです。暴風やうねりを伴った高波、土砂災害、低地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重に警戒して下さい。

16日の地方気象情報は第7号まで発表されました。波の予想や雨の予想が若干見直しされていますが、内容に大きな差分はありません。

さて、台風が上陸した17日については、大分地方気象台発表の府県気象情報を見ていきます。

大分県では14日の16時16分から17日の5時25分にかけて、「台風18号に関する大分県気象情報」の第1号から第8号までが発表されています。

これに続けて6時3分、第9号が発表されています。これが珍しいのはPDF版のみで提供されていることです。

大分県気象情報_第9号.png

既に1時間に約90ミリの猛烈な雨が降っており、土砂災害に対する厳重な警戒が呼びかけられています。

それから間もなく、竜巻注意情報が発表されました。「竜巻注意情報」は「雷注意報」を補足する情報で、「竜巻発生確度ナウキャスト」で発生確度2が現れた地域に発表されます。有効期間は発表から約1時間です。

大分県竜巻注意情報 第1号
9月17日06時56分 大分地方気象台発表
大分県南部は、竜巻などの激しい突風が発生しやすい気象状況になっています。空の様子に注意してください。雷や急な風の変化など積乱雲が近づく兆しがある場合には、頑丈な建物内に移動するなど、安全確保に努めてください。落雷、ひょう、急な強い雨にも注意してください。
この情報は、17日08時10分まで有効です。

竜巻注意報はこの後、10時47分発表の第6号まで、ほぼ1時間間隔で更新されました。

大分県竜巻注意情報は12時00分まで有効の第6号でいったん打ち切られ、13時51分に発表された第7号が最終報となりました。

入れ替わり立ち替わりになりますが、竜巻注意報が出されている最中に記録的短時間大雨情報が発表になっています。

大分県記録的短時間大雨情報 第1号
9月17日09時07分 大分地方気象台発表
(見出し)
9時大分県で記録的短時間大雨
佐伯市佐伯付近で約110ミリ
佐伯市鶴見付近で約110ミリ
佐伯市米水津付近で約110ミリ

記録的短時間大雨情報は「記録的な短時間の大雨を観測したときの、より一層の警戒呼びかけ」の役割があります。大分県では17日、記録的短時間大雨情報が4回発表されました。「数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨」が1日に4回も解析されるのは珍しいことです。

11時半頃、台風が鹿児島県に上陸します。

台風18号に関する大分県気象情報 第14号
9月17日11時44分 大分地方気象台発表
(見出し)
台風第18号の中心は、17日11時半頃に、鹿児島県南九州市付近に上陸しました。

この後も、PDF版の気象情報の第15号と16号は、佐伯市、臼杵市、竹田市などにおける総降水量を伝え、土砂災害、低地の浸水、河川の増水や氾濫に対する厳重な警戒を呼びかけています。

15時を過ぎると大雨の終焉を予感させる気象情報が発表になります。

台風18号に関する大分県気象情報 第17号
9月17日15時32分 大分地方気象台発表
(見出し)
解析雨量では、17日15時00時までの1時間に、津久見市付近で約120ミリ、佐伯市付近では約110ミリの記録的な大雨となっており、猛烈な雨が降り続いています。中部や南部を中心に、今後1時間程度、大雨が続く見込みです。この地域の方は厳重に警戒してください。

この頃になると気象台の方もだいぶ疲労が溜まってきていたのでしょうか、「17日15時00分まで」とすべきところを「17日15時00時まで」と誤記されています。いやぁ、本当にお疲れさまです。

とは言え、15時47分には4回目の記録的短時間大雨情報が出されています。また、土砂災害警戒情報や洪水予報は大雨のピークを過ぎる頃から頻繁に発表されていくので、災害に対する警戒はいよいよ本番という感じです。

台風18号に関する大分県気象情報 第18号
9月17日17時10分 福岡管区気象台発表
(見出し)
大型の台風第18号は、大分県から遠ざかりつつあります。暴風やうねりを伴った高波、土砂災害、低地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重に警戒してください。

以上の気象情報、竜巻注意情報、記録的短時間大雨情報、土砂災害警戒情報の発表時刻を一覧にまとめてみました。また、番匠川の洪水予報も参考に掲載しました。どのタイミングでどのような情報が発表されるのか、お役に立てれば幸いです。

台風18号関連(大分県).pdf

(参考)

最後に、大雨のピーク頃と思われる時刻(15時10分)の解析図を掲載しておきます。こうした過去データも容易に入手できるようになると助かります。

降水ナウキャスト:
レーダーエコー.png

土砂災害警戒メッシュ判定情報:
土砂災害警戒判定メッシュ情報.png

洪水警報の危険度分布:
洪水警報の危険度分布.png


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初雪 [気象情報]

10月に入り、北海道で今季初の雪に関する気象情報が発表されました。

雪に関する気象情報

10月2日に札幌管区気象台が「雪に関する北海道地方気象情報」を発表しています。
北海道地方気象情報.jpg

ポイントは2点あります。

「3日夜から5日にかけて、標高の高い峠や山間部を中心に雪が降り、積雪状態となる見込みです」

「上空1500メートル付近に11月上旬並の寒気が入る」



地上で雪が降る目安として、「地上付近で3℃以下」「上空1,500m付近で-6℃」「上空5,000m付近で-30℃」とされています。


10月3日の状況

「上空1500メートル」とあるので、850hPaの実況図を見てみます。

10月3日21時の実況図。
AUPQ78_Oct3_2100alt.jpg

0℃線は青森市のあたりを通っています。


10月4日の状況

4日9時の実況図。
AUPQ_Oct4_0900alt.jpg

0℃線は若干南下して、八戸市のあたりです。

Oct04.jpg

この日、北海道の降雪を報じたのは朝のテレビ朝日のみで、映像は監視カメラからの借り物でした。
遠軽町は紋別の南、北見の西に位置します。

そして4日21時の850hPa実況図。
AUPQ78_Oct4_2100alt.jpg

0℃線の位置は気仙沼まで南下しています。


10月5日の状況

明けた10月5日の850hPa実況図。
AUPQ78_Oct5_0900alt.jpg

0℃線は石巻市まで南下し、本州で初冠雪となりました。

テレビ各局も山の見えるところで待ち構えていたのか、ニュースやお天気コーナーで山の映像が取り上げられ、「本州で初冠雪」と報道していました。

札幌の手稲山。
Oct05手稲山.jpg

1972年の冬季オリンピックでスキージャンプが開催されたのが手稲山です。
数年前に車で走ったことがありますが、施設の残骸はボロボロの状態でした。

盛岡の北西にある岩手山。
Oc505岩手山.jpg

標高2、038メートルで百名山の一つです。いずれ登ってみたいです。

そのほかにも吾妻山などで、例年よりも早い初冠雪が観測されました。


その後


明くる10月6日9時の850hPa実況図です。
AUPQ78_Oct6_0900alt.jpg
0℃線はサハリン南部まで北上し、ひとまず雪の心配はなくなりました。

これからの季節、北部の山を登る方は850hPa、500hPaの天気図で寒気を確認して行かれると良さそうです。

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農作物の管理(日照不足) [気象情報]

第35回(平成22年第2回)の試験で、農作物に関する出題がありました。

農業に携わらない人にとっては、農作物管理といってもピンときません。
私自身も東京出身ですので、どんな時にどんな対策をとるのかさっぱり分かりません。

そこで今回は、農作物管理について少し調べてみました。

第35回の出題内容

冒頭の第35回の出題は、問4の穴埋め問題でした。

関東地方では4月中旬に降雪が観測されることは稀であり、また北部などでは積雪も予想されたことから、16日昼前から17日早朝にかけて地方気象情報を発表して雪に対する注意を呼びかけた。
この地方気象情報の防災上の留意事項に関する次の文章の空欄
(①)〜(④)に入る適切な語句を記入せよ。

関東地方北部の平野部、甲信地方を中心に雪が降り、積雪となるところがあるでしょう。
また、南部の平野部でも雪となるところがあるでしょう。
雪による(①)や路面の凍結、(②)や樹木への(③)に注意してください。
また、(④)の管理にも注意してください。

【正解】
①交通障害、②電線、③着雪、④農作物


こうした用語は見慣れていないと、なかなか出てこないと思います。

では、日照不足が農作物に与える影響とその対策について、
具体的な例を見てみましょう。

2017年夏の事例

太平洋側の天候


2017年の夏はオホーツク海高気圧が張り出したことにより、太平洋側では不順な天候が続きました。

8月12日15時の天気図がこちらです。

8月12日.png

北東気流による「やませ」が吹き込む状況となり、1993年以来のコメ不足が発生するのではないかと懸念されています。

日照不足に関する気象情報


2017年8月10日、気象庁は全般気象情報として、
「北・東日本太平洋側の日照不足と低温に関する全般気象情報 第1号」
を発表しました。

気象庁.png

この中に「農作物の管理等に十分注意してください」とあります。

この全般気象情報に呼応して、気象庁は地方気象情報として、
「日照不足に関する関東甲信地方気象情報 第1号」
を発表しました。

#東京管区気象台の地方気象情報は、気象庁が発表するんですね。

さらに関連する都県の地方気象台が、府県気象情報を発表しています。

長野県の事例


長野県では長野地方気象台が府県気象情報として、
「日照不足に関する長野県気象情報 第1号」
を発表しました。

これに関連して、こんな記事を見つけました。

信濃毎日新聞.png

出典:信濃毎日新聞(2017.8.18)

「梅雨明けから続く長雨や日照不足の影響が、県内農作物に出始めている」
県農政部は17日、農家向けに技術情報を出して対策を呼び掛けた
とあります。

日照不足によって、例えば稲だと「いもち病」という病気にかかる可能性があります。

いもち病.jpg

日照不足の影響で稲の抵抗力が弱まり、茎や葉が変色して穂が実らなくなるそうです。

ところで、県農政部が出す技術情報って、どんなものなのでしょうか?

長野県農業技術課のサイトからダウンロードしてみました。
注)長野県のHPは、セキュリティ上の問題でSafariやChromeなどで 接続できないことがあります。
長野県農政局技術情報.pdf

作物、果樹、野菜、花き、飼料作物の管理が4ページにわたって記載されています。

例えば、水稲についてはこんな感じです。

1 作物
(1)水稲
・早期落水を避け、粒張りや収量・品質の向上に努める。
・落水時期の目安は以下のとおりであるが、土壌条件や天候により調整し、品質および収量の向上を図るため、収穫に支障の無い範囲で遅めとする。
  早生種:出穂期後30~35日
  中生種:出穂期後30~40日
  晩生種:出穂期後35~45日
・落水後、収穫までに水田土壌が乾き過ぎる場合は、「走り水」を入れて土壌水分を補う。
 特に、砂壌土では乾き過ぎには注意する。
・今後の気温や日照時間が登熟の遅速に影響するので、登熟積算気温を参考に「帯緑色籾歩合」に注意して適期刈取りを行う。
 特に籾数が多い品種やほ場では十分に留意する。


技術情報というと難しいイメージを受けますが、意外と分かりやすい内容です。

これが農作物管理ということなんですね。

でも、ちょっと腑に落ちない?

日照不足による農作物の管理についてはここまでです。

しかし、長野の事例を引用したことで気になることが出てきました。

北東気流って背が低いはずなのに、長野県北部にまで影響があるって
おかしくないですか?

信濃毎日新聞の記事には続きがあって、記事最後に次の一文がありました。

長野地方気象台の佐藤義之気象情報官は、フィリピン付近の大気の対流活動が例年より不活発なことが天候不順が続く要因とみている。


ほほぅ、OLR(外向き長波放射)ですか。
では、見てみましょう。

7月下旬OLR.png
出典:コロンビア大学

2017年7月下旬のOLRですが、フィリピンでは負偏差となっています。
ということは、対流活動は活発ということですよね。
はて?

気象庁の「気候系監視速報(2017 年(平成 29 年)7月)」にも次のように書かれています。

熱帯の対流活動と循環
・熱帯の対流活動は、平年と比べて、インド北部~フィリピン付近、
 インドネシア東部付近 で活発、北インド洋中部、フィリピンの東海上で不活発だった


なぜ佐藤情報官がフィリピン付近の対流活動が例年より不活発であると
発言したのか、今の自分には分かりません。

異常天候早期警戒情報

2週間先にかけて、平年からかけ離れた天候の発生する可能性が高い場合、気象庁は「異常天候早期警戒情報」を発表します。

対象は7日間平均気温と7日間降雪量で、発表検討日は毎週月曜日と火曜日です。

異常天候早期警戒情報.png
出典:気象庁

2週間前に高温や低温あるいは大雪の予測が出されれば、水管理を調節したり、農業施設の補強や果樹の枝折れ防止などの事前対策を取ることが可能になります。


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気象情報のカテゴリー [気象情報]

気象庁が発表する気象情報はホームページ上で閲覧することができます。

しかし、一定期間が経過すると削除されてしまい、見ることができなくなります。

夏の試験に向けて学習している時に「冬季の気象情報が見てみたい」
と思うことが何度もありました。

そこで、本カテゴリーでは年間を通して特徴的な気象情報を取り上げていきます。

気象情報は発表する組織に応じて、3種類あります。

①全般気象情報(気象庁が発表)
 予報部、地球環境・海洋部が発表します。

②地方気象情報(管区気象台が発表)

③府県気象情報(地方気象台が発表)


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