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オリジナル教材 作成のススメ [試験対策]

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自分の間違えやすい癖や苦手な分野は、自分が一番分かっています。したがって、それを押さえた教材があれば、学習効率は良くなりますよね。

そんな自分だけの参考書を作ってみましょう。私の学習でも、自分用に作った4種類のオリジナル教材がいちばん役に立ちました。


オリジナル教材とは?

既製の教材を繰り返し使っていると、どうしてもまどろっこしさを感じてきます。

自分がアンダーラインを引いたところとか書き込みをしたところが参考書のあちこちに散らばっているので、自分にとっての重要ポイントをまとめて見ることができません。

そこで復習の効率を上げる過程で、次の4通りの教材を自作しました。いずれも百均で購入したファイルに収納しました。

①サブノート
自分の理解が不足しているキーワードとその解説を分野別にまとめたもの。

②暗記物ファイル
定義や規則など、覚えなくてはならないものをまとめたもの。

③添削答案集
過去問題で間違ったところを答案用紙に赤ペンで修正したり、正しい考え方を青ペンで書き込んだもの。

④自分だけ問題集
等値線解析、トラフ解析、前線解析をまとめて練習できるように、解答用紙と正解をセットにしたもの。

私は全教科(一般・専門・実技)を一発受験したので、4つを同時並行で作成。①と②は主に一般と専門で活躍。実技では③と④が役に立ちました。


①サブノートを作る

過去問題を解いていると、自分の理解が足りていないテーマが分かってきます。

そのようなとき、解説書などを読んで分かった気にせず、その都度、自分だけの解説書を作っていきましす。これを繰り返していくと、溜め込んだ解説がいつの間にかサブノートになります。

私がサブノート作りで心がけたポイントは3つあります。

・その場で作る
・穴埋めにする
・手間をかけない

その場で作る


分からないことはその場で調べたほうが気持ちが良いですよね。調べた余勢をかって、サブノート作りまで一気にやってしまいましょう。

これは精神衛生上も良いです。参考書で調べて分かった気になっても、「本当にわかったんだろうか?」という疑念が残ります。サブノートに残しておけば、自分の弱点がそこにまとまっているわけなので、あとはそれを徹底的に見直せば弱点は潰していけるわけです。

「後でまとめて作ろう」と思ったら、そのチャンスは永遠にやってきません。面倒がらずに、その都度作っていきましょう。

ただし、学習当初からこれをやってしまうと、作成量が膨大になってしまいます。過去問を1〜2回程度こなして実技試験のおおよその全体像が頭に入り、自分の理解が偏っているのが見えてきた段階でやるのが効率的だと思います。

穴埋めにする


私はサブノートに書き込んだ解説文は、重要なキーワードを穴埋め形式にして、正解は欄外にまとめて書き込みました。

例えばこんな具合です。

寒冷低気圧

対流圏中上層の(①)が大きくなり、(②)の部分が(③)から切り離されて形成される。

対流圏の上層や中層では気圧が(④)くなっているが、地上では低気圧として明瞭には(⑤)ことが多い。

【正解】①:蛇行、②:気圧の谷、③:偏西風帯、④:低、⑤:認められない


平文の解説だと流し読みをしてしまい、内容が頭に残りません。

穴埋め問題形式にすると「これはなんだったっけ?」と頭が回転して、内容が頭に定着します。

手間をかけない


サブノートを作るプロセスは、

用語や概念を選定する → 調べる → ノートを作成する

となります。

「用語や概念を選定する」のは、問題演習をしていたり参考書を読んでいたりしてつまずいた時です。その都度、参考書やネットなどで調べて、自分の納得できるレベルまでブレークダウンします。

それをまとめて解説文にしてノートに落とし込むのですが、「手間をかけない」というのはこの部分です。

ノートやルーズリーフに手書きして、図解を入れて色をつけて・・・、ということをやっている時間は勿体無いと思います。私はパソコンのワープロソフトで(無機質ですが)ひたすら打ち込みました。

綺麗なノートを作るのが目的ではないので、頭に定着すれば十分です。説明図が必要であれば、スキャナーで読み込ませます。


②暗記物ファイルを作る

一般・専門の学科では、それなりの暗記物があります。参考書を読んで一通り理解したつもりでも、細かい定義の類は頻繁に見返餌ないと忘却曲線に乗ってしまいます。

そこで試験の3週間ほど前に最終的に行き着いたのは、自分が毎日チェックしたい項目を抜き出して、1冊のファイルに収納することでした。これもできるだけ手間をかけないように、いろんな書物からコピーしてまとめました。

全てをクリアファイルに収納したら、最初のページに目次を作って入れておきます。この目次の順番で、毎朝記憶の確認を行います。

日々の確認事項(目次)

1. 警報の確認(7個)
大雨、洪水、大雪、暴風、暴風雪、波浪、高潮

2. 特別警報の種類(6個)
大雨、大雪、暴風、暴風雪、波浪、高潮

3. 注意報の確認(16個)
大雨、洪水、大雪、強風、風雪、波浪、高潮、濃霧、雷、乾燥、雪崩、融雪、着氷、着雪、低温、霜

4. 気象現象の確認(18個)
おたぼきと:大雨、短時間強雨、暴風、強風、突風
かおゆなち:雷、大雪、融雪、雪崩、着雪
ちたたてか:着氷、高波、高潮、低温、乾燥
きしひ:霧、霜、雹

5. 法規の罰則確認
懲役3年・罰金100万円:屋外設置気象観測機器破壊、警報標識のいたずら
罰金50万円 :かき、よき、もは、きぎ、ぎて、けせ、むし
罰金30万円 :とた、ぎか、けき
罰金20万円 :きと

6. 現在天気記号

7. 過去天気記号

8. 天気の種類(15個)

快晴、晴、薄曇、曇、煙霧、砂塵あらし、地ふぶき、霧、霧雨、雨、みぞれ、雪、あられ、ひょう、雷

9.大気擾乱の分類

10.地上プロット形式

11.雲の記号

12.雨の強さ

13.風の強さ

14.海上警報

15.台風の強さ

16.台風の大きさ

17.台風の中心位置の角度

18.予報精度の評価

19.覚えておきたい数値

20.各種公式

21.エマグラム


ファイルには目次に続き、各項の要点を参考書からコピーしたり手書きで作ったメモを挟みました。


③添削答案集を作る

同じ過去問を何度やっても、同じところで間違えてしまうという経験はありませんか?

過去5回分の過去問を繰り返すとすると、1回あたり2問ありますから、10問を解くことになります。それだけの問題量をこなしてきて、2巡目に入って再度同じような間違えをすると情けなくなるし、間違えをなくすまでにあと何回練習しなければいけないの?と不安になります。

この収束時間を短縮できるのが「添削答案集」です(冒頭の写真)。

過去問題を解くときは、必ず所定の答案用紙に書き込みます。通常の問題集やサイトには白紙の答案用紙が用意されています。

答え合わせをする際には、自分が通信添削の指導員になったつもりで、赤ペンを入れていきます。私は正解の他にも、自分が間違えるクセ(例えば風向を読み間違えやすいなど)や簡単な解説を書き込みました。

これをファイリングしていくと、自分の弱点集が出来上がります。過去問を繰り返す時間がなくても、この答案集を見直すことで、問題演習と類似の効果が期待できます。何よりも自分が苦手な部分がまとまっているので、これさえ頭に入れれば良いというのは安心材料です。


④自分だけの問題集を作る

前線解析、等値線(等温線や等圧線など)解析、トラフ解析は考え込むと時間がどんどん経ってしまいます。本番では試験時間があっという間に足りなくなってしまいます。

そこで解析問題についてはある程度条件反射的に、瞬間的に対応できる慣れを養っておくことが必要です。

良い材料になりそうなネタを見つけたら、それを何枚もコピーしてファイリングしておきましょう。私は試験直前の数週間は毎日、この練習をしていました。


オリジナル教材の副次効果

過去問を解いていると自分の課題が見えてくるので、おそらく試験日の直前までオリジナル教材を作り続けることになると思います。

大事なことは毎日、自分の作ったこのファイルに触れることです。ファイルを開いて頭を活性化させることをルーティンにできれば、このファイルに触ることが精神安定剤になってくれます。

試験前日に何をしたら良いのか?

いつも通りにオリジナル教材をこなせば良いのです。

試験日には何を持っていけば良いのか?

自分で作った薄っぺらい4冊のファイルを持ち込みましょう。
分厚い参考書を持ち込む必要はありません。オリジナル教材の中身は毎日見て確認してきたものですから、試験会場であえて開く必要もありません。すでに自分の身体の一部になっているのですから。大げさに言えば自分のあせと努力の結晶です。

「自分はこれだけやってきたのだから大丈夫!」と自信を持って試験に臨むことができます。

教材作成を今日から始めてみませんか?


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合格できなかったら・・・ [試験対策]

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試験に合格できなかったのには、何らかの理由があります。次回に向けて効率的な学習ができるよう、しっかりと要因分析をして対策を講じましょう。

現実に向き合うのは辛く面倒な作業ですが、記憶が新しいうちにやってしまうのが効果的です。


原因を分析する

まずは試験を振り返る


不合格だった試験を見返し、なぜ合格点が取れなかったのか、その原因を分析します。次の3つぐらいに分類できるでしょう。

①問題に歯が立たなかった
②時間が足りなかった
③勘違いをした

これらは表面的な原因です。過去問題をこなしてきた方であれば、基本的な知識は蓄積されているはずです。それがなぜ、試験場で要領よく引き出すことができなかったのか、その裏に潜んでいる真の原因に迫りましょう。

では、順に見ていきましょう。

①問題に歯が立たなかった


これまでの学習で学習漏れがあったり、苦手なテーマを放置していた可能性があります。

私の体験では、得意なものばかり繰り返して、苦手なものは取り組むのが面倒で後回しにするということがありました。

例えば、台風のもたらす被害について整理しないまま今日まで来てしまった。あるいは、教材が不足しているという理由で、エマグラムの解析練習をあまりやってこなかったというように、不得意な分野が残っていれば、それを全て列挙します。

項目をいくつか挙げておきます。

□気象現象別の特徴
 ・低気圧(南岸、日本海、寒冷)
 ・ポーラーロウ
 ・台風
 ・前線(梅雨、秋雨、沿岸)
 ・大雪(日本海側、太平洋側)
□図の読解(エマグラム、鉛直断面図、レーダーエコーなど)
□図の解析(前線、等値線、トラフ、強風軸など)
□衛星画像
□計算問題(じょう乱の移動速度など)
□警報・気象情報
□用語、地名など


②時間が足りなかった


問題を解くプロセスを単純化すると、次の3ステップになります。

「問題文(図)を読む」→「考察する」→「解答文を作成する」

そして、解答文の作成に至るまでに、次の処理を行います。

【問題文(図)を読む】
・問題の意図を読み取る
・天気図など、与えられた資料を読む

【考察する】
・現象を理解する
・該当する気象ロジックを導く
・解答の文型を考える

【解答分を作成する】
・解答する(作図する)


時間が足りなかったということは、このいずれかの処理能力が劣っていたことを意味します。その原因として「習熟の不足」「知識の体系化不足」が考えられます。

③勘違いをした


勘違いが多い方は、勘違いを起こす傾向があるはずです。

私の場合、家で過去問を解いていて単純な間違いを多発していることに気がつきました。例えば、風向きの読み違えが多く、「西風」と答えるところを「東風」とやっていました。

焦っていると漢字の書き違いもして、「対流雲」を「帯流雲」と書いたこともあります。また、問題文に「小数点ひと桁で答えよ」とあるのに、2桁目まで出したこともあります。

前項「②時間が足りなかった」のどの処理段階で発生するのか、分析してみましょう。


対策を講じる

原因分析を通して自分の弱点が特定できたら、次はそれをつぶす対策を考えます。

教材を決める


これまで使ってきた教材では物足りなければ、自分の弱点を埋めてくれる教材を探して、早い段階で学習計画に取り込みます。試験が近づくほど時間の余裕はなくなるので、弱点対策は早期に行います。

参考書を探している時間も勿体無いので、いくつか挙げておきます(※)。

※気象予報士関連の書籍は10年以上前に出版されたものに良書が多く、現在では書店で入手できないものが多くなっています。入手できない場合は、地元の図書館で探してみてください。

【気象現象をサラッと学びたい】
「図解気象・天気のしくみがわかる事典 きれいな衛星写真)+イラストでわかりやすく解説」(青木孝・監修、成美堂出版)

【気象現象別に事例を見たい】
「気象予報士試験標準テキスト」(新田尚・監修、オーム社)P.141〜185

【衛星画像を見たい】
「日本の天気と気象図鑑」(村田健史ほか、誠文堂新光社、2017年)


本を読むと分かった気になりますが、これだけでは頭の中に定着しません。自分でサブノートを作り、自分で理解したことを書き出してみます。これを毎日のように見返すことで、徐々に知識が自分のものになっていきます。

キーワードを隠して穴埋め形式にしておくと、復習時の効果が上がります。

ただし、サブノートを作ることが目的ではありません。自分が分かれば良いので、綺麗に作る必要はなく、ノート作成に手間をかけないようにしましょう(私はパソコンで作成していました)。

作図や読図は、自分だけの教材を作る


実技試験では図を書いたり、図を読みとる問題が出題されます。しかし、前線や等値線の解析は教材が乏しいこともあり、苦手とする方も多いと思います。

このような解析問題は自分でオリジナル教材を作成し、それを繰り返すことで手順を身体に覚え込ませます。

教材のネタは次のように準備します。

①過去問題から抽出する
これが一番てっとり早い方法です。

②参考書から抽出する
参考書には練習に使えそうな事例が載っていることがあります。
(例.「らくらく突破気象予報士かんたん合格テキスト 実技編」P.426〜435)

エマグラムは下記サイトから入手できます。SSIを計算してみたり、天候に応じた湿り具合や逆転層の状況を、日頃から見ておきます。
https://www.sunny-spot.net/emagram/

③スクールの資料を利用する
受験講座などで配布される資料を利用します。私はハレックスの実技講座(3日間講習)でもらった前線と等値線の問題(といっても、たかだか1〜2問ですが)を繰り返していました。

④気象庁資料から作成する
気象庁のホームページから、前線解析だったら「日々の天気」、風のシアーの解析だったら「ウィンドプロファイラ」の中から適切なものを選んできます。しかしこれは作成に時間がかかるので、あまりオススメはできません。

教材のネタをが入手できたら、問題と解答用紙をコピーして、自分だけの問題集としてまとめます(クリアフォルダーに入れるだけで十分)。

これにより苦手な分析問題を顕在化させることができます。製本された問題集の中に教材が埋れていては意味がありません。苦手なものだけをまとめておくというのが大事な点です。

自作の教材で定期的に練習し、試験日が近づいてきたらほぼ毎日実践すると効果的です。

間違いの記録をつける


過去問題を解いて間違いがあったときには、その答えだけでなく、なぜその答えが導き出されるのか、なぜ自分は間違えたのかを余白に書き込みます。

ここに自分の弱点が詰まった、「自分だけの傾向と対策」書になります。これが最も価値のある参考書になります。

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自分の分身みたいなものなので、試験直前にもこれを読み返すことで落ち着くことができます。私は試験当日もこれを持ち込むことで精神安定剤になりました。

気象のロジックを整理する


気象現象には基本的なロジックがあります(「気象ロジック」は私の造語です)。

ある気象現象が発生するには、必ずその前提条件があります。その因果関係を頭の中で整理しておくことが大事です。

例えば次のようなものです。

【トラフと高度場の関係】
トラフが接近する→高度場が下がる

【温帯低気圧が発達する条件】
トラフ前面、正渦度の下方で上昇流が発生する

【上昇流が発生する条件】
上層に正渦度移流がある
下層で暖気移流&寒気移流がある
下層に暖湿気が流入する

このようなロジックは意識的に整理しないと、ただ問題演習をやっているだけでは身についていきません。

参考書にはこのような気象ロジックを整理したものがないので、少しずつ自分で作っていきます。

防災事項についてもある程度パターン化してまとめておきます。ただ覚えるのではなく、例えば「なぜ大雪が交通障害に結びつくのか」を考えながら覚えることが大切です。

【大雨】
低地の浸水、河川の増水や氾濫、洪水、がけ崩れ、土石流

【暴風】
木造家屋の倒壊、樹木の倒木、送電線の断線、交通障害

【大雪】
交通障害、着雪、雪崩、落雪

気象ロジックが頭の中で整理されていないと、試験合格後も天気図解析で苦労することになります。

実況で習熟する


予報士を目指すのであれば、毎日、天気図を見て実況をつける作業を行いましょう。

気象庁の職員でも、予報官として一人前の仕事ができるようになるには20年を要すると言います。

実況をつける作業自体は、予報士試験の対策にすぐに結びつくものではありません。だからどうしても後回しになってしまいます。慣れないうちは30分~〜1時間ぐらいかかるかもしれません。

しかし、実況解析を繰り返すことにより天気図を見るスピードが速くなることはもちろんのこと、年間を通した気象要素の変化を理解することができるようになります。

【実況をつける作業】

「実況をつける」というのは天気図(ASAS, AUPQ35, AUPQ78, AXFE578, FXJP854など)と画像(レーダーエコー、衛星画像(IR, VIS、水蒸気))を見て、気が付いたことを書き留めていくことです。

それぞれの天気図を見ていったら、次に天気図相互の関連を見ることが大事です。

例えばAXFE578で500hPaの渦度を見つけたら、850hPaの温度場、700hPaの鉛直流、850hPaで暖湿気の流入はあるのか、衛星画像で雲があるのか、エコーはどうかというように、鉛直方向の関係を見ます。

湿りを見るのであれば地上天気図で露点温度を見たり、850hPaや700hPaの実況図でT-Td<3の領域を見たり、850hPaの相当温位・風を見たり、場合によってはエマグラムを見たりと、複数の図で確認することができます。

また、最初に300hPaのジェット気流を見ておけば、今後の気圧系の動きをある程度予測することができます。


実行する

対策が出来上がったらあとはそれをこなしていくだけですが、スケジュールを立てると実行管理がしやすくなります。

試験までの時間を3つの期間に分けてみます。

Ⅰ期 弱点補強期間
Ⅱ期 科目別演習期間
Ⅲ期 全科目演習期間

Ⅰ期
不合格の原因分析で浮かび上がった弱点は、Ⅰ期でやっつけておきましょう。

弱点が多い場合はじっくりと時間をかけたいところですが、この手のものはやり出すとキリがありません。全体期間の3分の1を超えない程度にしましょう。

Ⅱ期
Ⅱ期からは問題演習です。2科目以上を受験する場合でも、実技、一般、専門と各科目別に演習をした方が、早く全体を舐めることができます。これにより前項の「自分だけの傾向と対策」が出来上がれば、2回目以降の効率が上がります。

ただし、試験日まで間がなければこの段階を飛ばします。

Ⅲ期
Ⅲ期は試験日を意識した時期です。各科目の内容を忘れないように全科目を満遍なく、毎日演習しましょう。

私はダレやすい性格をしているので、「今日は◯◯ページまでやる」というように、スケジュールを日単位まで落とし込んでいました。これには、達成度がひと目で分かるという効果もありました。

最後にアドバイス。合格発表から次の試験までは3ヶ月あまりです。徹底的な対策を講じるのに時間が十分かどうか考えましょう。時間が不足ならば、試験を1回パスして9ヶ月先の試験に照準を合わせるという案もあります。


最後に

学習途上では成果が上がっているのかが分からず、迷いが生じることもあります。他の参考書に手を広げてみたり、投げ出したくなることもあります。そんな時でも基本に忠実に従うことが王道です。

2018年の大相撲秋場所で、横綱・白鵬は41度目の優勝とあわせて、幕内1千勝を達成しました。

白鵬は15歳で日本にやってきた当時は細身で、どこの部屋からも声をかけてもらえず、モンゴルに帰国する寸前までいきました。

しかし力士になりたいという夢を聞き入れてくれる人が現れ、その後はご存知の通りの活躍を果たしています。その秘訣に特別なものはなく、ただ基本を繰り返すことだそうです。

白鵬を知る人は、「彼は当たり前のことをやっているだけ。ただ、基本が一番きつい。それを続ける意思の強さがある」と語っています(朝日新聞、2018.9.23)。

地道な努力こそが成果につながります。自分を信じて。

次回試験の合格をお祈りしています。


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レーダー・エコーの見方 [試験対策]

レーダーエコーは降水強度分布の観測値を画像化したものです。

日常生活では「西の方に強いエコーがあるから、あとしばらくしたらうちのエリアでも雨が降りそうだな」というレベルでも役に立ちますが、気象解析をする上では不十分です。

レーダーエコーを単体で見るのではなく、ほかの天気図と突き合わせて総合的に解釈することで、気象解析の実力を向上させることができます。

今回のポイント

レーダーエコーの読み方のポイントは次の通りです。

①エコーの全体像を把握する
②降水強度の強い場所を確認する
③エコーの形状を確認する
④エコーの時間変化を確認する
⑤衛星画像と見比べる
⑥エコー発生の原因を推測する


事前準備

レーダーエコーと合わせて、その他にも必要となる実況資料を用意します。

・アジア太平洋地上天気図(ASAS)
・衛星画像(IR, VIS) ※IR(InfraRed:赤外)、VIS(Visible:可視)
・極東500hPa・700hPa天気図(AXFE578)
・850hPa相当温位図(FXJP854)

これらを突合して、総合的に降水の原因を総合的に推測します。

①レーダーエコーの見方

エコーの全体像を把握する


いきなり気になる場所から見るのではなく、最初にエコーの全体を見ることから始めます(日常生活の使い方とはスタートから異なりますね!)。

広い範囲から始めて徐々に絞り込んでいくという手順は、天気図を見るときだけでなく、レーダーエコーでも同様です。

エコーがベッタリと広い範囲に出ているのか、狭い範囲で出ているのか、これだけでもエコーの発生原因を推測する重要なヒントになります。

また、全体に一様な層状性(青色の)エコーなのか、強弱(青、黄、赤が入り混ざった)エコーなのかも確認します。

合わせて、エコーと気圧系(低気圧、前線など)との相対的な位置関係も考えます。

「相対的な位置関係」とは、「低気圧の中心の北側」とか「停滞前線の北側」のようなことです。このためには地上天気図が必要となります。

②降水強度の強い場所を確認する


次に降水強度の強い部分に着目します。

レーダーエコーには降水強度に応じて寒色系(青っぽい色)から暖色系(赤っぽい色)まで色付けされています。降水強度が強いのは暖色系の部分です。

エコーがかかっている部分に、降水強度を強める地形性の特徴がないかに注目します。

山岳地帯では大気が強制上昇することで降水が強化されます。典型例として九州山地の東側、四国山地の南側、紀伊半島の南東側があります。

参考に日本の主な山地を図に示しておきます。

mountains.png

③エコーの形状を確認する


エコーの形状(線状、コンマ状、団塊状など)と走向を確認します。

エコーの形状は、降水の発生原因に結びつく重要な手がかりです。

例えば、線状であれば積乱雲が次々に発生していることを示唆します。コンマ状であれば、その中心に低気圧の中心が存在する可能性があります。

特徴的なものは、後で衛星画像で確認をします。

④エコーの時間変化を確認する


レーダーエコーの動画を使って、エコーが動かずに停滞しているのか、あるいは動いている場合はどの方向に動いているのか。形状や範囲の変化はあるのかを確認します。

気象庁ホームページでは、3時間前から5分おきの画像をコマ送りで見ることができます。

⑤衛星画像と見比べる


降水がある場所の上空には必ず雲があります。エコーを雲画像と対照させることで、雲の種別を確認することができます。

⑥エコー発生の原因を推測する


レーダーエコー単独で原因を判断せずに、高層天気図で鉛直流、渦度、風の場、気温の場との関係から、エコーが発生した原因を推測します。

例えば、地上低気圧の中心の北側と温暖前線の北側にベッタリとエコーが出ている場合、700hPaで上昇流があり、500hPaで渦度が確認でき、暖気移流・寒気移流があれば、これは間違いなく温帯低気圧に伴う降雨だと判断できます。

【事例】下層の暖湿気によるエコー

2018年6月29日、九州、四国地方で非常に激しい雨が降りました。

11時のレーダーエコーがこちらです。

全国エコー1100.png

これより2時間前、9時の速報天気図はこちらです。

スクリーンショット 2018-06-29 13.59.29.png

梅雨前線が北日本から日本海を通り、華中にのびています。

太平洋高気圧が西へ勢力を強め、前線との間で気圧傾度力が強まっています。

沖縄の南には台風が発生し西へ進んでいます。

この日、関東甲信地方では梅雨明けが発表されました。

①全体の分布状況は?


エコーは沖縄地方および西日本から日本海中部に広がっています。また北海道の太平洋側東部と日本海側にもエコーが見られます。

地上天気図と見比べると、エコーは北海道を除いてはおおむね梅雨前線の南側に見られます。

②降水強度の強い場所


その中でも暖色系で示された降水強度が強いのは、福岡、四国および中国地方です。

九州地方北部:
九州北部地方エコー.png

四国地方:
四国地方エコー.png

高知県の降水強度の強いエコーは、四国山地で強化されていると考えられます。

一方で、北海道では降水強度の弱いエコーが見られます。

③エコーの形状


福岡、四国および中国地方の降水強度の強い部分を見ると、4〜5本の並行な線状エコーを確認することができます。

その走向は南南西から北北東に向かっています。

④エコーの時間変化


3時間にわたる推移を見ると、エコーは全体としては北東に進んでいるものの、四国では非常に激しい雨が降り続いています。

12時:
全国エコー1200.png

13時:
全国エコー1300.png

14時:
全国エコー1400.png

⑤衛星画像


10時50分の衛星画像です。

赤外画像(IR)。

赤外.png

東シナ海から西日本にかけて、とても白い雲が出ているので、雲頂高度が高いことが分かります。

可視画像(VIS)。

可視画像.png

南西諸島から日本海にかけて、対流雲の筋が何本も見えます。
強いエコーはこの対流性の雲による降水と考えられます。

⑥エコーの発生原因


850hPa相当温位図を見てみます。

相当温位.png

342Kの相当温位線(緑色)に着目すると、西日本のほぼ全域をカバーしています。西日本は非常に相当温位の高い暖湿気が40ktの南南西〜南西の風で流入しています。これは線状降水帯の形状とも一致します。

850hPa気温・風と700hPa鉛直流の天気図(ここでは省略)には、九州南部および四国で鉛直流の極値(ー38)があります。

これが非常に激しい雨の直接の原因と思われます。

梅雨前線による雨では400〜500km程度の幅を持った一様な降水帯となります。
北海道の降水は梅雨前線によるものと思われます。

一方で、西日本の強い降雨は北に張り出している太平洋高気圧の縁辺流と、台風がもたらした暖湿気が停滞前線に流入したものです。

梅雨期には前線の北側に降水帯が広がりますが、梅雨末期には南側で今回のような激しい雨となることがあります。

さいごに

気象予報士試験では、冒頭に紹介した6つの解析ステップの一部を問われることがあります。

レーダーエコーは気象庁のホームページで「レーダー・ナウキャスト」として見ることができますが、3時間経過すると削除されてしまいます。特異な気象現象が発生したら、普段から学習素材を集めておくことをお勧めします。

低気圧や台風などが現れたときには、その時のレーダーエコーと衛星画像(IR, VIS)を保存しておくと、後の学習に役立ちます。

画像取得時にはできるだけ時刻を朝9時、あるいは夜9時に行うと、高層天気図とも合わせやすくなります。

【リンク】
レーダー・ナウキャスト http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/
気象衛星画像 http://www.jma.go.jp/jp/gms/
高層天気図 http://www.hbc.co.jp/weather/pro-weather.html


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試験に出る地名 [試験対策]

(初稿)2018.7.15
(改版)2020.1.5
はじめに

実技試験では毎回、「気象概況と総観場」に関する問題が最初に出題されます。

これは「実況把握」と言われるもので、地上天気図、高層天気図、衛星画像などの実況図を用いて、現在の状況を理解することです。中でも大事なのは、気圧系(低気圧、高気圧)や前線の位置を確認することです。

位置を特定するときには、気象解析で特有の地名表現を用いるので、それに慣れておくことは試験対策上のみならず、将来のことを考えても大切です。

そこで過去の試験に出題された島嶼、山地、半島・岬など、地名の一切をまとめてみました。

地理的・政治的な呼称とは差分があるので、あくまでも気象解析上の呼称と割り切りましょう。目的は気圧系のおおよその位置を表現することなので、厳密さは必要ありません。


諸島、半島・岬

日本の島


日本の全体地図で島を見ると点々になってしまって、なかなか覚えにくいものです。

日本の島を①伊豆諸島、②小笠原諸島、③南西諸島、の3つに分けて覚えましょう。

その上でポイントは次の2つです。

・諸島を構成する代表的な島の名前を覚える
・諸島が緯度・経度のどのマス目に位置するのかを覚える(代表的な島以外の位置は気にしない)


諸島.png


上図では緯度線、経度線を5度おきに引いてあるので注意してください。

以下で大文字にしてある八丈島、父島、南西諸島、奄美大島、沖縄は過去に出題されているので、場所をしっかりと覚えてください。

①伊豆諸島

伊豆諸島を代表する島は八丈島です。

場所は房総半島の南、東経140度線にほぼ沿って、緯度的には四国の南端と同じぐらいまで広がっています。

②小笠原諸島

小笠原諸島を代表する島は父島です。

小笠原諸島は図で示した範囲よりも実際には広いのですが、父島の場所を覚えましょう。

父島はおよそ「東経142度、北緯27度」です。
伊豆諸島よりは東側で、緯度的には台湾の北端より少し上です。

③南西諸島

南西諸島は複数の諸島などから構成されています。
大島諸島、トカラ列島、奄美群島沖縄諸島、宮古列島、八重山列島、大東諸島、尖閣諸島。

なお、「八重山諸島」「宮古列島」「尖閣諸島」をまとめて「先島(さきしま)諸島」と総称します。

南西諸島は九州の南端から台湾にかけての対角線に並んでいます。中でも台湾の東に横にほぼ一直線に並んでいるのが先島諸島です。

半島と岬


半島は3方を海に囲まれて海に突出した陸地、岬は海に突き出た陸地の先端部で半島より小さいものを言います。

半島や岬は低気圧や台風が上陸してくる典型的な場所なので、試験でもよく出てきます。

半島と岬(枠).png


北海道の南端にあるブーツのような形をした渡島半島は「おしまはんとう」と読みます。


海、海流、海峡・水道、湾、海上、沖

海と海流、海峡・水道と湾


日本はオホーツク海、東シナ海、日本海、太平洋の4つの海に囲まれています。

4つの海には冷たい寒流の千島海流(親潮)とリマン海流、暖かい暖流の日本海流(黒潮)と対馬海流の4つの海流が流れています。

海峡とは2方向が外の海に開き、2つの海をつなぐ狭い海を言います。
水道は海峡とほぼ同義です。

湾とは1方向だけが外の海にひらけている海を言います。

海・海峡・湾・海流(枠).png

日本海には暖流の対馬海流が流れているため、冬季にはシベリアから吹いてきた冷たい空気が気団変質を起こします。

海上


日本は四方を海に囲まれており、気圧系の位置を特定するのに「〜(の)海上」と言うことがあります。

注意)
「北海道の西海上」は「せいかいじょう」ではなく「にしかいじょう」、もしくは「にしのかいじょう」と読みます。

以下について、地図を見ながら固有表現として覚えておきましょう。

<北海道地方>
 北海道の西(の)海上
 北海道の東(の)海上
 北海道の南東(の)海上

<関東地方>
 関東の東(の)海上
 関東の南東(の)海上

<九州地方>
 九州の西(の)海上

第50回の試験では、低気圧の位置を答えさせる問題が出ました。正解は「北海道の西(の)海上」ですが、「北海道の西」(=北海道西部)では不正解です。

日本の沖


沖とは「海などで岸から遠く離れたところ」のことです。

過去の問題では、三陸沖、山陰沖、能登沖、四国沖、津軽沖が出題されたことがあります。

沖.png



なお、「短期予報解説資料」では「ウラジオストク沖」や「日本海西部元山沖」の記載もありますが、試験では出題されたことがないので割愛します。


山脈

地方気象情報に用いられる山地名として中部山岳、紀伊山地、中国山地、四国山地、九州山地があります。

中国山地、四国山地、九州山地は斜面が南に開けているため、南西風が入ると地形性強化により大雨になることがあります。

mountains.png

飛騨山脈は俗に北アルプスと呼ばれますが、気象では中部山岳地帯と呼ばれています。

また、「脊梁(せきりょう)山脈」とは、「ある地域の背骨に相当するような大山脈」(デジタル大辞泉)を表す一般的な用語です。
奥羽山脈のような特定の山脈を指すものではありませんが、一応「脊梁」という漢字を書けるようにしておきましょう。

※第49回実技2では「脊梁山脈」が出題されています。


高層気象観測点

国内にはラジオゾンデによる高層気象観測点が17ヶ所あります。これらはエマグラム関連の問題で出題されることがあります。南鳥島と昭和以外は地図上の場所を覚えましょう。

観測地点 所在地
稚内(わっかない) 北海道稚内市
札幌(さっぽろ) 北海道札幌市
釧路(くしろ) 北海道釧路市
秋田(あきた) 秋田県秋田市
輪島(わじま) 石川県輪島市
館野(たての) 茨城県つくば市
八丈島(はちじょうじま) 東京都八丈島八丈町
松江(まつえ) 島根県松江市
潮岬(しおのみさき) 和歌山県東牟婁郡串本町
福岡(ふくおか) 福岡県福岡市
鹿児島(かごしま) 鹿児島県鹿児島市
名瀬/本茶峠(なぜ/ふんちゃとうげ) 鹿児島県奄美市
石垣島(いしがきじま) 沖縄県石垣市
南大東島(みなみだいとうじま) 沖縄県島尻郡南大東村
父島(ちちじま) 東京都小笠原村
南鳥島(みなみとりしま) 東京都小笠原村
昭和(しょうわ) 南極昭和基地


高層観測地点.png

高層観測点2.png


アジアの地名など

アジア大陸にあるトラフの位置を特定することは予報では重要な作業です。日本の天気に影響を与える可能性があるためです。

しかし500hPa解析図には多くの情報が書き込まれているため、地形図を読み取ることが困難です。
緯度・経度のマス目からパッと地名を判断できるようにしたいものです。

asia (名称).png


PDF版はこちらです。アジアの地名など.pdf

気象庁の内部資料である「短期予報解説」資料では、こんな感じに使われています。

中国華北から華中の 500hPa5820m 付近のトラフはほとんど停滞。梅雨前線が黄海から日本海を通って北海道へのびて停滞。日本の東から太平洋高気圧が日本の南へ張り出している。」

トラフ、前線、高気圧の場所を示すのに地名が使われていることが分かりますね。

気象庁が用いる地名は「全般気象情報などに用いるアジア・北西太平洋域の地名、海域名」(以下、「地名・海域名」と略します)としてホームページ上で公開されています。

実際の行政区域などとは大きな差分があることは頭に入れておく必要があります。


最後に

今回のような地名(実際にはもう少し多くのものが使われます)を気象庁の人は何の躊躇もなく使っています。

「せっかく地図を使っているのだから、場所は緯度・経度で示すべきでは?」とも思いますが、ピンポイントで特定するよりは短時間でパッとおよその場所を言えることが大事なんだと思います。

すぐに覚えるのは大変なので、面倒臭からずにその都度地図で確認しながら、身体に覚えこませましょう。


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今後の予定 [試験対策]

気象予報士試験の過去問題を分析した「傾向と対策」を準備中です(4月下旬に公開予定)。

ご要望などあればお寄せください。
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ディバイダーを使いますか? [試験対策]

ディバイダーは、天気図上で擾乱などの移動距離を測定したり、移動速度を算出するのに用います。もちろん定規でも同じことができます。

ディバイダーの利用には一長一短があるので、本番で用いるかどうかは本文を読んでからご自身で判断してください。

【注意】
ディバイダーなどの用具は普段から使い慣れていることが大切です。慣れていない状態で本番で使うのは時間のロスや間違いにつながります。

今回のポイント

・移動距離や速度の簡易算出に適するが、誤差が生じやすい。
・使い方に自信がなければ、本番では使わないこと。定規でも十分こと足りる。


ディバイダーの使用原理

使い方はいたってシンプルです。2地点間の距離を測定するには以下のステップを踏みます。

① ディバイダーを開いて、2本の針をそれぞれの地点に当てます。
② ディバイダーの開いている間隔を、経度線を物差しにして度数で測ります。
③ ②で測った度数を海里もしくはkmなどに換算します。

では、順を追って説明していきます。

①ディバイダーを開いて、2本の針をそれぞれの地点に当てます。

特に問題はないと思います。先に一端を合わせてから、もう一端を合わせるようにディバイダーの足を開きます。

ディバイダーの針は紙に穴があくほどには尖っていないので、比較的真上から合わせないと針がズルッと滑ってしまいます。

IMG_7621.JPG

天気図上で低気圧の中心は低気圧を表す「L」字の重心にあるので、ここにディバイダーの一端を持ってきます。

② ディバイダーの開いている間隔を、経度線を物差しにして度数で測ります。

ディバイダーの針の開いた間隔が距離を表しますが、このままでは距離にはなりません。物差しにあてて距離を測る必要があります。

ここで物差しに使うのが、天気図上を南北に走っている経度線です。ディバイダーを開いたまま東経40度線まで持ってきます。そして最も近い緯度線との交差にディバイダーの一端を合わせ、もう一端を経度線上に置きます。

IMG_7624読み取り.JPG


ディバイダーの開きが経度線上で何度分に相当するかを目分量で読み取ります。上の例では「8度」と読むことができます。後ほど「出題事例」でも紹介するように、ここで読み取る際に誤差が生じる可能性があります。

目分量ではなく定規で測っても良いのですが、これだと手間が増えてディバイダーを使う意味が全くなくなります。

距離換算するには必ず経度線(南北の線)に当てます。地球儀を見ると分かりますが、経度線は必ず北極と南極を通るので1度の距離はどこで測っても同じです(注)。緯度線は緯度に応じて1度の距離が変わってくるので、物差しとして使うことができません。
(注)天気図はポーラーステレオ図法で描かれているので、厳密には異なります。

③ ②で測った度数を海里もしくはkmなどに換算します。

距離を求めるには、②で求まった度数を60倍すると海里(NM)になります。あるいは、度数に111.1を乗じるとキロ数になります。

移動速度(ノット)は1時間あたりの移動海里数なので、12時間の移動速度は度数を5倍(=60÷12)で求まります。

次の関係式を覚えておきましょう。

緯度1度の距離=60NM (NM: nautical mileは海里のこと)
60NM=10,000km÷90度=111.1km(1NM=1.852km)


②で読み取ったの「8度」を距離に換算します。

 8度×60(NM/度)=480(NM)
           =480(NM)×1.852(km/NM)
           =889(km)

この距離を12時間で移動した場合、移動速度は次により求まります。
 
 8度×60(NM/度)÷12(時間)=40(ノット)

出題事例

図6(中)で北海道付近に予想される低気圧について、その後12時間の移動の速さ(1ノット刻み)を答えよ。
(第46回実技2、問2(2)一部改変)

図6(中)地上気圧・降水量・風24時間予想図
図6(中).png

図7(中)地上気圧・降水量・風36時間予想図
図7(中).png


解答例

図7(中)に、図6(中)の低気圧の中心を写し取り赤い×をつけます。
次に赤い×と12時間後の低気圧中心(L字の重心)の間隔をディバイダーで測ります。

IMG_7631.JPG


ディバイダーの開きを経度線で測ります。

IMG_7634.JPG


開き具合が緯度40度線と50度線で示される10度のほぼ1/4に相当しているので、「2.5度」と読み取ります。

これを12時間の移動速度に換算します。

 2.5×60(NM)÷12(時間)=12.5(ノット)

1ノット刻みで答えよとの指定があるので、四捨五入して13(ノット)を得ます。

考察

センターの解答例は「12ノット」であり、13ノットは許容されていません。

正解を得られなかったのは、ディバイダーの開きを2.5度と読み取ったからです。正解を得るにはディバイダーの開きを2.3もしくは2.4と読み取らないといけません。

経度線でコンマ1度レベルまで読み取ることができますか?

ちなみに「1度=60分」ですから、正しくは1/60まで読み取らないといけないことになります。

いずれにしても、私にはできません。


最後に

私はディバイダーを使わずに受験しましたが、合格できました。当時は使い方をよく知らなかったということもありますが、定規でも全く不足は感じませんでした。

ディバイダーにしろトレーシングペーパーにしろ、使う道具が増えてくると時間ロスが増えるように思います。

本稿をまとめるにあたりディバイダーを試してみましたが、次の3点がとても気になりました。

・1ノット刻みを求められる場合は、読み取り精度に難がある。
・開脚角度が小さいとディバイダーが紙面の上を滑ってしまいイライラする。
・1NM=1.852kmの換算値を忘れるリスクがある。

ササッと概算値を出すには良いツールだと思いますが、試験では使わなくて正解だったと思います。

あなたならどうしますか?


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計算問題はここに注意しよう [試験対策]

計算問題毎回のように出題されています。数字の扱い方に慣れておきましょう。

今回のポイント

・グラフの読み取りは最小目盛の1/10までを読む。
・小数点の計算は、求められる結果より一桁多い桁数で計算する。
・四捨五入だけではなく、「二捨三入・七捨八入」にも慣れておく。
・筆算は大きな字ではっきりと、縦の列を揃えて書く。


有効数字に気をつけろ!

観測装置やグラフの読み取りには、必ず誤差が含まれます。誤差の大きい数値と小さい数値が混在している場合は、あまり細かいところに気を使っても労力のムダです。

そこで有効数字という考え方を用いて、一定のルールに従って数値の処理を行います。有効数字とは最下位の桁に誤差を含む数値のことです。

結論から言うと、気象予報士試験では有効数字の考えが徹底されていません。計算問題では与えられた数値をそのまま使って計算すれば問題ありません。解答でもある程度の数値の幅が許容されています。

しかし以下の2点だけは頭に入れておきましょう。


グラフの読み取り

グラフの読み取りでは、軸で与えられた最小目盛の1/10まで読み取ります。そこまでは目分量で読むことができるからです。

試験でよく出される問題に、「降水量の時系列図から、最大降水量を読み取り答えよ。」があります。

こちらは第45回実技2、問3(3)で出題された地上風・降水量の時系列図です。

地上風・降水量の時系列図.png

前1時間降水量は縦軸で表されています。最小目盛は2mmなので、その1/10の0.2mmまでを読み取ります。

例えば、
 19時までの前1時間 ・・・15.6mm(15.5mm)
 20時までの前1時間 ・・・21.0mm(21.0mm)
 21時までの前1時間 ・・・12.0mm(12.0mm)
と読み取ることができます。

【補足】
上記の読み取り値で()内は「模範解答と解説」(東京堂出版)の解説に示された読み取り値です。これだと最小目盛の1/20まで読んでいることになります。そもそも与えられた図の目盛は定規で読み取っても4.5mm程度であり、これ自体誤差を含んでいます。したがって、1/20まで読み取る必要はありません。



小数点の計算

有効数字はちゃんとやろうとすると少し面倒ですが、試験対策上は「求められている桁数より、途中の計算では1桁分だけ桁数の大きな数で行う」ことを覚えておきましょう。

例えば、「小数点第1位を四捨五入して答えよ」とあれば、途中の計算は小数点第2位までで行います。

ただし、小数点の掛け算・割り算で混乱が発生することがあります。次の問題を見てください。

気象要素の時系列図を見て次の問いに答えよ。
①瞬間風速が最大となった時刻(10分刻み)とその風速(1m/s刻み)を答えよ。
②その時刻における瞬間風速の平均風速に対する比を四捨五入により小数第1位までの数値で答えよ。

気象要素の時系列図.png
(第45回実技1、問3(4)①を改変)


①の解説:
風速の最小目盛は1(m/s)なので、0.1(m/s)まで読み取ります。
最大瞬間風速は0時50分の21.9(m/s)と読み取れるので、「1(m/s)刻み」との指示に従い22(m/s)が答えになります。

②の解説:
この時の平均風速も0.1(m/s)まで読み取り、8.9(m/s)と読み取ります。

さて、瞬間風速の平均風速に対する比を計算するときに、どの数値を使えば良いのでしょうか。

瞬間風速は21.9もしくは22、平均風速は8.9もしくは9が考えられます。①と②で有効数字が揃っていないのでこの混乱が生じます。

②では「小数第1位で答えよ」とあるので、
 ・計算に使う数値も小数第1位のものを使う
 ・途中の計算は小数第2位まで行う
 ・最後に小数第2位を四捨五入する
とするのが最善策です。

21.9÷8.9=2.46 →2.5となります。

ちなみに、①で1(m/s)刻みとしているので、センター発表の解答例では 22÷9=2.4 も許容されています。

センター発表解答例:
 瞬間風速の平均風速に対する比: 2.5(2.4)

端数処理

端数処理とは数値を丸めることで、計算結果を最大有効桁位にするのに用いられいます。

試験では「四捨五入して答えよ」のような指示に従えば良いだけです。一般的な端数処理は四捨五入ですが、過去には「二捨三入」が出題されたことがあります。

本番でびっくりしないように慣れておきましょう。

四捨五入の問題

過去4回分(第45回〜第48回)の試験問題を分析すると、四捨五入の問題は次の二つに大別できます。

①小数第1位を四捨五入して、整数で答えさせる。

問題文としては「小数第1位を四捨五入して整数で答えよ」「四捨五入により整数値で答えよ」「四捨五入により1mm刻みで答えよ」というものです。

求める数値は整数なので、途中の計算は小数第1位まで計算し、最後に小数第1位を四捨五入して整数にします。

  例) 43.5 →43

②四捨五入により小数第1位までの数値で答えさせる。

問題文としては、そのまま「四捨五入により小数第1位までの数値で答えよ」です。

小数点以下第1位までの数値を求めるので、途中の計算は小数第2位までで行います。最後に小数第2位を四捨五入して小数第1位までの数値にします。

  例) 43.54 →43.5


二捨三入とは

最小の位の数字を「0」か「5」に揃えるために用いられます。

【二捨三入の処理】
端数が・・・
 1・2のときは0として切り捨てる
 3・4・5・6・7のときは5にする
 8・9のときは10として切り上げる

この処理から「二捨三入・七捨八入」とも呼ばれます。

分かりにくいので、具体例で見てみましょう。

例)「41から50までの整数を二捨三入しなさい」
答) 41、42 → 40
   43、44、45、46、47 → 45
   48、49、50 → 50


二捨三入の出題事例①

最大3時間降水量を図から読み取り、二捨三入して5mm刻みで答えよ。
第45回実技2、問3(3)②(一部改変)

降水量の時系列図(ここでは省略)から最大3時間降水量は48mmもしくは49mmと読み取ることができます。

いずれの数値でも、1桁目を七捨八入をして50mmとなります。


二捨三入の出題事例②

仮温度は気温Tに水蒸気量に関する項Twを加えたものである。850hPaにおける混合比w(g/kg)からTwを求める概算式Tw=0.18wを用いて、地点aと地点bの850hPaの仮温度を求め、二捨三入により0.5℃刻みで答えよ。
第47回実技1、問2(3)②(一部改変)

この前の問題で
 地点a: 気温 16.0℃、 混合比 13(g/kg)
 地点b: 気温 16.0℃、 混合比  7(g/kg)
と求まっています。

有効数字は3桁として仮温度を求めます。
 地点a: T=16.0+0.18×13=18.34 →18.3(小数第2位を四捨五入)
 地点b: T=16.0+0.18×7=17.26 →17.3(小数2位を四捨五入)

小数第1位を二捨三入して、Ta=18.5、Tb=17.5 を得ます。

上記では小数第2位を四捨五入してから小数第1位を二捨三入するというステップを踏みました。では、小数第2位を切り捨てて小数1位を二捨三入するとどうなるでしょうか。センター発表の正解例では許容範囲になっています。

 地点a: 18.34 →18.3(小数第2位を切り捨て) →18.5(小数第1位を二捨三入)
 地点b: 17.26 →17.2(小数第2位を切り捨て) →17.0(小数第1位を二捨三入)

センター発表解答例:
 地点a: 18.5(18.0)
 地点b: 17.5(17.0、18.0)

かけ算を確実に!

そもそもですが・・・、本番の試験で計算間違いは絶対に避けなければなりません。そのためには日頃から、間違い防止を意識した計算を実践しましょう。

小手調べから

まず、次の例題を解いてみてください。

9637×3、9637×73、683×296

すんなり回答できなかったという方は、かけ算対策をすべきです。本番では検算をしている余裕はありません。一回で確実に計算できるようにしましょう。

答えは次の通りです。

9637×3=28911
9637×73=703501
683×296=202168


対策

①計算は大きな字で、はっきりと書く

計算に時間をかけたくないので、用紙の隅の方に、まるで悪いことでもしているかのように書いていませんか?走り書き程度だと字がはっきりしないし、桁上がりなどを間違える可能性が高まります。

②縦の列を揃えて書くように意識する

縦の列が揃っていないと、計算の最後に同じ桁の数字を足す時に間違えが発生します。意識して列を揃えるようにします。

③繰り上がりの数字を書く

下の写真のように、繰り上がる数字を忘れないようにメモっていくやり方です。すでに実践している人も多いかと思います。

IMG_7506.JPG


④新しい計算法を習得する

世の中にはいろんな計算法があります。「インド式」「レンガ筆算」「繰り上がり分離法」などで検索すると出てきます。いずれも③の変形法で、繰り上がる数字を明示的に書くものです。最後の足し算が長くなるというデメリットがあります。

国が異なれば計算法も異なります。気象の勉強を忘れて、計算法にのめり込みすぎないように注意!


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参考書はこれだけで十分! [試験対策]

初稿:2017.11.20
修正:2017.12.28, 2019.5.7
今回のポイント

・実技試験対策の本は価格が高い上に、大型書店でも品揃えが少ない。

・本稿で紹介する事前準備用の3冊、演習用の2冊に十分取り組めば、合格レベルに達する可能性大。

・参考書がカバーしない知識や情報もたくさんあり、自ら補う必要がある。


実技参考書の事情

気象予報士試験の参考書は、学科(一般知識)、学科(専門)、実技に分かれています。学科を一冊にまとめたり、学科と実技を一冊にしたものもあります。

それぞれの構成は、①教科書のように解説が主体のもの、②問題演習が主体のもの、③解説と問題演習を合わせたもの、があります。

気象予報士試験の実技対策の参考書は③のタイプが主流で、次のような特徴があります。

・概して古い書籍(出版されてから年数が経っている)が多い。
・実技試験に絞った書籍は数多くないが、大型書店でも在庫を置いていないことがある。
・価格が高い。

古い書籍のメリットは、現在では入手困難な過去問題が含まれていることです。しかしデメリットもあります。最大の問題点は内容が更新されておらず、予報業務の変化が反映されていないことです。

近年は激しい気象現象が増加しており、それに応じて防災情報の拡充が行われています。警報の発表基準なども見直されています。

売れている書籍は改定により最新化を図っていますが、良書であっても増刷されずに古い在庫のみが並んでいることもあります。もちろん、最近の気象事例が取り上げられていないというのも古い書籍の懸念点です。

都心の大型書店でも気象予報士試験の対策本の品揃えが豊富な店は少ないです。ジュンク堂書店各店、三省堂書店神保町本店はだいたい揃っています。それ以外の書店では、市販されている参考書を全て揃えている店はあまりないと思います。

実技試験では高層天気図を扱うため、実技対策本は大型でページ数も多くなります。部数が出ないせいか、価格は3千円以上もします。

こうした事情からアマゾンでポチすることが多いものの、満足できる内容でないと本当にがっかりしてしまいます。

一方で、どの書籍も著者が苦労して執筆されているのでしょうが、受験者目線で見ると本当に知りたいことが書かれた本は残念ながらありません。

具体的に不足しているのは次の4項目です。

 ・基礎事項の解説
 ・天気図解析の手法解説
 ・気象現象の解説
 ・過去事例の紹介

しかし、現実には市販の教材を使うしかありません。そこでお金と時間をムダにしないよう、私の経験から数冊を厳選してみました。これらの本に取り組めば合格の可能性は高まります(事前知識ゼロの私が、これで合格できました)。

書籍名に付した番号順にステップアップしていくのがオススメです。

まずは実技問題に取り組む前に、準備として読むと良い書籍から紹介します。

事前準備編

①「改定新版 わかりやすい天気図の話」
大塚龍蔵・著、クライム気象図書出版、800円+税

天気図の書き方手引.png


・等圧線と前線について、試験対策書(後述)には書かれていない内容が平易に説明されている。

・何と言っても、全74ページと薄くて読みやすいのが嬉しいです。初版は昭和39年、ラジオで気象通報を聞いて天気図を書く人の入門書として書かれた古典です。時代の流れにも色褪せない基本が書かれています。


②「わかりやすい天気図の話」
クライム気象図書出版、800円+税

天気図の話.png


・①と似た感じの書籍なので、①を熟読して相性が合えばこれも手に取ると良いでしょう。


③「ダイナミック図解 天気と気象のしくみパーフェクト事典」
平井信行・監修、ナツメ社、1、500円+税

天気と気象のしくみ.png


・日本の四季の気候及び気象現象を豊富な写真と図解で解説しています。日々の天気予報や学習の過程で気になった現象を拾い読みすれば良い。頭から全ページ読む必要はありません。

・類似書は他にも出ているので、どれでも気に入ったものを一冊手元に置いておくと安心です。


続いては、問題演習の書籍です。

演習書

④「らくらく突破気象予報士かんたん合格テキスト 実技編」
気象予報士試験受験支援会・著、技術評論社、3,200円+税

らくらく突破.jpg


【本書の特徴】

・ほぼB5サイズで全447ページという、手にした瞬間に圧倒されるボリューム。前半はテキストで、後半が7問の「テーマ別事例演習」という構成。

・テキストは「実技のための基礎知識」「天気図の読み方と着眼点」「合格のための試験対策と作図対策」から構成。

・テーマ別事例演習は過去問題ではなく、本書のオリジナル問題と思われる。

【感想】

・この本の使い方は、前半のテキストは無視して、後半に「第4章 テーマ別事例演習」と題して7問の事例が掲載されているので、こちらから着手しましょう。最初はできなくて当然です。分からないなりにひと通りやってみると、土地勘が湧いてきます。その時点で前半のテキストを事典代わりに読んだり、他の参考書などに当たってみると無駄がありません。

・本書を1ページ目から順番に読むのは避けるべきです。枚数は多いですが、ダラダラと書いてあるだけで事象のイメージが湧かないからです。途中で挫折します(→しました)。「らくらく突破」シリーズは日本語が悪文で、読んでいるとイライラしてきます。しかも文章が冗長で、もっとストレートに要点だけ書いて欲しいとしばしば思いました。

・この書籍の良い点は、事例演習の解説が懇切親切な点です。知っておかなければならない知識が豊富に詰まっているので、解説は何度も読み返した上で、自分なりにエッセンスを体系化して要点集を作ると有効です。

・本書の問題は基本レベルです。知っておかなければならないことが多く含まれますが、これだけでは今日の試験に合格することはできません(本書にもその免責が書かれています)。本書を2〜3回程度やったら、次の参考書⑤にステップアップしましょう。


⑤「’15−‘16年版 ひとりで学べる!気象予報士実技試験 完全攻略テキスト&問題集」
気象予報士試験対策研究会・編著、ナツメ社、3,200円+税

ひとりで学べる.jpg


【本書の特徴】

・全335ページで、前半はテキスト、後半は問題集の解説という構成。問題集は別冊綴じ。

・テキストは「各種実況図・解析図などの見方」「各種解析」「気象情報」「気象現象別の攻略法」から構成。

・問題集は過去問(第33回〜42回)の中からテーマ別に11問を厳選して収録。テーマは以下の11分野:南岸低気圧、日本海低気圧、二つ玉低気圧、寒冷低気圧、温帯低気圧とポーラーロウ、梅雨前線、台風、台風と寒冷低気圧、台風と秋雨前線、日本海側の大雪、太平洋側の大雪。

【感想】

・私は参考書④を2回ほどやってから本書を始めたところ、④との難易度のギャップが大きく(本書の方が難しい)呆然としました。そのお陰で本腰を入れて勉強するようになったという副次効果?がありました。

・④と比べるとテキストに気象現象別の解説があるのは良いのですが、複数の執筆者が手がけているため、構成や内容の深さに統一感がありません。また、問題の解説が貧弱で(場合によっては全く解説がないこともある)、かなり自分で解釈を補わなくてはならないのでストレスが溜まります。

・本書は、あくまでもコスパの良い過去問題集と割り切って使うと良いと思います(注)。

(注)東京堂出版の試験回別の「気象予報士試験 模範解答と解説」は1回の試験分で2,500円します。
⑤の11テーマが満遍なく出題されたとしても、「気象予報士試験 模範解答と解説」を6回分(=15,000円)購入することになるので割高です。


ちなみに本書は2017年10月に「読んでスッキリ! 解いてスッキリ! 気象予報士実技試験合格テキスト&問題集」となりました。

スッキリ.png



⑥その他

参考書④(最低2回)と⑤(最低3回)をこなすのでかなり時間を要しますが、余力があれば「気象予報士試験 模範解答と解説」(東京堂出版)、「気象予報士試験 速習テキスト 実技編」(オーム社)はあっても良いでしょう。

これ以上の書籍はあっても、試験対策上で有意義な知識を追加的に得られることはないと断言できます。

最後に

今回紹介した書籍も内容について満足いくものではありません。

気象現象の解説は事実の列挙がされているだけで、なぜそうなるのかというプロセスが解説されていません。そのため論理の飛躍が多く、読んでいると疑問がどんどん湧いてきます。また、問題解説については、問題の解き方の若干のヒントを与えてくれるだけです。

現状では、気象解析に必要な実力をつけてくれる書籍やサイトはありません。自身があらゆる機会を利用して知識を増やしていくしかありません。本サイトも解説記事を充実し、応援していきたいと思います。

追記(2019.5.7):

試験勉強時には参考書を何回読んでも分からないところが多数あり、ページのあちこちに「?」がつけられています。

試験に合格して1年半。毎日とはいかないまでも気象解析をしたり、ブログ作成のために調べ物をしたりしてきました。当時と比べると若干は引き出しが増えてきたのでしょう。

改めて参考書を読んでみると、あら不思議!以前は分からなかったことが、行間を埋める知識が身についたおかげで、「ああ、こういうことね」と理解できるようになってきました。そんなこともあり、昔の参考書を引っ張り出して知識の再確認をするようになりました。

先日、池袋の有名なつけ麺屋さんで参考書を読みながら食事を待っていました。食べ終わって会計をしようとしたら、店の主人が「勉強頑張ってね!」「森田さんみたいになるんでしょ?気象予報士だよね」と応援してくれました。

今さら「資格を持ってます」とも言えずに、「はい、頑張ります!」と答えてしまいました。


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試験直前を意識した準備とは? [試験対策]

実技の勉強を始めてから、常に意識していたことがあります。それは「試験直前期になったら、何をしたら良いのか?」ということです。

試験がまだ数ヶ月先の間はひたすら過去問を解いていれば良いのですが、試験が近づいてくると学習が不十分なところが気になり始めるものです。そうなるとパニックで何も手につかなくなり、不安を抱えたまま試験に突入してしまいます。精神衛生上も良いはずがなく、戦う前から負けているようなものです。

ラスト・スパートの時期には新しいものには手を出さず、自分がこれまで犯してきたミスをしっかりと復習し再発を防止すること、そして大きな学習漏れのないよう全体を俯瞰しておくこと。そのためには自分だけの教材を早いうちから準備していかなくてはならないなと思っていたのです。

そこで実技対策の問題演習をするかたわらで、私がXデーを意識して行っていた準備をご紹介したいと思います。名付けて「三種の神器」です。

自分の最大の懸念事項(読み飛ばしても構いません)

問題演習をしていて、自分の課題として痛感したこと4つありました。

①気象の知識が不足している
一つは、気象に関する知識が圧倒的に不足していることでした。問題の解答を見ると専門用語が並んでいるわけではなく、素人でも分かるようなことが書かれています。しかし、与えられた気象現象を読み解き、それが発生した要因や今後の展開予想に結びつけるということが全くできません。

自分なりに理由を分析すると、気象現象を引き起こす要因にどのようなものがあるのかを知らないことが原因と思われました。例えば「雨が降る」という気象現象は「雲ができるから」ですが、雲ができる要因としては「日射による地表加熱」「地形性」「低気圧」「前線付近」などが考えられます。

②気象のロジックを理解していない
次に、与えられた特定の現象に対して、考えられる要因のどれが最も当てはまるかを結びつけるロジックを知らないということでした。先の例で続けると、「紀伊半島で雨が降っている」という現象に対して下層の暖湿気が入り、紀伊山地を上昇しているからだ、すなわち地形性による降雨だ」となります。

問題集というのはケーススタディですから、解説には素っ気なく「この現象に対してはこれが原因である」と書いてあるだけです。途中のロジックはほとんどすっ飛ばされています。ましてや「一般にこのような現象を引き起こす要因としては①・・・、②・・・、③・・・が考えられる。本事例では・・・という条件が解析されるので、②を要因と考えるのが妥当である。」のような説明はありません。

③気象関連図を読めない
三つ目は、気象関連図を読み解く経験の不足です。高層天気図、エマグラム、ウィンドプロファイラー、各種鉛直断面図、いろんな等値線など多種多様なツールがあり、日常的に使われています。しかし、そもそもこうした気象図の読み方を自分が納得できるレベルで解説してある書籍はありませんでした。また読み取る練習をしたいと思ってもエマグラムやウィンドプロファイラー、等値線などは入手困難です。どんな気象現象の時にどんな気象図になるのかを知りたいと思っても、そのようなケーススタディは提供されていませんでしたし、自分で過去データを整備する時間的余裕もありませんでした。作図の問題集もあればたくさん解いてみたかったところです。

④記憶力の衰えとの戦い
最後は、自分の記憶容量の乏しさです。歳を重ねると記憶容量は小さくなっていくようです。新しいことを一つ覚えると、少し前に覚えた別のことを忘れているのです。これは気象知識以前の話で、一度やった間違いを再び犯すというレベルの低い話です。

掛け算、割り算を間違える、等圧線を読み間違える、問題集を解いていても2周目に入ると、「こんな問題、解いたっけ?」と前回やったことをすっかり忘れている。したがって、以前と同じ間違いを繰り返す。単位を間違える、穴埋め問題で不必要な語尾をつけてしまうなどは朝飯前で(?)、「どうして自分はこうも学ばない人間なんだ?」と自己嫌悪に陥りかけました。

以下に述べる対策は主に④についてのものです。記憶容量の問題もありますが、問題を何度も解いていくと気象用語に慣れてくるので、単純な忘却は減っていったように思います。

試行錯誤を重ねる(読み飛ばしても構いません)

最初からどのような資料を作れば良いか明確なイメージがあったわけではなく、色々と試しながら試験の傾向に合うもの、自分の学習に合うものに調整していきました。

自分が単純ミスを重ねてしまうことに対しては、どのようなミスを犯す傾向があるのかを分析し、問題を解くときにはそのような単純ミスを防止できるようなプロトコル(良いクセ)をつけることにしました。

色々と試行錯誤して、自分なりに落ち着いた3つの手段、名付けて「三種の神器」を紹介したいと思います。

その1 「チェックリスト」

問題演習を通して自分の理解が不足していることが判明した分野について、参考書やウェブなどを参考にして解説文をワープロで作成。そして、重要と思われる箇所を穴埋めにしたもの(いわゆる「虫食い」です)を作りました。

私は初回受験だったので、実技だけでなく学科についても「寒冷低気圧」、「防災事項」、「台風」、「大気水象」、「平均図と偏差図」など、自分でテーマ名をつけていきました。最終的には40ページほどになったものを「チェックリスト」と名付け、起きたてのまだやる気がある時間帯などにひと通り目を通しました。

ワープロで作成しているので、学習を重ねる過程でチェックリストに不足が見つかればその都度補強していきました。試験直前まで作成を続けていて作成時間はそれなりに取られましたが、作成する過程で色々調べたり、どこを穴埋めにするかで重要ポイントを抽出するので、作成過程それ自体が学習にもなりました。

定義を丸暗記することが目的ではなく、穴埋めのところを頭に叩き込むことが大切なので、このチェックリストは気象ロジックや重要なキーワードを覚えるのに大変有効でした。

こちらは「ポーラーロー」についてまとめたものです。

ポーラー・ロウ.pdf

自分ひとりが使うものなので、素っ気ない作りです。合格者の体験記を読むと、立派なサブノートを作った話が載っていたりします。しかし、自分は手書きが苦手なのと大雑把な性格なので、サクッと作ってすぐに修正もできるこのやり方が合っていました。

その2 「暗記物一覧」

気象予報士試験にも、試験にはつきものの暗記ものがあります。ひと通り学習すると何を覚えなくてはならないかが分かってきました。

そこで、暗記するものは参考書やネットなどから印刷して、一冊のクリアファイル(百円ショップで購入して)にまとめました。一冊にまとめることで探す手間も省けるし、その一冊に全て収まっているという安心感を得ることができました。

そして、ファイリングした暗記項目を俯瞰できるように目次を作りました。毎日確認するので「日々の日課」と名付けてあります。

日々の日課.pdf

私は学科2科目も同時受験だったので、気象現象や法規も頭文字や略称にして暗記しました。

クリアファイルの最初のページにこの目次を入れて、その後に順に必要な資料(国際式天気記号や風の強さなど)をファイリングしました。

この準備は試験3週間前に完了し、試験日まで毎日繰り返して記憶を確実なものにしていきました。

【ポイント】
学習中に暗記ものが出てきたら、すぐその場で暗記するのが大事だと思います。例えば、演習をしていて風速の表現を知らなかったとします。風速表現の解説ページをコピーして覚えたら、そのコピーをファイリングしておきます。ひと通りの学習を終えると覚えなくてはならないコピーが溜まっていますから、それを整理して、とにかく回数多く見直すことです。

早くから覚えると忘れるから、本番直前に覚えるという人もいます。しかし本番直前には色々とやらなければいけないことが出てくるかもしれません。覚える量が溜まってしまうのも大変です。その都度覚えていって、記憶を定期的にリフレッシュしていくことが良いと思います。

その3 「添削入り解答用紙」

問題演習は、問題を解いてからが本番です。初めて挑戦した問題は解けなくても構いません。知らなかったことは何か、なぜ間違えたのか。それを分析して、同じ間違えをしないように徹底的に頭に叩き込むことが演習の目的です。

・・・と書くと難しそうですが、私のやったことはシンプルです。まず正解を赤字で書き写した後、自分がなぜ正解に至らなかったのかを分析します。そして改善箇所を青字で書き込みます。この青字部分を見直せば、自分だけの傾向と対策となります。

ただしこれは時間を要する作業です。75分間の演習を終えた後、この見直しに3時間ぐらいはかけていました。

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CCI20171115_00002.jpg

こうして出来上がった自分なりの添削結果をクリアファイルに整理し、随時見直しをしました。これを何回か繰り返していけば自分が間違えるクセが分かってくるので、問題を解く時の流儀も変わってきます。

例えば、穴埋め問題で鉛直流の速度を問われている時、単位をつけるのか、符号はどうなのかということが気になり、必ず問題文をチェックするようになりました。

例えは悪いですが、公衆トイレに入って用を足した後で紙が切れていることに気づいたとします。次回からは用をたす前に、紙が十分あるかを確認するようになりますよね。こうした流儀を身につけていくことが大事です。

本番直前では添削ファイルをじっくり見直す必要はなくなっていましたが、これをパラパラとめくることで精神安定剤にはなったように思います。

参考書には問題の解答用紙が添付されていないものが大半です。私は自分で解答用紙を作成して、これに回答していました。1回分を作成するのに30〜40分ぐらいかかりましたが、同じ問題で3〜4回練習することを考えると時間効率は上がると思います。

【ポイント】
自分の経験上、同じ問題を最低で3回は繰り返す必要があると思います。1回目は気象知識がまったくない状態ですので、演習を通して知識と気象ロジックを整理していきます。2回目では、1回目にスルーしてしまっていた細かいところに気づいたり、1回目で理解したと思っていたことが誤解だと分かったりします。3回目になって初めて、自分の頭で考えながら問題を解くことができるようになります。

最後に

三種の神器はいずれもクリアファイルにファイリングし、カラーボックスに収納しました。その中に入っているものをしっかりと治めれば、「やるべきことはやったと思えるんだ」と自分に言い聞かせました。試験日にも精神安定剤として持ち込みました(実際に開くことはありませんでした)。

さて、ここまで読まれた方は気がつかれたかもしれませんが、最初にあげた4つの課題のうち、①気象の知識が不足している、②気象のロジックを理解していない、③気象関連図を読めない、の3つの対策がありません。

自分なりの資料を作り上げたかったのですが、十分に着手する前に試験日を迎えてしまいました。引き続き作成していき、このサイトで公開したいと思います。

なお、①については高校参考書の「地学図表」「地学図録」を読んだりしましたが、十分ではありませんでした。③についてはH社の短期講習に参加することである程度のレベルには達したかなと思います。


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時間に伴う変化を表現する [試験対策]

実技の学習がひと通り済んだら、ムダのない分かりやすい回答文を作成することを目指しましょう。

気象のロジックが頭に入っていても、設問に応じて必要なキーワードを盛り込んだ分かりやすい文章を作れるようになるには、それを意識した練習が必要です。

出題に応じてどのように回答文を作成するか、ある程度パターン化をして対策を講じておくことで、試験時間と文字数という資源の節約が可能になります。

基本ルール

回答文を作る基本ルールは2つです。

ルール1
主語を決めます。

ルール2
基本的に「<主語><述語>する」というように、状態変化を表す述語(自動詞)を使った構文を作ります。


ルール2にはいくつかの派生パターンがあります。ここでは次の3つのパターンに類型化してみました。

パターン1 変化量を問われる
  変化量を聞かれた場合は、状態変化を表す動詞を使って「<主語>AからBにCする」とします。
※「AからBに」は変化量を表します。

パターン2 移動先を問われる
  一定時間後の移動先を聞かれた場合は、「<主語>Dに進む(到達する)」とします。
※「Dに」は移動先を表します。

パターン3 2者の相対的な位置関係の変化を問われる
  相対的な位置関係を問われた場合は、「<主語>は◯時間後はEにあり、△時間後にはFにある」とします。
※「E」は◯時間後の位置、「F」は△時間後の位置を表します。


早速、具体的な事例を見ていきます。

パターン1:変化量を答える

【事例1】
(問)12時間後から24時間後の気温の変化を15文字程度で述べよ。
(解)−9℃からー6℃に昇温する

主語は「気温」ですが、15文字制限があるので省略します。記号「−(マイナス)」「℃」を1文字とカウントすると、これで14文字になります。
「昇温する」は「上昇する」でも良いと思います。

【事例2】
(問)12時間後から24時間後にかけての卓越波向と波高の状況を、30字程度で述べよ。
(解)卓越波向は北東で変化ないが、波高2mから5mに高まる

聞かれている項目が主語となります。
卓越波向と波高という異なる項目を聞かれているので、「卓越波向は〜だが、波高は〜である」と重文で回答することで文字数を減らします。

前半の文は主語が「卓越波向」、述語が「変化ない」となります。後半の文は主語が「波高」、述語が「高まる」となります。文の構成は単純です。「高まる」は「高くなる」でも良いと思います。

設問では波高の変化を直接聞かれていませんが、「波高が高まる」という回答では物足りなく感じます。図から具体的な数値が読み取れる場合は、文字数オーバーとならない限りは変化量を盛り込むのが良いと思います。

【事例3】
(問)0時から12時に予想されている風向・風速の変化を、風速値を示して35文字程度で述べよ。
(解)風向東北東から北に変わり風速25ノットから35ノットに強まる

ルール1にある「AからBに変化する」を思い出してください。変化については必ず開始点と終了点があります。終了点だけ示す「35ノットに強まる」だけでは変化量が分かりません。何ノットの風がどれだけ変化したのか、両端の値を特定します。

【事例4】
(問)この2時間における低気圧付近のレーダーエコーの形状及び強さの変化を、低気圧中心との相対的な位置関係を示して55字程度で述べよ。
(解)低気圧の中心付近のフック状のエコー弱まって不明瞭になり、中心付近から南側へ伸びる線状のエコー強まった

設問にある「相対的な位置関係を示して」を意識しすぎると、パターン3と判断してしまうかもしれません。聞かれているのはあくまでも「レーダーエコーの形状と強さの変化」であることを見抜きましょう。

主語は「エコー」ですが、形状を問われているので「フック状」「線状」という修飾語がキーワードになっています。

重文の前半の述語は「不明瞭になり」ですが、後半の「強まった」との対比関係では「弱まって」が事実上の述語です。

気象ロジックを理解した上で普通に回答文を作ると、「エコーは低気圧の中心付近にありフック状だったが、2時間後には中心付近から南側に伸びる線状に変化した。」となるでしょうか。模範解答は主語や述語の修飾語に詰め込む傾向があるようです。

【事例5】
(問)850hPaにおいて初期時刻から24時間後にかけて予想される低気圧前面及び後面の、風と温度場の変化について55字程度で述べよ。

(解)低気圧前面では南よりの風による暖気の流入強まり、後面では西南西〜北西の風による寒気の流入強まる

この設問のように一定時間後の移動状況を聞かれた場合、「初期時刻には・・・だが、24時間後には・・・となる」と丁寧に回答すると、あっという間に文字数オーバーとなります。長い回答文を折り畳んで指定文字数に収める工夫が必要です。

この解答の工夫は主語の選択です。主語を「風」と「暖気移流」「寒気移流」にしてしまうと、どうしても文字数が増えてしまいます。風と気流は因果関係があるので、「風による移流」というように「風」を「暖気移流」「寒気移流」の修飾語にしています。


パターン2:移動状況を答える

【事例1】
(問)12時間後から24時間後にかけてみられる閉塞過程の特徴を、地上低気圧と500hPa渦度場の関係から45字程度で述べよ。

(解)地上低気圧の中心が500hPaの負渦度域から正渦度域に進む

「地上低気圧と500hPa渦度場の関係」と言われると難しそうですが、主語はあくまでも擾乱(地上低気圧)であることと、低気圧の消長は500hPaの渦度で判断することを知っていれば解答を導けます。


パターン3:相対的な位置関係の変化を答える

【事例1】
(問)12時間後から36時間後にかけて、台風の中心と前線の相対的な位置はどのように変化するかを40字程度で述べよ。

(解)24時間後までは前線の南側ある台風の中心が36時間後には前線付近ある

ルール1に従って主語を決めます。「XとYの相対的な位置関係」を問う問題では主語の候補としてXとYの二つがありますが、気象の擾乱(低気圧、台風など)を主語とするのが自然です。

時間経過に伴う変化についてですが、題意に沿って「12時間後は・・・だが、36時間後は・・・である」と時間経過に伴う状況を述べると文字数超過となります。問われている時間帯における事象の変化に注目して、ルール2のように「◯から△に変化する」を意識して作文します。

なお、ルール1に従えば「台風の中心は24時間後までは前線の南側にあるが、36時間後には前線付近にある。」となります。模範解答と比べても文字数はほぼ同じです。

【事例2】
(問)二つの低気圧は24時間後には一つにまとまって閉塞すると予想される。24時間後に閉塞すると予想される根拠を、12時間後と24時間後における低気圧の中心と500hPaのトラフとの位置関係の観点から60字程度で述べよ。

(解)二つの低気圧の中心は12時間後にはトラフの東側あるが、24時間後には一つにまとまってトラフとほぼ同じ位置なるため。

低気圧の中心とトラフとの位置関係を問われているので、本来は「低気圧の中心」と「トラフ」のいずれを主語にしても良いでしょう。しかし気象で関心があるのは「低気圧の中心」ですから、これを主語に選ぶのが自然です。

12時間ごと24時間後の状況を重文でつなげば良いので、構文的には単純です。

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