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合格発表まで何して過ごす? [箸休め]

試験が終わってから合格発表までは1ヶ月強の期間があります。
落ち着かないこの時間をどう使ったら良いでしょうか。

使い込んだ筋肉には休養が必要なのと同じで、詰め込みと問題演習で疲れた頭脳も少し休ませてあげるとその後の効率がアップします。

しかし気象の勉強から完全に離れてしまうと、再度エンジンをかけるのに時間がかかってしまいます。

そこで学習意欲を維持しつつ、今後の学習のプラスになる時間の過ごし方を考えてみました。

1.気象に関係のある土地に旅してみる

肱川.png

15288.jpg

出典:大洲市

試験勉強中は、どうしても部屋に閉じこもりになりがちです。休養期間中は、思い切って外に出かけてみてはどうでしょうか。

現地で現物に触れてみると、これまでとは違った刺激を受けるはずです。

局地風を探しに出てみる

秋になると、局地風が吹くところが多く出てきます。どのような地形で発生するのか現地視察をして、そのついでに土地の美味しいものを食べてみるのはいかがでしょうか。

【全国の季節風の例】
(北海道)
羅臼風、ひかた風、手稲おろし、十勝風、日高しも風、寿都(すっつ)のだし風、雄武のひかた風
(東北)
清川だし、三面だし、荒川だし、安田のだしの風、胎内だし
(関東)
那須おろし、筑波おろし、赤城おろし、安田だし、榛名おろし、空っ風、藤川おろし
(近畿)
井波風、比良八荒(ひらはっこう)、鈴鹿おろし、富士川おろし、六甲おろし
(中国)
広戸風
(四国)
やまじ風、肱川あらし
(九州)
まつぼり風

※写真の肱川あらしは、上流の冷気が流れてきて川沿いを流れ出す壮大な現象です。肱川は2018年7月の豪雨で氾濫し被害も出たため、訪問の際には現地状況の確認が必要です。

気象予報で有名な場所を訪れる

気象情報で岬や半島などの地名をよく耳にします。どんなところなのか気になりますよね。Googleマップで地形図を見るだけでも楽しいです。

佐渡ヶ島、南大東島、奄美大島などの離島も面白そうです。

実際に行くことがなくても、自然現象を調べてみたり、現地の宿や交通手段を調べて旅行スケジュールを組むだけでも想像力が掻き立てられて楽しいですよ。

2.気象に関係のある本を読んでみる

科学技術は失敗や事故をきっかけに進歩します。そんな本を読むと元気が出るかも。

「マッハの恐怖」(柳田邦男・著、フジ出版社)

1966年、国内で立て続けに発生した3件の航空機墜落事故のノンフィクション。晴天乱気流(CAT)に巻き込まれて富士山上空で空中爆発した航空機事故の記述からは、調査官の執念を感じます。

古い本ですが、図書館で見つけることができると思います。

「気象庁物語」(古川武彦・著、中公新書)

明治8年の東京気象台の創設から今日の気象業務まで、気象庁の歴史が簡潔にまとめられています。

岡田武松(NHK-BSで特集された「日本の気象の父」)と藤原咲平(「藤原の効果」で知られています)の活躍や、昭和34年に数値予報用に大型電算機が導入されたことなど、気象フリークには面白い情報が紹介されています。

「天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある」(山口真由・著、扶桑社新書)

気象とは関係ないですが、勉強法をまとめた本です。タイトルを見るとムッとしますが、「一冊の教科書を読みこなす」ことを提唱。

この人は同じような本を色々と出していますが、この本がコンパクトで良いと思います。

3.施設見学をしてみる

station.jpg

出典:南大東島地方気象台

参考書でしか見たことのない観測施設を生で見ると興奮するかもしれません。気象に関する質問の1つや2つぐらい、気象台の人に聞いたら答えてくれるかも。

地方気象台

事前予約が必要な場合もありますが、中には見学を随時受け付けている気象台もあります(例えば山形地方気象台)。高層気象観測点であれば、ゾンデの打ち上げ(飛揚)を見ることもできます。

ナマの気象の匂いを嗅いでみるのはきっと刺激的なハズ。

気象庁

現在は大手町にある気象の総本山も、2020年には虎ノ門の新庁舎に移転予定です。歴史ある建物を今のうちに訪れてみてはいかがでしょうか。
実は経費削減のため、全国レベルでも合同庁舎に移転する地方気象台が出ています。

ちなみに、「天気相談所」や気象の書籍を扱う「津村書店」に行くといえば、気象庁内部に入ることができます。テレビで見かけたあの気象予報士を見かけることができるかも。

4.少し難しい資料にチャレンジする

東京堂出版の「シリーズ 新しい気象技術と気象学」は難しい数式を用いずに、これまでに学んできたことを再整理するのに適しています。

長期予報のしくみ.png


「長期予報のしくみ」
1週間より先の予報を長期予報と言います。季節予報では偏西風の蛇行とENSOの動向を監視することがカギになります。

本文だけで143ページと少し厚めの本ですが、パラパラと拾い読みだけでも良いです。偏差図をしっかり読む練習にもなるので、「一般知識」にも役立ちます。

「日本付近の低気圧のいろいろ」
第2章の温帯低気圧の項を読めば、温帯低気圧のことがもう少し分かるようになります。前線の構造が簡潔にまとめられています。

5.過去の災害規模の事例をまとめてみる

気象と災害は切っても切れない関係です。過去に発生した災害には将来に対する教訓が含まれます。

気象庁のホームページ
災害をもたらした気象事例

上記資料は網羅的でなので、よりコンパクトなものとしては次の書籍をお薦めします。

「特別警報と自然災害がわかる本」(
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トラフが浅まる?(主語と述語の関係) [傾向と対策]

「低気圧」「トラフ」などのじょう乱を主語にして文章を組み立てる場合、その主語を受ける述語はどうなるのか。気象表現では一般には使われない独特な表現が用いられることがあります。

試験では特殊な出題例はありませんが、「トラフが浅まる」というのは一般的な用法とは異なります(普通は「浅くなる」と言いますよね)。

ほぼ毎回「問1」で出題される実況把握では時折、述語を穴埋めさせる問題が出題されます。筆記問題でも、じょう乱の消長について記述する問題ではこうした述語を用いて解答することになります。

そこで第40回以降の実技試験で出題された中からじょう乱が主語になっている文章を取り上げ、述語別にまとめてみました。あまり神経質になる必要はありませんが、ざっと眺めて慣れておきたいものです。

低気圧

存在・状態を表す述語


ある 
関東の東海上には中心気圧990hPaの発達中の低気圧ある

位置する 
低気圧はトラフの東側に位置する
低気圧は強風軸の北側に位置している。

存在する 
この低気圧は、アムール川下流にある寒冷渦の南東象限に存在している。

発生する
36時間後には、津軽海峡付近に新たに低気圧発生する

離れている 
低気圧は強風軸から南側に離れている

他のじょう乱などとの関係を示す述語


対応する
黄海の低気圧は寒帯前線のジェット気流に対応している

結びつく
この低気圧は、初期時刻から24時間後にかけて西側から接近する500hPa面の低気圧と結びついて急速に発達する。

移動を表す述語


入る
低気圧がトラフの前面の強い正渦度移流域に入る

進む
初期時刻に四国沖にある低気圧が、深まりながら東北東へ進む
九州の南岸にあった低気圧は24時間後から36時間後にかけて北に進む

東進する
4日には発達した低気圧がオホーツク海をゆっくりと東進する予想となっている。

盛衰を表す述語


発達する
この低気圧は、初期時刻から24時間後にかけて西側から接近する500hPa面の低気圧と結びついて急速に発達する
低気圧はトラフの接近により緩やかに発達する
今後24時間以内に低気圧が発達する可能性を述べよ。

閉塞する
このような特徴はこの低気圧閉塞した構造を持っていることを示している。
日本海北部の低気圧閉塞し始めていることを示している。

衰弱する
その後は500hPa面の低気圧と重なって急速に衰弱しながら東進する。

高気圧

存在・状態を表す述語


ある
オホーツク海南部には1026hPaの高気圧ある

盛衰を表す述語


形成する
北部に高気圧が形成される。

弱まる
北部の高気圧弱まる

張り出す
大陸の優勢な高気圧張り出し,気圧傾度が大きい。

気圧

存在・状態を表す述語


示す
気圧が極小を示す

強弱を表す述語


高い
この台風に伴う閉じた等圧線のうち気圧が最も高いのは〇〇hPaの等圧線である。

上昇する
気圧は約1.2hPa上昇した

低下する
12時間後から24時間後にかけて中心の気圧が急速に低下する

下降する
気圧が0.1hPa下降している。

下がる
気圧は3時間で2.3hPa下がっている。

低い
中心気圧がより低い

トラフ

存在・状態を表す述語


ある
500hPa天気図では、日本海西部にトラフある

強弱を表す述語


深まる
トラフ深まりながら後ろから接近し、この低気圧と結びつく。

浅まる
トラフ浅まりながら速い速度で東進する。

他のじょう乱などとの関係を示す述語


結びつく
トラフは深まりながら後ろから接近し、この低気圧と結びつく

移動を示す述語


近づく
トラフが低気圧の西側から近づき、低気圧と結びつく。

接近する
トラフは低気圧の西側から接近する

進む
500hPaのトラフは、48時間後には図9に示す位置まで進むと予想される。

通過する
16日午後には、寒気を伴った500hPaトラフが関東地方を通過すると予想されている。

追い越す
トラフは低気圧を追い越す

東進する
トラフは浅まりながら速い速度で東進する

気圧の谷

存在・状態を表す述語


なる
初期時刻に南西諸島にある気圧の谷が低気圧となり、深まりながら前線上を東北東へ進む。

強弱を表す述語


深まる
気圧の谷深まりながら東北東進する。

移動を示す述語


東北東進する
気圧の谷が深まりながら東北東進する


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レーダー・エコーの見方 [試験対策]

レーダーエコーは降水強度分布の観測値を画像化したものです。

日常生活では「西の方に強いエコーがあるから、あとしばらくしたらうちのエリアでも雨が降りそうだな」というレベルでも役に立ちますが、気象解析をする上では不十分です。

レーダーエコーを単体で見るのではなく、ほかの天気図と突き合わせて総合的に解釈することで、気象解析の実力を向上させることができます。

今回のポイント

レーダーエコーの読み方のポイントは次の通りです。

①エコーの全体像を把握する
②降水強度の強い場所を確認する
③エコーの形状を確認する
④エコーの時間変化を確認する
⑤衛星画像と見比べる
⑥エコー発生の原因を推測する


事前準備

レーダーエコーと合わせて、その他にも必要となる実況資料を用意します。

・アジア太平洋地上天気図(ASAS)
・衛星画像(IR, VIS) ※IR(InfraRed:赤外)、VIS(Visible:可視)
・極東500hPa・700hPa天気図(AXFE578)
・850hPa相当温位図(FXJP854)

これらを突合して、総合的に降水の原因を総合的に推測します。

①レーダーエコーの見方

エコーの全体像を把握する


いきなり気になる場所から見るのではなく、最初にエコーの全体を見ることから始めます(日常生活の使い方とはスタートから異なりますね!)。

広い範囲から始めて徐々に絞り込んでいくという手順は、天気図を見るときだけでなく、レーダーエコーでも同様です。

エコーがベッタリと広い範囲に出ているのか、狭い範囲で出ているのか、これだけでもエコーの発生原因を推測する重要なヒントになります。

また、全体に一様な層状性(青色の)エコーなのか、強弱(青、黄、赤が入り混ざった)エコーなのかも確認します。

合わせて、エコーと気圧系(低気圧、前線など)との相対的な位置関係も考えます。

「相対的な位置関係」とは、「低気圧の中心の北側」とか「停滞前線の北側」のようなことです。このためには地上天気図が必要となります。

②降水強度の強い場所を確認する


次に降水強度の強い部分に着目します。

レーダーエコーには降水強度に応じて寒色系(青っぽい色)から暖色系(赤っぽい色)まで色付けされています。降水強度が強いのは暖色系の部分です。

エコーがかかっている部分に、降水強度を強める地形性の特徴がないかに注目します。

山岳地帯では大気が強制上昇することで降水が強化されます。典型例として九州山地の東側、四国山地の南側、紀伊半島の南東側があります。

参考に日本の主な山地を図に示しておきます。

mountains.png

③エコーの形状を確認する


エコーの形状(線状、コンマ状、団塊状など)と走向を確認します。

エコーの形状は、降水の発生原因に結びつく重要な手がかりです。

例えば、線状であれば積乱雲が次々に発生していることを示唆します。コンマ状であれば、その中心に低気圧の中心が存在する可能性があります。

特徴的なものは、後で衛星画像で確認をします。

④エコーの時間変化を確認する


レーダーエコーの動画を使って、エコーが動かずに停滞しているのか、あるいは動いている場合はどの方向に動いているのか。形状や範囲の変化はあるのかを確認します。

気象庁ホームページでは、3時間前から5分おきの画像をコマ送りで見ることができます。

⑤衛星画像と見比べる


降水がある場所の上空には必ず雲があります。エコーを雲画像と対照させることで、雲の種別を確認することができます。

⑥エコー発生の原因を推測する


レーダーエコー単独で原因を判断せずに、高層天気図で鉛直流、渦度、風の場、気温の場との関係から、エコーが発生した原因を推測します。

例えば、地上低気圧の中心の北側と温暖前線の北側にベッタリとエコーが出ている場合、700hPaで上昇流があり、500hPaで渦度が確認でき、暖気移流・寒気移流があれば、これは間違いなく温帯低気圧に伴う降雨だと判断できます。

【事例】下層の暖湿気によるエコー

2018年6月29日、九州、四国地方で非常に激しい雨が降りました。

11時のレーダーエコーがこちらです。

全国エコー1100.png

これより2時間前、9時の速報天気図はこちらです。

スクリーンショット 2018-06-29 13.59.29.png

梅雨前線が北日本から日本海を通り、華中にのびています。

太平洋高気圧が西へ勢力を強め、前線との間で気圧傾度力が強まっています。

沖縄の南には台風が発生し西へ進んでいます。

この日、関東甲信地方では梅雨明けが発表されました。

①全体の分布状況は?


エコーは沖縄地方および西日本から日本海中部に広がっています。また北海道の太平洋側東部と日本海側にもエコーが見られます。

地上天気図と見比べると、エコーは北海道を除いてはおおむね梅雨前線の南側に見られます。

②降水強度の強い場所


その中でも暖色系で示された降水強度が強いのは、福岡、四国および中国地方です。

九州地方北部:
九州北部地方エコー.png

四国地方:
四国地方エコー.png

高知県の降水強度の強いエコーは、四国山地で強化されていると考えられます。

一方で、北海道では降水強度の弱いエコーが見られます。

③エコーの形状


福岡、四国および中国地方の降水強度の強い部分を見ると、4〜5本の並行な線状エコーを確認することができます。

その走向は南南西から北北東に向かっています。

④エコーの時間変化


3時間にわたる推移を見ると、エコーは全体としては北東に進んでいるものの、四国では非常に激しい雨が降り続いています。

12時:
全国エコー1200.png

13時:
全国エコー1300.png

14時:
全国エコー1400.png

⑤衛星画像


10時50分の衛星画像です。

赤外画像(IR)。

赤外.png

東シナ海から西日本にかけて、とても白い雲が出ているので、雲頂高度が高いことが分かります。

可視画像(VIS)。

可視画像.png

南西諸島から日本海にかけて、対流雲の筋が何本も見えます。
強いエコーはこの対流性の雲による降水と考えられます。

⑥エコーの発生原因


850hPa相当温位図を見てみます。

相当温位.png

342Kの相当温位線(緑色)に着目すると、西日本のほぼ全域をカバーしています。西日本は非常に相当温位の高い暖湿気が40ktの南南西〜南西の風で流入しています。これは線状降水帯の形状とも一致します。

850hPa気温・風と700hPa鉛直流の天気図(ここでは省略)には、九州南部および四国で鉛直流の極値(ー38)があります。

これが非常に激しい雨の直接の原因と思われます。

梅雨前線による雨では400〜500km程度の幅を持った一様な降水帯となります。
北海道の降水は梅雨前線によるものと思われます。

一方で、西日本の強い降雨は北に張り出している太平洋高気圧の縁辺流と、台風がもたらした暖湿気が停滞前線に流入したものです。

梅雨期には前線の北側に降水帯が広がりますが、梅雨末期には南側で今回のような激しい雨となることがあります。

さいごに

気象予報士試験では、冒頭に紹介した6つの解析ステップの一部を問われることがあります。

レーダーエコーは気象庁のホームページで「レーダー・ナウキャスト」として見ることができますが、3時間経過すると削除されてしまいます。特異な気象現象が発生したら、普段から学習素材を集めておくことをお勧めします。

低気圧や台風などが現れたときには、その時のレーダーエコーと衛星画像(IR, VIS)を保存しておくと、後の学習に役立ちます。

画像取得時にはできるだけ時刻を朝9時、あるいは夜9時に行うと、高層天気図とも合わせやすくなります。

【リンク】
レーダー・ナウキャスト http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/
気象衛星画像 http://www.jma.go.jp/jp/gms/
高層天気図 http://www.hbc.co.jp/weather/pro-weather.html


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試験に出る地名 [試験対策]

(初稿)2018.7.15
(改版)2020.1.5
はじめに

実技試験では毎回、「気象概況と総観場」に関する問題が最初に出題されます。

これは「実況把握」と言われるもので、地上天気図、高層天気図、衛星画像などの実況図を用いて、現在の状況を理解することです。中でも大事なのは、気圧系(低気圧、高気圧)や前線の位置を確認することです。

位置を特定するときには、気象解析で特有の地名表現を用いるので、それに慣れておくことは試験対策上のみならず、将来のことを考えても大切です。

そこで過去の試験に出題された島嶼、山地、半島・岬など、地名の一切をまとめてみました。

地理的・政治的な呼称とは差分があるので、あくまでも気象解析上の呼称と割り切りましょう。目的は気圧系のおおよその位置を表現することなので、厳密さは必要ありません。


諸島、半島・岬

日本の島


日本の全体地図で島を見ると点々になってしまって、なかなか覚えにくいものです。

日本の島を①伊豆諸島、②小笠原諸島、③南西諸島、の3つに分けて覚えましょう。

その上でポイントは次の2つです。

・諸島を構成する代表的な島の名前を覚える
・諸島が緯度・経度のどのマス目に位置するのかを覚える(代表的な島以外の位置は気にしない)


諸島.png


上図では緯度線、経度線を5度おきに引いてあるので注意してください。

以下で大文字にしてある八丈島、父島、南西諸島、奄美大島、沖縄は過去に出題されているので、場所をしっかりと覚えてください。

①伊豆諸島

伊豆諸島を代表する島は八丈島です。

場所は房総半島の南、東経140度線にほぼ沿って、緯度的には四国の南端と同じぐらいまで広がっています。

②小笠原諸島

小笠原諸島を代表する島は父島です。

小笠原諸島は図で示した範囲よりも実際には広いのですが、父島の場所を覚えましょう。

父島はおよそ「東経142度、北緯27度」です。
伊豆諸島よりは東側で、緯度的には台湾の北端より少し上です。

③南西諸島

南西諸島は複数の諸島などから構成されています。
大島諸島、トカラ列島、奄美群島沖縄諸島、宮古列島、八重山列島、大東諸島、尖閣諸島。

なお、「八重山諸島」「宮古列島」「尖閣諸島」をまとめて「先島(さきしま)諸島」と総称します。

南西諸島は九州の南端から台湾にかけての対角線に並んでいます。中でも台湾の東に横にほぼ一直線に並んでいるのが先島諸島です。

半島と岬


半島は3方を海に囲まれて海に突出した陸地、岬は海に突き出た陸地の先端部で半島より小さいものを言います。

半島や岬は低気圧や台風が上陸してくる典型的な場所なので、試験でもよく出てきます。

半島と岬(枠).png


北海道の南端にあるブーツのような形をした渡島半島は「おしまはんとう」と読みます。


海、海流、海峡・水道、湾、海上、沖

海と海流、海峡・水道と湾


日本はオホーツク海、東シナ海、日本海、太平洋の4つの海に囲まれています。

4つの海には冷たい寒流の千島海流(親潮)とリマン海流、暖かい暖流の日本海流(黒潮)と対馬海流の4つの海流が流れています。

海峡とは2方向が外の海に開き、2つの海をつなぐ狭い海を言います。
水道は海峡とほぼ同義です。

湾とは1方向だけが外の海にひらけている海を言います。

海・海峡・湾・海流(枠).png

日本海には暖流の対馬海流が流れているため、冬季にはシベリアから吹いてきた冷たい空気が気団変質を起こします。

海上


日本は四方を海に囲まれており、気圧系の位置を特定するのに「〜(の)海上」と言うことがあります。

注意)
「北海道の西海上」は「せいかいじょう」ではなく「にしかいじょう」、もしくは「にしのかいじょう」と読みます。

以下について、地図を見ながら固有表現として覚えておきましょう。

<北海道地方>
 北海道の西(の)海上
 北海道の東(の)海上
 北海道の南東(の)海上

<関東地方>
 関東の東(の)海上
 関東の南東(の)海上

<九州地方>
 九州の西(の)海上

第50回の試験では、低気圧の位置を答えさせる問題が出ました。正解は「北海道の西(の)海上」ですが、「北海道の西」(=北海道西部)では不正解です。

日本の沖


沖とは「海などで岸から遠く離れたところ」のことです。

過去の問題では、三陸沖、山陰沖、能登沖、四国沖、津軽沖が出題されたことがあります。

沖.png



なお、「短期予報解説資料」では「ウラジオストク沖」や「日本海西部元山沖」の記載もありますが、試験では出題されたことがないので割愛します。


山脈

地方気象情報に用いられる山地名として中部山岳、紀伊山地、中国山地、四国山地、九州山地があります。

中国山地、四国山地、九州山地は斜面が南に開けているため、南西風が入ると地形性強化により大雨になることがあります。

mountains.png

飛騨山脈は俗に北アルプスと呼ばれますが、気象では中部山岳地帯と呼ばれています。

また、「脊梁(せきりょう)山脈」とは、「ある地域の背骨に相当するような大山脈」(デジタル大辞泉)を表す一般的な用語です。
奥羽山脈のような特定の山脈を指すものではありませんが、一応「脊梁」という漢字を書けるようにしておきましょう。

※第49回実技2では「脊梁山脈」が出題されています。


高層気象観測点

国内にはラジオゾンデによる高層気象観測点が17ヶ所あります。これらはエマグラム関連の問題で出題されることがあります。南鳥島と昭和以外は地図上の場所を覚えましょう。

観測地点 所在地
稚内(わっかない) 北海道稚内市
札幌(さっぽろ) 北海道札幌市
釧路(くしろ) 北海道釧路市
秋田(あきた) 秋田県秋田市
輪島(わじま) 石川県輪島市
館野(たての) 茨城県つくば市
八丈島(はちじょうじま) 東京都八丈島八丈町
松江(まつえ) 島根県松江市
潮岬(しおのみさき) 和歌山県東牟婁郡串本町
福岡(ふくおか) 福岡県福岡市
鹿児島(かごしま) 鹿児島県鹿児島市
名瀬/本茶峠(なぜ/ふんちゃとうげ) 鹿児島県奄美市
石垣島(いしがきじま) 沖縄県石垣市
南大東島(みなみだいとうじま) 沖縄県島尻郡南大東村
父島(ちちじま) 東京都小笠原村
南鳥島(みなみとりしま) 東京都小笠原村
昭和(しょうわ) 南極昭和基地


高層観測地点.png

高層観測点2.png


アジアの地名など

アジア大陸にあるトラフの位置を特定することは予報では重要な作業です。日本の天気に影響を与える可能性があるためです。

しかし500hPa解析図には多くの情報が書き込まれているため、地形図を読み取ることが困難です。
緯度・経度のマス目からパッと地名を判断できるようにしたいものです。

asia (名称).png


PDF版はこちらです。アジアの地名など.pdf

気象庁の内部資料である「短期予報解説」資料では、こんな感じに使われています。

中国華北から華中の 500hPa5820m 付近のトラフはほとんど停滞。梅雨前線が黄海から日本海を通って北海道へのびて停滞。日本の東から太平洋高気圧が日本の南へ張り出している。」

トラフ、前線、高気圧の場所を示すのに地名が使われていることが分かりますね。

気象庁が用いる地名は「全般気象情報などに用いるアジア・北西太平洋域の地名、海域名」(以下、「地名・海域名」と略します)としてホームページ上で公開されています。

実際の行政区域などとは大きな差分があることは頭に入れておく必要があります。


最後に

今回のような地名(実際にはもう少し多くのものが使われます)を気象庁の人は何の躊躇もなく使っています。

「せっかく地図を使っているのだから、場所は緯度・経度で示すべきでは?」とも思いますが、ピンポイントで特定するよりは短時間でパッとおよその場所を言えることが大事なんだと思います。

すぐに覚えるのは大変なので、面倒臭からずにその都度地図で確認しながら、身体に覚えこませましょう。


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強風軸解析を理解しよう [知識]

(2019.1.22 修正)
寒帯前線ジェットと亜熱帯ジェットの成因の説明を修正しました。
(2020.5.10 修正)
亜熱帯ジェット気流(Js:Subpolar Jet)をSubtropicalに修正しました。

受験勉強をしているとき、強風軸解析ってなんだかよく分かりませんでした。その最大の理由は、強風軸解析を何のために行うのかが分からなかったからです。

ジェット気流をイメージしてみよう

ジェット気流は偏西風の特に強い部分


日本の上空には偏西風が吹いています。偏西風自体はさまざまな風速の風の集合体ですが、その中でも風速の強い部分をジェット気流と呼んでいます。「偏西風の軸」と呼ばれることもあります。

ジェット気流は長さ数千km、幅が数百km、深さが数kmあり、チューブ形をしていると考えられます(図1)。


jet-image 2.png

(図1)ジェット気流のイメージ

出典:(参考1)

図において、チューブの内側に行くほど色が濃くなっていて、風速が強まっていることを表します。ジェット気流の中で、最も風速の強い部分を「ジェットコア」あるいは「ジェット軸」と呼んでいます。

※WMO(世界気象機関)によるジェット気流の定義は(参考2)の14頁に紹介されています。

2種類のジェット気流がある


ジェット気流は大気の循環により発生しますが(後述)、その成因によって寒帯前線ジェット気流(Jp:Polar Jet)と亜熱帯ジェット気流(Js:Subtropical Jet)の2つに分類されます。

冬の時期には寒帯前線ジェットが北系(Jpn)と南系(Jps)の2本に分かれ、全部で3本のジェット気流が解析されます。

ジェット気流にはJs(亜熱帯ジェット)とJp(寒帯前線ジェット)の2本があると覚えましょう。

ジェット気流はなぜできる?


寒帯前線ジェットと亜熱帯ジェットでは、その成因が異なります。

角運動量保存則でできる亜熱帯ジェット

赤道上空にある空気はハドレー循環により北方向へ向かい、緯度30度付近で下降します。中緯度帯では赤道よりも空気の回転半径が小さいため、空気が東へ動く速さが増します(角運動量保存則によります)。

※「回転半径が短くなるほど回転速度が速くなる」というのが角運動量保存則です。

傾圧大気でできる寒帯前線ジェット

北緯30〜50度では高緯度と低緯度で傾圧大気となっているため、温度風の関係で西風が吹きます。


強風帯と強風軸

ジェット気流とジェットコア、強風帯と強風軸、この似たような言葉の違いにモヤモヤしたことがある方も多いと思います。

ここでは私なりの解釈を披露してみたいと思います。

強風帯はジェット気流を等圧面で輪切りにしたもの


ジェットコアはジェット気流の中で風がもっとも強い領域のことでした。強風軸と強風帯についても、同じような関係があります。

強風帯の「帯」という字に注目してみます。「一帯」という言葉があるように、「帯」には「領域」「エリア」という意味があると連想されます。

しかし、ここでは「帯」を文字通り「おび」とすると、強風帯は風の強い領域が平面に広がっていると考えられます。

もう少し言うと、ジェット気流をある等圧面で水平に輪切りにすると、その断面が帯状に広がっています。これが強風帯です。アボガドやマンゴーを縦に割ったイメージでしょうか。

その平面の中でも強い風が吹いている部分を強風軸と呼んでいます。

図1に等圧面を2面、書き込んで見ました(図2)。

jet-image3.png
(図2)強風帯のイメージ


等圧面1による断面では、すべてのジェット気流がこの等圧面を横切っており、強風帯を検出することができます。

一方、等圧面2による断面ではジェット気流がそこまで垂れ下がっていないため、強風帯を検出できないことが分かります。

強風帯は下層に垂れている


ジェットコアは対流圏界面付近を吹いていますが、300hPaや500hPaの等圧面でも強風帯が解析されます。それは先に述べたように、ジェット気流がチューブのような形をしていて、下層まで垂れているからです。

等圧面は気圧の等しい面であり、高度(メートルで表した高度)はまちまちです。したがって、強風帯を等圧面で見ると、途中で途切れ途切れになっていることがあります。

これは強風帯が実際に破断しているのではなく、鉛直方向に蛇行しているために等圧面では表現されないことがあるのです。

jet&zensen1.png

図3 ジェット気流とジェットコア


図3は図2を少し書き換えたものです。緑色で表されたジェット気流が下層まで垂れ下がり、等圧面(例えば500hPa)を横切っているところを「強風軸解析」するわけです。


なぜ、強風軸に着目するのか?

天気図の特徴が把握できる


300hPaは地上のように気象要素の変化を即時的に反映しない代わりに、大きな傾向を示していると理解することができます。

例えば、ジェット気流を解析した結果、南西風が入っていることが分かれば、天気が荒れることが予想されます。

梅雨の時期には、亜熱帯ジェットの位置から梅雨の進み具合を知ることができます。梅雨の始まり(5月上旬)頃、亜熱帯ジェットはチベット高原の南側を吹いています。

これが梅雨後半(6月下旬)になると、チベット高原の北側を吹くようになります。この頃には高原が熱せられて、チベット高気圧が形成されるようになります。

このような大きな場の傾向を頭に入れておくと、下層の天気図の解析がやりやすくなります。

天気の予想に役立つ


ジェット解析をすることで、発達したじょう乱の今後の動きを予測することもできます。

例えば発達した温帯低気圧は鉛直方向に熱輸送がされて高い高度に達しているので、ジェット気流に流されていきます。

また、温帯低気圧に伴う前線は閉塞すると、低気圧の中心が強風軸の北側に移り、閉塞点が強風軸の真下に位置します。したがって、地上低気圧の中心と強風軸の相対的な位置関係を見ることにより、低気圧の発達状況を把握することができます。


強風軸解析の手法

強風軸解析のやり方は、用いる天気図に応じて異なります。ここでは300hPaと500hPaの解析図(AUPQ35)を用いた強風軸解析法を解説します。

北半球ではJs(亜熱帯ジェット)とJp(寒帯前線ジェット)の2本のジェット気流が解析されるのが基本です。ジェット気流を解析するときは「ジェットは2本ある」ことを念頭に行いましょう。

300hPaの強風軸解析


ジェット(ここでは「強風軸」と同義で使っています)が現れる高度はだいたい決まっています。必ずこうなるというものではありませんが、解析時の目安になります。

【300hPaのジェットの高度】
亜熱帯ジェット(Js)・・・・9,600m
寒帯前線ジェット(Jps)・・・9,360m
寒帯前線ジェット(Jpn)・・・9,000〜9,120m


ステップ1 季節に応じて、強風帯の風速を決める

季節に応じてジェットコアの現れる高度は変動します。これは大気の気温に応じて、層厚の関係で圏界面高度が上がったり、下がったりするからです。

冬季には圏界面高度が下がるので、300hPaでもかなりの強風が観測されます。一方、夏季は圏界面高度が上がるため、冬季ほどの強風は観測されません。

これを踏まえて、夏季と冬季では強風軸として検出する風速を変えます。

【強風帯の目安】
 夏季・・・60kt程度
 冬季・・・80〜100kt

この数字はあくまでも目安です。いずれの季節においても、強風帯があまりに広くなりすぎれば風速を20kt上げてみる、あるいは逆に狭すぎれば風速を20kt下げてみるという調整をします。


ステップ2 強風帯を検出し、色づけで強調する

ステップ1で決めた風速以上の領域を強風帯として、分かりやすくするために色鉛筆で塗りつぶします。ちなみに気象庁では、強風帯を紫色で塗っています。

天気解析では複数の天気図を見比べます。その際に大切なのは強風帯、湿潤域、降水域、正渦度移流域など、お互いに関連のある領域が重なっているかを比較することです。

特定の領域に色を塗っておくことで、後ほどの見比べ作業が格段にやりやすくなります。

ステップ3 強風軸を検出し、線で引く

最後に、ステップ2で塗った領域の中で風速の大きい部分を滑らかな線で結びます。


実例

ここでは2月の事例で考えてみます。冬季なので、80ktの等風速線を目安とします。

300hPaの実況図には、破線で等風速線が書かれています。風速80kt以上の領域を探して、紫色で塗ります。色で強調することで、全体の傾向を捉えやすくなります。

「80」とスタンプが押されている等風速線を一回なぞって、その枠内を塗るとやりやすくなります。

一方向からなぞっていくと自分の追っている破線を見失うことがあります。また、いろんな線やスタンプが重なっていると、途中で混乱してきます。

そんな時には、以下の手を試してみてください。

【等風速線の追っかけ方】
・一方向から追うのをあきらめて、反対側から追っかけてつないでみる
・周囲の風速を見て、塗る枠内には80kt以上の矢羽しかないことを確認する

等風速線は解析されたものなので、必ずしも滑らかな曲線にはなっていません。時には鋭角に折れ曲がることがあるのも頭に入れておきましょう。

できあがったものがこちらです。

2018-02-08-2.png

図4 300hPa強風帯と強風軸


500hPaの強風軸解析


500hPaの解析図には風速が矢羽で表示されているので、強いところをつないでいくことで強風軸を解析することができます。

ただし、300hPaのような等風速線は書かれていないので、500hPaでは強風帯を解析することはできません。

ステップ1 季節に応じて、強風帯の風速を決めます。

500hPaの強風軸は、300hPaよりも20ktほど弱くします。したがって、冬季の目安は60〜80ktです。

ステップ2 強風軸をつなぎます。

ステップ1の強風軸の風速を目安に、強い風が吹いているところをつなぎます。
東に行くほど高度線の間隔が狭まり地衡風が強まるので、これに並行に記入します。

2018-2-8-00UTC 2.png

図5 500hPa強風軸


参考: 夏季と冬季の強風帯の違い


夏季と冬季の強風帯の違いを実例で見てみます。

以下に示すのはAXJP140という高層天気図です。東経140度で大気の鉛直断面を取り、西方向から見ています。縦軸は気圧(高度)、横軸は緯度です。

断面図には等風速線(破線)、等温線(細実線)、等温位線(太実線)の3種類の線が引かれています。ここでは破線の等風速線に注目します。

まずは夏季(2017年8月)の断面図から見てみましょう。

2017-8 2.png


300hPaのところに赤線を引いてあります。300hPaの高度で検出できる最大風速は40kt(紫色で塗った領域)であることが分かります。

次に冬季(2017年2月)の鉛直断面図です。

2017-2 3.png


同じように、300hPaでは最大風速で140ktの風が検出できます。

このように、夏季は圏界面の高度が上がってしまうため、強風帯の条件を緩めないと検出できなくなります。

逆に、冬季は圏界面の高度が下がるので、強風帯の条件を厳しくしないとならないことがお分かりいただけると思います。


さいごに

強風軸の位置は季節に応じて変動します。

日頃から強風軸の解析を習慣にしておくと、強風軸の変動を肌で覚えることができるようになります。

パソコンの画面上で分かった気にせずに、紙にプリントアウトしてやってみましょう。週1回程度でも構わないので、継続することをお勧めします。


参考文献:
(参考1)「羽田空港 WEATHER TOPICS」(東京航空地方気象台)
(参考2)「気象衛星画像の解析と利用 --航空気象編--」(気象衛星センター)


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12月の気象情報 [アーカイブ]

2018年12月に発表された気象情報の中からいくつかの例を見てみます。

生の気象情報を掲載する観点から解説は加えていません。tenki.jpやsunny-spot.netなどで過去の天気図を見ながら学習してください。

今回のポイント

・寒気の流れ込みにより、長期間の低温に関する全般気象情報が2回、発表された。
・中旬と下旬に、暴風雪・高波・大雪の全般気象情報が相次いで発表された。


12月の全般気象情報

12月に入り、暴風雪や大雪に関する全般気象情報が連日、発表されるようになりました。

12月1日 大潮による高い潮位に関する全般潮位情報 第1号
12月1日 東日本と西日本の長期間の低温に関する全般気象情報 第1号
12月10日 暴風雪と高波に関する全般気象情報 第1号
12月10日 暴風雪と高波に関する全般気象情報 第2号
12月11日 暴風雪と高波及び大雪に関する全般気象情報 第3号
12月11日 暴風雪と高波及び大雪に関する全般気象情報 第4号
12月12日 暴風雪と高波及び大雪に関する全般気象情報 第5号
12月12日 暴風雪と高波及び大雪に関する全般気象情報 第6号
12月13日 暴風雪と高波及び大雪に関する全般気象情報 第7号
12月15日 東日本と西日本の長期間の低温に関する全般気象情報 第2号
12月22日 強い冬型の気圧配置に関する全般気象情報 第1号
12月23日 暴風雪と高波に関する全般気象情報 第2号
12月24日 暴風雪と高波に関する全般気象情報 第3号
12月24日 暴風雪と高波に関する全般気象情報 第4号
12月25日 暴風雪と高波及び大雪に関する全般気象情報 第5号
12月25日 暴風雪と高波及び大雪に関する全般気象情報 第6号
12月26日 暴風雪と高波及び大雪に関する全般気象情報 第7号
12月26日 暴風雪と高波及び大雪に関する全般気象情報 第8号
12月27日 暴風雪と高波及び大雪に関する全般気象情報 第9号
12月27日 暴風雪と高波及び大雪に関する全般気象情報 第10号
12月28日 暴風雪と高波及び大雪に関する全般気象情報 第11号


東日本と西日本の長期間の低温に関する全般気象情報

11月後半から12月中旬にかけ、日本付近で偏西風が南に蛇行したため、強い寒気が断続的に流れ込み、全国的に低い気温が続きました。

東日本と西日本の長期間の低温に関する全般気象情報 第1号
平成29年12月1日11時00分 気象庁発表

(見出し)
 東日本と西日本では、11月16日頃から気温の低い状態が続いています。この状態は、今後2週間程度は続く見込みです。農作物の管理等に十分注意してください。

(本文)
 東日本、西日本では11月16日頃から強い寒気の南下により気温の低い状態が続いています。11月16日から30日までの平均気温は、平年を1度から2度程度下回っています。
 今後2週間程度もこの時期としては強い寒気が流れ込むため、気温の低い状態が続き、かなり低くなる時期もある見込みです。
 農作物の管理等に十分注意してください。また、山地を中心に積雪や路面凍結に注意してください。

 平均気温(11月16日から11月30日まで)(速報値)
           平均気温(度)  平年差(度)
東京            9.9    -0.8
新潟            6.0    -2.9
名古屋           9.0    -1.6
大阪           10.6    -1.4
広島            9.4    -1.6
高松            9.9    -1.4
福岡           11.3    -1.0
鹿児島          13.0    -1.3

 今後、地元気象台の発表する気象情報等に留意してください。

15日には第2号が発表されました。


強い冬型の気圧配置に関する全般気象情報

12月24日に二つ玉低気圧が発達、日本海側では急速に発達(爆弾低気圧)し、27日にかけて北日本では大荒れの天気となりました。

強い冬型の気圧配置に関する全般気象情報 第1号

平成29年12月22日16時00分 気象庁予報部発表

(見出し)
25日から27日頃にかけて強い冬型の気圧配置が続くため、北日本を中心に荒れた天気となり、大荒れや大しけとなるおそれがあります。

(本文)
 25日は低気圧が北日本を急速に発達しながら進み、25日から27日頃にかけて強い冬型の気圧配置が続く見込みです。このため、北日本を中心に荒れた天気となり、大荒れや大しけ、大雪となるおそれがあります。
 暴風や暴風雪、高波、猛ふぶきによる交通障害に警戒してください。
 今後、地元気象台が発表する警報・注意報や気象情報に留意してください。
 次の「強い冬型の気圧配置に関する全般気象情報」は、23日17時頃に発表する予定です。


暴風雪と高波に関する全般気象情報

22日に発表された「強い冬型の気圧配置に関する全般気象情報 第1号」は、翌23日、「暴風雪と高波に関する全般気象情報 第2号」に名称変更して引き継がれました。

暴風雪と高波に関する全般気象情報 第2号

平成29年12月23日16時35分 気象庁予報部発表

(見出し)
25日から27日頃にかけて、日本付近は強い冬型の気圧配置となるため、北日本では雪を伴った非常に強い風が吹き、海は大しけとなるでしょう。暴風雪や高波に警戒し、大雪やなだれに注意してください。

(本文)
[気圧配置など]
 25日は、低気圧が日本海と本州の南岸から三陸沖をそれぞれ急速に発達しながら北東へ進み、25日夜にはオホーツク海でひとつにまとまって発達する見込みです。26日は、低気圧がオホーツク海でさらに発達し、日本付近は冬型の気圧配置が強まるでしょう。また、26日以降は、北日本の上空約5000メートルに、氷点下36度以下の強い寒気が流れ込み、強い冬型の気圧配置は27日頃にかけて続く見込みです。

[防災事項]
<暴風雪・暴風・高波>
 25日は、北日本の日本海側を中心に雨や雪を伴った非常に強い風が吹き、26日から27日頃にかけて、強い寒気が流れ込むため、猛ふぶきとなる所があるでしょう。また、北日本では、25日から27日頃にかけて、海は大しけとなる見込みです。
 北日本では、日本海側を中心に、猛ふぶきや吹きだまりによる交通障害、暴風や高波に警戒してください。

<大雪>
 25日から27日頃にかけて、北日本の日本海側を中心に大雪となる所があるでしょう。大雪やなだれに注意してください。

<融雪・なだれ・着雪>
 25日は、低気圧に向かって暖かい空気が流れ込むため、北日本でも日中は気温が上がり、雨が降って雪解けが進むでしょう。その後は、雨は次第に雪に変わりますが、湿った雪となる見込みです。
 低地の浸水、河川の増水、土砂災害、なだれ、着雪に注意してください。

[補足事項]
 地元気象台が発表する警報や注意報、気象情報に留意してください。
 この情報は「強い冬型の気圧配置に関する全般気象情報」を引き継ぐものです。
 次の「暴風雪と高波に関する全般気象情報」は、24日5時頃に発表する予定です。


暴風雪と高波及び大雪に関する全般気象情報

暴風雪と高波及び大雪に関する全般気象情報 第5号

平成29年12月25日05時07分 気象庁予報部発表

(見出し)
25日から28日頃にかけて、日本付近は強い冬型の気圧配置となるため、北日本と北陸地方では雪を伴った非常に強い風が吹き、海は大しけとなるでしょう。暴風雪や高波に警戒し、大雪やなだれに注意してください。

(本文)
[気圧配置など]
 低気圧が日本海中部にあって、急速に発達しながら北東へ進んでいます。また、別の低気圧が伊豆諸島付近にあって、急速に発達しながら東北東へ進んでいます。これらの低気圧は、25日夜にはオホーツク海でひとつにまとまって、26日にかけてさらに発達し、日本付近は冬型の気圧配置が強まる見込みです。また、26日以降は、北日本の上空約5000メートルに、氷点下36度以下の強い寒気が流れ込み、強い冬型の気圧配置は28日頃にかけて続くでしょう。

[防災事項]
<暴風雪・暴風・高波>
 25日は、急速に発達する低気圧の影響で、北日本と北陸地方を中心に雨や雪を伴った非常に強い風が吹き、海上では猛烈な風が吹くところもあるでしょう。その後、28日頃にかけて、強い冬型の気圧配置となるため、北日本と北陸地方では、雪を伴って非常に強い風が吹き、猛ふぶきとなるところがある見込みです。
 北日本と北陸地方では、25日から28日頃にかけて、海は大しけとなるでしょう。
26日にかけて予想される最大風速(最大瞬間風速)は、
 北海道地方       30メートル(45メートル)
 東北地方        28メートル(40メートル)
 北陸地方        20メートル(30メートル)
26日にかけて予想される波の高さは、
 北海道地方、東北地方   7メートル
 北陸地方         6メートル
です。
 北日本では、暴風、猛ふぶきや吹きだまりによる交通障害に厳重に警戒し、北日本と北陸地方では、高波に警戒してください。

<大雪>
 25日から28日頃にかけて、北日本の日本海側を中心に大雪となるところがあるでしょう。
26日6時までの24時間に予想される降雪量は、多いところで、
 北海道地方、東北地方 40センチ
です。
 その後も28日にかけて、北日本を中心に降雪量がさらに多くなる見込みです。
 大雪による交通障害やなだれに注意してください。

<融雪・なだれ・着雪>
 25日は、低気圧に向かって暖かい空気が流れ込むため、北日本でも日中は気温が上がり、雨が降って雪解けが進むでしょう。その後は、雨は次第に雪に変わりますが、湿った雪が降る見込みです。
 低地の浸水、土砂災害、河川の増水、なだれ、着雪に注意してください。

[補足事項]
 地元気象台が発表する警報や注意報、気象情報に留意してください。
 この情報は、「暴風雪と高波に関する全般気象情報」を引き継ぐものです。次の「暴風雪と高波及び大雪に関する全般気象情報」は、25日17時頃に発表する予定です。



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相当温位鉛直断面図 [傾向と対策]

鉛直断面図

図の概要

相当温位鉛直断面図は相当温位の鉛直方向の分布を表したもので、相当温位の立体的な分布を把握することができます。

縦軸は気圧(hPa)で高さを表示し、横軸は北緯です。

断面図1.png


高層天気図の一種である850hPa面の相当温位と風の分布図(FXJP)はよくご存知でしょう。FXJPは等相当温位線の集中帯や暖湿気の流入を見るのに便利です。

このFXJPは850hPaという水平面で相当温位と風の分布を見たものですが、水平面と直交する鉛直方向の断面で相当温位の分布を見たものが相当温位鉛直断面図です。さらに、鉛直方向の風の分布を書き込んだものは「相当温位・風の鉛直線断面図」となります。

断面ということは地上(海面上)とどこかで交わるはずで、それが出題文では「直線(線分)X-Yに沿って鉛直に切った断面図」のように表現されます。

先の断面図は、長崎沖の線分X-Yに沿って鉛直方向に切っています。

断面図2.png



出題の傾向

過去10回の試験で、鉛直図は5問の出題がありました。

【相当温位・風の鉛直断面図】

第40回実技2
相当温位・風の鉛直断面図から、低気圧に伴う前線の構造と特徴を読み取る問題
・等相当温位線の分布から、前線の特徴を読み取る
・風の鉛直分布から温度移流を判断する
・4枚の断面図を時系列順に並べる

第41回実技1
相当温位・風の鉛直断面図から、前線(停滞前線)と大気の状態(風の変化、安定状態)を読み取る問題(平成24年台風第16号接近時)
・前線の名称
・風の変化、相当温位の状況を読み取る

第42回実技1
相当温位・風の鉛直断面図から、降水域の特徴を読み取る問題(平成24年九州北部豪雨発生時)
・降水の要因となる暖湿空気の流入状況を読み取る
・風速の鉛直分布の特徴を読み取る
・上空の温度移流を読み取る
・降水をもたらす雲が形成されている暖湿空気の特徴の読み取り

【相当温位南北鉛直断面図】

第47回実技1
上空方向の相当温位の分布の変化の特徴を読み取る問題

【気温・温位・風の鉛直断面図】

第47回実技2
前線を横切る温位の鉛直断面図から、温暖前線、寒冷前線の立体構造を読み取る問題

このように、相当温位の鉛直断面図の出題では前線がテーマとなることが圧倒的に多いことが分かります。


対策

相当温位断面図に関する出題は、断面図が何を表しどのような特徴が表現されているのかが理解できれば、出題文に誘導されて解答できる内容です。

とは言え、限られた試験時間内で手際よく解答するには、代表的な事例を頭に入れておいた方が効率が上がります。そこで前線と集中豪雨について見ておきましょう。


前線を読み取る

断面図で前線が読み取れるようにしておきましょう。

まず前線帯や転移層について理解しましょう。前線や前線面は実際は「線」や「面」ではなく、水平方向の幅や鉛直方向の厚さを持っています。幅を持った前線は「前線帯」、厚さを持った前線面は「転移層」と呼ばれます。

転移層を等圧面で切り取ったものが前線帯だと考えても良いでしょう。

さて、こちらは米国の教科書"Atmospheric Science"(1977年版)に掲載されている、ジェット気流の鉛直断面図です。縦軸は高度(km)及び気圧(mb)、横軸は北緯(左にいくほど高緯度)です。実線は等温位線、破線は等風速線です。

Wallace and Hobbs, 1977_2 2.png


この図から次のことが分かります。

・ジェット軸(Jで図示されている)の下方に前線がある
・転移層では等風速線が集中している

次の図は、同じくジェット気流の鉛直断面図に等温線(実線)と等風速線(破線)を表したものです。

等温線 3 2.png


前線帯では等温線が何本も横切っていることから、気温の水平傾度が大きいことが分かります。

なお、前線の部分では暖気が上へ、寒気が下へもぐりこむため、転移層の部分で前線性の逆転層(移流逆転層)ができることがあります。


集中豪雨を読み取る

集中豪雨をもたらす線状降水帯の多くは、風上で積乱雲が繰り返し発生することで形成されます。これは大気下層に水蒸気が大量に蓄積され、強い南よりの風で持続的に流入することで発生します。

線状降水帯の正体は組織化された積乱雲です。線状降水帯のできやすい領域は、積乱雲のできやすい領域でもあります。すなわち、下層の空気塊が持ち上げられて、自由対流高度に達しやすい場です。
具体的には、
・下層の相当温位が高いこと
・下層風収束場が存在すること
です。

梅雨前線の南側で発生する線状降水帯を、断面図で見てみます。

暖湿気の流入.png

前線付近南側の上空に湿潤域が見られます。集中豪雨は、高度1km以下の下層で南よりの湿った空気が流入し、湿潤域とぶつかるあたりで生じます。


その他

一般的に相当温位は低緯度ほど高くなります。

こちらは第47回実技1の出題で、領域X、Y、Zにおける相当温位の分布が上空に向かってどう変化するかを聞いています。

相当温位断面図.png


相当温位は330Kしか表示されていません。しかし、相当温位は低緯度ほど高くなることを押さえて一本ずつ丁寧に追っていけば解くことができます。

(解答) X:変化せず、Y:減少する、Z:増加する

また、断面図に風が書き込まれていれば、温度移流を読み取ることができます。上空に向かって時計回りであれば暖気移流、反時計回りであれば寒気移流です。これはエマグラムの場合と同様です。


【参考文献】
吉崎・加藤「豪雨・豪雪の気象学」(朝倉書店、2007)
気象庁「平成26年度予報技術研修テキスト」
徳島地方気象台「線状降水帯について」
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11月の気象情報 [アーカイブ]

2017年11月に発表された気象情報の中からいくつかの例を見てみます。

生の気象情報を掲載する観点から解説は加えていません。tenki.jpやsunny-spot.netなどで過去の天気図を見ながら学習してください。

今回のポイント

・11月は全般気象情報の発表が少ない月だった。
・北海道では、今シーズン初となる大雪に関する気象情報が発表された。


11月の全般気象情報

当月は、全般潮位情報と暴風と高波に関する全般気象情報が発表されました。

11月1日 大潮による高い潮位に関する全般潮位情報 第1号
11月9日 暴風と高波に関する全般気象情報 第1号
11月10日 暴風と高波に関する全般気象情報 第2号
11月10日 暴風と高波に関する全般気象情報 第3号
11月11日 暴風と高波に関する全般気象情報 第4号
11月11日 暴風と高波に関する全般気象情報 第5号


暴風と高波に関する気象情報

11月10日から11日にかけて、24時間で32hPa(10日9時:1004hPa→11日9時:972hpa)下降する「爆弾低気圧(急速に発達する低気圧)」が発生しました。

以下に、該当の全般気象情報をすべて掲載します。

暴風と高波に関する気象情報 第1号

平成29年11月9日16時00分 気象庁予報部発表

(見出し)
急速に発達する低気圧の影響で、北日本を中心に、11日から12日にかけて、非常に強い風が吹き、海は大しけとなる見込みです。暴風や高波に警戒してください。

(本文)
[気圧配置など]
 11日は、日本海北部を低気圧が急速に発達しながら北東に進み、11日夜に北海道付近を通過して、12日にはオホーツク海に進む見込みです。北日本を中心に、11日から12日にかけて、大荒れの天気となるでしょう。

[防災事項]
<暴風・高波>
 急速に発達する低気圧の影響で、北日本を中心に、11日から12日にかけて非常に強い風が吹き、海は大しけとなる見込みです。暴風や高波に警戒してください。

[補足事項]
 地元気象台が発表する警報や注意報、気象情報に留意してください。
 次の「暴風と高波に関する全般気象情報」は、10日5時ころに発表する予定です。


暴風と高波に関する気象情報 第2号

平成29年11月10日05時00分 気象庁予報部発表

(見出し)
急速に発達する低気圧の影響で、北日本を中心に、11日から12日にかけて、非常に強い風が吹き、海は大しけとなる見込みです。暴風や高波に警戒してください。

(本文)
[気圧配置など]
 低気圧が急速に発達しながら、10日午後から11日朝にかけて、日本海を北東へ進む見込みです。発達した低気圧は、11日日中に北海道付近を通過し、11日夜にはオホーツク海へ達するでしょう。北日本を中心に、11日から12日にかけて、大荒れとなる見込みです。

[防災事項]
<暴風・高波>
 急速に発達する低気圧の影響で、北日本を中心に、11日から12日にかけて、非常に強い風が吹き、海は大しけとなる見込みです。暴風や高波に警戒してください。
 11日に予想される最大風速(最大瞬間風速)は、
  北海道地方、東北地方 海上 25メートル(35メートル)
             陸上 20メートル(35メートル)
 11日に予想される波の高さは
  北海道地方、東北地方 7メートル
  北陸地方       6メートル
 です。

[補足事項]
 地元気象台が発表する警報や注意報、気象情報に留意してください。
 次の「暴風と高波に関する全般気象情報」は、10日17時頃に発表する予定です。


暴風と高波に関する気象情報 第3号

平成29年11月10日16時21分 気象庁予報部発表

(見出し)
急速に発達する低気圧の影響で、北日本を中心に12日にかけて、非常に強い風が吹き、海は大しけとなる見込みです。暴風や高波に警戒してください。また、北日本から西日本では、落雷や竜巻などの激しい突風、局地的な激しい雨に注意してください。

(本文)
[気圧配置など]
 朝鮮半島付近には前線を伴った低気圧があって、急速に発達しながら11日朝にかけて、日本海を北東へ進む見込みです。低気圧は、11日日中に北海道付近を通過し、11日夜にはオホーツク海へ達するでしょう。
 また、11日には低気圧からのびる寒冷前線が通過するため、北日本から西日本では大気の状態が非常に不安定となる見込みです。

[防災事項]
<暴風・高波>
 急速に発達する低気圧の影響で、北陸地方では10日夜遅くから11日にかけて、北日本では11日から12日にかけて、非常に強い風が吹き、海は大しけとなる見込みです。暴風や高波に警戒してください。
 11日に予想される最大風速(最大瞬間風速)は、
  北海道地方     海上 28メートル(40メートル)
            陸上 23メートル(35メートル)
  東北地方      海上 25メートル(35メートル)
            陸上 20メートル(35メートル)
  北陸地方      海上 20メートル(30メートル)
            陸上 18メートル(30メートル)

 11日に予想される波の高さは
  北海道地方      8メートル
  東北地方       7メートル
  北陸地方       6メートル
 です。

<落雷・突風>
 寒冷前線の通過に伴い、西日本ではこれから11日朝にかけて、東日本と北日本では、11日は、落雷や竜巻などの激しい突風、局地的な激しい雨に注意してください。発達した積乱雲が近づく兆しがある場合には、建物内に移動するなど、安全確保に努めてください。

[補足事項]
 地元気象台が発表する警報や注意報、気象情報に留意してください。
 次の「暴風と高波に関する全般気象情報」は、11日5時頃に発表する予定です。

[訂正事項]
 北陸地方の暴風に関する記述を追加しました。


暴風と高波に関する気象情報 第4号

平成29年11月11日05時00分 気象庁予報部発表

(見出し)
急速に発達する低気圧の影響で、北日本を中心に12日はじめにかけて非常に強い風が吹き、海は大しけとなる見込みです。暴風や高波に警戒してください。また、11日は、北日本から西日本では、落雷や竜巻などの激しい突風、局地的な激しい雨に注意してください。

(本文)
[気圧配置など]
 低気圧が、急速に発達しながら、日本海北部を北東へ進んでいます。低気圧は、11日日中に北海道付近を通過し、11日夜にはオホーツク海に進む見込みです。
 また、低気圧からのびる寒冷前線が東日本から西日本を通過しています。寒冷前線の通過や上空の寒気の影響により、西日本では11日朝にかけて、東日本と北日本では11日夜にかけて、大気の状態が非常に不安定となる見込みです。

[防災事項]
<暴風・高波>
 急速に発達する低気圧の影響で、北陸地方では12日朝にかけて、非常に強い風が吹くでしょう。また、北日本と北陸地方で12日明け方にかけて、海は大しけとなる見込みです。暴風や高波に警戒してください。
 12日にかけて予想される最大風速(最大瞬間風速)は、
  北海道地方     海上 28メートル(40メートル)
            陸上 23メートル(35メートル)
  東北地方      海上 25メートル(35メートル)
            陸上 20メートル(35メートル)

 12日にかけて予想される波の高さは、
  北海道地方      8メートル
  東北地方       7メートル
  北陸地方       6メートル
 です。

<落雷・突風>
 寒冷前線の通過や上空の寒気の影響により、西日本では11日朝にかけて、東日本と北日本では11日よるにかけて、落雷や竜巻などの激しい突風、局地的な激しい雨に注意してください。発達した積乱雲が近づく兆しがある場合には、建物内に移動するなど、安全確保に努めてください。

[補足事項]
 地元気象台が発表する警報や注意報、気象情報に留意してください。
 次の「暴風と高波に関する全般気象情報」は、11日17時頃に発表する予定です。



暴風と高波に関する気象情報 第5号

平成29年11月11日16時023分 気象庁予報部発表

(見出し)
発達した低気圧による暴風や高波は峠を過ぎつつありますが、北日本を中心に12日明け方まで暴風に警戒し、12日昼過ぎまで高波に警戒してください。

(本文)
[気圧配置など]
 発達した低気圧が北海道付近にあって北東へ進んでいます。低気圧は12日にかけてオホーツク海を北東へ進む見込みです。低気圧に近い北日本や北陸地方では12日にかけて、気圧の傾きの大きい状態が続くでしょう。

[防災事項]
<暴風・高波>
 発達した低気圧の影響で、北日本を中心に非常に強い風が吹き、海は猛烈なしけや、大しけとなっています。北日本では12日朝にかけて非常に強い風が吹くでしょう。北海道地方の海は11日夜のはじめ頃にかけて猛烈な時化となり、その後も12日昼過ぎにかけて大しけとなる見込みです。東北地方と北陸地方の海は12日明け方にかけて大しけとなるでしょう。
 12日にかけて予想される最大風速(最大瞬間風速)は、
  北海道地方     28メートル(40メートル)
  東北地方      25メートル(35メートル)

 12日にかけて予想される波の高さは、
  北海道地方      9メートル
  東北地方       7メートル
  北陸地方       6メートル
 です。

 北日本では12日明け方まで暴風に、12日昼過ぎまで高波に警戒し、北陸地方では12日明け方まで高波に警戒してください。
[補足事項]
 「暴風と高波に関する全般気象情報」は本号限りとしますが、引き続き、地元気象台が発表する警報や注意報、気象情報に留意してください。



北海道地方気象情報

11月は北海道地方気象情報が多く発表されました。この月には今季初めての大雪情報も出されたので掲載します。

11月7日 雷と突風に関する北海道地方気象情報 第1号
11月8日 雷と突風に関する北海道地方気象情報 第2号
11月8日 雷と突風に関する北海道地方気象情報 第3号
11月9日 暴風と高波に関する北海道地方気象情報 第1号
11月10日 暴風と高波に関する北海道地方気象情報 第2号
11月10日 暴風と高波に関する北海道地方気象情報 第3号
11月10日 暴風と高波に関する北海道地方気象情報 第4号
11月11日 暴風と高波及び雷に関する北海道気象情報 第5号
11月11日 暴風と高波及び雷に関する北海道気象情報 第6号
11月12日 暴風と高波に関する北海道地方気象情報 第7号
11月16日 強風と高波に関する北海道気象情報 第1号
11月17日 強風と高波に関する北海道気象情報 第2号
11月17日 暴風と高波に関する北海道気象情報 第3号
11月17日 暴風と高波及び大雨に関する北海道気象情報 第4号
11月18日 強風と高波及び大雨に関する北海道気象情報 第5号
11月18日 強風と高波及び雷に関する北海道気象情報 第6号
11月18日 強風と高波及び大雪に関する北海道気象情報 第7号
11月19日 大雪と風雪に関する北海道気象情報 第8号
11月19日 大雪と風雪に関する北海道気象情報 第9号
11月25日 暴風に関する北海道気象情報 第1号
11月26日 暴風に関する北海道気象情報 第2号
11月27日 暴風雪と高波に関する北海道気象情報 第1号
11月28日 暴風雪と高波に関する北海道気象情報 第2号
11月28日 暴風雪と高波に関する北海道気象情報 第3号
11月29日 暴風雪と高波に関する北海道気象情報 第4号
11月29日 暴風雪と高波に関する北海道気象情報 第5号
11月30日 暴風雪と高波及び大雪に関する北海道気象情報 第6号
11月30日 大雪に関する北海道気象情報 第7号
11月30日 大雪に関する北海道気象情報 第8号


強風と高波及び大雪に関する北海道地方気象情報 第7号
平成29年11月18日16時18分 札幌管区気象台発表

(見出し)
北海道地方では、19日にかけて強風や高波に注意してください。また、日本海側では、19日にかけて大雪による交通障害やなだれに注意してください。

(本文)
<気象概況>
 宗谷海峡付近に、前線を伴った低気圧があって急速に発達しながら北東に進んでおり、19日朝にはサハリン付近に進むでしょう。19日は上空に真冬並みの寒気が入るため、冬型の気圧配置が強まる見込みです。
 このため、北海道付近は19日にかけて気圧の傾きが大きく、大気の状態が不安定となります。
 北海道地方では、19日にかけて西または北西の風が強く、海はしけるでしょう。日本海側を中心に雪が降り、降雪量の多くなる所があるでしょう。日本海側中心の雪は、20日にかけて断続的に降り続く見込みです。

<防災事項>
 北海道地方では、19日にかけて強風や高波、大雪による交通障害がやなだれ、落雷や突風、ひょう、湿り雪による電線着雪、高潮による低い土地の浸水、河川の増水に注意してください。

<風の予想>
18日から19日にかけての最大風速(最大瞬間風速)
 日本海側北部、太平洋側東部  西または北西の風
  海上 18メートル(30メートル)
  陸上 15メートル(30メートル)
 日本海側南部、太平洋側西部、オホーツク海側  西または北西の風
  海上 15メートル(25メートル)
  陸上 15メートル(30メートル)

<波の予想>
18日から19日にかけての波の高さ
 太平洋側東部       5メートル
 日本海側、太平洋側西部  4メートル
 オホーツク海側      3メートル

<雪の予想>
18日18時から19日18時までの24時間降雪量
 日本海側           40センチ
 太平洋側西部         20センチ
 太平洋側東部、オホーツク海側 10センチ
日本海側を中心に、20日にかけて更に多くなる所がある見込みです。

<風の実況>
18日0時から15時までの最大瞬間風速と最大風速
(アメダスによる速報値 単位:メートル)
釧路・根室地方
 釧路町知方学
   最大瞬間風速 33.1   南 18日10時25分
     最大風速 24.3   南 18日10時59分
胆振・日高地方
 えりも岬  
   最大瞬間風速 32.6 西南西 18日09時35分
     最大風速 22.9 西南西 18日09時38分
釧路・根室地方
 釧路町市幸町
   最大瞬間風速 31.2   南 18日09時29分
     最大風速 22.2 南南東 18日09時47分
釧路・根室地方
 根室市弥栄町
   最大瞬間風速 30.3 南南東 18日09時10分
     最大風速 19.7 南南東 18日10時40分

<雪の実況>
18日0時から15時までの降雪量(アメダスによる速報値)
 十勝地方  芽室  22センチ

 引き続き、地元気象台や測候所の発表する防災気象情報に留意してください。

 この情報は「暴風と高波及び雷に関する北海道地方気象情報 第6号」を引き継ぐものです。

 次の北海道地方気象情報は、19日5時頃に発表する予定です。



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地上実況図など [傾向と対策]

図の概要

本項では「地上実況図」「アメダス実況図」「地上実況図、レーダーエコー合成図」として出題されたものを扱う。

気象現象は気圧、気温、風などの気象要素に特徴ある分布が現れるので、複数の要素を同時に解析することで今後の展開予測が可能となる。

地上実況図は、地方地図に重ねて気圧、気温、風などが書き込まれている。

気圧は0.1hPa単位で表した下3桁が表記される。
例)「863」→1086.3hPa、「023」→1002.3hPa

風速の単位は秒速(m/s)表示が多いが、ノット表示のこともあるので、その都度、凡例で確認のこと。

実測値の他に、気温や気圧の等値線が書かれていることもある。等圧線は2hPa単位で書かれていることが多い。

アメダスの観測項目は降水量、風向、風速、気温、日照時間、積雪の深さであり、気圧は含まれない。したがって、「アメダス実況図」には通常、風向、風速、気温が書き込まれている。

また、レーダーエコーと気象要素の対応を見るために、レーダーエコー合成図に地上実況図を重ねた「レーダーエコー合成図・地上実況図」も出題される。

地上実況図.png


出題の傾向

テーマとなった気象現象は台風、温帯低気圧、沿岸前線である。

問われる内容としては、
・シアーラインの解析(作図、読み取り)
・等圧線の解析(記入)
・風向、風速、気温の読み取り
・気圧、気温、風の分布の特徴
・異なる時刻の図から、気圧の特徴の変化を読み取る
・台風や低気圧の中心位置の記入
などである。

シアーライン解析は3回出題されているが、2回は沿岸に形成される事例であった。シアーラインの作図(記入)は後述する練習をしていれば困難ではない。

等圧線の解析(記入)問題は、未記入の等圧線を2〜3本とそれぞれの等圧線の値を記入させるものである。
等圧線の分布の特徴問題では「低気圧の分裂」が出題されているので、これについては対策編で触れる。

以下に、回別の出題概要を記す。

第40回実技1
①地上気圧・風の予想図(風速はノット)(関東地方)
・気圧の分布と風の分布の予想
②アメダス実況図
・シアーライン(沿岸前線)の解析(読み取り)

第42回実技1
レーダーエコー合成図・地上気圧実況図(九州地方)
・強雨域の位置する地上気圧場の特徴

第42回実技2
地上実況図、レーダーエコー合成図(風速はノット)(西日本)
・等圧線解析
・レーダーエコー分布と気圧分布の対応の特徴
・時刻経過に伴う気圧の谷の変化と移動の状況

第44回実技1
地上実況図(気温、風)(風速はm/s)、レーダーエコー合成図(関東地方)
・風向、風速、気温の読み取り
・降水域に対応する地上風の分布と気温分布の特徴

第45回実技1
地上実況図(風速はm/s)(九州地方)
・等圧線の記入、台風の中心位置の記入
・台風中心の移動距離と平均の早さを算出

第46回実技1
地上実況図(風)(風速はm/s)(九州地方)
・台風の中心位置の読み取り

第46回実技2
レーダーエコー合成図・地上実況図(風速はm/s)(北海道・東北)
・帯状エコーに対応したシアーラインの解析(作図)、等圧線の記入
・気圧場の特徴

第47回実技1
地上実況図(風速はm/s)(関東地方)
・強い雨の要因となった風向分布の特徴(風の収束)

第48回実技2
アメダス実況図(風、気温)(風速はm/s)(関東地方)
・気温と風の読み取り

第49回実技1
アメダス実況図(風速はm/s)(福岡県)
・気温、風の読み取り
・シアーライン解析(作図)

第49回実技2
地上実況図(風速はm/s)(東日本)
・台風上陸時の等圧線の記入
・気圧分布の特徴


対策

答案対策

シアーラインや実測値の読み取り問題では、「内陸部の最大風速は?」のように、「沿岸部」と「内陸部」の見極めが求められることがある。「海岸線から〇〇km以内が沿岸部」と捉えるのではなく、解析されたシアーラインの一方を沿岸部、もう一方を内陸部というように相対的に捉えるのが適切であろう。

気象庁の「地域に関する用語」には次のようにある。

沿岸:海岸線の両側のある広さを持った地域と水域。
内陸:海岸(地方)に対して、海から遠く離れた地帯。「沿岸(部)」を除く。

具体的な事例ではどうだろうか。こちらは「山形県の気象特性」(山形地方気象台)から。

山形気象台.png


海岸線から最大で20kmほどは沿岸部と読み取れそうである。

一方で、第49回実技1では、福岡県の日本海側沿岸のアメダス実況図読み取りとシアーライン解析が出題された。

第49回_2.png


この問題における沿岸部と内陸側は上の図のようになっている。南の風50m/sは博多の測定値だが、模範解答では博多は内陸部とされている。

次に、気圧の分布の問題で着目すべきは、
・高気圧(高圧部)、低気圧(低圧部)が形成されている位置
・それらが地形要因などで分断されている模様
・気圧の谷の状況
であり、それを記述する。

例)
・神奈川県から房総半島にかけて気圧の谷となる。
・低気圧の中心が北海道の日本海側とオホーツク海側に分かれている。

気圧分布では、低気圧が2つに分裂する問題が2回出題されている。台風や低気圧は山脈などの地形の影響を受けて、等圧線が変形したり分裂することがある。

具体的には低圧部がひょうたん型になり中心が分裂したり、山脈に沿って伸びたりする。このようにして発生した低気圧は副低気圧と呼ばれる。最近では、2017年の台風5号が中部山岳地帯(日本アルプス)により分裂した実例がある。

風の分布については、どこにどのような風向の風が吹いているかを答える。

例)
・南海上から南西風が南部沿岸に達するが、内陸部では風が弱い。


日頃の練習

地上実況図の入手は一般には困難なため、代用できるもので練習したい。

シアーラインの作図練習は、850hPa風・相当温位予想図(FXJP854)や850hPa天気図(AUPQ78)で行う。これらの天気図は総観規模ではあるが府県単位の地上実況図とはスケールが異なるが、練習材料にはなる。

等値線(等温線、等圧線)を短時間で書く練習をすること。良質な練習材料は乏しいが、気象庁HPの地方別のアメダス気温観測値で1℃ごとに等温線を引いてみるのが手頃。

アメダス.png


また、過去問題や参考書の問題などを、日頃から練習の素材としてコピーして集めておき、試験前の2週間ほどは毎日繰り返して作業を手に覚えさせると良い。

気圧や風の分布を記述するときは具体的な地名を記すことがあるので、県名や海域名を確実に覚えておきたい。過去によく出題されている関東地方、九州地方については、白地図で県名を言えるようにしておこう。

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傾向と対策のカテゴリー [傾向と対策]

第40回から第49回までの計10回分の問題の傾向を探り、その対策を考えていきます。
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