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ディバイダーを使いますか? [試験対策]

ディバイダーは、天気図上で擾乱などの移動距離を測定したり、移動速度を算出するのに用います。もちろん定規でも同じことができます。

ディバイダーの利用には一長一短があるので、本番で用いるかどうかは本文を読んでからご自身で判断してください。

【注意】
ディバイダーなどの用具は普段から使い慣れていることが大切です。慣れていない状態で本番で使うのは時間のロスや間違いにつながります。

今回のポイント

・移動距離や速度の簡易算出に適するが、誤差が生じやすい。
・使い方に自信がなければ、本番では使わないこと。定規でも十分こと足りる。


ディバイダーの使用原理

使い方はいたってシンプルです。2地点間の距離を測定するには以下のステップを踏みます。

① ディバイダーを開いて、2本の針をそれぞれの地点に当てます。
② ディバイダーの開いている間隔を、経度線を物差しにして度数で測ります。
③ ②で測った度数を海里もしくはkmなどに換算します。

では、順を追って説明していきます。

①ディバイダーを開いて、2本の針をそれぞれの地点に当てます。

特に問題はないと思います。先に一端を合わせてから、もう一端を合わせるようにディバイダーの足を開きます。

ディバイダーの針は紙に穴があくほどには尖っていないので、比較的真上から合わせないと針がズルッと滑ってしまいます。

IMG_7621.JPG

天気図上で低気圧の中心は低気圧を表す「L」字の重心にあるので、ここにディバイダーの一端を持ってきます。

② ディバイダーの開いている間隔を、経度線を物差しにして度数で測ります。

ディバイダーの針の開いた間隔が距離を表しますが、このままでは距離にはなりません。物差しにあてて距離を測る必要があります。

ここで物差しに使うのが、天気図上を南北に走っている経度線です。ディバイダーを開いたまま東経40度線まで持ってきます。そして最も近い緯度線との交差にディバイダーの一端を合わせ、もう一端を経度線上に置きます。

IMG_7624読み取り.JPG


ディバイダーの開きが経度線上で何度分に相当するかを目分量で読み取ります。上の例では「8度」と読むことができます。後ほど「出題事例」でも紹介するように、ここで読み取る際に誤差が生じる可能性があります。

目分量ではなく定規で測っても良いのですが、これだと手間が増えてディバイダーを使う意味が全くなくなります。

距離換算するには必ず経度線(南北の線)に当てます。地球儀を見ると分かりますが、経度線は必ず北極と南極を通るので1度の距離はどこで測っても同じです(注)。緯度線は緯度に応じて1度の距離が変わってくるので、物差しとして使うことができません。
(注)天気図はポーラーステレオ図法で描かれているので、厳密には異なります。

③ ②で測った度数を海里もしくはkmなどに換算します。

距離を求めるには、②で求まった度数を60倍すると海里(NM)になります。あるいは、度数に111.1を乗じるとキロ数になります。

移動速度(ノット)は1時間あたりの移動海里数なので、12時間の移動速度は度数を5倍(=60÷12)で求まります。

次の関係式を覚えておきましょう。

緯度1度の距離=60NM (NM: nautical mileは海里のこと)
60NM=10,000km÷90度=111.1km(1NM=1.852km)


②で読み取ったの「8度」を距離に換算します。

 8度×60(NM/度)=480(NM)
           =480(NM)×1.852(km/NM)
           =889(km)

この距離を12時間で移動した場合、移動速度は次により求まります。
 
 8度×60(NM/度)÷12(時間)=40(ノット)

出題事例

図6(中)で北海道付近に予想される低気圧について、その後12時間の移動の速さ(1ノット刻み)を答えよ。
(第46回実技2、問2(2)一部改変)

図6(中)地上気圧・降水量・風24時間予想図
図6(中).png

図7(中)地上気圧・降水量・風36時間予想図
図7(中).png


解答例

図7(中)に、図6(中)の低気圧の中心を写し取り赤い×をつけます。
次に赤い×と12時間後の低気圧中心(L字の重心)の間隔をディバイダーで測ります。

IMG_7631.JPG


ディバイダーの開きを経度線で測ります。

IMG_7634.JPG


開き具合が緯度40度線と50度線で示される10度のほぼ1/4に相当しているので、「2.5度」と読み取ります。

これを12時間の移動速度に換算します。

 2.5×60(NM)÷12(時間)=12.5(ノット)

1ノット刻みで答えよとの指定があるので、四捨五入して13(ノット)を得ます。

考察

センターの解答例は「12ノット」であり、13ノットは許容されていません。

正解を得られなかったのは、ディバイダーの開きを2.5度と読み取ったからです。正解を得るにはディバイダーの開きを2.3もしくは2.4と読み取らないといけません。

経度線でコンマ1度レベルまで読み取ることができますか?

ちなみに「1度=60分」ですから、正しくは1/60まで読み取らないといけないことになります。

いずれにしても、私にはできません。


最後に

私はディバイダーを使わずに受験しましたが、合格できました。当時は使い方をよく知らなかったということもありますが、定規でも全く不足は感じませんでした。

ディバイダーにしろトレーシングペーパーにしろ、使う道具が増えてくると時間ロスが増えるように思います。

本稿をまとめるにあたりディバイダーを試してみましたが、次の3点がとても気になりました。

・1ノット刻みを求められる場合は、読み取り精度に難がある。
・開脚角度が小さいとディバイダーが紙面の上を滑ってしまいイライラする。
・1NM=1.852kmの換算値を忘れるリスクがある。

ササッと概算値を出すには良いツールだと思いますが、試験では使わなくて正解だったと思います。

あなたならどうしますか?


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