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合格発表まで何して過ごす? [箸休め]

試験が終わってから合格発表までは1ヶ月強の期間があります。
落ち着かないこの時間をどう使ったら良いでしょうか。

使い込んだ筋肉には休養が必要なのと同じで、詰め込みと問題演習で疲れた頭脳も少し休ませてあげるとその後の効率がアップします。

しかし気象の勉強から完全に離れてしまうと、再度エンジンをかけるのに時間がかかってしまいます。

そこで学習意欲を維持しつつ、今後の学習のプラスになる時間の過ごし方を考えてみました。

1.気象に関係のある土地に旅してみる

肱川.png

15288.jpg

出典:大洲市

試験勉強中は、どうしても部屋に閉じこもりになりがちです。休養期間中は、思い切って外に出かけてみてはどうでしょうか。

現地で現物に触れてみると、これまでとは違った刺激を受けるはずです。

局地風を探しに出てみる

秋になると、局地風が吹くところが多く出てきます。どのような地形で発生するのか現地視察をして、そのついでに土地の美味しいものを食べてみるのはいかがでしょうか。

【全国の季節風の例】
(北海道)
羅臼風、ひかた風、手稲おろし、十勝風、日高しも風、寿都(すっつ)のだし風、雄武のひかた風
(東北)
清川だし、三面だし、荒川だし、安田のだしの風、胎内だし
(関東)
那須おろし、筑波おろし、赤城おろし、安田だし、榛名おろし、空っ風、藤川おろし
(近畿)
井波風、比良八荒(ひらはっこう)、鈴鹿おろし、富士川おろし、六甲おろし
(中国)
広戸風
(四国)
やまじ風、肱川あらし
(九州)
まつぼり風

※写真の肱川あらしは、上流の冷気が流れてきて川沿いを流れ出す壮大な現象です。肱川は2018年7月の豪雨で氾濫し被害も出たため、訪問の際には現地状況の確認が必要です。

気象予報で有名な場所を訪れる

気象情報で岬や半島などの地名をよく耳にします。どんなところなのか気になりますよね。Googleマップで地形図を見るだけでも楽しいです。

佐渡ヶ島、南大東島、奄美大島などの離島も面白そうです。

実際に行くことがなくても、自然現象を調べてみたり、現地の宿や交通手段を調べて旅行スケジュールを組むだけでも想像力が掻き立てられて楽しいですよ。

2.気象に関係のある本を読んでみる

科学技術は失敗や事故をきっかけに進歩します。そんな本を読むと元気が出るかも。

「マッハの恐怖」(柳田邦男・著、フジ出版社)

1966年、国内で立て続けに発生した3件の航空機墜落事故のノンフィクション。晴天乱気流(CAT)に巻き込まれて富士山上空で空中爆発した航空機事故の記述からは、調査官の執念を感じます。

古い本ですが、図書館で見つけることができると思います。

「気象庁物語」(古川武彦・著、中公新書)

明治8年の東京気象台の創設から今日の気象業務まで、気象庁の歴史が簡潔にまとめられています。

岡田武松(NHK-BSで特集された「日本の気象の父」)と藤原咲平(「藤原の効果」で知られています)の活躍や、昭和34年に数値予報用に大型電算機が導入されたことなど、気象フリークには面白い情報が紹介されています。

「天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある」(山口真由・著、扶桑社新書)

気象とは関係ないですが、勉強法をまとめた本です。タイトルを見るとムッとしますが、「一冊の教科書を読みこなす」ことを提唱。

この人は同じような本を色々と出していますが、この本がコンパクトで良いと思います。

3.施設見学をしてみる

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出典:南大東島地方気象台

参考書でしか見たことのない観測施設を生で見ると興奮するかもしれません。気象に関する質問の1つや2つぐらい、気象台の人に聞いたら答えてくれるかも。

地方気象台

事前予約が必要な場合もありますが、中には見学を随時受け付けている気象台もあります(例えば山形地方気象台)。高層気象観測点であれば、ゾンデの打ち上げ(飛揚)を見ることもできます。

ナマの気象の匂いを嗅いでみるのはきっと刺激的なハズ。

気象庁

現在は大手町にある気象の総本山も、2020年には虎ノ門の新庁舎に移転予定です。歴史ある建物を今のうちに訪れてみてはいかがでしょうか。
実は経費削減のため、全国レベルでも合同庁舎に移転する地方気象台が出ています。

ちなみに、「天気相談所」や気象の書籍を扱う「津村書店」に行くといえば、気象庁内部に入ることができます。テレビで見かけたあの気象予報士を見かけることができるかも。

4.少し難しい資料にチャレンジする

東京堂出版の「シリーズ 新しい気象技術と気象学」は難しい数式を用いずに、これまでに学んできたことを再整理するのに適しています。

長期予報のしくみ.png


「長期予報のしくみ」
1週間より先の予報を長期予報と言います。季節予報では偏西風の蛇行とENSOの動向を監視することがカギになります。

本文だけで143ページと少し厚めの本ですが、パラパラと拾い読みだけでも良いです。偏差図をしっかり読む練習にもなるので、「一般知識」にも役立ちます。

「日本付近の低気圧のいろいろ」
第2章の温帯低気圧の項を読めば、温帯低気圧のことがもう少し分かるようになります。前線の構造が簡潔にまとめられています。

5.過去の災害規模の事例をまとめてみる

気象と災害は切っても切れない関係です。過去に発生した災害には将来に対する教訓が含まれます。

気象庁のホームページ
災害をもたらした気象事例

上記資料は網羅的でなので、よりコンパクトなものとしては次の書籍をお薦めします。

「特別警報と自然災害がわかる本」(
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トラフの描き方の疑問 [箸休め]

トラフの描き方を学びたくてこのページにたどり着いた方、ごめんなさい。このページは「トラフの描き方が分からない」ことをまとめたものなので、お役に立てません。

そう。正直に告白すると、私はトラフの描き方が分かりません。

そもそも世の中にトラフの見本が少なすぎて学習材料に乏しいのですが、数少ない見本を見ると自分の解析と大きくずれていることもあります。

本稿ではトラフの見本を集めてみたので、時間の余裕のある方のみご覧ください。

今回のポイント

・学習材料となるトラフの見本が少ない。
・参考書の説明に従っても、見本通りのトラフが描けない。
・自分にはトラフを描くための着眼点が不足している。


トラフってなんだ?

まず、トラフの定義をおさらいしておきましょう。

【トラフ】

「高圧部と高圧部の間の気圧の低いところ」
(気象庁HP)

「トラフは、等高度線が南へ凸になっている所」
(気象予報士試験 模範回答と解説)

「正渦度の極大域付近がトラフになる」
(気象予報士試験 模範回答と解説)

「等高線が高度の低いほうから高いほうへ凸に湾曲している形態をトラフと呼ぶ」
(気象学入門)

「トラフは、低気圧や低圧部から延び、周辺よりも高度(気圧)が低い部分であり、低気圧性曲率の最も大きい部分を連ねた線」
(ひとりで学べる!気象予報士実技試験)


抽象的ですね。ここで分かることは、トラフというのは高層天気図(500hPa面)の等高度線の形状で定まるものであり、数式などで求められるものではないということ。主観的な観点が入ってしまうということです。

そもそもなぜ、トラフに注目しなくてはいけないのでしょうか。それはトラフが次のように、温帯低気圧の消長(発達と衰退)の目安になるからです。

・トラフ前面の地上低気圧は発達する、後面の地上低気圧は衰退する。
・トラフが地上低気圧の真上の時、地上低気圧は発達の最盛期である。
・トラフが深まると地上低気圧は発達する。

トラフは周囲と比べると気圧が低く、また寒気を伴っているため、下層に暖かい空気が流れ込むとそれが上昇してきて雲が発生します。このため天気が崩れやすくなります。

ちなみに日本では「トラフ」は高層天気図で使われる言葉で、「気圧の谷」というと地上天気図も含めて広く使われているようです。「上空の気圧の谷」と言えば、トラフのことを指します。

トラフの描き方(らしきもの)

トラフの描き方

トラフ軸の定義はトラフの描き方を示唆しています(多くの参考書では「トラフ軸」の意味で「トラフ」を用いているようです)。

【トラフ軸】

「トラフのところで高度がもっとも低い点を結んだ線をトラフ軸という」
(気象学入門)


暗黙のルール

次の2点は、事例を見ながら個人的に感じていることです。

「トラフは強風軸よりも暖気側にはみ出さない。」

強風軸の寒気側は低気圧性循環ですが、暖気側は高気圧性循環になっています。トラフは低気圧性ですから、強風軸の寒気側に留めなくてはなりません。

当然すぎるからなのか、参考書には書かれていません。

「日本の東海上にあるトラフは解析しない。」

トラフ解析をする目的は、その前面の低気圧の動きを知りたいからです。日本を通過してしまったトラフは用済みなので、通常は解析されません。

以上を実践して見本通りのトラフが描ければ問題ないのですが、実際のところどうなのかを見ていきます。


トラフの疑問

トラフを描いてみて解答と比べて一致しない時の疑問をあげてみます。

①なぜそこに描くのか分からない
「もっと他に解析できそうなところがあるのに、なぜそこに描くのか?」というケース。トラフが浅すぎるケースが該当します。

②傾きが分からない
「傾きはもっと急(あるいは緩やか)じゃない?」というケース。もっと曲率半径の短いところを通しても良さそうと思います。

③引き始め(終わり)が分からない
「その辺りに解析できそうなのは同意だけど、なぜそこから描き始めるの?」というケース。


トラフのコレクション

上記の疑問別にトラフの例をまとめてみました。出典は、トラフの見本を比較的豊富に掲載している「天気図の使い方と楽しみ方」(オーム社)です。

あくまでも私が見本の趣旨を理解できないという不勉強を晒しているだけで、他意はありません。

①なぜそこに描くのか分からないケース

CCI20180202_00005.jpg
(P.53 図3-10)
いやあ、唐突すぎてコメントに困るくらいです。すごく浅いところに描いているように思います。自分だったら5700mの東経109°に引きたいのですが。

CCI20180202_00007.jpg
(P.94 図4-8)
これも大胆です。自分は朝鮮半島の北部に引きたいところです。

CCI20180202_00002.jpg
(P.33 図2-23)
これでトラフ、描きます?描くのだったら2本に分けて、1本は5640mから、もう1本は5760mから引きたいです。


②傾きが分からないケース

CCI20180202_00000.jpg
(P.15 図2-2)
もっと水平に寝てしまっても良いのではないかと思えます。しかも5760mで止めて良いのではないでしょうか。

CCI20180202_00007(2).jpg
(P.94 図4-9)
こちらももっと寝かせてあげたい例。

CCI20180202_00003.jpg
(P.39 図2-30)
こちらは逆に、5700mのところ引き始めをもっと西に持ってきて、傾きを経度線と平行ぐらいに立てたい例です。

CCI20180202_00004.jpg
(P.47 図3-2)
トラフが2つ解析されていますが、いずれももっと立ててあげたいです。


③引き始め(終わり)が分からないケース

CCI20180202_00006.jpg
(P.63 図3-23)
不可解な例です。引き始めと引き終わりをどう選んだのでしょうか。しかも、どうしてこんなにアーチ状に描けるのか分かりません。

CCI20180202_00009.jpg
(P.145 図6-4)
エッ、そこから引きますか?5200mの東経148°から引きたいんですが。


最後に

地形図の「谷」に例えて「気圧の谷」と呼ばれていますが、「谷」を選んでも「気圧の谷」にはならないのです。何かスパイスというか、抜け落ちている着眼点がありそうな気がしています。

「トラフの描き方」をまとめたかったのですが、未熟者の自分に現在できるのはここまでです。


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気象予報士の賞状が届きました [箸休め]

気象予報士の賞状が届けば、受験からの一連の作業もひと段落です。
しかしこの最終段階に至っても小さな落とし穴があるので、はまらないように気をつけてください。

今回のポイント

・気象予報士登録通知書は、いかなる理由があっても再発行されない。

・気象予報士登録通知書を収める額縁は「尺七大」サイズを指定する。


通知書の再発行はないので、取り扱いには注意を!

賞状が郵送で届いたのは10月21日でした。賞状と言いましたが、正式には「気象予報士登録通知書」と言います(業務法では「気象予報士の氏名、登録番号を記載した書類」と言っています)。

予報業務は「許可制」ですが、気象予報士は「登録制」なんですね。

気象庁まで申請に赴いたのが10月12日だったので、わずか9日目には届いたことになります。非常に迅速な対応でした。

申請時の記事はこちら:
気象庁に予報士の登録申請に行ってきた!

郵送で配達されると、賞状が折られてしまわないかという懸念がありました。そこで申請時にわざわざクリアファイルを持参したのですが、それは受付窓口で返却されてしまいました。

しかし、申請時に添付した返信用封筒(角形2号:長さ33㎝、幅24㎝程度)に気象庁が台紙を入れて関連書類とともに送ってくれたので、そこはほぼ問題がありませんでした。

IMG_7207.jpg

しかし、他に問題点が一つありました。この時は台風21号が接近していました。大潮とも重なり、22日投票の衆議院選挙を離島では繰り上げ実施するという状況でした。

気象庁長官は19日の会見で次のように述べています。

明日が週末で金曜日でございます。それから土日になりますので、明日の段階で関係する地域に対しては、しっかりと気象台の方から地元で説明会を行って、改めて注意喚起をして臨みたいと思っております。

そんな大雨が予想されているときに、「一生モノの書類をなぜ、今この時に送ってくるんだ!という話です。紙の封筒に入っているんだから、濡れるじゃないですか(実際に濡れてました)。

実はこの通知書、再発行されないんです。合格の美酒に酔いしれてお酒をこぼしてしまってもダメなんです。火災で焼失してしまってもダメなんです(多分)。

同封されていたレターの冒頭にこう書いてあります。

気象予報士の登録手続きが完了しましたので、「気象予報士登録通知書」を送付いたします。この通知書は再発行しませんので、大切に保管してください。

そんなんだったら、わざわざ台風が近づいている時期を外して送ってくれても良かったのになぁ、と思わずコボしてしまいした。

ちなみに通知書を紛失した場合、名簿の登録内容の開示請求により気象予報士であることの証明はできます。

あくまでも頑なな対応ですね、自動車免許証だって再発行できるというのに。

ともあれ大事な通知書を汚さないよう、額に入れて保存しておくのが良さそうです。

と、そこで次の問題が発生です。

額を購入するときにはサイズに注意を!

額に収める場合、「尺七大」を購入してください。許可証の大きさは311×218mmという変なサイズなんです。
 
ネット注文などで特段の意識をしないと、「尺七」(A4)を購入すると思います。このサイズは値段も手頃(500円程度〜)なんです。私も最初、このサイズを買いました。

しかし、許可証が微妙に入らないんですね。余白がたくさんあるのでカッターなどで切り落とせば良いのですが、そこまでの勇気はありませんでした。

尺七大サイズの額は値段がグッと貼ります(〜3千円)が、一生モノだと思って奮発しました。

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みなさまもハッピーな気象予報士ライフを満喫されますように!

■関連する記事:
気象庁に予報士の登録申請に行ってきた!


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冬の日本海 [箸休め]

12月に入り、今季最強と言われる寒波が到来しました。

こちらは12日、9時40分の気象衛星の赤外画像です。

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すじ状の雲がくっきりと浮かび上がっています。

気象予報士の学習をする前はJPCZ(日本海寒帯気団収束帯)という言葉を知りませんでしたが、今ではこの画像を見ると「日本海はどんな状況になっているんだろうか!?」という好奇心を抑えることができません。

そこで行ってきました、日本海!

スケジュールをやり繰りし夜行バスで新潟市まで向かい、そこから山形県の余目まで羽越本線で北上します。

今回のポイント

・今季最強の寒波が到来し、日本海ですじ状の雲が見られた直後の日本海を見てきた。

・新潟市周辺は佐渡島の東方にある平野部で、山雪型の時は降雪が少ない。

・日本海は雲にエネルギーが感じられ、青空も覗く積乱雲により変わりやすい天候だった。


概要

地図を見ると分かるように、新潟県は北は村上から南は燕あたりまで平野になっています。また、新潟市の西方には佐渡島が位置し、ここには標高1,100メートルの山があります。

地図.png

そんなことで、新潟市とその周辺では新潟県のその他の地域と比べると降雪は少なくなっています。

こちらは朝7時過ぎの新潟駅南口です。

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途中に通過した長岡市はもっと雪がありました。

こちらは途中の豊栄(とよさか)駅から南方向を撮った写真です。雲の隙間から青空が覗いています。

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しかし天候は変わりやすく、突然あられが降ってきました。

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日本海はこんなことになっていた!

百聞は一見にしかずです。写真をご覧ください。

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見てもらうと分かるように青空があるかと思うと、真っ黒な厚い雲があります。夏雲のようにエネルギーを感じました。

この日は西高東低の冬型の気圧配置が少し緩んだせいで、風や発雷はありませんでした。しかし天候が変わりやすく、晴れたかと思うと雪が降ったりを繰り返しました。

おまけ

鮭の街として知られる村上市で途中下車しました。

イヨボヤ会館では、三面川の分流「種川(たねかわ)」を泳ぐ自然の鮭を見ることができます。

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12月は町家づくりの街並みで「鮭の塩引街道」が開催中です。ちょっと商業的な匂いがします。

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こちらは鮭の加工品を販売する「千年鮭きっかわ」の店内。

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はらこ飯と〆張鶴を頂いてきました。

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下水道の蓋も可愛らしい鮭の図柄です。!

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初冬の旭岳遭難を考える [箸休め]

事故の概要

2017年10月17日、北海道の大雪山系旭岳で登山中の男女4名が下山中に道に迷い、夜半になり携帯電話で警察に救助を要請しました。4名は高齢の夫婦と海外から訪れた男女2名で、登山中に知り合い一緒に行動していました。

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警察のヘリが救助に向かうも雲が多く難航し、初日の発見には至りませんでした。
夫婦は雨具は持っているが軽装とみられるとのことで、吹雪いている中で低体温症にならないか心配しました。

二日目の朝、朗報がもたらされました。警察の山岳救助隊8名が午前3時前から捜索を続けていたところ、午前7時40分頃、遭難者と電話がつながったのです。4名全員の無事が確認できたものの、1名は低体温症で動けない状態ということが判明しました。

現場周辺の天候が悪く捜索は難航し、機動隊が増員されたほか、東川町は自衛隊に救助を要請しました。

陸上自衛隊は50人態勢で午後4時過ぎから捜索に合流しました。

2報.png

二日目も時間切れになるかと思われた午後5時40分頃、捜索隊が4名を発見しました。

1名は身体が震えて低体温症とみられるほか、他の3名も体力の消耗が激しいためこの日は捜索隊とビバークし、三日目に救助ヘリで搬送されました。

3報alt.png

全員が無事救出されて本当に良かったです。捜索、救助にあたられた方々にも頭が下がります。

大雪山系

大雪山系は大雪山国立公園に属する山域で、北大雪、表大雪、東大雪、十勝連峰の4山域に分けられます。

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図に大雪山系の山を黄色でプロットしてあります。これを見て分かることは、日本海側から西よりの風が入ると湿った空気が山の斜面を上昇し、雲ができやすいということです。

同様に太平洋側から東よりの風が入っても風の影響を受けやすいことが分かります。これは大雪山系が南北に連なり、周囲に風を遮る山脈がないからです。

旭岳は表大雪を構成する代表的な山で、標高は2291メートルです。
ロープウェイの山頂駅(姿見駅)から旭岳までは標高差683メートル、無雪期のコースタイムは往復で3時間10分です。ハイキング気分で足を伸ばしたとしても不思議はありません。

気象条件を確認してみる

これから天気図を見ていきます。遭難当日の分を見る前に、旭岳で初冠雪を観測した9月30日の天気図を見てみます。

■9月30日(初冠雪日)

Sept30.png

北海道周辺では等圧線が立て込んでおり、アメダスによると地上では10〜15m/sのやや強い風が吹いたところもありました。

約1500メートルの上空を表す850hPaの高層天気図を見ると、西南西の風が吹いていたことが分かります。
AUPQ78.png

上空の気温は高めのため一時的な降雪だったのでしょう。


■10月17日(遭難発生日)

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遭難が発生した日は西高東低の冬型の気圧配置になっています。前日の16日には「雪に関する北海道地方気象情報」が発表されており、16日夜から18日にかけて地上でも日本海側を中心に雪が降ることが予報されていました。

850hPa気温・風の予想図を見てみましょう。17日の朝9時の予想です(16日の朝9時を初期時刻とした24時間予報)。
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850hPaの気温は0℃以下の予想となっています。姿見駅の標高は1608メートル、4名が道を見失った7合目は1930メートルですから、この地点で雪が降るのは確実です。

実は旭岳では初冠雪以降雪が降っていて、特にこの一週間ほどで積雪が増えたようです。
17日12時19分、姿見駅から旭岳方面を見た画像です。
Oct17.12.19.png

10名以上の人の姿が見えますが、この人たちはこの先にある展望台を巡る散策コース(一周1時間)を回るのだと思います。

15時19分には先が見えなくなっています。
Oct17.15.19.png

こうした悪天候下で、4名はロープウェイ姿見駅までの道を見失ったのでしょう。

最後に

今回は4名全員が無事帰還できて、山登りをする者の一人として本当にホッとしました。暖かい衣類や食料もなく、発見があと一日遅かったら悲劇に転じていた可能性があります。

十分な装備を持たないで入山した4名の遭難した日が、初雪と重なったのは偶然でしょうか。山の天気に詳しくなくても地上で雪が降る予報なら、山は降って当然だから冬山装備で出かけようという判断は難しくないはずです。

しかし、「せっかくここまで来たんだから、ちょっと先まで行ってみよう」という誘惑を振り切るのは難しいものです。

悪天候の翌日、山は綺麗な姿を取り戻して新たな観光客を手招きしています。
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(参考)報道記事の一部

北海道 旭岳で4人遭難 電話つながる 全員生存も1人“動けない“
ヘリ出動も難航 気温-7℃

10/18(水) 9:33配信 北海道ニュースUHB

 10月17日夜、北海道の大雪山系旭岳で登山中の男女4人から救助要請があり、警察の山岳救助隊が捜索を行っていましたが、18日朝、4人と電話がつながり、現在、警察のヘリが救助に向かっていますが、雲が多く難航しています。

 17日午後7時30分過ぎ、大雪山系旭岳で、登山で訪れていた70代の男性から「下山中にルートから外れた」と警察に救助要請がありました。

 警察によりますと、男性は携帯電話で60代の妻と、若い外国人の男女と一緒の計4人で、7合目付近の沢の近くにいるなどと話し、連絡がとれなくなっていました。

 警察の山岳救助隊8人が、18日午前2時50分ごろから旭岳に入り捜索を続けていたところ、午前7時40分ごろ、遭難者と電話がつながったということです。

 4人とも生存しているとのことですが、うち一人が低体温症で動けない状態だということです。

 警察のヘリが18日午前8時ごろ、札幌市の丘珠空港を離陸。情報をもとに、7~8合目付近を中心に救助に向かっていますが、雲が多く、難航しています。

 遭難した4人は、最初は1組ずつ別々に行動していましたが、途中に偶然出会い、一緒に行動しているということです。

 旭岳は雪が積もっていて、18日午前7時の気温が、姿見駅付近で、マイナス7℃と冷え込んでいます。


北海道 旭岳で遭難 観光客4人を救助
10月19日 7時02分 NHK

北海道の大雪山系旭岳で17日に雪の積もった山中で道に迷った観光客4人について、警察は19日朝、ヘリコプターで全員を救助しました。いずれも意識ははっきりしていますが、体力の消耗が激しいということで、病院で手当てを受けています。
北海道で最も高い標高2291メートルの大雪山系旭岳では、登山に訪れていた横浜市神奈川区の治療院経営、加藤昌彦さん(71)と妻の由美子さん(65)、それに登山中に知り合って一緒に行動していた20代の外国人の男女の合わせて4人が17日、道に迷って下山できなくなりました。

旭岳は先週から雪に覆われ、18日も時折、ふぶいていましたが、警察などが捜索した結果、4人はほぼ1日たった18日夕方、登山道から外れた沢の近くで見つかりました。

警察によりますと、4人は居場所を知らせるため、持っていたライトを空に向けて照らし続けていたということで、捜索中の警察官がその光に気付いて発見に結びつきました。

4人は救助隊が山中に張ったテントで一夜を明かしましたが、警察は19日朝、ヘリコプターで救助に向かい、午前7時前までに全員を引き上げました。

警察によりますと、外国人の2人はマレーシア人の27歳の男性とシンガポール人の28歳の女性と確認されたということです。4人はいずれも意識ははっきりしていますが、体力の消耗が激しいということで、旭川市内の病院で手当てを受けています。


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気象庁に予報士の登録申請に行ってきた! [箸休め]

2017.10.12(木)

気象予報士試験に合格したら、気象庁長官の登録を受けて初めて気象予報士になることができます。
登録をしないで合格した状態では気象予報士ではありません。

このあたりは一般知識で学習されていて常識ですよね?

ビール隊長はこうした事務作業が苦手なので、合格通知が届いてもしばらくうだうだとしていました。しかし合格したタイミングを逃すと面倒臭くて一生登録しないかもしれない・・・。やっと重い腰を上げて申請することにしました。

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なお、詳細な登録手続きはこちらに記載されています。
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/shinsei/onestop/yohoshi_touroku.html#2


手数料安のオンライン申請を断念!

手続き方法は①オンライン申請、②書面による申請、の2通りあります。どちらでも良いのでは?と思いますが、実は申請料が異なるという重大な相違があります。オンライン申請の2,900円に対して、書面申請は3、700円なのです。この違いは何?

普通、オンライン申請にしますよね、安いんだから。しかし国交省のオンラインシステムはウィンドウズ(ブラウザはIEのみ)にしか対応していないのです。e-Gov電子申請用プログラムをインストールするのですが、その環境がウィンドウズ対応のみとなっているのです。国のいつものやり方です。

ビール隊長のマシンはMacなのですが、仮想マシン化してウィンドウズ対応になっています。しかしダウンロードが何度やってもうまくいきません。これで萎えて登録作業をあきらめそうになりました。

「仕方ない!高いけど、書面申請するしかないな。」


必要な書類は揃っていますか?

必要な書類一式は以下の通りです(2017年10月現在)
気象庁まで出かけて不備があると残念なので、よく確認しましょう。


1.様式1 気象予報士登録申請書(収入印紙を貼付のこと)
2.様式2 誓約書
3.気象予報士試験合格証明書の写し
4.宛先を明記した、返信用封筒(角形2号:長さ33㎝、幅24㎝程度)

書面申請の場合は、3、900円の収入印紙を貼ることになっています。でも、収入印紙ってどこで買うんですか?

調べてみたらコンビニや郵便局で売っていることが分かりました。コンビニだと多分少額の在庫しかなくて申請書に貼るのはかっこ悪いだろうと思い、郵便局で買うことにしました。

官公庁に郵便局はつきものと高を括って、気象庁で買い求めることにしました。
→地元の郵便局で事前購入してください。気象庁には郵便局がありませんでした。


観測施設に興奮する!

駿河台下方面からの道を南下して首都高をくぐると、観測施設が目に入ってきました。
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ヌオォォ〜ッ!この時点で興奮。
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こちらは気温計ですね。
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実は現在、東京の気圧・気温・降雨などは北の丸公園にある観測地点で観測されています(平成26年12月より)。これは2020年に予定されている気象庁本庁の移転計画に伴う措置なので、気象庁前のこれら施設は現用ではないのでしょう。機会を見つけて、北の丸公園にも出かけてみたいです。


登録申請を行おう!

では入庁しましょう。
IMG_7120.jpg

入庁するには入り口で訪問先と自分の氏名・住所を記入して入館証を受け取ります。最近はどこの官庁でもセキュリティゲートが取り付けられており、駅の入場のように入館証をタッチしないと入館できません。
訪問先は「総務部」、用件は「申請のため」としました。

情報利用推進課のある総務部は5階です。廊下の突き当たりの角に入り口がありました。
IMG_7135.jpg

入り口付近で所在なさげに立っていると、奥から女性の方が出てこられたので「気象予報士の登録に来ました」と伝えました。
IMG_7134.jpg

必要な書類が揃っているか、収入印紙が貼られているか、返信用封筒があるか(登録申請書の住所と同一の住所が記載されているか)を確認して終了!合格までの苦労と比べると、あっさりとしたものです。

申請が立て込んでいるので処理には少し時間がかかるとのことでした。申請数が落ち着いた頃に、一括して長官の決裁を取るのでしょうね。

裏には東京管区気象台の入り口がありました。
IMG_7149.jpg


津村書店さん

登録申請が完了したので、1階にある津村書店に顔を出してみました。こちらは気象関連の書籍を中心に取り扱う専門書店です。

IMG_7137.jpg

こちらの奥様は書籍を担いでいろんなイベントで営業活動をされており、顔の広い方です。収入印紙を買いそびれたことを伝えたら、地下にある売店に連れていっていただきそこで無事に購入することができました。ありがとうございました!

7月に「合格したらお店に顔を出します!」と約束していたので、無事に顔を出すことができて良かったです。

タモリ倶楽部にも登場した津村書店の詳細はこちらで。
http://tenkinosusume.com/tag/津村書店
http://portal.nifty.com/kiji/150904194471_1.htm


最後に

地下の売店(生活協同組合)の奥に知っている方がおられました。気象予報士会の大西会長です。この夏に参加した試験対策の講習会で大西先生に教わり大いに刺激を受けました。今日は講師の顔から会長の顔に変身し、「予報士会には入ってもらえますよね?」と強い勧誘を受けました(笑)。とても接しやすく、温厚な方です。

e-Gov電子申請用プログラムをインストールできなかったことから気象庁まで出向いきましたが、観測施設を見たり顔なじみの方にもご挨拶ができて楽しい一日となりました。

オンライン申請もできますが、合格記念を兼ねて気象庁に出向いて申請するのも良い記念になります。皆さんも、合格されたらぜひ気象庁まで足を運んだらいかがでしょうか!

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初回受験で合格しました [箸休め]

公開日:2017.10.6
更新日:2018.6.26

第48回気象予報士試験に合格することができました。
初めての受験でいろいろな壁にぶつかりながらも、あきらめずに良かったと思います。

今回の受験と学習方法などを振り返ってみたいと思います。

IMG_7083.jpg


第48回気象予報士試験について

気象業務支援センターが発表した試験結果資料をベースに、実施状況を見てみましょう。

受験者数2,962名に対して合格者数は145名で、合格率は4.9%でした。

受験番号(6桁)には次の意味合いがあると推定している方がいます。 →こちら

一番左の桁: 試験会場 「1」札幌、「2」仙台、「3」東京 など
二番目の桁: 受験科目 「0」免除なし、「1」専門免除、「2」一般免除、「3」学科免除
三桁目以降: 個人番号

私の受験番号は「30××××」でしたので、「東京会場の免除なし」となります。
ちなみに、東京では駒場会場は免除なし受験者の会場のようです(東京は駒場と吉祥寺の2会場)。

さて、これが正しいと仮定すると免除なしの合格者(2桁目が0)は17名しかいないことになります。
私が受験した駒場会場では約千名の受験者に対して免除なし合格者は11名なので、合格率は1%程度です。
数字上、「免除なし受験者」には厳しい試験と言えそうです。

しかし後述するように、合格率を気にする必要はありません。
自分の立てた計画をしっかりこなして試験場に臨み、普段通りの力を発揮するだけです。

合格基準は次の通りでした。

学科試験(予報業務に関する一般知識):15 問中正解が 11 以上
学科試験(予報業務に関する専門知識):15 問中正解が 11 以上
実技試験:総得点が満点の 63%以上


実技試験は70%が合格ラインの目標とされているので、今回は問題の難易度が高かったのかもしれません。

合格通知が届いてから初めて自己採点をしてみました。
すると一般知識、専門知識ともに合格ラインすれすれの11問正解でした。

ちなみに今回は最年少記録と女子最年長記録が樹立されたとメディアが報じています。 →こちら
なるほど、マスコミはそういうところに関心があるのかと、妙に納得してしまいました。

11歳の子は4回目の受験で合格したそうですが、どこまで理解して合格したのでしょうか。興味深いところです。


気象予報士試験は難しいのか?

気象予報士試験の合格率は4%程度です。
あの司法試験ですら20%以上、税理士試験でも15%です。それと比べて、気象予報士試験の合格率はなぜこんなに低いのでしょうか。

試験会場に行ってその理由の一端が分かりました。

パッと見た目の平均年齢が高い!この試験は中高年には厳しい試験です(老眼者には特に!)。専門知識の試験が終わって帰ってしまったお姉さん、なぜか実技1が終わって帰ってしまったおばさん。休憩時間に基本レベルの参考書を開いているおじさん。

明らかに勉強していないと思われる人が多いんです。「免除なし」の駒場会場だから、余計そうだったのかもしれません。真剣に準備をしてきた人の割合はかなり低いのではないかという印象を持ちました。

気象予報士試験の過去問の模範解答を見ても難しい内容は書かれていません。ですから、一般に言われているような難しい試験ではないと確信していました。しかし多くの方が合格するまでに2〜3回受験され、10回以上受験される方もいると聞きます。

その理由を考えてみました(ここでは実技試験を対象としています)。

①教材に良書がない

必要な知識や入手しにくい資料の読み取り方を懇切丁寧に説明した書籍はありません。市販の参考書は基本的に過去問の解説書です。これでは丁稚奉公のようにひたすら時間をかけて過去問を繰り返すしかありません。

気象予報士試験は過去に出題されていない重箱をつつく傾向があります。運悪くそうした出題にぶつかってしまうと合格できないのも当然です。


②入手困難な資料に基づいた出題がある

エマグラム、過去のウィンドプロファイラ、過去のレーダーエコー図、等値線(等高度線、等温線)、過去の気象情報など、一般に入手困難な資料が出題されます。もちろん気象解析にこれらが必要なのは分かりますが、だったらもっと情報を公開して受験生が利用しやすい環境を整備してもらいたいです。


③試験の性質に対応した対策ができていない

これは気象そのものとは関係しませんが、筆記試験であれば解答をどのようにまとめるのか、その対策が必要になります。試験時間は短いので答案を練っている余裕はありません。文字数制限があるので論文を書く時のような論理性は求められませんが、いかに要領よくまとめ上げるか文章力が問われます。

参考書にそのような解説がないのと同時に、多くの受験者がそのような対策をとっていないものと思われます。


私の学習法とスケジュール

昨年の12月に学習をスタートしました。
一般知識、専門知識まではスケジュールを組んでそれをこなせば良かったのですが、実技については学習スケジュールを何度組み直してもその通りにこなせずに苦労しました。

11月末
主要な参考書を購入。

12〜1月
一般知識の参考書を2回通読。

2〜3月
専門知識の参考書を2回通読。

4月下旬
実技参考書1。

5〜8月
実技参考書2を中心に実技参考書3、4を併用。
7月からは一般知識、専門知識の問題演習を隔日に実行。記憶物を開始(天気記号、台風の大きさ・強さなど)し、自前のチェックリストの作成にも着手。

【実技参考書】
1:らくらく突破 気象予報士かんたん合格テキスト(技術評論社)
2:ひとりで学べる!気象予報士実技試験 完全攻略テキスト&問題集
3:気象予報士試験 速習テキスト 実技編(オーム社)
4:気象予報士試験 模範解答と解説(東京堂出版)

実技の問題ではある気象現象が観察された時に、要因として考えられる選択肢の中からどれが最も適切であるかを選び、今後どのように推移・変化していくかを予測します。したがって、低気圧の消長の条件、雪が降るときの条件、雨が降る条件など、どのような時にどのような現象が発生するのかを整理して理解している必要があります。

また、エマグラムやウィンドプロファイラ、レーダーエコー、降水量など、解析に必要な情報の読み方も基本知識としてもちろん必要です。

しかし、必要な知識を体系化して解説してくれている書籍は残念ながらありません。皆無です。

私は気象予報士関連の書籍は50冊以上購入しましたが、1冊として満足できるものはありませんでした(写真はその一部です)。それが本サイトを作るきっかけにもなったわけです。

参考書に投じたお金でもっと他のことができたはずなのに・・・(泣)。

IMG_7090 2.jpg

それでも合格はできましたが、とても遠回りをしました。
過去問は25問ほどを延べ80回程度繰り返しましたが、2回目、3回目と繰り返す過程で自分がとんでもない誤解をしていることに気づくことがありました。


モチベーション

9ヶ月にわたり勉強を続けましたが、4月にスランプになり参考書を開くのが嫌になりました。
参考書に書いてあることが何度読んでも分からず先に進めなかったのがその原因です。一ヶ月ほど勉強が手につきませんでした。

また7月、8月と暑い中、実技の問題を何度繰り返しても時間切れになったり意味が分からなかったりしました。

それでも学習を継続できたのは、「一回で合格するぞ」という気力があったからだと思います。

自分の性格上、科目合格しながら時間をかけて受験していくということはできない、やるなら短期決戦で行くしかないと思いました。

講習会に参加すると受験ズレしたような方もいて(そのような方もなりたくてなったのではないでしょうが)、そうなる前に足を洗いたいと強く思いました。

独学を続ける自分にとって、TBS系列「ひるおび!」の森気象予報士のお天気コーナーは学習の参考になりました。この番組は気象解説に力を入れていて、日によっては40分も時間を割いています。一般視聴者はそこまで気象に関心ないんじゃないか?と杞憂するぐらいです。

MCの恵俊彰と森気象予報士のボケとツッコミのような掛け合いも面白いし、模型を使った説明は分かりやすく、自分にとってはeラーニングの役割を果たしてくれました。とは言え7月ごろからは学習時間が不足してきて、この番組すら見れなくなってしまいました。

平日昼間のワイドショーは他局もかなり詳しい気象解説をしてくれています。テレビ朝日系列の「羽鳥慎一モーニングショー」も時々、意外な特集を組んでくれます。

ハードディスクレコーダーに録画して、帰宅後に見直すのをお勧めします。


合格したときの気分

合格発表は、郵送と気象業務支援センターのホームページで行われます。
ハガキが来るならそれを見てドキドキしたいと思い、普段よりなぜか配達が遅い郵便をイライラして待ちました。

IMG_7084.jpg

ハガキ表面には「配達指定日 10月6日(金曜日)」と書かれています。ちゃんと合格発表日に届くように配慮がされているんですね。

圧着ハガキの四隅の下に「ゆっくり開いてね」という矢印が書かれているのでそこから開けると何も書いてありません。一番上に「気象予報士試験合格証明書」と見出しがあり、合格証明書番号が記載されています。

思わず「やった〜ぁ!」と小躍りしてしまいました。
その思いは喜びというよりも、「この夏の辛い学習を繰り返さなくて良いんだ」「周囲に受験宣言してしまった以上、何とかなって良かった」という安堵感によるものでした。


さいごに

試験には合格しましたが、未だに理解できていないことや消化できていないことがたくさんあると自覚しています。これからは自由に歩けと言われても、まだ歩き方が分かっていない状況で不安でいっぱいです。

本サイトは自分が知りたいことがどこにも解説されていないので自分で解説を作ろうと思い、試験勉強中に始めたものです。ですから受験生目線で、これから学習される方の役に立てると思います。しかし自分の実力不足で、数十ページが作成中のまま未公開となっています。

登山でも、山を歩いていると時はどんなコースを歩いているか分からなくても、ピークに達すると歩いてきた道がくっきりと分かることがあります。

これからさらに上を目指すことで理解できることも増えてくると信じ、合わせてサイトも充実させていきたいと思います。

【関連ページ】
受験レポート
気象庁に予報士の登録申請に行ってきた!
気象予報士の賞状が届きました


(追加)効果的な勉強法について

自分は本当に勉強が苦手で、落ち着いて一冊の本に取り組むということができないたちです。

大学受験の頃から参考書を一冊買って、ちょっとでも分からないことがあると、また別の参考書に手を伸ばすということを繰り返していました。勉強をしている時間より本屋で参考書を漁っている時間の方が長かったかも・・・。(^^;

そんな性格なので、気象予報士試験の学習でも、手当たり次第に参考書を購入してしまいました。「それでも一回で合格できたんだから良いじゃないか」と言われればそうなんですが、少し後ろめたい気がするのです。どうせならもっと省エネ型で臨みたいものです。

さて、東大法学部を首席で卒業、在学中に司法試験に合格、財務省に入省するも退官し、現在はフリーの山口真由さんという方がいます。最近はよくテレビにも出演しているので、ご存知の方もいるでしょう。

この方の勉強法は、一冊の教科書を7回読む、という単純なものなんです。ただし、コツが二つあります。


1. 学ぶべき内容を全て網羅した一冊のテキストを選ぶ
2. 自分が決めた一冊を反復・継続して読み続ける


あれもこれもと読み始めると身につかないので、一冊の本でじっくりと基本を習得する。そのためには、全ての分野を網羅した一冊を選びなさいということです。

山口さんの本を読んで、自分は真逆をやっていたな!と膝をうちました。確かに1回目に読んでいて分からないことでも2回目、3回目とやっているうちに理解できることってあります。

でもそのためには、飽きっぽい性格をどうしたら直せるかも教えて欲しいな・・・と思います。(笑)

勉強法に自信のない方は、学習を開始する前に山口さんの本に目を通すのも良いと思います。


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天気の崩れ [箸休め]

2017.10.5(木)

週末は近場の山に登りに行こうと思っていたら、低気圧の到来によりどうも金曜日あたりから崩れる予報が出ています。

そこで天気の崩れを時系列で追ってみることにしました。

以下、天気が崩れる予想の日を「当日」、その前日を「前日」と表記します。


前日(5日木曜日) AM

地上天気図で現在の状況を確認します。
前日天気図.png

移動性高気圧におおわれて、文句なしの快晴です。
これが翌日には雨になるなんて、やはり秋の天気なんですね。

その明日の予報はこんな感じで、西日本と関東を中心に雨の予報が出ています。
翌日の天気.png
出典:tenki.jp

天気が崩れる前々日の4日21時を初期時刻とした予想天気図を見てみます(高層天気図は9時と21時の一日2回発表です)。

48時間後(6日金曜日21時)の地上天気予想図
FSAS48.png

朝鮮半島の南に1012hPaの低圧部(赤×印)があります。
低気圧がすぐそこまで来ているんですね。

地上気圧・降水量・風48時間(6日金曜日21時)予想図
低気圧の位置や降水量の傾向を見るのに役立ちます。
FXFE504.png

中国地方で72mmの12時間前降水量が予測されています(数字がちょっと読み取りにくいかも)。かなりの雨になりそうです。

ただし、12時間前降水量で注意が必要なのは、1時間ごとに6mmずつ降って12時間で72mmになるのも、1時間で72mmドバッと降るのも同じ「72mm」と表現されてしまうことです。
それと数値予測なので、結構外れることも。

500hPa高度・渦度48時間(6日金曜日21時)予想図
500hPaでは渦度(トラフ)の解析を行います。
FXFE渦度.png

低気圧中心の西側に+151の渦度とトラフが見られます。
トラフの軸が西に傾いているので、この低気圧はこれから発達することを意味しています。

華北にも+266の渦度がありますが、こちらは今回は影響なしでしょう。

朝6時に、西の方向の空を見上げてみました。
空模様1.jpg

今朝は波状雲が見られた地域もあるようですが、こちらでは高積雲のようです。


前日(5日木曜日) PM

夕方(16時36分)になり「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報 第1号」が発表になりました。
全般気象情報1.png

気になったポイントを再掲しておきます。

6日朝、九州南部で前線が発生し、夜にかけて日本の南岸を東に進むでしょう。

低気圧が6日から7日にかけて対馬海峡から日本海に進む見込みです。


明日はこの2点に着目してみたいと思います。


当日(6日金曜日) AM

おはようございます。今日の夕方あたりから天気が崩れる予報です。

早朝の5時8分(気象用語では「明け方」ですね)に「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報 第2号」が発表されました。

全般気象情報_2.png

赤線は、第1号からの大きな変更点です。低気圧の進度が少し遅くなったのと、東日本についての記載が追加されました。

朝の天気解説でも、今日はかなりの雨になりそうなことを伝えています。
IMG_7082.jpg

朝の時点で降水状況はどうなっているでしょうか、レーダーエコーを見てみます。
レーダーエコー1.png

すでに西日本では広く雨が降り出しているのが分かります。

大分県には大雨警報、高知県にも大雨注意報が発表されています。
警報・注意報.png

朝9時の地上天気図です。
天気図2.png

昨夕の気象情報にあったように前線ができていますが、「九州南部」ではなく「九州西部」ですね。


当日(6日金曜日) PM

6日14時50分、都内でもパラパラと雨が降ってきました。
レーダーエコー2.png

大雨警報の出ている大分県はどうなっているでしょうか。
大分県天気2.png

幸いなことに強い雨にはなっていないようです。

15時の地上天気図。
天気図3.png

16時15分に、「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報 第3号」が発表になりました。
全般気象情報_3.png

低気圧の東進に伴い、防災事項に伊豆諸島及び関東地方が追加になりました。


翌日(7日土曜日) PM

都内は明け方まで強い雨音がしていましたが、朝5時ぐらいから小降りになってきました。

朝9時の地上天気図。

地上天気図Oct07_0900.png

気象情報にあったように、低気圧は南海上に東進しているのが分かります。

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