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9月の気象情報 [アーカイブ]

2017年9月に発表された気象情報の中からいくつかの例を見てみます。

生の気象情報を掲載する観点から解説は加えていません。tenki.jpやsunny-spot.netなどで過去の天気図を見ながら学習してください。

今回のポイント

・9月は台風に関する気象情報がほとんどであった。
・前線に暖かく湿った空気が流れ込み大気の状態が不安定となり、記録的短時間大雨情報が続出した。


9月の全般気象情報

 台風第15号に関する情報         4件
 大雨と雷及び突風に関する全般気象情報   7件
 台風第18号に関する情報        28件
 大潮による高い潮位に関する全般潮位情報  1件

大雨と雷及び突風に関する全般気象情報

11日から12日にかけて前線が本州付近を南下し、全国的に雨となりました。

大雨と雷及び突風に関する全般気象情報 第2号

平成29年9月12日04時40分 気象庁予報部発表

(見出し)
西日本から北日本では12日夕方にかけて、北日本では13日未明にかけて、雷を伴った激しい雨が降り局地的に猛烈な雨が降って、大雨となるところがあるでしょう。土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒・注意してください。また、落雷や竜巻などの激しい突風に注意してください。

(本文)
[気圧配置など]
 前線を伴った低気圧が、日本海を発達しながら東北東に進み、12日午後は北日本を通過するでしょう。また、低気圧からのびる前線が西日本と東日本を南下する見込みです。低気圧や前線に向かって、暖かく湿った空気が流れ込むため、西日本から東日本では12日夕方にかけて、北日本では13日にかけて、大気の状態が非常に不安定となる見込みです。

[防災事項]
 <大雨・雷・突風>
 前線近傍の西日本では、雷を伴い非常に激しい雨が降り、四国地方では猛烈な雨の降っているところがあります。
 西日本から東日本では、12日夕方にかけて、北日本では13日未明にかけて、雷を伴った激しい雨が降り局地的に猛烈な雨が降って、大雨となるところがあるでしょう。

 13日6時までの24時間に予想される雨量は、いずれも多いところで
  四国地方                      200ミリ
  近畿地方、北陸地方、東海地方、東北地方、北海道地方 120ミリ
  北陸地方、甲信地方                 100ミリ
です。

 西日本から北日本では、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒・注意してください。
 また、落雷や竜巻などの激しい突風にも注意が必要です。発達した積乱雲の近づく兆しがある場合には、建物内に移動するなど、安全確保に努めてください。

[補足事項等]
 地元気象台の発表する、警報や注意報、気象情報等に留意してください。
 次の「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報」は12日17時頃に発表する予定です。
[訂正事項]
 見出し・本文に猛烈な雨の記述を追加。四国地方の24時間雨量を修正。


奈良県では1時間の間に記録的短時間大雨情報が4回発表になりました。

奈良県記録的短時間大雨情報 第1号

平成29年9月12日07時12分 奈良地方気象台発表
(見出し)

7時奈良県で記録的短時間大雨
田原本町付近で約120ミリ
広陵町付近で約110ミリ


奈良県記録的短時間大雨情報 第2号

平成29年9月12日07時19分 奈良地方気象台発表
(見出し)

7時10分奈良県で記録的短時間大雨
天理市付近で約120ミリ
桜井市付近で約100ミリ
三宅町付近で約100ミリ


奈良県記録的短時間大雨情報 第3号

平成29年9月12日07時29分 奈良地方気象台発表
(見出し)

7時20分奈良県で記録的短時間大雨
大和高田市付近で約120ミリ
橿原市付近で約120ミリ
桜井市付近で約120ミリ


奈良県記録的短時間大雨情報 第4号

平成29年9月12日08時00分 奈良地方気象台発表
(見出し)

7時50分奈良県で記録的短時間大雨
明日香村付近で約100ミリ



台風に関する情報

台風18号は日本の本土4島(九州、四国、本州、北海道)全てに上陸した初めての台風となりました。勢力を維持しながら5回にわたって上陸を繰り返し日本列島を縦断したため、台風情報は12日から18日にかけて28回発表されました。

平成29年 台風18号に関する情報 第107号

平成29年9月17日11時12分 気象庁予報部発表

(見出し)
大型の台風第18号や活発な前線の影響により、18日にかけて、西日本から北日本の広い範囲で大荒れとなるでしょう。暴風やうねりを伴った高波、大雨に厳重に警戒してください。

(本文)
[台風の現況と予想]
 大型の台風第18号は、17日10時には枕崎市の南約60キロにあって、1時間におよそ30キロの速さで東北東へ進んでいます。
 中心の気圧は975ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は30メートル、最大瞬間風速は45メートルで中心から半径190キロ以内では風速25メートル以上の暴風となっています。  今後、台風は次第に速度を速め、暴風域を伴って17日夜にかけて西日本を通過するでしょう。台風の接近に伴って、四国沖から本州の南海上にのびる前線の活動が活発になり、18日にかけて西日本から北日本を北上する見込みです。
 18日は、台風が温帯低気圧の性質を帯びながら、東日本から北日本の日本海側を北東へ進むため、暴風域や強風域が広がり、台風の中心から離れた地域でも、暴風や強風に警戒・注意が必要です。台風は18日夜にはサハリン付近へ進み、温帯低気圧に変わる見込みです。

[防災事項]
<大雨・雷・突風>
 台風や活発な前線の影響により、18日にかけて、西日本から北日本の広い範囲で雷を伴った非常に激しい雨が降り、局地的に猛烈な雨の降るおそれがあり、大雨となる見込みです。

 18日12時までの24時間に予想される雨量は、多いところで、
  四国地方             350ミリ
  近畿地方             300ミリ
  九州北部地方、中国地方      250ミリ
  東海地方、東北地方、北海道地方  200ミリ
  九州南部、関東甲信地方、北陸地方 150ミリ

 19日12時までの24時間に予想される雨量は、多いところで、
  北海道地方  100から150ミリ
  東北地方    50から100ミリ
  北陸地方    およそ50ミリ
 です。
 土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重に警戒してください。
 また、落雷や竜巻などの激しい突風に注意してください。発達した積乱雲の近づく兆しがある場合は、建物内に移動するなど安全確保に努めてください。

<暴風・高波>
 九州では海上を中心に猛烈な風が吹き、海は大しけとなっているところがあります。台風の接近に伴って、17日は、西日本を中心に、猛烈な風が吹き、大しけとなるところがある見込みです。18日にかけて、東日本と北日本でも非常に強い風が吹き、大しけとなるところがあるでしょう。

 17日に予想される最大風速(最大瞬間風速)は、
  九州南部、九州北部地方、四国地方、中国地方
                30メートル(45メートル)
  近畿地方          30メートル(40メートル)
  北陸地方、東海地方     25メートル(35メートル)
  関東甲信地方、東北地方   20メートル(30メートル)
  北海道地方         18メートル(30メートル)

 18日に予想される最大風速(最大瞬間風速)は、
  東北地方、北海道地方    30メートル(45メートル)
  中国地方          30メートル(40メートル)
  近畿地方、北陸地方     25メートル(35メートル)
  東海地方          23メートル(35メートル)
  関東甲信地方        20メートル(35メートル)
  四国地方          20メートル(30メートル)

 17日に予想される波の高さは、
  九州南部・奄美地方、九州北部地方、四国地方、近畿地方
                8メートル
  東海地方          7メートル
  中国地方、関東甲信地方   6メートル
  北陸地方          5メートル

 18日に予想される波の高さは、
  北海道地方         8メートル
  四国地方、近畿地方、東海地方、東北地方
                7メートル
  中国地方、関東甲信地方   6メートル
  北陸地方          5メートル
 です。
 暴風やうねりを伴った高波に厳重に警戒してください。

<高潮>
 西日本から北日本では、台風の影響で潮位が高くなる見込みです。海岸や河口付近の低地では、高潮による浸水や冠水に警戒・注意してください。

[補足事項]
 今後の台風情報や地元気象台が発表する警報、注意報、気象情報等に留意してください。
 次の「台風第18号に関する情報(総合情報)」は、17日17時頃に発表する予定です。


台風が上陸するたびに台風情報が発表されます。

平成29年 台風18号に関する情報 第108号

平成29年9月17日11時36分 気象庁予報部発表

(見出し)
台風第18号の中心は、17日11時半頃に、鹿児島県九州市付近に上陸しました。

(本文)
なし。


18日12時過ぎに、台風は北海道に上陸しました。

平成29年 台風18号に関する情報 第143号

平成29年9月18日12時27分 気象庁予報部発表

(見出し)
台風第18号の中心は、18日12時過ぎに、北海道胆振西部に上陸しました。

(本文)
なし。

気象庁予報部による台風情報は、第143号に次ぐ第148号(18日16時33分)が最後となりました。

台風18号は18日21時にサハリン付近で温帯低気圧に変わりました。

平成29年 台風18号に関する北海道地方気象情報 第11号

平成29年9月18日22時36分 札幌管区気象台発表

(見出し)
台風第18号は、18日21時に温帯低気圧に変わりましたが、あと1から2時間、大雨による土砂災害に警戒し、19日未明にかけて暴風や高波にも警戒してください。

(本文)
<気象概況>
 台風第18号は18日21時に温帯低気圧に変わりました。中心はサハリンの北緯47度、東経143度にあって、1時間におよそ45キロの速さで北へ進んでいます。中心の気圧は976ヘクトパスカル、最大風速は30メートルで、中心の南東側1100キロ以内と北西側370キロ以内では風速15メートル以上の強い風が吹いています。
 台風は、18日21時にサハリン付近で温帯低気圧に変わりましたが、北海道地方では、19日未明にかけて、気圧の傾きの大きい状態が続く見込みです。

<防災事項>
 北海道地方の大雨のピークは過ぎましたが、これまでに降った雨により地盤の緩んでいる所や河川の水位が高くなっている所があります。北海道地方では、あと1から2時間、大雨による土砂災害に警戒してください。
 また、日本海側北部を中心に19日未明まで非常に強い風が吹くでしょう。北海道地方の海は19日未明にかけて、大しけが続く見込みです。暴風や高波に警戒してください。

<風の予想>
19日にかけて予想される最大風速(最大瞬間風速) 西または南西の風
 日本海側北部
  海上 28メートル(40メートル)
  陸上 25メートル(35メートル)
 その他の地方
  海上 20メートル(30メートル)
  陸上 15メートル(30メートル)

<波の予想>
19日にかけて予想される波の高さ
 太平洋側東部 7メートル
 日本海側北部 6メートル
 その他の海域 5メートル
 太平洋側ではうねりを伴うでしょう

<風の実況>アメダスによる速報値(単位:メートル)
17日20時から18日21時までの最大風速
 日高地方 えりも岬    西南西 26.6(18日15時45分)
 根室地方 根室市納沙布  東南東 25.7(18日13時36分)
 宗谷地方 稚内市宗谷岬  東   23.7(18日13時09分)
17日20時から18日21時までの最大瞬間風速
 日高地方 浦河町潮見町  東南東 35.7(18日10時09分)
 釧路地方 釧路市幸町   東南東 35.0(18日11時38分)
 宗谷地方 稚内市宗谷岬  東北東 34.7(18日13時14分)

<雨の実況>アメダスによる速報値
17日20時から18日21時までの1時間雨量の最大値
 十勝地方 大樹       85.0ミリ(18日10時34分)
  (1時間雨量の最大値は、1976年の統計開始以来1位の値を更新)
 日高地方 えりも町目黒   54.0ミリ(18日08時54分)
 網走地方 斜里町宇登呂   53.0ミリ(18日13時34分)
17日20時から18日21時までの雨量
 胆振地方 登別市カルルス 316.0ミリ
 十勝地方 大樹      220.0ミリ
 渡島地方 福島町千軒   209.0ミリ

 引き続き、地方気象台・測候所の発表する防災気象情報に留意してください。

 北海道地方気象情報は、これで終了します。



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気象予報士の賞状が届きました [箸休め]

気象予報士の賞状が届けば、受験からの一連の作業もひと段落です。
しかしこの最終段階に至っても小さな落とし穴があるので、はまらないように気をつけてください。

今回のポイント

・気象予報士登録通知書は、いかなる理由があっても再発行されない。

・気象予報士登録通知書を収める額縁は「尺七大」サイズを指定する。


通知書の再発行はないので、取り扱いには注意を!

賞状が郵送で届いたのは10月21日でした。賞状と言いましたが、正式には「気象予報士登録通知書」と言います(業務法では「気象予報士の氏名、登録番号を記載した書類」と言っています)。

予報業務は「許可制」ですが、気象予報士は「登録制」なんですね。

気象庁まで申請に赴いたのが10月12日だったので、わずか9日目には届いたことになります。非常に迅速な対応でした。

申請時の記事はこちら:
気象庁に予報士の登録申請に行ってきた!

郵送で配達されると、賞状が折られてしまわないかという懸念がありました。そこで申請時にわざわざクリアファイルを持参したのですが、それは受付窓口で返却されてしまいました。

しかし、申請時に添付した返信用封筒(角形2号:長さ33㎝、幅24㎝程度)に気象庁が台紙を入れて関連書類とともに送ってくれたので、そこはほぼ問題がありませんでした。

IMG_7207.jpg

しかし、他に問題点が一つありました。この時は台風21号が接近していました。大潮とも重なり、22日投票の衆議院選挙を離島では繰り上げ実施するという状況でした。

気象庁長官は19日の会見で次のように述べています。

明日が週末で金曜日でございます。それから土日になりますので、明日の段階で関係する地域に対しては、しっかりと気象台の方から地元で説明会を行って、改めて注意喚起をして臨みたいと思っております。

そんな大雨が予想されているときに、「一生モノの書類をなぜ、今この時に送ってくるんだ!という話です。紙の封筒に入っているんだから、濡れるじゃないですか(実際に濡れてました)。

実はこの通知書、再発行されないんです。合格の美酒に酔いしれてお酒をこぼしてしまってもダメなんです。火災で焼失してしまってもダメなんです(多分)。

同封されていたレターの冒頭にこう書いてあります。

気象予報士の登録手続きが完了しましたので、「気象予報士登録通知書」を送付いたします。この通知書は再発行しませんので、大切に保管してください。

そんなんだったら、わざわざ台風が近づいている時期を外して送ってくれても良かったのになぁ、と思わずコボしてしまいした。

ちなみに通知書を紛失した場合、名簿の登録内容の開示請求により気象予報士であることの証明はできます。

あくまでも頑なな対応ですね、自動車免許証だって再発行できるというのに。

ともあれ大事な通知書を汚さないよう、額に入れて保存しておくのが良さそうです。

と、そこで次の問題が発生です。

額を購入するときにはサイズに注意を!

額に収める場合、「尺七大」を購入してください。許可証の大きさは311×218mmという変なサイズなんです。
 
ネット注文などで特段の意識をしないと、「尺七」(A4)を購入すると思います。このサイズは値段も手頃(500円程度〜)なんです。私も最初、このサイズを買いました。

しかし、許可証が微妙に入らないんですね。余白がたくさんあるのでカッターなどで切り落とせば良いのですが、そこまでの勇気はありませんでした。

尺七大サイズの額は値段がグッと貼ります(〜3千円)が、一生モノだと思って奮発しました。

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みなさまもハッピーな気象予報士ライフを満喫されますように!

■関連する記事:
気象庁に予報士の登録申請に行ってきた!


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冬の日本海 [箸休め]

12月に入り、今季最強と言われる寒波が到来しました。

こちらは12日、9時40分の気象衛星の赤外画像です。

VIS2017-12-12.png

すじ状の雲がくっきりと浮かび上がっています。

気象予報士の学習をする前はJPCZ(日本海寒帯気団収束帯)という言葉を知りませんでしたが、今ではこの画像を見ると「日本海はどんな状況になっているんだろうか!?」という好奇心を抑えることができません。

そこで行ってきました、日本海!

スケジュールをやり繰りし夜行バスで新潟市まで向かい、そこから山形県の余目まで羽越本線で北上します。

今回のポイント

・今季最強の寒波が到来し、日本海ですじ状の雲が見られた直後の日本海を見てきた。

・新潟市周辺は佐渡島の東方にある平野部で、山雪型の時は降雪が少ない。

・日本海は雲にエネルギーが感じられ、青空も覗く積乱雲により変わりやすい天候だった。


概要

地図を見ると分かるように、新潟県は北は村上から南は燕あたりまで平野になっています。また、新潟市の西方には佐渡島が位置し、ここには標高1,100メートルの山があります。

地図.png

そんなことで、新潟市とその周辺では新潟県のその他の地域と比べると降雪は少なくなっています。

こちらは朝7時過ぎの新潟駅南口です。

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途中に通過した長岡市はもっと雪がありました。

こちらは途中の豊栄(とよさか)駅から南方向を撮った写真です。雲の隙間から青空が覗いています。

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しかし天候は変わりやすく、突然あられが降ってきました。

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日本海はこんなことになっていた!

百聞は一見にしかずです。写真をご覧ください。

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見てもらうと分かるように青空があるかと思うと、真っ黒な厚い雲があります。夏雲のようにエネルギーを感じました。

この日は西高東低の冬型の気圧配置が少し緩んだせいで、風や発雷はありませんでした。しかし天候が変わりやすく、晴れたかと思うと雪が降ったりを繰り返しました。

おまけ

鮭の街として知られる村上市で途中下車しました。

イヨボヤ会館では、三面川の分流「種川(たねかわ)」を泳ぐ自然の鮭を見ることができます。

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12月は町家づくりの街並みで「鮭の塩引街道」が開催中です。ちょっと商業的な匂いがします。

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こちらは鮭の加工品を販売する「千年鮭きっかわ」の店内。

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はらこ飯と〆張鶴を頂いてきました。

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下水道の蓋も可愛らしい鮭の図柄です。!

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8月の気象情報 [アーカイブ]

2017年8月に発表された気象情報の中からいくつかの例を見てみます。

生の気象情報を掲載する観点から解説は加えていません。tenki.jpなどで過去の天気図を見ながら学習してください。

今回のポイント

・8月は前線が多く発生し、大雨、落雷、突風に関する気象情報が頻繁に発表される。
・太平洋高気圧に覆われると、高温に関する気象情報が発表される。
・オホーツク高気圧や北東気流が発生すると、日照不足に関する気象情報が発表される。


大雨と雷及び突風の気象情報

15日は西日本で前線が停滞し、熊本県では猛烈な雨が降りました。

大雨と雷及び突風に関する全般気象情報 第1号

平成29年8月15日04時44分 気象庁予報部発表

(見出し)
西日本では15日夜遅くにかけて、大気の状態が非常に不安定となり、大雨となるでしょう。土砂災害に厳重に警戒し、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒・注意してください。また、落雷や竜巻などの激しい突風に注意してください。

(本文)
[気圧配置など]
 華中から西日本に前線がのび、停滞しています。前線に向かって、南から暖かく湿った空気が流れ込み、西日本では大気の状態が非常に不安定となっています。前線は15日夜にかけて西日本に停滞し、大気の非常に不安定な状態は15日夜遅くまで続く見込みです

[防災事項]
 <大雨・雷・突風>
 九州や中国地方では、局地的に雷を伴った激しい雨や非常に激しい雨が降り、大雨となっています。  西日本では15日昼にかけて、局地的に雷を伴った非常に激しい雨の降るおそれがあります。その後も15日夜のはじめ頃にかけて、激しい雨の降るところがあり、大雨となるでしょう。

 16日6時までの24時間に予想される雨量は、いずれも多いところで
  九州南部・中国地方・近畿地方 120ミリ
  九州北部地方         100ミリ
  四国地方            80ミリ
です。

 土砂災害に厳重に警戒し、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒・注意してください。
 また、15日夜遅くにかけて、落雷や竜巻などの激しい突風にも注意が必要です。発達した積乱雲の近づく兆しがある場合には、建物内に移動するなど、安全確保に努めてください。

[補足事項等]
 地元気象台の発表する、警報や注意報、気象情報等に留意してください。
 次の「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報」は15日17時頃に発表する予定です。


大雨に関する気象情報

30日、前線の影響で関東では昼過ぎから局地的に大雨となり、東京都練馬区付近や神奈川県山北町付近に記録的短時間大雨情報が発表されました。

大雨による防災事項を覚えましょう。

大雨に関する関東甲信地方気象情報 第1号

平成29年8月30日15時45分 気象庁予報部発表

(見出し)
関東甲信地方では、30日夜のはじめ頃にかけて、雷を伴い1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨の降る所があるでしょう。土砂災害、低地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒してください。

(本文)
[気象状況と予想]
 関東甲信地方には前線が停滞しています。前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、大気の状態が不安定となっています。
 このため、関東甲信南部を中心に、局地的に雷を伴い1時間に80ミリ以上の猛烈な雨の降っている所があります。

[防災事項]
 関東甲信地方では、30日夜のはじめ頃にかけて、局地的に雷を伴い1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨の降る所があるでしょう。
 31日18時までの24時間に予想される雨量は、いずれも多い所で  
   関東地方南部   120ミリ
   関東地方北部    80ミリ
の見込みです。
 土砂災害、低地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒してください。また、落雷、突風、降ひょうに注意してください。

[補足事項]
 今後、地元気象台の発表する警報、注意報、気象情報等に留意してください。
 次の「大雨に関する関東甲信地方気象情報」は30日23時頃に発表する予定です。


雨が降り止んでも、地盤が緩んでいると土砂災害のおそれが残ります。

大雨に関する関東甲信地方気象情報 第2号

平成29年8月30日22時07分 気象庁予報部発表

(見出し)
関東地方の大雨の峠は越えましたが、これまでの大雨で地盤の緩んでいる所があります。31日明け方まで土砂災害に注意してください。

(本文)
[気象状況と予想]
 関東地方の大雨の峠は越えましたが、これまでの大雨で地盤の緩んでいる所があります。また、30日夜遅くにかけて大気の状態が不安定になる見込みです。

[防災事項]
 関東地方では、31日明け方まで土砂災害に注意してください。また、30日夜遅くにかけて落雷、突風、降ひょう、急な雨に注意してください。

[補足事項]
 これで「大雨に関する関東甲信地方気象情報」は終了しますが、今後地元気象台の発表する注意報、気象情報に留意してください。


高温に関する気象情報

太平洋高気圧の張り出しが強く猛暑日となると、高温に関する気象情報が発表されます。

高温に関する四国地方気象情報 第1号

平成29年8月15日15時03分 高松地方気象台発表

(見出し)
四国地方では、17日から19日にかけて最高気温が35度以上となる所がある見込みです。

(本文)
 四国地方では、17日から19日にかけて太平洋高気圧に覆われ概ね晴れて、最高気温が35度以上の猛暑日となる所がある見込みです。
 気温が高い状態となるため、熱中症など健康管理や農作物の管理に十分注意してください。


長期の高温と少雨の気象情報

長期間の高温と少雨に関する沖縄地方気象情報 第3号

平成29年8月28日 15時00分 沖縄気象台発表

(見出し)
 沖縄地方では、7月中旬から気温の高い状態が続いています。また、沖縄本島地方、大東島地方では7月上旬から、宮古島地方では7月中旬から降水量の少ない状態が続いています。この状態は、今後2週間は続く見込みです。農作物や水の管理に十分注意してください。また、熱中症の危険が高まりますので、健康管理に十分注意してください。

(本文)
 沖縄地方では7月中旬から太平洋高気圧に覆われて晴れの日が多く、気温の高い状態が続いています。また、沖縄本島地方、大東島地方では7月上旬から、宮古島地方では7月中旬から降水量の少ない状態が続いています。この状態は、今後2週間程度は続く見込みです。
 農作物や水の管理に十分注意してください。また、熱中症の危険が高まりますので、健康管理に十分注意してください。

 平均気温と最高気温と最低気温(7月11日から8月27日まで)(速報値)
     平均気温(度) 平年値(度)  平年差(度)
那覇    30.4     28.8     +1.6
名護    30.1     28.7     +1.4
久米島   30.0     28.7     +1.3
南大東島  29.8     28.4     +1.4
宮古島   29.9     28.6     +1.3
石垣島   30.3     29.3     +1.0
西表島   29.4     28.6     +0.8
与那国島  29.4     28.6     +0.8
 平均気温と最高気温と最低気温(7月11日から8月27日まで)(速報値)
     平均気温(度) 平年値(度)  平年差(度)
那覇    33.7     31.7     +2.0
名護    33.3     31.8     +1.5
久米島   33.7     31.6     +2.1
南大東島  33.3     31.5     +1.8
宮古島   32.9     31.4     +1.5
石垣島   33.0     31.9     +1.1
西表島   32.7     31.6     +1.1
与那国島  32.5     31.3     +1.2
     平均気温(度) 平年値(度)  平年差(度)
那覇    28.1     26.7     +1.4
名護    27.6     26.3     +1.3
久米島   27.2     26.3     +0.9
南大東島  26.5     25.7     +0.8
宮古島   27.8     26.4     +1.4
石垣島   28.3     27.3     +1.0
西表島   27.0     26.0     +1.0
与那国島  27.0     26.3     +0.7
 降水量(7月1日から8月27日まで)(速報値) 
     降水量(ミリ) 平年値(ミリ) 平年比(%)
那覇    84.0    342.9     24
名護   107.0    362.9     29
久米島   89.0    270.4     33
南大東島  75.5    254.1     30
 降水量(7月11日から8月27日まで)(速報値) 
     降水量(ミリ) 平年値(ミリ) 平年比(%)
宮古島   70.5    313.5     22

 今後の気象情報等に留意してください。

 この情報は、8月10日発表の「長期間の高温と少雨に関する沖縄地方気象情報第2号」を引き継ぐものです。


日照不足と低温に関する気象情報

太平洋側ではオホーツク海高気圧から吹き出す冷たく湿った東よりの風により、曇りや雨の日が続き日照不足や低温となることがあります。

北・東日本太平洋側の日照不足と低温に関する全般気象情報

平成29年8月10日15時00分 気象庁発表

(見出し)
北日本太平洋側では8月はじめから、東日本太平洋側では7月下旬から、日照時間の少ない状態が続いています。この状態は、今後10日間程度続く見込みです。また、北日本太平洋側を中心に今後10日間程度は気温が低く、かなり低い所もある見込みです。農作物の管理等に十分注意してください。

(本文)
 北日本太平洋側では8月はじめから、東日本太平洋側では7月下旬から、湿った気流や前線の影響で曇りや雨の日が多く、日照時間が平年の50%以下となっている所があります。日照時間の少ない状態は、今後10日間程度続く見込みです。
 また、オホーツク海高気圧からの冷たく湿った気流の影響で、北日本太平洋側を中心に今後10日間程度は気温が低く、かなり低い所もある見込みです。
 農作物の管理等に十分注意してください。

 日照時間(8月1日から8月9日まで)(速報値)
      日照時間(h)  平年比(%)
 網走    20.7      40
 広尾    14.6      40
 大船渡   18.7      40
 仙台    11.1      25

 日照時間(7月23日から8月9日まで)(速報値)
      日照時間(h)  平年比(%)
 東京    46.8      46
 宇都宮   20.0      25

 今後、地元気象台の発表する気象情報等に留意してください。


低温に関する気象情報

低温に関する東北地方気象情報 第1号

平成29年8月29日15時01分 仙台管区気象台発表

(見出し)
東北地方では、31日から9月5日頃にかけて、気温が平年よりかなり低い見込みです。農作物の管理などに注意してください。

(本文)
 東北地方は、31日から9月5日頃にかけて寒気の影響により気温が平年よりかなり低く、9月下旬並みの気温となるでしょう。
 農作物の管理などに注意してください。
 今後、地方気象台が発表する注意報や気象情報に留意してください。
 「低温に関する東北地方気象情報」は本号限りとします。


大潮による高い潮位の潮位情報

大潮とは、地球に対して月と太陽が直線上に重なるとき、1日の満潮と干潮の潮位差が大きくなる時期を言います。大潮は新月から次の新月までの間にほぼ2回現れます。

大潮と台風の接近が重なると、高潮被害の発生の可能性が高まります。

大潮による高い潮位に関する全般潮位情報 第1号

平成29年8月17日11時00分 気象庁地球環境・海洋部発表

(見出し)
8月22日の新月の前後は大潮の時期にあたり、満潮の時間帯を中心に潮位が高くなります。東北地方から関東地方北部にかけての太平洋沿岸、西日本、沖縄・奄美の沿岸の一部では、海岸や河口付近の低地で浸水や冠水のおそれがあります。

(本文)
 夏から秋にかけては海水温が高い等の影響で、平常時の潮位が年間でも最も高い時期となります。さらに、8月22日の新月の前後は大潮の時期にあたるため、満潮の時間帯を中心に潮位が高くなる所があります。
 また、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震により、東北地方から関東地方北部にかけての太平洋沿岸では地盤が大きく沈下しています。
 このため、東北地方から関東地方北部にかけての太平洋沿岸、近畿地方、中国地方、四国地方、九州北部地方、九州南部・奄美地方、大東島地方の沿岸の一部では、8月18日から8月27日にかけて、満潮の時間帯を中心に海岸や河口付近の低地で浸水や冠水のおそれがありますので注意してください。
 なお、この期間中に台風や低気圧の通過等があった場合や、短時間に海面が昇降を繰り返す副振動の発生等があった場合は、さらに潮位が上昇する可能性があります。
 今後、地元気象台から発表される高潮警報・注意報や潮位情報に十分留意してください。

 「大潮による高い潮位に関する全般潮位情報」は本号のみとします。


スモッグ気象情報(光化学オシキダント)

光化学オキシダントの濃度上昇によって空気に「もや」がかかる現象を光化学スモッグと言います。

光化学オキシダントの濃度が高くなりやすいのは、(1)5~9月頃の、(2)日差しが強い晴れ又は薄曇りの日で、(3)気温が25℃以上あって、(4)風の弱い日、とされています。

スモッグ気象情報(光化学オシキダント) 第48号

平成29年8月24日13時50分 気象庁予報部発表

(見出し)
関東地方の一部の地域では、今日(24日)夕方にかけて、光化学スモッグの発生しやすい気象状態となるでしょう。

(本文)
 関東地方では、晴れて日射が強く、風速も平均4メートル以下の弱い所が多く、気温が35度くらいまで上がっている所があります。

 このため、
   埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県

では、光化学スモッグの発生しやすい気象状態が、今日(24日)夕方にかけて続く見込みです。

 屋外での活動に十分注意してください。

 上記の各都県で、光化学スモッグの発生しやすい気象状態が予想されるのは、下表で○を付けた地域と時間帯です。

           14時 15時 16時 17時 18時
埼玉県(南部)     ・   ◯   ◯   ◯   ◯
   (北部)     ・   ・   ◯   ◯   ◯
   (秩父地方)   ・   ・   ・   ・   ・
千葉県(北西部)    ◯   ◯   ◯   ◯   ・
   (北東部)    ・   ・   ・   ・   ・
   (南部)     ・   ・   ・   ・   ・
東京都(23区地域)  ◯   ◯   ◯   ◯   ・
   (多摩地域)   ◯   ◯   ◯   ・   ・
神奈川県(東部)    ◯   ◯   ◯   ・   ・
    (西部)    ・   ◯   ◯   ・   ・



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雪に関する気象情報 [気象情報]

初稿:2017年12月8日
追加:2018年 1月3日
今回のポイント

降雪時に特有な防災事項として下記を覚えておきましょう。

積雪路面凍結による交通障害
・降雪による視程障害
農作物や農業施設の管理
電線や架線、樹木などへの着雪 (ただし、気温が0℃前後のとき)

赤字下線部は過去の実技試験に穴埋め問題として出題されたことがあるキーワードです。

(注)
下記事例には登場しませんが、「吹きだまりによる交通障害に注意してください」という表現があります。
また、札幌管区気象台では平成26年から「数年に一度の猛ふぶきとなるおそれがあります。外出は控えてください。」という表現を使い始めました。

事例検討

2017年12月5日の九州北部地方の地方気象情報と、長野県の府県気象情報を取り上げます。

この日、日本上空には強い寒気が流れ込んで冷え込みが強まり、九州や四国、中国地方の各地で初雪を観測しました。福岡で降雪があったほか、松江市や山口県下関市、高松市、熊本市、佐賀市では初雪となりました。

こちらは4日21時(UTC12時)を初期時刻とする850hPa気温・風、700hPa上昇流の24時間予想図です。

2017-12-05-2100.png

九州北部にマイナス9℃の等温線がかかっています。

この状況で、福岡管区気象台は4日10時55分、大雪に関する地方気象情報第1号を発表しました。

こちらは5日に発表された第2号です。

大雪に関する九州北部地方(山口県を含む)気象情報 第2号

平成29年12月5日05時30分 福岡管区気象台発表

(見出し)
九州北部地方では、5日夜遅くにかけて山地を中心に大雪となる恐れがあります。積雪や路面凍結による交通障害、農作物や農業施設の管理などに注意してください。

(本文)
 九州北部地方では、5日は強い冬型の気圧配置となり上空約1500メートルに氷点下9度以下の強い寒気が南下する見込みです。
 5日05時の気象衛星やレーダーによりますと、対馬海峡には寒気に伴う雪雲が観測され、九州北部地方へ流れ込んでいます。
 このため、九州北部地方では5日は局地的に雷を伴い断続的に雪か雨が降り、5日遅くにかけて山地を中心に大雪となるおそれがあります。

<降雪の深さの予想>
 5日06時から6日06時までの降雪の深さ(多い所)
  山地(標高200メートルを超える地域)
  福岡県、佐賀県 10センチ

<防災事項>
 積雪や路面凍結による交通障害、降雪による視程障害、農作物や農業施設の管理に注意してください。

 今後、地元の気象台が発表する注意報や気象情報等に留意してください。

 次の「大雪に関する九州北部地方(山口県を含む)気象情報」は、5日11時頃発表の予定です。

一方、長野地方気象台がほぼ同時刻に発表した気象情報がこちらです。

大雪に関する長野県気象情報 第1号

平成29年12月5日05時54分 長野地方気象台発表

(見出し)
北部の山沿いでは、5日夜のはじめ頃から6日明け方にかけて、大雪となる見込みです。大雪による交通障害に警戒してください。

(本文)
[気象状況と予想]  日本付近は冬型の気圧配置となっています。北日本から東日本の上空約5500メートルに氷点下30度以下の寒気が流れ込み、6日にかけて日本付近は冬型の気圧配置が続く見込みです。
 このため、5日夜のはじめ頃から6日明け方にかけて、北部の山沿いを中心にまとまった降雪となるでしょう。

[予想降雪量]  5日6時から5日18時までの12時間降雪量は、いずれも多い所で、
  北部 長野地域山沿い         :5センチ
     中野飯山地域          :5センチ
     大北地域山沿い         :10センチ
  その他の地域             :3センチ未満

 5日6時から6日6時までの24時間降雪量は、いずれも多い所で、
  北部 長野地域山沿い         :30センチ
     長野地域平地          :10センチ
     中野飯山地域          :30センチ
     大北地域山沿い         :40センチ
     大北地域平地          :10センチ
  中部 上田地域の菅平周辺       :10センチ
     松本地域の聖高原周辺      :10センチ
     乗鞍上高地地域         :10センチ
  南部 木曽地域            :10センチ
  その他の地域             :3センチ未満
 の見込みです。

[防災事項]
 大雪による交通障害に警戒してください。
 また、落雷、突風、電線や架線、樹木などへの着雪に注意してください。

[特記事項]
 平成29年6月25日に発生した長野県南部の地震に伴い、揺れの大きかった王滝村、木曽町については、大雨警報・注意報の発表基準(土壌雨量指数基準)を暫定的に引き下げて運用しています。

[補足事項]
 今後、気象台が発表する警報や注意報、気象情報に留意してください。
 次の「大雪に関する長野県気象情報」は、5日17時頃に発表する予定です。

防災事項に、九州北部の気象情報にはなかった「電線や架線、樹木などへの着雪に注意」があります。

気温0℃前後で降る雪は湿っていて物に付着しやすくなっています(これを「着雪」といいます)。着雪は、電線等の断線や送電鉄塔や樹木の倒壊等の被害を発生させる恐れがあります。

長野と九州北部を比較すると、地上気温こそ長野の方が低いですが、850hPaの気温は長野のマイナス3℃に対して九州北部はマイナス9℃です。この違いにより、長野県では着雪への注意が出ていたものと思われます。

最後に

5日13時の衛星画像を見ると、面白い状況が見えます。

まず赤外画像(IR)です。

赤外画像.png

そして可視画像(VIS)です。

可視画像.png

日本海側に積乱雲が発生しているのが分かりますが、関東平野だけ見事に雲がかかっていません。

この日の東京は西よりの風が吹いていたのですが、日本海側で雪を降らした雲は水分を落とし、関東周辺では乾燥した風を吹かせたということです。


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降水量の読み取り方 [練習]

(2018.8.23 修正)
ご指摘をいただき、文末の【第38回(2012年第1回)実技1問4】の解答を修正しました。
(誤)「19時30分から20時30分」
(正)「19時00分から20時30分」

鉄則: 降水量の読み取り方

・「10時の降水量」とは「9時から10時の1時間の降水量」のことである(注)
・「10時の降水量」は「10時の1時間降水量」「10時の1時間降水量」とも表現する

(注)降水量が1時間単位で観測されている場合

降雪量とは

降水量は、観測時刻までの一定の時間(1時間、3時間など)に降った雨の量を表します。

「X時の降水量」という時、X時は観測時間の「始点」ではなく「終点」であることに注意してください。例えば「10時の前6時間降水量」といえば「10時を終点とする6時間」、すなわち「4時00分〜10時00分までの6時間」の降水量をさします。通常は、「前○○時間降水量」の「前」を省略して、「○○時間降水量」と表現することが多いので間違わないようにしましょう。

(前)降水量には1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間の8通りがあります。実技試験の読み取りで出題されるのは1時間降水量が大半です。また、高層天気図の地上気圧・降水量・海上風予想図には、12時間降水量が記載されています。

ある期間中に降水があったが、その量が 0.5 mm (転倒ます型雨量計の場合)に達しないときは「 0.0 mm 」とし、「降水なし」の場合の「-」とは区別します。

雨量計.png

(出典)気象庁

受水口に入る雨量の一定量(0.5 mm)毎に転倒ますが転倒動作をリードスイッチで検出して、接点パルス信号を出力します。

雨量にはアメダス観測による雨量と、レーダー観測をもとにした解析雨量があります。アメダスは約17kmの間隔毎に設置され、0.5mm単位の雨量計で測定しています。アメダスが面的にカバーできないエリアの雨量をレーダーで推定し、アメダス観測で補正したものが解析雨量です。

例題

<問題>
次の表から、7時の3時間降水量を求めなさい。

時刻 降水量(mm)
1.0
10.0
43.0
16.0
2.0

<正解>
69.0mm

<解説>
7時の3時間とは「7時の3時間」と読み直します。すなわち4時台、5時台、6時台のことです。

5時の10.0mm:4時00分〜5時00分の降水量
6時の43.0mm:5時00分〜6時00分の降水量
7時の16.0mm:6時00分〜7時00分の降水量

ということで、10.0+43.0+16.0=69.0mmが正解です。

出題事例で確認しよう

降水量を表や図で示して、その値を読み取る問題が出されています。「X時の降水量」は観測時間の「終点」であることを再認識した上で、出題事例を見てみましょう。

【第39回(2012年第2回)実技1問3】

次の1時間降水量時系列図が与えられています。

第39回.jpg


問題文には「館山では9時から10時の1時間に41mmの激しい雨が観測された。」とあります。言い換えると「10時の1時間降水量は41mmである」ということで、これを丁寧に言い直すと「10時の1時間(9時から10時)降水量は41mmである」となります。

なお、本問は等温線を描かせた後、2地点間の温度勾配を計算させる問題で、降水量の読み取り問題ではありませんでした。

【第37回(2011年第2回)実技1問5】

米子と大山の降水量と降雪量の時系列が与えられています。設問では、これを用いて米子と大山の12月31日9時(00UTC)〜1月1日9時(00UTC)の24時間降水量及び24時間降雪量をそれぞれ10mm刻み、10cm刻みで答えよ、というものです。

第37回.jpg


時間毎の降水量は棒グラフの上部に記載されているので、24時間分を合計すれば良いわけです。

【米子】
24時間降水量=102.5mm →100mm(10mm刻み)
(6.0+6.0+5.0+5.0+1.0+0.5+0.5+4.5+3.5+7.0+6.0+5.5+6.0+3.0+1.5+1.5+11.0+10.5+13.0+5.0+0.0+0.0+0.5+0.0)

【大山】
24時間降水量=110mm →110mm(10mm刻み)
(7.0+7.0+8.5+7.5+5.5+3.0+0.5+6.0+4.5+3.5+4.0+6.0+8.5+8.0+5.5+6.0+5.0+4.5+5.0+3.5+0.5+0.0+0.5+0.0)

単純な足し算の問題ですが、小さな数字を24回足さなければならないので、足し漏れが発生しないように、足した数値にはチェックをするなどしましょう。さらに「10cm刻みで答えよ」という引っ掛けが用意されています。このような条件が設定されている場合、問題文に下線を引いて最後の処理を忘れないようにしましょう。

なお、本設問では意識する必要はありませんが、「12月31日9時(00UTC)〜1月1日9時(00UTC)の降水量」は「12月31日9時の前1時間降水量(8時から9時)」から「1月1日9時の前1時間降水量(8時から9時)」を合計することになります。

【第38回(2012年第1回)実技1問4】

設問は南阿蘇村の30分毎の解析雨量時系列図(下図)とウィンドプロファイラの高層風時系列図(ここでは省略)を用いて、大雨警報(浸水害)の発表基準以上の雨が降っていた時間帯(30分刻み)を答えよ、というものです。

第38回.jpg


南阿蘇村の大雨警報(浸水害)の発表基準は、「1時間雨量で60mm」と与えられています。

解析雨量の時系列図を見ると、基準値の60mmを超えているのは20時と20時30分です。「降水量は前時間降水量」というのが鉄則です。

本図では前1時間の解析雨量が30分単位で示されています。

したがって、解答は「19時00分から20時30分」となります。

最後に

降水量の読み取り問題は、「前○○時間の降水量を聞いている」ということが分からないと混乱してしまいます。私もしばらくは誤解していましたが、今回まとめてみてスッキリしました。

もし本稿の説明で理解できない方は、下のコメント欄から遠慮なくご質問ください。


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降雪のエッセンシャル [エッセンシャル]

日本における降雪のメカニズム

日本海側と太平洋側で雪が降るメカニズムは異なる。

日本海側の降雪
・日本海上の気団変質に伴う。
 シベリアからの乾燥した寒気→日本海の海面から顕熱と水蒸気(潜熱)を供給される→成層状態が悪くなり、対流活動が活発化する。

・山沿いで大雪になる山雪型と、海岸や平野部で大雪となる里雪型がある。

太平洋側の降雪
・低温時(地上気温が2℃以下)における南岸低気圧に伴う。

降雪の目安

強い寒気が南下すると降雪の可能性がある。その目安は次のとおり。

分類 500hPaの等温線 850hPaの等温線
大雪 −36℃ −12℃
−6℃(関東は−3℃)


雪による被害

生活への障害
「着雪害」
着雪とは湿った雪が送電線や樹木に付着すること。これにより、電線等の断線や送電鉄塔等の倒壊等の被害が発生する(気温0℃付近で発生しやすい)。

「落雪害」
落雪によって起こる災害。

「融雪害」
融雪が原因となって起こる災害。

「交通障害」
大雪が降るとふぶきや吹きだまりなどにより、視程不良・積雪・路面凍結による交通障害が発生する。

なだれ(雪崩)
・全層なだれと表層なだれがある。

※気象庁は「なだれ」とひらがな表記している。

なだれ.png
(出典)国土交通省

警報と注意報
・雪に関する警報は「暴風雪」「大雪」の2つ。
・雪に関する注意報は「風雪」「大雪」「融雪」「なだれ」「着雪」の5つ。

※着氷注意報について
「着雪」と紛らわしい現象に「着氷」がある。着氷は大気中の水蒸気が物体に昇華したり、過冷却の雲粒が物体に凍りついて発生する。
着氷注意報はほとんどが冬季の北海道で、船体着氷に対して出される。例えば函館地方の船体着氷注意報の基準は、水温が4℃以下、気温が-5℃以下、風速が8 m/s以上のときに発表される。
参考:http://www.jma-net.go.jp/aomori/koho/yuki/yuki2016_06a.pdf

降雪量など

積雪の深さ
既に降り積もった雪の深さ。

降雪の深さ
ある時間の間に新しく積もった雪の深さ。24時間で50cm以上の降雪は警報級。

■雪水比(ゆきみずひ)
・ある特定の地上気温における降水量(mm)とそれを降雪量(cm)に換算した時の値の比率。
 降雪量(cm)=降水量(mm)×雪水比(cm/mm)
・湿った雪の雪水比は0.5〜1.0程度。

理解しておきたい用語

山雪型
・気圧配置は西高東低の冬型、等圧線は南北に縦縞模様。
・上空の寒気の中心は日本海北部や北日本にある。
・筋状の雲が見られる。
・→山の風上側で積乱雲が発達する。

山雪型.png

(出典)松江地方気象台

里雪型
・等圧線が日本海で袋状。
・上空の寒気の中心は日本海の中・南部。
・→海岸沿いを中心に積乱雲が発達、もしくは日本海で発生した小低気圧が上陸して平野部を中心に大雪をもたらす。

里雪型.png

(出典)松江地方気象台

表層なだれ
先に積もっていた雪の表面に新たに積もった雪が、気温の上昇や振動などが原因で滑り落ちることで発生する。発生地点から遠く離れた場所まで襲来する恐れがある。2kmも離れた麓の集落を襲った事例あり。

全層なだれ
積雪がある山地の斜面で、気温の上昇や降水により溶けた水で滑りやすくなった地表面場を積雪層全体が滑り落ちる。春先の融雪期に多い。

JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)
冬型の気圧配置で、シベリアからの北西の風が北朝鮮と中国の国境をまたぐ長白山脈で南北に分かれ、日本海で再び合流することで雲の発達しやすいライン(収束帯)が形成されること。しばしば日本海側の大雪の要因となります。

暴風雪
暴風に雪を伴うもの。

地ふぶき
積もった雪が風のために空中に吹き上げられる現象。風が強く、地ふぶきによる視程障害や吹きだまりによる交通障害の発生する可能性がある場合には、暴風雪警報、風雪注意報を発表する。

融解層
雨雲の中で気温が0℃に近く、氷の粒が溶け始める層のこと。気象レーダー画像にはブライトバンドとして現れる。

ブライトバンド
ある一定の高度で強いエコーが現れる現象。上空から落下するゆきやあられなどの氷粒子が気温0℃の層(融解層)を通過するときに溶けた氷粒子の表面で電波が強く散乱される。


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エッセンシャルのカテゴリー [エッセンシャル]

実技の問題を解くために、最低限必要な知識をまとめていきます。
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