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降水量の読み取り方 [練習]

(2018.8.23 修正)
ご指摘をいただき、文末の【第38回(2012年第1回)実技1問4】の解答を修正しました。
(誤)「19時30分から20時30分」
(正)「19時00分から20時30分」

鉄則: 降水量の読み取り方

・「10時の降水量」とは「9時から10時の1時間の降水量」のことである(注)
・「10時の降水量」は「10時の1時間降水量」「10時の1時間降水量」とも表現する

(注)降水量が1時間単位で観測されている場合

降雪量とは

降水量は、観測時刻までの一定の時間(1時間、3時間など)に降った雨の量を表します。

「X時の降水量」という時、X時は観測時間の「始点」ではなく「終点」であることに注意してください。例えば「10時の前6時間降水量」といえば「10時を終点とする6時間」、すなわち「4時00分〜10時00分までの6時間」の降水量をさします。通常は、「前○○時間降水量」の「前」を省略して、「○○時間降水量」と表現することが多いので間違わないようにしましょう。

(前)降水量には1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間の8通りがあります。実技試験の読み取りで出題されるのは1時間降水量が大半です。また、高層天気図の地上気圧・降水量・海上風予想図には、12時間降水量が記載されています。

ある期間中に降水があったが、その量が 0.5 mm (転倒ます型雨量計の場合)に達しないときは「 0.0 mm 」とし、「降水なし」の場合の「-」とは区別します。

雨量計.png

(出典)気象庁

受水口に入る雨量の一定量(0.5 mm)毎に転倒ますが転倒動作をリードスイッチで検出して、接点パルス信号を出力します。

雨量にはアメダス観測による雨量と、レーダー観測をもとにした解析雨量があります。アメダスは約17kmの間隔毎に設置され、0.5mm単位の雨量計で測定しています。アメダスが面的にカバーできないエリアの雨量をレーダーで推定し、アメダス観測で補正したものが解析雨量です。

例題

<問題>
次の表から、7時の3時間降水量を求めなさい。

時刻 降水量(mm)
1.0
10.0
43.0
16.0
2.0

<正解>
69.0mm

<解説>
7時の3時間とは「7時の3時間」と読み直します。すなわち4時台、5時台、6時台のことです。

5時の10.0mm:4時00分〜5時00分の降水量
6時の43.0mm:5時00分〜6時00分の降水量
7時の16.0mm:6時00分〜7時00分の降水量

ということで、10.0+43.0+16.0=69.0mmが正解です。

出題事例で確認しよう

降水量を表や図で示して、その値を読み取る問題が出されています。「X時の降水量」は観測時間の「終点」であることを再認識した上で、出題事例を見てみましょう。

【第39回(2012年第2回)実技1問3】

次の1時間降水量時系列図が与えられています。

第39回.jpg


問題文には「館山では9時から10時の1時間に41mmの激しい雨が観測された。」とあります。言い換えると「10時の1時間降水量は41mmである」ということで、これを丁寧に言い直すと「10時の1時間(9時から10時)降水量は41mmである」となります。

なお、本問は等温線を描かせた後、2地点間の温度勾配を計算させる問題で、降水量の読み取り問題ではありませんでした。

【第37回(2011年第2回)実技1問5】

米子と大山の降水量と降雪量の時系列が与えられています。設問では、これを用いて米子と大山の12月31日9時(00UTC)〜1月1日9時(00UTC)の24時間降水量及び24時間降雪量をそれぞれ10mm刻み、10cm刻みで答えよ、というものです。

第37回.jpg


時間毎の降水量は棒グラフの上部に記載されているので、24時間分を合計すれば良いわけです。

【米子】
24時間降水量=102.5mm →100mm(10mm刻み)
(6.0+6.0+5.0+5.0+1.0+0.5+0.5+4.5+3.5+7.0+6.0+5.5+6.0+3.0+1.5+1.5+11.0+10.5+13.0+5.0+0.0+0.0+0.5+0.0)

【大山】
24時間降水量=110mm →110mm(10mm刻み)
(7.0+7.0+8.5+7.5+5.5+3.0+0.5+6.0+4.5+3.5+4.0+6.0+8.5+8.0+5.5+6.0+5.0+4.5+5.0+3.5+0.5+0.0+0.5+0.0)

単純な足し算の問題ですが、小さな数字を24回足さなければならないので、足し漏れが発生しないように、足した数値にはチェックをするなどしましょう。さらに「10cm刻みで答えよ」という引っ掛けが用意されています。このような条件が設定されている場合、問題文に下線を引いて最後の処理を忘れないようにしましょう。

なお、本設問では意識する必要はありませんが、「12月31日9時(00UTC)〜1月1日9時(00UTC)の降水量」は「12月31日9時の前1時間降水量(8時から9時)」から「1月1日9時の前1時間降水量(8時から9時)」を合計することになります。

【第38回(2012年第1回)実技1問4】

設問は南阿蘇村の30分毎の解析雨量時系列図(下図)とウィンドプロファイラの高層風時系列図(ここでは省略)を用いて、大雨警報(浸水害)の発表基準以上の雨が降っていた時間帯(30分刻み)を答えよ、というものです。

第38回.jpg


南阿蘇村の大雨警報(浸水害)の発表基準は、「1時間雨量で60mm」と与えられています。

解析雨量の時系列図を見ると、基準値の60mmを超えているのは20時と20時30分です。「降水量は前時間降水量」というのが鉄則です。

本図では前1時間の解析雨量が30分単位で示されています。

したがって、解答は「19時00分から20時30分」となります。

最後に

降水量の読み取り問題は、「前○○時間の降水量を聞いている」ということが分からないと混乱してしまいます。私もしばらくは誤解していましたが、今回まとめてみてスッキリしました。

もし本稿の説明で理解できない方は、下のコメント欄から遠慮なくご質問ください。


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