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参考書はこれだけで十分! [試験対策]

初稿:2017.11.20
修正:2017.12.28, 2019.5.7
今回のポイント

・実技試験対策の本は価格が高い上に、大型書店でも品揃えが少ない。

・本稿で紹介する事前準備用の3冊、演習用の2冊に十分取り組めば、合格レベルに達する可能性大。

・参考書がカバーしない知識や情報もたくさんあり、自ら補う必要がある。


実技参考書の事情

気象予報士試験の参考書は、学科(一般知識)、学科(専門)、実技に分かれています。学科を一冊にまとめたり、学科と実技を一冊にしたものもあります。

それぞれの構成は、①教科書のように解説が主体のもの、②問題演習が主体のもの、③解説と問題演習を合わせたもの、があります。

気象予報士試験の実技対策の参考書は③のタイプが主流で、次のような特徴があります。

・概して古い書籍(出版されてから年数が経っている)が多い。
・実技試験に絞った書籍は数多くないが、大型書店でも在庫を置いていないことがある。
・価格が高い。

古い書籍のメリットは、現在では入手困難な過去問題が含まれていることです。しかしデメリットもあります。最大の問題点は内容が更新されておらず、予報業務の変化が反映されていないことです。

近年は激しい気象現象が増加しており、それに応じて防災情報の拡充が行われています。警報の発表基準なども見直されています。

売れている書籍は改定により最新化を図っていますが、良書であっても増刷されずに古い在庫のみが並んでいることもあります。もちろん、最近の気象事例が取り上げられていないというのも古い書籍の懸念点です。

都心の大型書店でも気象予報士試験の対策本の品揃えが豊富な店は少ないです。ジュンク堂書店各店、三省堂書店神保町本店はだいたい揃っています。それ以外の書店では、市販されている参考書を全て揃えている店はあまりないと思います。

実技試験では高層天気図を扱うため、実技対策本は大型でページ数も多くなります。部数が出ないせいか、価格は3千円以上もします。

こうした事情からアマゾンでポチすることが多いものの、満足できる内容でないと本当にがっかりしてしまいます。

一方で、どの書籍も著者が苦労して執筆されているのでしょうが、受験者目線で見ると本当に知りたいことが書かれた本は残念ながらありません。

具体的に不足しているのは次の4項目です。

 ・基礎事項の解説
 ・天気図解析の手法解説
 ・気象現象の解説
 ・過去事例の紹介

しかし、現実には市販の教材を使うしかありません。そこでお金と時間をムダにしないよう、私の経験から数冊を厳選してみました。これらの本に取り組めば合格の可能性は高まります(事前知識ゼロの私が、これで合格できました)。

書籍名に付した番号順にステップアップしていくのがオススメです。

まずは実技問題に取り組む前に、準備として読むと良い書籍から紹介します。

事前準備編

①「改定新版 わかりやすい天気図の話」
大塚龍蔵・著、クライム気象図書出版、800円+税

天気図の書き方手引.png


・等圧線と前線について、試験対策書(後述)には書かれていない内容が平易に説明されている。

・何と言っても、全74ページと薄くて読みやすいのが嬉しいです。初版は昭和39年、ラジオで気象通報を聞いて天気図を書く人の入門書として書かれた古典です。時代の流れにも色褪せない基本が書かれています。


②「わかりやすい天気図の話」
クライム気象図書出版、800円+税

天気図の話.png


・①と似た感じの書籍なので、①を熟読して相性が合えばこれも手に取ると良いでしょう。


③「ダイナミック図解 天気と気象のしくみパーフェクト事典」
平井信行・監修、ナツメ社、1、500円+税

天気と気象のしくみ.png


・日本の四季の気候及び気象現象を豊富な写真と図解で解説しています。日々の天気予報や学習の過程で気になった現象を拾い読みすれば良い。頭から全ページ読む必要はありません。

・類似書は他にも出ているので、どれでも気に入ったものを一冊手元に置いておくと安心です。


続いては、問題演習の書籍です。

演習書

④「らくらく突破気象予報士かんたん合格テキスト 実技編」
気象予報士試験受験支援会・著、技術評論社、3,200円+税

らくらく突破.jpg


【本書の特徴】

・ほぼB5サイズで全447ページという、手にした瞬間に圧倒されるボリューム。前半はテキストで、後半が7問の「テーマ別事例演習」という構成。

・テキストは「実技のための基礎知識」「天気図の読み方と着眼点」「合格のための試験対策と作図対策」から構成。

・テーマ別事例演習は過去問題ではなく、本書のオリジナル問題と思われる。

【感想】

・この本の使い方は、前半のテキストは無視して、後半に「第4章 テーマ別事例演習」と題して7問の事例が掲載されているので、こちらから着手しましょう。最初はできなくて当然です。分からないなりにひと通りやってみると、土地勘が湧いてきます。その時点で前半のテキストを事典代わりに読んだり、他の参考書などに当たってみると無駄がありません。

・本書を1ページ目から順番に読むのは避けるべきです。枚数は多いですが、ダラダラと書いてあるだけで事象のイメージが湧かないからです。途中で挫折します(→しました)。「らくらく突破」シリーズは日本語が悪文で、読んでいるとイライラしてきます。しかも文章が冗長で、もっとストレートに要点だけ書いて欲しいとしばしば思いました。

・この書籍の良い点は、事例演習の解説が懇切親切な点です。知っておかなければならない知識が豊富に詰まっているので、解説は何度も読み返した上で、自分なりにエッセンスを体系化して要点集を作ると有効です。

・本書の問題は基本レベルです。知っておかなければならないことが多く含まれますが、これだけでは今日の試験に合格することはできません(本書にもその免責が書かれています)。本書を2〜3回程度やったら、次の参考書⑤にステップアップしましょう。


⑤「’15−‘16年版 ひとりで学べる!気象予報士実技試験 完全攻略テキスト&問題集」
気象予報士試験対策研究会・編著、ナツメ社、3,200円+税

ひとりで学べる.jpg


【本書の特徴】

・全335ページで、前半はテキスト、後半は問題集の解説という構成。問題集は別冊綴じ。

・テキストは「各種実況図・解析図などの見方」「各種解析」「気象情報」「気象現象別の攻略法」から構成。

・問題集は過去問(第33回〜42回)の中からテーマ別に11問を厳選して収録。テーマは以下の11分野:南岸低気圧、日本海低気圧、二つ玉低気圧、寒冷低気圧、温帯低気圧とポーラーロウ、梅雨前線、台風、台風と寒冷低気圧、台風と秋雨前線、日本海側の大雪、太平洋側の大雪。

【感想】

・私は参考書④を2回ほどやってから本書を始めたところ、④との難易度のギャップが大きく(本書の方が難しい)呆然としました。そのお陰で本腰を入れて勉強するようになったという副次効果?がありました。

・④と比べるとテキストに気象現象別の解説があるのは良いのですが、複数の執筆者が手がけているため、構成や内容の深さに統一感がありません。また、問題の解説が貧弱で(場合によっては全く解説がないこともある)、かなり自分で解釈を補わなくてはならないのでストレスが溜まります。

・本書は、あくまでもコスパの良い過去問題集と割り切って使うと良いと思います(注)。

(注)東京堂出版の試験回別の「気象予報士試験 模範解答と解説」は1回の試験分で2,500円します。
⑤の11テーマが満遍なく出題されたとしても、「気象予報士試験 模範解答と解説」を6回分(=15,000円)購入することになるので割高です。


ちなみに本書は2017年10月に「読んでスッキリ! 解いてスッキリ! 気象予報士実技試験合格テキスト&問題集」となりました。

スッキリ.png



⑥その他

参考書④(最低2回)と⑤(最低3回)をこなすのでかなり時間を要しますが、余力があれば「気象予報士試験 模範解答と解説」(東京堂出版)、「気象予報士試験 速習テキスト 実技編」(オーム社)はあっても良いでしょう。

これ以上の書籍はあっても、試験対策上で有意義な知識を追加的に得られることはないと断言できます。

最後に

今回紹介した書籍も内容について満足いくものではありません。

気象現象の解説は事実の列挙がされているだけで、なぜそうなるのかというプロセスが解説されていません。そのため論理の飛躍が多く、読んでいると疑問がどんどん湧いてきます。また、問題解説については、問題の解き方の若干のヒントを与えてくれるだけです。

現状では、気象解析に必要な実力をつけてくれる書籍やサイトはありません。自身があらゆる機会を利用して知識を増やしていくしかありません。本サイトも解説記事を充実し、応援していきたいと思います。

追記(2019.5.7):

試験勉強時には参考書を何回読んでも分からないところが多数あり、ページのあちこちに「?」がつけられています。

試験に合格して1年半。毎日とはいかないまでも気象解析をしたり、ブログ作成のために調べ物をしたりしてきました。当時と比べると若干は引き出しが増えてきたのでしょう。

改めて参考書を読んでみると、あら不思議!以前は分からなかったことが、行間を埋める知識が身についたおかげで、「ああ、こういうことね」と理解できるようになってきました。そんなこともあり、昔の参考書を引っ張り出して知識の再確認をするようになりました。

先日、池袋の有名なつけ麺屋さんで参考書を読みながら食事を待っていました。食べ終わって会計をしようとしたら、店の主人が「勉強頑張ってね!」「森田さんみたいになるんでしょ?気象予報士だよね」と応援してくれました。

今さら「資格を持ってます」とも言えずに、「はい、頑張ります!」と答えてしまいました。


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