SSブログ

離岸流と向岸流 [知識]

台風や温帯低気圧に伴う強風は波浪の原因となります。
気象予報士試験でも、波浪に関する出題が出ることがあります。

波浪についてはひねりのない素直な問題が多く、短時間で解答できます。
基本をしっかりと押さえておけば必ず解くことができるので、出題されたら得点源になります。

注意したいのは波浪は最後の設問に出題されることが多いということです。
出題数が5問だとしたら、波浪の設問は5問目ということです。

時間切れを起こすことのないよう、試験開始時に問題をザッと見て時間配分をしておくのが良いと思います。

今回は波高に関係のある、離岸流と向岸流についてまとめたいと思います。


離岸流とは

離岸流とは、岸から沖に向かう流れのことです。

実技試験では、岸から沖合に向かって吹く風による離岸流が取り上げられます。

離岸流 2.jpg

海上の風の吹走距離、吹続時間が短いため、海岸線付近の波高は低いのが特徴です。


向岸流とは

向岸流とは、沖から海岸の波打ち際に向かってできる流れのことです。

向岸流.jpg

海上の風が強いほど、また風の吹走時間と吹続距離が長いほど、波高は高くなります。


出題事例

向岸流は海上の風の吹走距離が長いので、波が高くなる傾向があります。
実技の出題でこの知識を前提にした問題があります。

第36回の実技2では、「低気圧の中心が日本海中部にあるとき、日本海側と太平洋側のどちら側で波高が高くなるか」という趣旨の問題が出ました。

※実際の出題文とは異なります。また、問題用紙には波浪予想図が付いています。

「太平洋側の方が風の吹走距離が長く、波高が高くなる」というのが解答でした。


実際の例

2017年の台風18号に伴う波の予想図を見てみます。

9月15日21時を初期時刻とした48時間予想図です。

FWJP_48.png

太平洋側で向岸流、日本海側で離岸流となっていることが分かると思います。


最後に

実技の問題では、大きな波を起こす向岸流と比べると、離岸流について問われることは少ないと思われます。

しかし、現実には離岸流に巻き込まれる水難事故は毎年発生しており、夏の海水浴シーズンには注意が必要です。

この離岸流は、実技で取り上げられる強風による離岸流とは成因が異なります。

海水浴で怖い離岸流.jpg

岸に向かって押し寄せた波が波打ち際で行き場を失い、今度は岸から沖に向かってできる逆方向の急激な潮の流れになります。
引き潮に似ていますね。

その力は強く、一流の水泳選手であっても離岸流に逆らって泳ぐことは困難だそうです。

離岸流に流されたら岸と平行に泳ぐと、向岸流に乗って岸に戻ることができます。

関東の東海上と南海上とは? [知識]

気象用語には一般には使われない、独特のものがあります。

今回は「関東の東海上、南海上」を取り上げます。

これはどこを見ても解説文が見当たりません。

気象庁の「全般気象情報などに用いる日本付近の地名、海域名」にも
掲載がありません。

日本付近の地名、海域名.png

でも、気象文には頻出するのでイライラします。

例えばこんな感じです。

「今後、台風は発達しながら週末にかけて小笠原の東海上を北上し、
 週明けには関東の東海上へ達する予想です。」

実はこれ、「東の海上」「南の海上」の意味なんです。

したがって、「とうかいじょう」「なんかいじょう」と読んではダメで、
「ひがし・かいじょう」「みなみ・かいじょう」と読みます。


■関東の東の海上

茨城県の日立、大洗町、鹿島から千葉県の銚子、九十九里、勝浦の沖合が
東の海上と言えそうです。

こちらの記事ではレーダーエコーを見ると、
「活発な雨雲は東の海上へと抜けつつある」
と言っています。

東の海上.png


■関東の南の海上

こうなると、南の海上も予測がつきますね。

房総半島と相模湾の南側の海と考えれば良いでしょう。

こちらの記事は、
「南の海上から活発な雨雲が北上している。」
と言っています。

南の海上.png

スッキリしていただけたでしょうか。

関東の東の海に、海水浴にでも行ってみたくなりました。


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。