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気象情報を時系列で追ってみた [気象情報]

気象現象の接近、通過にともない、気象情報は更新されていきます。今回はその流れを追っかけてみたいと思います。

「気象情報のことを知ろう」に書いた内容を再掲しておきます。

どんな時に発表されるの?

気象情報が発表されるタイミングは目的に応じて決まっていて、次の4つです。

①警報や注意報に先立つ注意の喚起
現象が発生する24時間程度前に発表されるもので、顕著現象の発生に対する注意を呼びかけるものです。

②現象の経過、予想、防災上の留意点等の解説
警報や注意報がすでに発表されている時に追加で発表されるもので、現象の経過、予想、防災上の留意点等を解説するものです。これには「竜巻注意情報」「土砂災害警戒情報」も含まれることから分かるように、「警報」「注意報」「気象情報」は一体のものとして発表されています。

③記録的な短時間の大雨を観測したときの、より一層の警戒呼びかけ
数年に一度しか起こらないような記録的な短時間の大雨を観測したときに、より一層の警戒を呼びかけるものです。「記録的短時間大雨情報」がこれに該当します。

④社会的に影響の大きな天候についての解説など
社会的に影響の大きな天候について注意を呼びかけたり、解説したりするものです。長雨や少雨、低温などの気象情報が該当します。

では、2017年(平成29年)の台風18号で、大分県に発表された気象情報で実例を見てみます。

2019年 台風18号

台風18号は9月17日に鹿児島県に上陸したのを皮切りに高知、兵庫、北海道と次々に再上陸し、日本の本土4島に上陸した史上初の台風となりました。

台風18号経路図.png

大分県では台風が17日に最接近し、大分市内を流れる大野川と、佐伯市内を流れる番匠川支流の井崎川が氾濫しました。このため、佐伯、津久見、臼杵の3市は、全域の計約5万7千世帯12万9千人に避難指示を出しました。

日テレニュース24.png
出典:日テレニュース24

こちらはテレビ各局でも放映された番匠川の河川ライブ画像です。

番匠川.png

普段の番匠川と比べてみると水嵩の増え方が一目瞭然です。

番匠川_普段.png

①警報や注意報に先立つ注意の喚起

気象情報は本文を含めると長文になるので、見出しのみを掲載します。

台風の上陸を遡ること3日前、14日の九州北部地方気象情報第1号で、台風接近による天候悪化の可能性が伝えられました。

台風18号に関する九州北部地方気象情報 第1号
9月14日16時02分 福岡管区気象台発表
(見出し)
非常に強い台風第18号の接近に伴い、九州北部地方では16日午後から17日にかけて大荒れの天気となるおそれがあります。

翌15日、九州北部地方には第2号及び第3号が発表されました。第2号からは風の予想、波の予想、雨の予想が追加にされました。

台風18号に関する九州北部地方気象情報 第4号
9月16日05時43分 福岡管区気象台発表
(見出し)
台風18号は、大型で非常に強い勢力を維持したまま17日には九州にかなり接近し上陸するおそれがあります。暴風やうねりを伴った高波、土砂災害、低地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重に警戒してください。


第4号の最後に、「次の『台風18号に関する九州北部地方(山口県を含む)気象情報』は16日16時30分頃発表する予定です。」とありました。

警報の発表

大分県内では16日、大雨警報が発表されました。こちらは大きな被害の出た佐伯市の警報と注意報の発表履歴の一部です。

佐伯市_警報・注意報.png
出典:tenki.jp

大雨については16日11時10分に警報が発表され、18日3時15分まで更新されました。またその前後の時間帯に大雨注意報が出されています。

②現象の経過、予想、防災上の留意点等の解説
③記録的な短時間の大雨を観測したときの、より一層の警戒呼びかけ

大雨警報が発表されたからでしょうか、予定されていた16時10分よりも5時間ほど早く、気象情報が更新されました。

台風18号に関する九州北部地方気象情報 第5号
9月16日11時20分 福岡管区気象台発表
(見出し)
大型で強い台風18号は、勢力を維持したまま17日昼前から昼過ぎにかけて最も接近し、九州に上陸する見込みです。暴風やうねりを伴った高波、土砂災害、低地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重に警戒して下さい。

16日の地方気象情報は第7号まで発表されました。波の予想や雨の予想が若干見直しされていますが、内容に大きな差分はありません。

さて、台風が上陸した17日については、大分地方気象台発表の府県気象情報を見ていきます。

大分県では14日の16時16分から17日の5時25分にかけて、「台風18号に関する大分県気象情報」の第1号から第8号までが発表されています。

これに続けて6時3分、第9号が発表されています。これが珍しいのはPDF版のみで提供されていることです。

大分県気象情報_第9号.png

既に1時間に約90ミリの猛烈な雨が降っており、土砂災害に対する厳重な警戒が呼びかけられています。

それから間もなく、竜巻注意情報が発表されました。「竜巻注意情報」は「雷注意報」を補足する情報で、「竜巻発生確度ナウキャスト」で発生確度2が現れた地域に発表されます。有効期間は発表から約1時間です。

大分県竜巻注意情報 第1号
9月17日06時56分 大分地方気象台発表
大分県南部は、竜巻などの激しい突風が発生しやすい気象状況になっています。空の様子に注意してください。雷や急な風の変化など積乱雲が近づく兆しがある場合には、頑丈な建物内に移動するなど、安全確保に努めてください。落雷、ひょう、急な強い雨にも注意してください。
この情報は、17日08時10分まで有効です。

竜巻注意報はこの後、10時47分発表の第6号まで、ほぼ1時間間隔で更新されました。

大分県竜巻注意情報は12時00分まで有効の第6号でいったん打ち切られ、13時51分に発表された第7号が最終報となりました。

入れ替わり立ち替わりになりますが、竜巻注意報が出されている最中に記録的短時間大雨情報が発表になっています。

大分県記録的短時間大雨情報 第1号
9月17日09時07分 大分地方気象台発表
(見出し)
9時大分県で記録的短時間大雨
佐伯市佐伯付近で約110ミリ
佐伯市鶴見付近で約110ミリ
佐伯市米水津付近で約110ミリ

記録的短時間大雨情報は「記録的な短時間の大雨を観測したときの、より一層の警戒呼びかけ」の役割があります。大分県では17日、記録的短時間大雨情報が4回発表されました。「数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨」が1日に4回も解析されるのは珍しいことです。

11時半頃、台風が鹿児島県に上陸します。

台風18号に関する大分県気象情報 第14号
9月17日11時44分 大分地方気象台発表
(見出し)
台風第18号の中心は、17日11時半頃に、鹿児島県南九州市付近に上陸しました。

この後も、PDF版の気象情報の第15号と16号は、佐伯市、臼杵市、竹田市などにおける総降水量を伝え、土砂災害、低地の浸水、河川の増水や氾濫に対する厳重な警戒を呼びかけています。

15時を過ぎると大雨の終焉を予感させる気象情報が発表になります。

台風18号に関する大分県気象情報 第17号
9月17日15時32分 大分地方気象台発表
(見出し)
解析雨量では、17日15時00時までの1時間に、津久見市付近で約120ミリ、佐伯市付近では約110ミリの記録的な大雨となっており、猛烈な雨が降り続いています。中部や南部を中心に、今後1時間程度、大雨が続く見込みです。この地域の方は厳重に警戒してください。

この頃になると気象台の方もだいぶ疲労が溜まってきていたのでしょうか、「17日15時00分まで」とすべきところを「17日15時00時まで」と誤記されています。いやぁ、本当にお疲れさまです。

とは言え、15時47分には4回目の記録的短時間大雨情報が出されています。また、土砂災害警戒情報や洪水予報は大雨のピークを過ぎる頃から頻繁に発表されていくので、災害に対する警戒はいよいよ本番という感じです。

台風18号に関する大分県気象情報 第18号
9月17日17時10分 福岡管区気象台発表
(見出し)
大型の台風第18号は、大分県から遠ざかりつつあります。暴風やうねりを伴った高波、土砂災害、低地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重に警戒してください。

以上の気象情報、竜巻注意情報、記録的短時間大雨情報、土砂災害警戒情報の発表時刻を一覧にまとめてみました。また、番匠川の洪水予報も参考に掲載しました。どのタイミングでどのような情報が発表されるのか、お役に立てれば幸いです。

台風18号関連(大分県).pdf

(参考)

最後に、大雨のピーク頃と思われる時刻(15時10分)の解析図を掲載しておきます。こうした過去データも容易に入手できるようになると助かります。

降水ナウキャスト:
レーダーエコー.png

土砂災害警戒メッシュ判定情報:
土砂災害警戒判定メッシュ情報.png

洪水警報の危険度分布:
洪水警報の危険度分布.png


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