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農作物の管理(日照不足) [気象情報]

第35回(平成22年第2回)の試験で、農作物に関する出題がありました。

農業に携わらない人にとっては、農作物管理といってもピンときません。
私自身も東京出身ですので、どんな時にどんな対策をとるのかさっぱり分かりません。

そこで今回は、農作物管理について少し調べてみました。

第35回の出題内容

冒頭の第35回の出題は、問4の穴埋め問題でした。

関東地方では4月中旬に降雪が観測されることは稀であり、また北部などでは積雪も予想されたことから、16日昼前から17日早朝にかけて地方気象情報を発表して雪に対する注意を呼びかけた。
この地方気象情報の防災上の留意事項に関する次の文章の空欄
(①)〜(④)に入る適切な語句を記入せよ。

関東地方北部の平野部、甲信地方を中心に雪が降り、積雪となるところがあるでしょう。
また、南部の平野部でも雪となるところがあるでしょう。
雪による(①)や路面の凍結、(②)や樹木への(③)に注意してください。
また、(④)の管理にも注意してください。

【正解】
①交通障害、②電線、③着雪、④農作物


こうした用語は見慣れていないと、なかなか出てこないと思います。

では、日照不足が農作物に与える影響とその対策について、
具体的な例を見てみましょう。

2017年夏の事例

太平洋側の天候


2017年の夏はオホーツク海高気圧が張り出したことにより、太平洋側では不順な天候が続きました。

8月12日15時の天気図がこちらです。

8月12日.png

北東気流による「やませ」が吹き込む状況となり、1993年以来のコメ不足が発生するのではないかと懸念されています。

日照不足に関する気象情報


2017年8月10日、気象庁は全般気象情報として、
「北・東日本太平洋側の日照不足と低温に関する全般気象情報 第1号」
を発表しました。

気象庁.png

この中に「農作物の管理等に十分注意してください」とあります。

この全般気象情報に呼応して、気象庁は地方気象情報として、
「日照不足に関する関東甲信地方気象情報 第1号」
を発表しました。

#東京管区気象台の地方気象情報は、気象庁が発表するんですね。

さらに関連する都県の地方気象台が、府県気象情報を発表しています。

長野県の事例


長野県では長野地方気象台が府県気象情報として、
「日照不足に関する長野県気象情報 第1号」
を発表しました。

これに関連して、こんな記事を見つけました。

信濃毎日新聞.png

出典:信濃毎日新聞(2017.8.18)

「梅雨明けから続く長雨や日照不足の影響が、県内農作物に出始めている」
県農政部は17日、農家向けに技術情報を出して対策を呼び掛けた
とあります。

日照不足によって、例えば稲だと「いもち病」という病気にかかる可能性があります。

いもち病.jpg

日照不足の影響で稲の抵抗力が弱まり、茎や葉が変色して穂が実らなくなるそうです。

ところで、県農政部が出す技術情報って、どんなものなのでしょうか?

長野県農業技術課のサイトからダウンロードしてみました。
注)長野県のHPは、セキュリティ上の問題でSafariやChromeなどで 接続できないことがあります。
長野県農政局技術情報.pdf

作物、果樹、野菜、花き、飼料作物の管理が4ページにわたって記載されています。

例えば、水稲についてはこんな感じです。

1 作物
(1)水稲
・早期落水を避け、粒張りや収量・品質の向上に努める。
・落水時期の目安は以下のとおりであるが、土壌条件や天候により調整し、品質および収量の向上を図るため、収穫に支障の無い範囲で遅めとする。
  早生種:出穂期後30~35日
  中生種:出穂期後30~40日
  晩生種:出穂期後35~45日
・落水後、収穫までに水田土壌が乾き過ぎる場合は、「走り水」を入れて土壌水分を補う。
 特に、砂壌土では乾き過ぎには注意する。
・今後の気温や日照時間が登熟の遅速に影響するので、登熟積算気温を参考に「帯緑色籾歩合」に注意して適期刈取りを行う。
 特に籾数が多い品種やほ場では十分に留意する。


技術情報というと難しいイメージを受けますが、意外と分かりやすい内容です。

これが農作物管理ということなんですね。

でも、ちょっと腑に落ちない?

日照不足による農作物の管理についてはここまでです。

しかし、長野の事例を引用したことで気になることが出てきました。

北東気流って背が低いはずなのに、長野県北部にまで影響があるって
おかしくないですか?

信濃毎日新聞の記事には続きがあって、記事最後に次の一文がありました。

長野地方気象台の佐藤義之気象情報官は、フィリピン付近の大気の対流活動が例年より不活発なことが天候不順が続く要因とみている。


ほほぅ、OLR(外向き長波放射)ですか。
では、見てみましょう。

7月下旬OLR.png
出典:コロンビア大学

2017年7月下旬のOLRですが、フィリピンでは負偏差となっています。
ということは、対流活動は活発ということですよね。
はて?

気象庁の「気候系監視速報(2017 年(平成 29 年)7月)」にも次のように書かれています。

熱帯の対流活動と循環
・熱帯の対流活動は、平年と比べて、インド北部~フィリピン付近、
 インドネシア東部付近 で活発、北インド洋中部、フィリピンの東海上で不活発だった


なぜ佐藤情報官がフィリピン付近の対流活動が例年より不活発であると
発言したのか、今の自分には分かりません。

異常天候早期警戒情報

2週間先にかけて、平年からかけ離れた天候の発生する可能性が高い場合、気象庁は「異常天候早期警戒情報」を発表します。

対象は7日間平均気温と7日間降雪量で、発表検討日は毎週月曜日と火曜日です。

異常天候早期警戒情報.png
出典:気象庁

2週間前に高温や低温あるいは大雪の予測が出されれば、水管理を調節したり、農業施設の補強や果樹の枝折れ防止などの事前対策を取ることが可能になります。


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気象情報のカテゴリー [気象情報]

気象庁が発表する気象情報はホームページ上で閲覧することができます。

しかし、一定期間が経過すると削除されてしまい、見ることができなくなります。

夏の試験に向けて学習している時に「冬季の気象情報が見てみたい」
と思うことが何度もありました。

そこで、本カテゴリーでは年間を通して特徴的な気象情報を取り上げていきます。

気象情報は発表する組織に応じて、3種類あります。

①全般気象情報(気象庁が発表)
 予報部、地球環境・海洋部が発表します。

②地方気象情報(管区気象台が発表)

③府県気象情報(地方気象台が発表)


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