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大雨の到来を確認しよう(2) [練習]

前回は2017年8月の接近する低気圧の解析を行いました。

今回は災害について見てみます。
本稿では8月24日の状況をまとめていきます。

低気圧で予想される注意報と防災事項

夏季の低気圧接近で予想される注意報には、

 ・大雨注意報
 ・強風注意報
 ・波浪注意報
 ・雷注意報


があります。

また、予想される警戒すべき防災事項としては、

 落雷、降雹、竜巻などの激しい突風、短時間強雨、河川の増水・氾濫、土砂災害


が考えられます。

これらは反射的にすぐに出てくるようにしたいものです。


気象情報

23日の夕方に発表された全般気象情報の第1号を再掲します。

全般気象情報第1号_2 .png

「土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に注意してください。
 落雷や竜巻などの激しい突風にも注意が必要です。」
とあります。

気象情報には「警報や注意報に先立って現象を予告し、注意を呼びかける」役割があります。

24時間から2~3日先に災害に結びつくような激しい現象が発生する可能性のあるときに発表されますが、今回は24時間前の発表とはいかなかったようです。

全般気象情報は25日の朝早くまでに第4号まで発表されました。


警報と注意報

全般気象情報第1号が発表された翌日(24日)の14時以降、複数の地方で大雨警報が発表されました。

気象警報・注意報.png

こちらは24日22時12分時点で、秋田県沿岸部に出ている警報と注意報です。
警報08_24_22_.12png.png

大雨警報もしくは注意報、強風注意報、波浪注意報、雷注意報が発表されています。

また、全域で濃霧注意報が出されており、洪水注意報の出ているところもあります。


にかほ市の状況

秋田県の日本海側に「にかほ市」というところがあります。

東北第2位の高さを誇る鳥海山があり、5合目の展望台からは日本海が一望できるそうです。

低気圧の接近に伴う現象は日本海側から来るのかなと思い、にかほ市の状況をライブカメラで見ることにしました。
(にかほ市のライブカメラ画像は、アーカイブがある便利なものです)

秋田県にかほ市には、24日の14時41分に大雨警報(土砂災害)が発表されています。
秋田県気象情報.png

風は最大14m/sの予想で、強風注意報と波浪注意報が出ています。

ライブカメラで見た、にかほ市の平沢漁港の15時19分現在の状況はこんな感じです。
平沢漁港11519.jpg

雨は降りだしているようです。


ウィンドプロファイラで見る酒田市の状況

実は山形県の一部では、秋田県よりも早い時間からかなりの雨が降りました。

雨雲1540.png

山形県酒田市では24日12時53分、大雨警報が発表になりました。

酒田にはウィンドプロファイラの観測地点があるので、風の状況を見てみます。
WPR酒田.png

上空1kmの風を見ると、11時までは西よりだった風が南よりになり、
13時20分に西の風になっています。

この時間帯は青色で表示されているように、強い雨が観測されています。

NHKニュースでも、13時半までに大雨が降ったことが確認できます。
IMG_6522.JPG

さて、ウィンドプロファイラの風向の変化は何でしょうか。
温暖前線の通過であれば東よりの風が南西の風に変化するはずなので、
ちょっと違いますね。

天気図を見てみます。

24日9時。黄◯が酒田の場所です。
天気図24日9時.png

酒田市のちょうど南に1008hPaの等圧線があります。

そして同日、12時。
天気図24日12時.png

1008hPaの等圧線は南下し、酒田市は1004hPaと1008hPaの間にあります。

このようにセオリー通りの風向変化をしない場合は、
「低気圧に関係する気圧の谷の通過」
と判断するようです(第38回実技2)。


土砂災害警戒情報

山形県には24日13時25分に山形県土砂災害警戒情報第1号が出されました。

こちらは土砂災害警戒情報第4号(15時45分発表)。
山形県土砂災害警戒情報.png

土砂災害警戒情報は、自治体が避難勧告を出す目安とされています。

大雨警報(土砂災害)が発表されている状況で、砂災害発生の危険度がさらに高まったときに、都道府県と気象庁が共同で発表します。

警報・注意報や各種情報は随時更新されていくので、最新のものを確認することが大切です。


川の氾濫状況

25日4時18分、「雄物川上流洪水予報第1号」が発表されました。
その後雄物川上流で氾濫危険水位(レベル4)に達し、同日5時50分には第2号が発表されました。

雄物川_2.png

25日8時半現在の、秋田県雄物川の水位です。
水位.png

低気圧が通過しても、川の氾濫はすぐには治らないのが分かります。

こちらは大仙市神宮寺の水位。危険水位を超えています。
大仙市.png

7月23日に続く雄物川の氾濫は、各局のニュースでも大きく取り上げられました。

25日のNHKニュース。
IMG_6536.JPG

26日のNTV情報番組。
IMG_6528.JPG


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大雨の到来を確認しよう(1) [練習]

低気圧の接近に伴う天候の悪化は資料上どのように観察できるのか、追いかけてみたいと思います。

#本番の試験を2日後に控え、現在有する力の限りで作成してみます。

2017年8月24日から25日にかけて通過した低気圧の影響で、秋田県では前月に続いて雄物川が氾濫しました。
今回も避難指示が出たところがあり、多大な災害をもたらす結果となりました。

天気予報

8月24日5時発表の、秋田県の週間天気予報です。

秋田県.png

24日から25日にかけて、雨マークがついています。

この雨がこれからどうなっていくのか、追いかけてみることにします。

気象情報

気象庁のサイトを見ると、23日16時15分に「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報」が発表されていました。

全般気象情報は、全国を対象としたものです。
この他に地方気象情報、府県気象情報があります。

全般気象情報第1号_2 .png

赤で下線を引いたところを書き出します。

・北日本と北陸地方では、24日から25日にかけて非常に激しい雨が降り大雨となる

・前線を伴った低気圧が、24日から25日にかけて、北日本に接近する

・低気圧や前線に向かって、湿った空気が流れ込み、大気の状態が非常に不安定になる

・土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒

・落雷や竜巻などの激しい突風にも注意が必要


関連する気象台からは、地方気象情報が発表されています。

「雷及び突風に関する北陸地方気象情報 第6号」(16時17分、新潟地方気象台)
「大雨と雷に関する東北地方気象情報 第1号」(16時40分 仙台管区気象台)
「大雨に関する北海道地方気象情報 第1号(15時57分 札幌管区気象台)


北陸地方では21日に発表された
「雷と突風に関する北陸地方気象情報 第1号」
を継続する形で第6号が発表されています。

さらに、府県気象情報を合わせて見ると、新潟県および秋田県で25日6時までに予想される24時間雨量は、多い所で200ミリと予想されています。

こちらは秋田県気象情報 第2号(24日6時17分発表)です。

秋田県気象情報_2.png

24時間雨量の予想は第1号(23日16時59分発表)では多い所で100ミリとされていましたが、第2号では200ミリになっています。

地上天気図

8月24日9時の天気図です。

24日9時.png

日本海中部(中国東北部の沖合)に1000hPaの低気圧があります。
これが接近してくるということです。

こちらは24時間後、25日9時の予想天気図。

25日9時.png

24時間後には稚内の北にある予想です。
低気圧中心の通過後は、華北まで伸びる停滞前線が南下してきます。

擾乱の追跡

地上低気圧と500hPaトラフの相対的な位置関係を見て、低気圧の発達状況を確認してみます。

最初に500hPa高度・渦度天気図を使って、低気圧の発達・衰弱過程を判断する方法をおさらいしておきます。

【発達段階】
 ・地上低気圧の中心と、それに対応する500hPaトラフを結ぶ
  谷の鉛直軸が上空ほど西にずれている。

【閉塞段階】
 ・地上低気圧の真上に、それに対応する500hPaトラフがある。

【衰弱段階】
 ・地上低気圧の中心と、それに対応する500hPaトラフを結ぶ
  谷の鉛直軸が上空ほど東にずれている。


では、23日21時(23日00UTC)を初期値として、
500hPa高度・渦度解析図及び予想図を見ていきます。

(1)23日21時

渦度_0H.png

23日21時の地上天気図に前線は書かれていますが、地上低気圧の中心が書かれていません。
推定される場所を赤×で記入してあります。

対応する500hPaトラフの渦度は+180と読みました(黄◯)。

こちらは拡大。

渦度_0Henl.png

渦度は+180の東北東に+216があり、どちらを選ぶか悩ましいところです。

12時間後の予想図を見ると5520mに+200があります。
これが先ほどの+216の成れの果てと見て、+180を選びます。

(2)24日9時

初期値から12時間後です。
渦度_12H.png

対応する500hPaトラフの渦度は+227です(黄◯)。

拡大。
渦度_12Henl.png

(3)25日9時

そして36時間後。

渦度_36H.png

核心部の拡大。
渦度_36Henl.png

次の2点が観察されます。

・渦度が128と減少したこと(少し減りすぎ?)。

・低気圧の中心が渦度極大値(=128)を追い越して、東側にあること。


これらのことから、低気圧は閉塞していることが分かります。

地上低気圧の中心気圧は24時間前からー8hPa変化していて、依然発達しています。

その他の確認

25日9時(36時間後)850hPa風・相当温位予想図を見ておきます。

相当温位線_36H.png

等相当温位線の暖気側が、25日9時の予想天気図の前線と一致していますね。

これだったら「前線を描け」と言われても、正解できそうです。(^^

同時刻の500hPa気温、700hPa湿数予想図も見ましょう。

湿数_36H.png

低気圧中心の西から東に反時計回りで乾燥域(縦縞のかかっていない白い領域)が入り込んでいるのも、閉塞期の特徴です。

(注)未だ学習中の身であるので、図の読み違いなどあればご指摘ください。


次回は、低気圧接近に伴う災害について調べてみます。
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