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時代にそぐわない試験 [なんか変だぞ、この試験]

第48回試験の申請状況が公表になっています。

これによると、受験者の平均年齢は41.4歳です。
40歳以上は全体の50%、50歳以上で見ても34%を占めています。

早い話が、中高年齢層が多く受験しているわけです。

なのに気象予報士の試験環境というのは、その主たる受験者層を意識しているとはとても思えません。

そのいくつかを見てみたいと思います。

①電卓の使用が不可

問題の解答を出すために割り切れない小数点の計算問題をこなさなければならないのに、手計算を行わなくてはなりません。電卓が登場してから50年以上経つというのに、今どき電卓の使用が許されていないってそんなのありですか?

自分たち(=気象庁)は数値予報にスーパーコンピュータを用いているのに、受験者には手計算ってあんまりです(笑)。

3桁の足し算をするのだって桁上がりを忘れてしまうぐらいの自分に、割り算なんて厳しすぎます。


②図が細かすぎる

A4サイズの問題用紙に、天気図が4枚掲載されています。
FXFE.png

そこに記載されている渦度だとか降水量だとかを読み取るのですが、字が小さすぎるってんだよ!(と声を荒げたくもなります)

自分は普段はメガネをしていますが、普通に本や新聞などを読むことができます。

なのに、天気図を見るときは裸眼でないと見えないのです。あのジジくさい、メガネを頭の上に引っ掛ける状態になります。渦度の読み取りなんて、メガネを外した上で、天気図に顔を寄せ付けないとできません。

老眼の入った人なら天気図を見るときは老眼鏡に、問題を解くときは普通のメガネにと架け替える人もいるはずです。このロスタイム、蓄積したらバカになりません。


③入手困難な資料で出題される

気象庁のホームページでウィンドプロファイラの観測値を見ることができます。しかし、ここで入手できるのは過去30時間分のみです。

温帯低気圧が通過すると風向きが変わるということを学ぶと、過去の事例を自分で探してみたくなります。台風の通過時はどうなんだろう?ということも気になってきます。

しか〜し、これらの行為は許されません。なぜなら過去のウィンドプロファイラ観測値を入手することができないからです。

上記の①と②は「それはお前の問題だろ!」と言われたら黙るしかありません。しかしこの③は腹立たしい限りです。学習意欲、向上意欲を削ぐばかりか、ウィンドプロファイラの読み取り問題が専門知識でも実技試験でも出題されるからです。

ウィンドプロファイラ以外にもあります。例えば等値線の問題です。
このような図に対して「等圧線を描画せよ」というものです。等温線のこともあれば、シアラインを描けというものもあります。
Chap3-2.jpg

これも受験生としては大いに事前演習を重ねておきたいところですが、どこでこのような等値線の図が入手できるのでしょうか。

過去の気象情報が入手できないことも受験生からすれば問題視されるべき点です。気象情報の穴埋め問題が出題されたこともあります。参考書には「日ごろから気象情報にも目を通しておきましょう」のようなことが書かれています。しかし気象情報は1〜2週間もすれば、リストから削除されてしまいます。ひと通りの気象情報のパターンに触れようとしたら、必然的に1年間の準備期間が必要ということになってしまいます。

そうそう、過去の高層天気図すら入手できないですよね。

このように、学習者が容易に情報を入手できない状況で、どのように経験を積めと言うのでしょうか。出題をするなら、そのような環境をしっかりと整えてもらいたいものです。


④情報開示に閉鎖的?

上記の③とも関連しますが、気象庁を始めとしたこの業界が、積極的な情報開示に後ろ向きなのではないかと疑念を持ってしまいます。

もちろん災害に関する情報の提供については力を入れていることは知っています。しかし技術的な情報については公開されていないものがあるように思います。また参考書や受験業界(スクールなど)も意図的なのかは分かりませんが、受験生を短期合格に導くような指導法をしていないのではないでしょうか。

例えば天気図に前線を書き込ませるという問題があります。これは最近ではほぼ毎回にように出題されています。しかし私が知りたかったような説明をしてくれる参考書やスクールはありませんでした。

ある参考書では「前線のキンク」を解説しています。しかしキンクまで意識させるような問題はないでしょう。前線の描き方を学びたいがために参加した講習会では、「温暖前線を描くのは難しいから、試験には出ませんよ」と説明してくれませんでした。しかし、しっかりと出題されています。

気象庁のホームページの見にくさといったら、とても今どきではないレベルです。利用者の動線を意識したリニューアルをすべきです。

そのほかにも某気象会社の有料サービスのサイトの酷さ、某気象解析ソフトの利用案内の不親切さなど、挙げたらきりがありません。業界をあげて、受験生・利用者の参入を阻止している気すらしてきます。


自分が知りたい情報を本サイトで提供する努力をしていきたいと思います。


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