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初回受験で合格しました [箸休め]

公開日:2017.10.6
更新日:2018.6.26

第48回気象予報士試験に合格することができました。
初めての受験でいろいろな壁にぶつかりながらも、あきらめずに良かったと思います。

今回の受験と学習方法などを振り返ってみたいと思います。

IMG_7083.jpg


第48回気象予報士試験について

気象業務支援センターが発表した試験結果資料をベースに、実施状況を見てみましょう。

受験者数2,962名に対して合格者数は145名で、合格率は4.9%でした。

受験番号(6桁)には次の意味合いがあると推定している方がいます。 →こちら

一番左の桁: 試験会場 「1」札幌、「2」仙台、「3」東京 など
二番目の桁: 受験科目 「0」免除なし、「1」専門免除、「2」一般免除、「3」学科免除
三桁目以降: 個人番号

私の受験番号は「30××××」でしたので、「東京会場の免除なし」となります。
ちなみに、東京では駒場会場は免除なし受験者の会場のようです(東京は駒場と吉祥寺の2会場)。

さて、これが正しいと仮定すると免除なしの合格者(2桁目が0)は17名しかいないことになります。
私が受験した駒場会場では約千名の受験者に対して免除なし合格者は11名なので、合格率は1%程度です。
数字上、「免除なし受験者」には厳しい試験と言えそうです。

しかし後述するように、合格率を気にする必要はありません。
自分の立てた計画をしっかりこなして試験場に臨み、普段通りの力を発揮するだけです。

合格基準は次の通りでした。

学科試験(予報業務に関する一般知識):15 問中正解が 11 以上
学科試験(予報業務に関する専門知識):15 問中正解が 11 以上
実技試験:総得点が満点の 63%以上


実技試験は70%が合格ラインの目標とされているので、今回は問題の難易度が高かったのかもしれません。

合格通知が届いてから初めて自己採点をしてみました。
すると一般知識、専門知識ともに合格ラインすれすれの11問正解でした。

ちなみに今回は最年少記録と女子最年長記録が樹立されたとメディアが報じています。 →こちら
なるほど、マスコミはそういうところに関心があるのかと、妙に納得してしまいました。

11歳の子は4回目の受験で合格したそうですが、どこまで理解して合格したのでしょうか。興味深いところです。


気象予報士試験は難しいのか?

気象予報士試験の合格率は4%程度です。
あの司法試験ですら20%以上、税理士試験でも15%です。それと比べて、気象予報士試験の合格率はなぜこんなに低いのでしょうか。

試験会場に行ってその理由の一端が分かりました。

パッと見た目の平均年齢が高い!この試験は中高年には厳しい試験です(老眼者には特に!)。専門知識の試験が終わって帰ってしまったお姉さん、なぜか実技1が終わって帰ってしまったおばさん。休憩時間に基本レベルの参考書を開いているおじさん。

明らかに勉強していないと思われる人が多いんです。「免除なし」の駒場会場だから、余計そうだったのかもしれません。真剣に準備をしてきた人の割合はかなり低いのではないかという印象を持ちました。

気象予報士試験の過去問の模範解答を見ても難しい内容は書かれていません。ですから、一般に言われているような難しい試験ではないと確信していました。しかし多くの方が合格するまでに2〜3回受験され、10回以上受験される方もいると聞きます。

その理由を考えてみました(ここでは実技試験を対象としています)。

①教材に良書がない

必要な知識や入手しにくい資料の読み取り方を懇切丁寧に説明した書籍はありません。市販の参考書は基本的に過去問の解説書です。これでは丁稚奉公のようにひたすら時間をかけて過去問を繰り返すしかありません。

気象予報士試験は過去に出題されていない重箱をつつく傾向があります。運悪くそうした出題にぶつかってしまうと合格できないのも当然です。


②入手困難な資料に基づいた出題がある

エマグラム、過去のウィンドプロファイラ、過去のレーダーエコー図、等値線(等高度線、等温線)、過去の気象情報など、一般に入手困難な資料が出題されます。もちろん気象解析にこれらが必要なのは分かりますが、だったらもっと情報を公開して受験生が利用しやすい環境を整備してもらいたいです。


③試験の性質に対応した対策ができていない

これは気象そのものとは関係しませんが、筆記試験であれば解答をどのようにまとめるのか、その対策が必要になります。試験時間は短いので答案を練っている余裕はありません。文字数制限があるので論文を書く時のような論理性は求められませんが、いかに要領よくまとめ上げるか文章力が問われます。

参考書にそのような解説がないのと同時に、多くの受験者がそのような対策をとっていないものと思われます。


私の学習法とスケジュール

昨年の12月に学習をスタートしました。
一般知識、専門知識まではスケジュールを組んでそれをこなせば良かったのですが、実技については学習スケジュールを何度組み直してもその通りにこなせずに苦労しました。

11月末
主要な参考書を購入。

12〜1月
一般知識の参考書を2回通読。

2〜3月
専門知識の参考書を2回通読。

4月下旬
実技参考書1。

5〜8月
実技参考書2を中心に実技参考書3、4を併用。
7月からは一般知識、専門知識の問題演習を隔日に実行。記憶物を開始(天気記号、台風の大きさ・強さなど)し、自前のチェックリストの作成にも着手。

【実技参考書】
1:らくらく突破 気象予報士かんたん合格テキスト(技術評論社)
2:ひとりで学べる!気象予報士実技試験 完全攻略テキスト&問題集
3:気象予報士試験 速習テキスト 実技編(オーム社)
4:気象予報士試験 模範解答と解説(東京堂出版)

実技の問題ではある気象現象が観察された時に、要因として考えられる選択肢の中からどれが最も適切であるかを選び、今後どのように推移・変化していくかを予測します。したがって、低気圧の消長の条件、雪が降るときの条件、雨が降る条件など、どのような時にどのような現象が発生するのかを整理して理解している必要があります。

また、エマグラムやウィンドプロファイラ、レーダーエコー、降水量など、解析に必要な情報の読み方も基本知識としてもちろん必要です。

しかし、必要な知識を体系化して解説してくれている書籍は残念ながらありません。皆無です。

私は気象予報士関連の書籍は50冊以上購入しましたが、1冊として満足できるものはありませんでした(写真はその一部です)。それが本サイトを作るきっかけにもなったわけです。

参考書に投じたお金でもっと他のことができたはずなのに・・・(泣)。

IMG_7090 2.jpg

それでも合格はできましたが、とても遠回りをしました。
過去問は25問ほどを延べ80回程度繰り返しましたが、2回目、3回目と繰り返す過程で自分がとんでもない誤解をしていることに気づくことがありました。


モチベーション

9ヶ月にわたり勉強を続けましたが、4月にスランプになり参考書を開くのが嫌になりました。
参考書に書いてあることが何度読んでも分からず先に進めなかったのがその原因です。一ヶ月ほど勉強が手につきませんでした。

また7月、8月と暑い中、実技の問題を何度繰り返しても時間切れになったり意味が分からなかったりしました。

それでも学習を継続できたのは、「一回で合格するぞ」という気力があったからだと思います。

自分の性格上、科目合格しながら時間をかけて受験していくということはできない、やるなら短期決戦で行くしかないと思いました。

講習会に参加すると受験ズレしたような方もいて(そのような方もなりたくてなったのではないでしょうが)、そうなる前に足を洗いたいと強く思いました。

独学を続ける自分にとって、TBS系列「ひるおび!」の森気象予報士のお天気コーナーは学習の参考になりました。この番組は気象解説に力を入れていて、日によっては40分も時間を割いています。一般視聴者はそこまで気象に関心ないんじゃないか?と杞憂するぐらいです。

MCの恵俊彰と森気象予報士のボケとツッコミのような掛け合いも面白いし、模型を使った説明は分かりやすく、自分にとってはeラーニングの役割を果たしてくれました。とは言え7月ごろからは学習時間が不足してきて、この番組すら見れなくなってしまいました。

平日昼間のワイドショーは他局もかなり詳しい気象解説をしてくれています。テレビ朝日系列の「羽鳥慎一モーニングショー」も時々、意外な特集を組んでくれます。

ハードディスクレコーダーに録画して、帰宅後に見直すのをお勧めします。


合格したときの気分

合格発表は、郵送と気象業務支援センターのホームページで行われます。
ハガキが来るならそれを見てドキドキしたいと思い、普段よりなぜか配達が遅い郵便をイライラして待ちました。

IMG_7084.jpg

ハガキ表面には「配達指定日 10月6日(金曜日)」と書かれています。ちゃんと合格発表日に届くように配慮がされているんですね。

圧着ハガキの四隅の下に「ゆっくり開いてね」という矢印が書かれているのでそこから開けると何も書いてありません。一番上に「気象予報士試験合格証明書」と見出しがあり、合格証明書番号が記載されています。

思わず「やった〜ぁ!」と小躍りしてしまいました。
その思いは喜びというよりも、「この夏の辛い学習を繰り返さなくて良いんだ」「周囲に受験宣言してしまった以上、何とかなって良かった」という安堵感によるものでした。


さいごに

試験には合格しましたが、未だに理解できていないことや消化できていないことがたくさんあると自覚しています。これからは自由に歩けと言われても、まだ歩き方が分かっていない状況で不安でいっぱいです。

本サイトは自分が知りたいことがどこにも解説されていないので自分で解説を作ろうと思い、試験勉強中に始めたものです。ですから受験生目線で、これから学習される方の役に立てると思います。しかし自分の実力不足で、数十ページが作成中のまま未公開となっています。

登山でも、山を歩いていると時はどんなコースを歩いているか分からなくても、ピークに達すると歩いてきた道がくっきりと分かることがあります。

これからさらに上を目指すことで理解できることも増えてくると信じ、合わせてサイトも充実させていきたいと思います。

【関連ページ】
受験レポート
気象庁に予報士の登録申請に行ってきた!
気象予報士の賞状が届きました


(追加)効果的な勉強法について

自分は本当に勉強が苦手で、落ち着いて一冊の本に取り組むということができないたちです。

大学受験の頃から参考書を一冊買って、ちょっとでも分からないことがあると、また別の参考書に手を伸ばすということを繰り返していました。勉強をしている時間より本屋で参考書を漁っている時間の方が長かったかも・・・。(^^;

そんな性格なので、気象予報士試験の学習でも、手当たり次第に参考書を購入してしまいました。「それでも一回で合格できたんだから良いじゃないか」と言われればそうなんですが、少し後ろめたい気がするのです。どうせならもっと省エネ型で臨みたいものです。

さて、東大法学部を首席で卒業、在学中に司法試験に合格、財務省に入省するも退官し、現在はフリーの山口真由さんという方がいます。最近はよくテレビにも出演しているので、ご存知の方もいるでしょう。

この方の勉強法は、一冊の教科書を7回読む、という単純なものなんです。ただし、コツが二つあります。


1. 学ぶべき内容を全て網羅した一冊のテキストを選ぶ
2. 自分が決めた一冊を反復・継続して読み続ける


あれもこれもと読み始めると身につかないので、一冊の本でじっくりと基本を習得する。そのためには、全ての分野を網羅した一冊を選びなさいということです。

山口さんの本を読んで、自分は真逆をやっていたな!と膝をうちました。確かに1回目に読んでいて分からないことでも2回目、3回目とやっているうちに理解できることってあります。

でもそのためには、飽きっぽい性格をどうしたら直せるかも教えて欲しいな・・・と思います。(笑)

勉強法に自信のない方は、学習を開始する前に山口さんの本に目を通すのも良いと思います。


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天気の崩れ [箸休め]

2017.10.5(木)

週末は近場の山に登りに行こうと思っていたら、低気圧の到来によりどうも金曜日あたりから崩れる予報が出ています。

そこで天気の崩れを時系列で追ってみることにしました。

以下、天気が崩れる予想の日を「当日」、その前日を「前日」と表記します。


前日(5日木曜日) AM

地上天気図で現在の状況を確認します。
前日天気図.png

移動性高気圧におおわれて、文句なしの快晴です。
これが翌日には雨になるなんて、やはり秋の天気なんですね。

その明日の予報はこんな感じで、西日本と関東を中心に雨の予報が出ています。
翌日の天気.png
出典:tenki.jp

天気が崩れる前々日の4日21時を初期時刻とした予想天気図を見てみます(高層天気図は9時と21時の一日2回発表です)。

48時間後(6日金曜日21時)の地上天気予想図
FSAS48.png

朝鮮半島の南に1012hPaの低圧部(赤×印)があります。
低気圧がすぐそこまで来ているんですね。

地上気圧・降水量・風48時間(6日金曜日21時)予想図
低気圧の位置や降水量の傾向を見るのに役立ちます。
FXFE504.png

中国地方で72mmの12時間前降水量が予測されています(数字がちょっと読み取りにくいかも)。かなりの雨になりそうです。

ただし、12時間前降水量で注意が必要なのは、1時間ごとに6mmずつ降って12時間で72mmになるのも、1時間で72mmドバッと降るのも同じ「72mm」と表現されてしまうことです。
それと数値予測なので、結構外れることも。

500hPa高度・渦度48時間(6日金曜日21時)予想図
500hPaでは渦度(トラフ)の解析を行います。
FXFE渦度.png

低気圧中心の西側に+151の渦度とトラフが見られます。
トラフの軸が西に傾いているので、この低気圧はこれから発達することを意味しています。

華北にも+266の渦度がありますが、こちらは今回は影響なしでしょう。

朝6時に、西の方向の空を見上げてみました。
空模様1.jpg

今朝は波状雲が見られた地域もあるようですが、こちらでは高積雲のようです。


前日(5日木曜日) PM

夕方(16時36分)になり「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報 第1号」が発表になりました。
全般気象情報1.png

気になったポイントを再掲しておきます。

6日朝、九州南部で前線が発生し、夜にかけて日本の南岸を東に進むでしょう。

低気圧が6日から7日にかけて対馬海峡から日本海に進む見込みです。


明日はこの2点に着目してみたいと思います。


当日(6日金曜日) AM

おはようございます。今日の夕方あたりから天気が崩れる予報です。

早朝の5時8分(気象用語では「明け方」ですね)に「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報 第2号」が発表されました。

全般気象情報_2.png

赤線は、第1号からの大きな変更点です。低気圧の進度が少し遅くなったのと、東日本についての記載が追加されました。

朝の天気解説でも、今日はかなりの雨になりそうなことを伝えています。
IMG_7082.jpg

朝の時点で降水状況はどうなっているでしょうか、レーダーエコーを見てみます。
レーダーエコー1.png

すでに西日本では広く雨が降り出しているのが分かります。

大分県には大雨警報、高知県にも大雨注意報が発表されています。
警報・注意報.png

朝9時の地上天気図です。
天気図2.png

昨夕の気象情報にあったように前線ができていますが、「九州南部」ではなく「九州西部」ですね。


当日(6日金曜日) PM

6日14時50分、都内でもパラパラと雨が降ってきました。
レーダーエコー2.png

大雨警報の出ている大分県はどうなっているでしょうか。
大分県天気2.png

幸いなことに強い雨にはなっていないようです。

15時の地上天気図。
天気図3.png

16時15分に、「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報 第3号」が発表になりました。
全般気象情報_3.png

低気圧の東進に伴い、防災事項に伊豆諸島及び関東地方が追加になりました。


翌日(7日土曜日) PM

都内は明け方まで強い雨音がしていましたが、朝5時ぐらいから小降りになってきました。

朝9時の地上天気図。

地上天気図Oct07_0900.png

気象情報にあったように、低気圧は南海上に東進しているのが分かります。

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