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合格できないのは勉強不足のせい? [なんか変だぞ、この試験]

合格が難しいとされている気象予報士試験。実技試験については試験自体の難易度が高いのではなく、十分な情報と教材が提供されていないために学習のピントがずれて合格できないのです。

今回のポイント

・一般的に入手できる情報だけでは学習教材が不足している。
・参考書は過去問題集に過ぎず、教材不足の課題を解決してくれない。
・出題者のクセを掴んで学習することが短期合格の秘訣。


この試験は本当に難しいのでしょうか?

過去問題にチャレンジして、こんなことはありませんでしたか?

「・・・の風の場の特徴を述べよ」だって?特徴ってなんだ?う〜ん、分からない。

悩んだ挙句に答えを見ると、

 「東側では強く、西側では弱い」

えっ!そんなことでいいの?

このように、あまりに単純すぎる解答に驚くことがしばしばです。

難しい式を解くわけでも、十分な考察の上で小論文を書くわけでもない。与えられた問題を75分間で要領よく解いていくだけです。

現在の出題内容であれば天気図を読めれば十分で、あとは出題者の意図を忖度した表現で回答できれば合格できます。その意味では現代国語の試験と類似しているようにも思います。

ではなぜ合格が難しいのか、その理由を考えてみます。


気象庁および出題者の情報提供が不十分

①解析プロセスが公開されていない

気象解析の大まかな流れは一般にも公開されています。

実況監視→総観スケールの把握と予想→メソスケールの予想→天気予報の作成

しかし、じょう乱解析の具体的な過程が公開されていません。例えば気象関係者向けの「短期予報解説資料」を見てみましょう。

・中国東北区・日本海に動きの遅い500hPa のトラフがあってゆっくり東進。北日本の上空には500hPaで-39°C以下の寒気が流入。日本海中部に発達した低気圧があってほとんど停滞。全国的に気圧の傾きが急で、広い範囲で風が強く、西日本から北日本の日本海側では波高3~4.5m程度を観測。西日本日本海側から北日本にかけて3~29cm/3hの降雪を観測。

・日本海西部から北陸地方へ地上シアーラインがのびている。西日本の上空には 850hPa で-12°C以下の寒気が流入。5 日 21 時の高層観測では松江で 850hPa の気温-14.1°C、福岡で-12.3°Cを観測。

(2018年2月6日03時40分発表、短期予報解説資料の「1.実況上の着目点」)

解説文中に「トラフがある」「シアーラインが伸びている」とありますが、何を根拠にそこにトラフやシアーラインを解析したのかが述べられていません。

これは関係者向けの資料だからそうなのではありません。次の「頼りない参考書」の項でも後述しますが、根拠を示さずに結論に飛躍する結論ありきの「解説」は参考書でも多く見受けられます。これではいつまでたっても、自分で考えることができるようにはなりません。

話は飛びますが、数学の試験では答えが正解でも、途中のプロセスが正しくなければ点は取れないですよね。逆に、考え方が正しければ、答えが間違っていても部分点をもらえることだってあります。

前線についても同じことが言えます。まずこちらの英国気象局(Met Office)の地上天気図を見てください。

英国の事例.png


なかなか賑やかな天気図ですよね。973hPaの低気圧は閉塞していますが、寒冷前線が2本出ています。気象庁なら解析しないような前線も描き込まれている感じです。また、黒線でトラフが描かれています。

前線の描き方は国によって異なると言われます。日本の気象庁は、明らかな気象現象を伴っていないと前線として表記しないと聞いたことがあります。

こうした解析の基準は明確にした上で開示すべきです。参考書に必ず載っている「前線は等温線の集中帯の南縁付近に解析できる」は正しいのですが、これだけでは気象庁がそれをどう解釈しているのかが分かりません。

参考書に書かれているはレベルあまりに基本的なことばかりで、これだけでは問題を解くことができないこともしばしばです。解析の基準が公開されていないのに、前線を描かせる問題はおかしいのです。


②過去データにアクセスできない

次に問題なのは、気象庁が保有しているデータの提供が不十分であることです。

気象予報士試験では、気象現象に応じた防災事項の理解が問われます。そのためには、過去の気象情報を読むことが重要な勉強法の一つとなります。

しかし、気象情報は発表から概ね1〜2週間も経過すると、ホームページから削除されてしまいます。

こちらは2月8日に閲覧した全般気象情報の一覧です(青とか紫の文字の色は気にしないでください)。

気象情報.png


そしてこちらは、その5日後の13日に閲覧した全般気象情報の一覧です。

2018-02-13.png


2月6日から6日にかけての7本の気象情報が削除されています。ただし、1月30日発表の「北・東・西日本の長期間の低温に関する全般気象情報第4号」は残されています。

このように気象情報は削除されるとアーカイブされないため、過去の気象情報を閲覧することはできません。これでは最低1年間は気象情報を読み続けないと、気象情報の学習ができないことになります。

専門図が入手しにくい現状も問題です。「高層風時系列図(ウィンドプロファイラ)」は気象庁のHPから24時間経過すると削除されてしまいます。「低気圧が接近した時の風の変化を調べてみよう」と思ってもできないのです。

一般には入手が困難な図も多く出題されます。例えば、気象庁はエマグラムを公開していません。また、高価な専用ソフトを保有していないと作成できない図も出題されます。このように、学習意欲のある受験生が特定の気象現象について理解を深めようとしても、情報を入手することができないのです。

一部の民間事業者から入手可能なデータもありますが、国家試験なのだから一般に入手可能な資料で学習できる範囲に留めるべきではないでしょうか。


③天気図の表現や出題される用語が標準化されていない

試験問題では「場」や気象要素の分布の特徴について問われることがあります。

例えばこんな感じです。

・700hPa上昇流はどのようなところで大きくなっているかを述べよ。
(解答)等相当温位線の集中帯とその南の相当温位が高いところで大きい。

・じょう乱に対応する850hPa面の温度場および700hPa面の鉛直流の特徴を述べよ。
(解答)等温線の北への盛り上がりと強い上昇流がある。

・降水域の分布と移動の特徴を予想図と解析雨量による降水量図で比較して述べよ。
(解答)数値予報よりも降水域の集中性が強く、移動が遅い。

解答例にあるような表現は、普段どこでお目にかかれるのでしょうか。短期予報解説資料でも見ないし、ましてや天気予報で聞くこともありません。

普段から気象情報などに接することで身につくものであれば対処のしようもありますが、これでは全くもって出題者の目の付けどころを忖度しないと解けない問題です。

この手の出題については、資料図のどのような点に着目すべきなのか、もっと基準を明確にすべきだと思います。

また、試験で問われる用語についても、一般的な資料にあたっていてもお目にかからないものがあります。

第40回試験の穴埋め問題では「山越え気流」という用語が出題されました。気象庁のHPを検索しても載っていない言葉です。そうした用語を出題するのであれば、出題者は出題可能性のある用語集をまとめて提示すべきです。


頼りない参考書

気象庁などから提供される情報の不足を受験業界が補ってくれればまだ良いのですが、そうでもありません。学習の中心となる参考書は、その執筆者の多くが気象庁OBであり、受験生の持つ疑問が共有されていないのかもしれません。

現在主流の実技の参考書は3通りあります。

「気象予報士かんたん合格テキスト 実技編」(技術評論社)
「気象予報士試験 模範解答と解説」(東京堂出版)
「ひとりで学べる!気象予報士実技試験」(ナツメ社)(注1)
 注1)2017年に後継書「読んでスッキリ!!解いてスッキリ!!」が発売。

こうした参考書には次のような共通した問題点があると思います。


問題点1 そもそも参考書の機能を果たしていない

いずれの書籍も実技の気象解析に必要なスキルや理論の解説書ではなく、単なる過去問題集にとどまっています。

試験対策の参考書なら出題傾向を分析し、試験で狙われそうなテーマ別の解説をして欲しいものです(注2)。例えば、実技試験では雲域の形状や等温線の形状など、「形状」を問う問題がよく出されます。衛星画像であれば「コンマ状」「フック状」、等温線であれば「北に盛り上がっている」のような表現がされます。これらをまとめて提示するのが参考書ではないでしょうか。

注2)「ひとりで学べる!」には気象現象別の解説がありますが、初学者に適した内容になっていません。

また、解説に書かれていることは経験則として単に覚えるべきことなのか、あるいはメカニズムを理解しなければならないのかがはっきりせず、モヤモヤ感が募ります。

例えば、「ポーラーロウは寒候期に寒冷前線の北側の寒気内の海上で形成される」というのはなぜなのか、経験則として覚えれば良いのか疑問です。ポーラーロウは日本付近では日本海上で発生し寿命も短いため、観測データが乏しく発生メカニズムは詳細には分かっていません。どこまで理解しておくべきなのでしょうか。

過去問題の解説書としても不備が多いです。「模範解答と解説」では、試験の問1でよく出題される穴埋め問題の解説はないに等しいです。また、模範解答が理解できないので解説文を見ると、そこが一番説明が欲しいところなのにサラッと流されていることも多いです。「2,500円も払って購入したのに裏切られた〜!」と思う瞬間です。

ちなみに「かんたん合格」と「模範解答と解説」は執筆者が重なっているようで、どちらを見ても同じ書き方になっているので併用するメリットはあまりありません。


問題点2 気象解析のプロセスが解説されていない

参考書を開くと「等温線解析」「強風軸解析」「トラフ解析」「前線解析」など、「解析」という用語が多用されています。

参考書は解析を何のためにするのかを説明せず、「〇〇解析はXX天気図で解析します」と唐突な解説がされています。単にそういう解析法があるということが提示されるのみ、具体的な解析プロセスは示されません。

例えば「かんたん合格」では「強風軸解析は多くの場合において300hPaや250hPaの等圧面天気図で解析します。」とありますが、強風軸解析を何のために行うのかが示されていません。またその方法論も提示されていないのです。

これでは試験合格に必要な実力がつくはずがありません。解析が大切であるならば、事例の限られた過去問だけでなく、生の天気図から練習問題や見本を作成して提供するのが参考書ではないでしょうか。


問題点3 専門図の読み方が説明されていない

試験に出題される図は、高層天気図以外にも多岐にわたります。例えば、下記に挙げる図は試験に頻出です。

・ レーダーエコー合成図・地上気圧実況図
・ 高層風時系列図
・ 状態曲線
・ 降水量の時系列図
・ 相当温位・風の鉛直断面図
・ 気象要素の時系列図

実はこれらの図は、高層風時系列図以外は一般には目にしないものばかりです。したがって、繰り返し出題される専門図については、しっかりと読み方の解説が欲しいものです。

しかし、基本中の基本である高層天気図の読み方すら解説している参考書はない(注)のですから、無理な注文なのかもしれません。

(注) 「図解入門 最新天気図の読み方がよーくわかる本」(秀和システム)は唯一、高層天気図の読み方を解説する書ですが、2018年3月現在で第2版を最後に改版されておらず入手できません(Kindle版は購入可)。

ちなみに、試験に出題される図の名称も気になります。「レーダーエコー合成図」や「高層風時系列図」という名称は気象庁のHPには出てきません。「レーダーエコー合成図」は多分「降水ナウキャスト」のことで、「高層風時系列図」は「ウィンドプロファイラ」です。


最後に

気象庁は気象の観測網を有し、観測により得られた成果に基づいて予報を発表しています。したがって、気象庁のポリシー(前線やトラフに対する基準)や解析のプロセスを自ら明確にしてもらいたいと思います。

また試験の問題でしか目にしないような表現や図が出題される以上、出題者である気象業務支援センターは試験に出題する用語、表現、専門図をまとめて公認テキストとして出版すべきだと思います。

いわゆる「士業」の試験では、社会需要や業界団体の要望などを取り入れた上で国が合格者数を決めています。合格者数の計画を見誤るとどうなるかは、弁護士や公認会計士の数の増加が質の低下を招く要因になった例を見れば明らかです。

気象予報士試験ではどのような合格者数の設定がされているかは不明ですが、情報開示が乏しい現状を目の当たりにすると、あえてこうした状況を作り出すことで合格の壁を高くしているのではないかとうがった見方をしてしまいます。

このような環境で何回も受験に望む受験生は被害者です。この試験に合格するには、出題者のクセを掴むことがコツです。早く試験から解放されて、より深い気象の世界に足を踏み入れていただきたいと願います。

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10月の気象情報 [アーカイブ]

2017年10月に発表された気象情報の中からいくつかの例を見てみます。

生の気象情報を掲載する観点から解説は加えていません。tenki.jpやsunny-spot.netなどで過去の天気図を見ながら学習してください。

今回のポイント

・台風21号上陸は大潮の時期とも重なり、潮位が高くなることが懸念された。


10月の全般気象情報

 台風第21号に関する気象情報         23件
 大雨と雷及び突風に関する全般気象情報      4件
 暴風と高波に関する全般気象情報         2件
 大潮による高い潮位に関する全般潮位情報     2件
 スモッグ気象情報                1件
 西・東日本の日照不足と長雨に関する全般気象情報 1件
 

台風第21号に関する気象情報

台風21号は2017年に上陸した最後の台風です。

沖縄気象台が19日に地方気象情報の第1号を発表していますが、気象庁予報部による情報は20日の発表が最初です。

平成29年 台風第21号に関する情報 第9号

平成29年10月20日11時06分 気象庁予報部発表
(見出し)
大型で強い台風第21号が、沖縄地方には21日から22日にかけて、東日本から西日本には22日から23日頃にかなり接近する見込みです。台風による暴風や高波、高潮、大雨に厳重に警戒してください。

(本文)
[台風の現況と予想]
大型で強い台風第21号は、20日9時にはフィリピンの東を、1時間におよそ15キロの速さで北へ進んでいます。中心の気圧は965ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は35メートル、最大瞬間風速は50メートルで中心の南東側220キロ以内と北西側170キロ以内では風速25メートル以上の暴風となっています。

 台風第21号は、発達しながら北上し、非常に強い勢力で沖縄地方に接近し、その後、強い勢力を保って22日から23日頃にかけて西日本から東日本にかなり接近する見込みです。

[防災事項]
<大雨・雷・突風>
 台風を取り巻く発達した雨雲や本州付近に停滞する全線の影響により、南西諸島や西日本、東日本の太平洋側では、21日から23日にかけて、非常に激しい雨が降り、局地的に猛烈な雨の降るおそれがあります。台風の接近と通過に伴い、南西諸島から西日本、東日本の広い範囲で大雨による土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重に警戒してください。
 また、落雷や竜巻などの激しい突風に注意してください。発達した積乱雲の近づく兆しがある場合は、建物内に移動するなど安全確保に努めてください。

<暴風・高波>
 台風の影響で、南西諸島では21日から22日にかけて、西日本と東日本では22日から23日にかけて、猛烈な風が吹き、猛烈なしけとなるところがある見込みです。

 21日にかけて予想される最大風速(最大瞬間風速)は、
  沖縄地方 30メートル(45メートル)

 21日にかけて予想される波の高さは、
  沖縄地方 13メートル
 です。

 暴風やうねりを伴った高波に厳重に警戒してください。

<高潮>
 南西諸島から東日本では、台風の影響が大潮の時期と重なり潮位が高くなる見込みです。海岸や河口付近の低地では、高潮による浸水や完遂に警戒・注意してください。

[補足事項等]
 今後の台風情報や地元気象台が発表する警戒、注意報、気象情報に留意してください。
 次の「台風第21号に関する情報(総合情報)」は、20日17時頃に発表する予定です。

10月22日(日)は衆議院選挙の投票日であり、かつ次項で記載する大潮の時期とも重なり、台風の状況に関心が高まりました。


大潮による高い潮位に関する全般潮位情報

潮位情報は通常月1回発表されますが、10月は2日と17日の2回、発表されました。

大潮による高い潮位に関する全般潮位情報 第1号

平成29年10月17日11時00分 気象庁地球環境・海洋部発表

(見出し)
10月20日の新月の前後は大潮の時期にあたり、満潮の時間帯を中心に潮位が高くなります。東北地方から関東地方北部にかけての太平洋沿岸、九州北部地方の沿岸の一部では、海岸や河口付近の低地で浸水や冠水のおそれがあります。

(本文)
 夏から秋にかけては海水温が高い等の影響で、平常時の潮位が年間でも最も高い時期となります。さらに、10月20日の新月の前後は大潮の時期にあたるため、満潮の時間帯を中心に潮位が高くなる所があります。
 また、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震により、東北地方から関東地方にかけての太平洋沿岸では地盤が大きく沈下しています。
 このため、東北地方から関東地方にかけての太平洋沿岸、九州北部地方の沿岸の一部では、10月18日から10月25日にかけて、満潮の時間帯を中心に海岸や河口付近の低地で浸水や冠水のおそれがありますので注意してください。
 なお、この期間中に台風や低気圧の通過等があった場合や、短時間に海面が昇降を繰り返す副振動の発生等があった場合は、さらに潮位が上昇する可能性があります。
 今後、地元気象台から発表される高潮警報・注意報や潮位情報に十分留意してください。

 「大潮による高い潮位に関する全般潮位情報」は本号のみとします。


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トラフの描き方の疑問 [箸休め]

トラフの描き方を学びたくてこのページにたどり着いた方、ごめんなさい。このページは「トラフの描き方が分からない」ことをまとめたものなので、お役に立てません。

そう。正直に告白すると、私はトラフの描き方が分かりません。

そもそも世の中にトラフの見本が少なすぎて学習材料に乏しいのですが、数少ない見本を見ると自分の解析と大きくずれていることもあります。

本稿ではトラフの見本を集めてみたので、時間の余裕のある方のみご覧ください。

今回のポイント

・学習材料となるトラフの見本が少ない。
・参考書の説明に従っても、見本通りのトラフが描けない。
・自分にはトラフを描くための着眼点が不足している。


トラフってなんだ?

まず、トラフの定義をおさらいしておきましょう。

【トラフ】

「高圧部と高圧部の間の気圧の低いところ」
(気象庁HP)

「トラフは、等高度線が南へ凸になっている所」
(気象予報士試験 模範回答と解説)

「正渦度の極大域付近がトラフになる」
(気象予報士試験 模範回答と解説)

「等高線が高度の低いほうから高いほうへ凸に湾曲している形態をトラフと呼ぶ」
(気象学入門)

「トラフは、低気圧や低圧部から延び、周辺よりも高度(気圧)が低い部分であり、低気圧性曲率の最も大きい部分を連ねた線」
(ひとりで学べる!気象予報士実技試験)


抽象的ですね。ここで分かることは、トラフというのは高層天気図(500hPa面)の等高度線の形状で定まるものであり、数式などで求められるものではないということ。主観的な観点が入ってしまうということです。

そもそもなぜ、トラフに注目しなくてはいけないのでしょうか。それはトラフが次のように、温帯低気圧の消長(発達と衰退)の目安になるからです。

・トラフ前面の地上低気圧は発達する、後面の地上低気圧は衰退する。
・トラフが地上低気圧の真上の時、地上低気圧は発達の最盛期である。
・トラフが深まると地上低気圧は発達する。

トラフは周囲と比べると気圧が低く、また寒気を伴っているため、下層に暖かい空気が流れ込むとそれが上昇してきて雲が発生します。このため天気が崩れやすくなります。

ちなみに日本では「トラフ」は高層天気図で使われる言葉で、「気圧の谷」というと地上天気図も含めて広く使われているようです。「上空の気圧の谷」と言えば、トラフのことを指します。

トラフの描き方(らしきもの)

トラフの描き方

トラフ軸の定義はトラフの描き方を示唆しています(多くの参考書では「トラフ軸」の意味で「トラフ」を用いているようです)。

【トラフ軸】

「トラフのところで高度がもっとも低い点を結んだ線をトラフ軸という」
(気象学入門)


暗黙のルール

次の2点は、事例を見ながら個人的に感じていることです。

「トラフは強風軸よりも暖気側にはみ出さない。」

強風軸の寒気側は低気圧性循環ですが、暖気側は高気圧性循環になっています。トラフは低気圧性ですから、強風軸の寒気側に留めなくてはなりません。

当然すぎるからなのか、参考書には書かれていません。

「日本の東海上にあるトラフは解析しない。」

トラフ解析をする目的は、その前面の低気圧の動きを知りたいからです。日本を通過してしまったトラフは用済みなので、通常は解析されません。

以上を実践して見本通りのトラフが描ければ問題ないのですが、実際のところどうなのかを見ていきます。


トラフの疑問

トラフを描いてみて解答と比べて一致しない時の疑問をあげてみます。

①なぜそこに描くのか分からない
「もっと他に解析できそうなところがあるのに、なぜそこに描くのか?」というケース。トラフが浅すぎるケースが該当します。

②傾きが分からない
「傾きはもっと急(あるいは緩やか)じゃない?」というケース。もっと曲率半径の短いところを通しても良さそうと思います。

③引き始め(終わり)が分からない
「その辺りに解析できそうなのは同意だけど、なぜそこから描き始めるの?」というケース。


トラフのコレクション

上記の疑問別にトラフの例をまとめてみました。出典は、トラフの見本を比較的豊富に掲載している「天気図の使い方と楽しみ方」(オーム社)です。

あくまでも私が見本の趣旨を理解できないという不勉強を晒しているだけで、他意はありません。

①なぜそこに描くのか分からないケース

CCI20180202_00005.jpg
(P.53 図3-10)
いやあ、唐突すぎてコメントに困るくらいです。すごく浅いところに描いているように思います。自分だったら5700mの東経109°に引きたいのですが。

CCI20180202_00007.jpg
(P.94 図4-8)
これも大胆です。自分は朝鮮半島の北部に引きたいところです。

CCI20180202_00002.jpg
(P.33 図2-23)
これでトラフ、描きます?描くのだったら2本に分けて、1本は5640mから、もう1本は5760mから引きたいです。


②傾きが分からないケース

CCI20180202_00000.jpg
(P.15 図2-2)
もっと水平に寝てしまっても良いのではないかと思えます。しかも5760mで止めて良いのではないでしょうか。

CCI20180202_00007(2).jpg
(P.94 図4-9)
こちらももっと寝かせてあげたい例。

CCI20180202_00003.jpg
(P.39 図2-30)
こちらは逆に、5700mのところ引き始めをもっと西に持ってきて、傾きを経度線と平行ぐらいに立てたい例です。

CCI20180202_00004.jpg
(P.47 図3-2)
トラフが2つ解析されていますが、いずれももっと立ててあげたいです。


③引き始め(終わり)が分からないケース

CCI20180202_00006.jpg
(P.63 図3-23)
不可解な例です。引き始めと引き終わりをどう選んだのでしょうか。しかも、どうしてこんなにアーチ状に描けるのか分かりません。

CCI20180202_00009.jpg
(P.145 図6-4)
エッ、そこから引きますか?5200mの東経148°から引きたいんですが。


最後に

地形図の「谷」に例えて「気圧の谷」と呼ばれていますが、「谷」を選んでも「気圧の谷」にはならないのです。何かスパイスというか、抜け落ちている着眼点がありそうな気がしています。

「トラフの描き方」をまとめたかったのですが、未熟者の自分に現在できるのはここまでです。


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今後の予定 [試験対策]

気象予報士試験の過去問題を分析した「傾向と対策」を準備中です(4月下旬に公開予定)。

ご要望などあればお寄せください。
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ディバイダーを使いますか? [試験対策]

ディバイダーは、天気図上で擾乱などの移動距離を測定したり、移動速度を算出するのに用います。もちろん定規でも同じことができます。

ディバイダーの利用には一長一短があるので、本番で用いるかどうかは本文を読んでからご自身で判断してください。

【注意】
ディバイダーなどの用具は普段から使い慣れていることが大切です。慣れていない状態で本番で使うのは時間のロスや間違いにつながります。

今回のポイント

・移動距離や速度の簡易算出に適するが、誤差が生じやすい。
・使い方に自信がなければ、本番では使わないこと。定規でも十分こと足りる。


ディバイダーの使用原理

使い方はいたってシンプルです。2地点間の距離を測定するには以下のステップを踏みます。

① ディバイダーを開いて、2本の針をそれぞれの地点に当てます。
② ディバイダーの開いている間隔を、経度線を物差しにして度数で測ります。
③ ②で測った度数を海里もしくはkmなどに換算します。

では、順を追って説明していきます。

①ディバイダーを開いて、2本の針をそれぞれの地点に当てます。

特に問題はないと思います。先に一端を合わせてから、もう一端を合わせるようにディバイダーの足を開きます。

ディバイダーの針は紙に穴があくほどには尖っていないので、比較的真上から合わせないと針がズルッと滑ってしまいます。

IMG_7621.JPG

天気図上で低気圧の中心は低気圧を表す「L」字の重心にあるので、ここにディバイダーの一端を持ってきます。

② ディバイダーの開いている間隔を、経度線を物差しにして度数で測ります。

ディバイダーの針の開いた間隔が距離を表しますが、このままでは距離にはなりません。物差しにあてて距離を測る必要があります。

ここで物差しに使うのが、天気図上を南北に走っている経度線です。ディバイダーを開いたまま東経40度線まで持ってきます。そして最も近い緯度線との交差にディバイダーの一端を合わせ、もう一端を経度線上に置きます。

IMG_7624読み取り.JPG


ディバイダーの開きが経度線上で何度分に相当するかを目分量で読み取ります。上の例では「8度」と読むことができます。後ほど「出題事例」でも紹介するように、ここで読み取る際に誤差が生じる可能性があります。

目分量ではなく定規で測っても良いのですが、これだと手間が増えてディバイダーを使う意味が全くなくなります。

距離換算するには必ず経度線(南北の線)に当てます。地球儀を見ると分かりますが、経度線は必ず北極と南極を通るので1度の距離はどこで測っても同じです(注)。緯度線は緯度に応じて1度の距離が変わってくるので、物差しとして使うことができません。
(注)天気図はポーラーステレオ図法で描かれているので、厳密には異なります。

③ ②で測った度数を海里もしくはkmなどに換算します。

距離を求めるには、②で求まった度数を60倍すると海里(NM)になります。あるいは、度数に111.1を乗じるとキロ数になります。

移動速度(ノット)は1時間あたりの移動海里数なので、12時間の移動速度は度数を5倍(=60÷12)で求まります。

次の関係式を覚えておきましょう。

緯度1度の距離=60NM (NM: nautical mileは海里のこと)
60NM=10,000km÷90度=111.1km(1NM=1.852km)


②で読み取ったの「8度」を距離に換算します。

 8度×60(NM/度)=480(NM)
           =480(NM)×1.852(km/NM)
           =889(km)

この距離を12時間で移動した場合、移動速度は次により求まります。
 
 8度×60(NM/度)÷12(時間)=40(ノット)

出題事例

図6(中)で北海道付近に予想される低気圧について、その後12時間の移動の速さ(1ノット刻み)を答えよ。
(第46回実技2、問2(2)一部改変)

図6(中)地上気圧・降水量・風24時間予想図
図6(中).png

図7(中)地上気圧・降水量・風36時間予想図
図7(中).png


解答例

図7(中)に、図6(中)の低気圧の中心を写し取り赤い×をつけます。
次に赤い×と12時間後の低気圧中心(L字の重心)の間隔をディバイダーで測ります。

IMG_7631.JPG


ディバイダーの開きを経度線で測ります。

IMG_7634.JPG


開き具合が緯度40度線と50度線で示される10度のほぼ1/4に相当しているので、「2.5度」と読み取ります。

これを12時間の移動速度に換算します。

 2.5×60(NM)÷12(時間)=12.5(ノット)

1ノット刻みで答えよとの指定があるので、四捨五入して13(ノット)を得ます。

考察

センターの解答例は「12ノット」であり、13ノットは許容されていません。

正解を得られなかったのは、ディバイダーの開きを2.5度と読み取ったからです。正解を得るにはディバイダーの開きを2.3もしくは2.4と読み取らないといけません。

経度線でコンマ1度レベルまで読み取ることができますか?

ちなみに「1度=60分」ですから、正しくは1/60まで読み取らないといけないことになります。

いずれにしても、私にはできません。


最後に

私はディバイダーを使わずに受験しましたが、合格できました。当時は使い方をよく知らなかったということもありますが、定規でも全く不足は感じませんでした。

ディバイダーにしろトレーシングペーパーにしろ、使う道具が増えてくると時間ロスが増えるように思います。

本稿をまとめるにあたりディバイダーを試してみましたが、次の3点がとても気になりました。

・1ノット刻みを求められる場合は、読み取り精度に難がある。
・開脚角度が小さいとディバイダーが紙面の上を滑ってしまいイライラする。
・1NM=1.852kmの換算値を忘れるリスクがある。

ササッと概算値を出すには良いツールだと思いますが、試験では使わなくて正解だったと思います。

あなたならどうしますか?


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計算問題はここに注意しよう [試験対策]

計算問題毎回のように出題されています。数字の扱い方に慣れておきましょう。

今回のポイント

・グラフの読み取りは最小目盛の1/10までを読む。
・小数点の計算は、求められる結果より一桁多い桁数で計算する。
・四捨五入だけではなく、「二捨三入・七捨八入」にも慣れておく。
・筆算は大きな字ではっきりと、縦の列を揃えて書く。


有効数字に気をつけろ!

観測装置やグラフの読み取りには、必ず誤差が含まれます。誤差の大きい数値と小さい数値が混在している場合は、あまり細かいところに気を使っても労力のムダです。

そこで有効数字という考え方を用いて、一定のルールに従って数値の処理を行います。有効数字とは最下位の桁に誤差を含む数値のことです。

結論から言うと、気象予報士試験では有効数字の考えが徹底されていません。計算問題では与えられた数値をそのまま使って計算すれば問題ありません。解答でもある程度の数値の幅が許容されています。

しかし以下の2点だけは頭に入れておきましょう。


グラフの読み取り

グラフの読み取りでは、軸で与えられた最小目盛の1/10まで読み取ります。そこまでは目分量で読むことができるからです。

試験でよく出される問題に、「降水量の時系列図から、最大降水量を読み取り答えよ。」があります。

こちらは第45回実技2、問3(3)で出題された地上風・降水量の時系列図です。

地上風・降水量の時系列図.png

前1時間降水量は縦軸で表されています。最小目盛は2mmなので、その1/10の0.2mmまでを読み取ります。

例えば、
 19時までの前1時間 ・・・15.6mm(15.5mm)
 20時までの前1時間 ・・・21.0mm(21.0mm)
 21時までの前1時間 ・・・12.0mm(12.0mm)
と読み取ることができます。

【補足】
上記の読み取り値で()内は「模範解答と解説」(東京堂出版)の解説に示された読み取り値です。これだと最小目盛の1/20まで読んでいることになります。そもそも与えられた図の目盛は定規で読み取っても4.5mm程度であり、これ自体誤差を含んでいます。したがって、1/20まで読み取る必要はありません。



小数点の計算

有効数字はちゃんとやろうとすると少し面倒ですが、試験対策上は「求められている桁数より、途中の計算では1桁分だけ桁数の大きな数で行う」ことを覚えておきましょう。

例えば、「小数点第1位を四捨五入して答えよ」とあれば、途中の計算は小数点第2位までで行います。

ただし、小数点の掛け算・割り算で混乱が発生することがあります。次の問題を見てください。

気象要素の時系列図を見て次の問いに答えよ。
①瞬間風速が最大となった時刻(10分刻み)とその風速(1m/s刻み)を答えよ。
②その時刻における瞬間風速の平均風速に対する比を四捨五入により小数第1位までの数値で答えよ。

気象要素の時系列図.png
(第45回実技1、問3(4)①を改変)


①の解説:
風速の最小目盛は1(m/s)なので、0.1(m/s)まで読み取ります。
最大瞬間風速は0時50分の21.9(m/s)と読み取れるので、「1(m/s)刻み」との指示に従い22(m/s)が答えになります。

②の解説:
この時の平均風速も0.1(m/s)まで読み取り、8.9(m/s)と読み取ります。

さて、瞬間風速の平均風速に対する比を計算するときに、どの数値を使えば良いのでしょうか。

瞬間風速は21.9もしくは22、平均風速は8.9もしくは9が考えられます。①と②で有効数字が揃っていないのでこの混乱が生じます。

②では「小数第1位で答えよ」とあるので、
 ・計算に使う数値も小数第1位のものを使う
 ・途中の計算は小数第2位まで行う
 ・最後に小数第2位を四捨五入する
とするのが最善策です。

21.9÷8.9=2.46 →2.5となります。

ちなみに、①で1(m/s)刻みとしているので、センター発表の解答例では 22÷9=2.4 も許容されています。

センター発表解答例:
 瞬間風速の平均風速に対する比: 2.5(2.4)

端数処理

端数処理とは数値を丸めることで、計算結果を最大有効桁位にするのに用いられいます。

試験では「四捨五入して答えよ」のような指示に従えば良いだけです。一般的な端数処理は四捨五入ですが、過去には「二捨三入」が出題されたことがあります。

本番でびっくりしないように慣れておきましょう。

四捨五入の問題

過去4回分(第45回〜第48回)の試験問題を分析すると、四捨五入の問題は次の二つに大別できます。

①小数第1位を四捨五入して、整数で答えさせる。

問題文としては「小数第1位を四捨五入して整数で答えよ」「四捨五入により整数値で答えよ」「四捨五入により1mm刻みで答えよ」というものです。

求める数値は整数なので、途中の計算は小数第1位まで計算し、最後に小数第1位を四捨五入して整数にします。

  例) 43.5 →43

②四捨五入により小数第1位までの数値で答えさせる。

問題文としては、そのまま「四捨五入により小数第1位までの数値で答えよ」です。

小数点以下第1位までの数値を求めるので、途中の計算は小数第2位までで行います。最後に小数第2位を四捨五入して小数第1位までの数値にします。

  例) 43.54 →43.5


二捨三入とは

最小の位の数字を「0」か「5」に揃えるために用いられます。

【二捨三入の処理】
端数が・・・
 1・2のときは0として切り捨てる
 3・4・5・6・7のときは5にする
 8・9のときは10として切り上げる

この処理から「二捨三入・七捨八入」とも呼ばれます。

分かりにくいので、具体例で見てみましょう。

例)「41から50までの整数を二捨三入しなさい」
答) 41、42 → 40
   43、44、45、46、47 → 45
   48、49、50 → 50


二捨三入の出題事例①

最大3時間降水量を図から読み取り、二捨三入して5mm刻みで答えよ。
第45回実技2、問3(3)②(一部改変)

降水量の時系列図(ここでは省略)から最大3時間降水量は48mmもしくは49mmと読み取ることができます。

いずれの数値でも、1桁目を七捨八入をして50mmとなります。


二捨三入の出題事例②

仮温度は気温Tに水蒸気量に関する項Twを加えたものである。850hPaにおける混合比w(g/kg)からTwを求める概算式Tw=0.18wを用いて、地点aと地点bの850hPaの仮温度を求め、二捨三入により0.5℃刻みで答えよ。
第47回実技1、問2(3)②(一部改変)

この前の問題で
 地点a: 気温 16.0℃、 混合比 13(g/kg)
 地点b: 気温 16.0℃、 混合比  7(g/kg)
と求まっています。

有効数字は3桁として仮温度を求めます。
 地点a: T=16.0+0.18×13=18.34 →18.3(小数第2位を四捨五入)
 地点b: T=16.0+0.18×7=17.26 →17.3(小数2位を四捨五入)

小数第1位を二捨三入して、Ta=18.5、Tb=17.5 を得ます。

上記では小数第2位を四捨五入してから小数第1位を二捨三入するというステップを踏みました。では、小数第2位を切り捨てて小数1位を二捨三入するとどうなるでしょうか。センター発表の正解例では許容範囲になっています。

 地点a: 18.34 →18.3(小数第2位を切り捨て) →18.5(小数第1位を二捨三入)
 地点b: 17.26 →17.2(小数第2位を切り捨て) →17.0(小数第1位を二捨三入)

センター発表解答例:
 地点a: 18.5(18.0)
 地点b: 17.5(17.0、18.0)

かけ算を確実に!

そもそもですが・・・、本番の試験で計算間違いは絶対に避けなければなりません。そのためには日頃から、間違い防止を意識した計算を実践しましょう。

小手調べから

まず、次の例題を解いてみてください。

9637×3、9637×73、683×296

すんなり回答できなかったという方は、かけ算対策をすべきです。本番では検算をしている余裕はありません。一回で確実に計算できるようにしましょう。

答えは次の通りです。

9637×3=28911
9637×73=703501
683×296=202168


対策

①計算は大きな字で、はっきりと書く

計算に時間をかけたくないので、用紙の隅の方に、まるで悪いことでもしているかのように書いていませんか?走り書き程度だと字がはっきりしないし、桁上がりなどを間違える可能性が高まります。

②縦の列を揃えて書くように意識する

縦の列が揃っていないと、計算の最後に同じ桁の数字を足す時に間違えが発生します。意識して列を揃えるようにします。

③繰り上がりの数字を書く

下の写真のように、繰り上がる数字を忘れないようにメモっていくやり方です。すでに実践している人も多いかと思います。

IMG_7506.JPG


④新しい計算法を習得する

世の中にはいろんな計算法があります。「インド式」「レンガ筆算」「繰り上がり分離法」などで検索すると出てきます。いずれも③の変形法で、繰り上がる数字を明示的に書くものです。最後の足し算が長くなるというデメリットがあります。

国が異なれば計算法も異なります。気象の勉強を忘れて、計算法にのめり込みすぎないように注意!


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雪の防災事項 [知識]

冬季の気象情報には雪による災害に注意を促すものがあります。雪国の出身でないと分かりにくいものについてまとめてみました。

今回のポイント

・暴風雪やふぶきにより交通機関は大きな影響を受ける。
・着雪の重みで電線などが切断され停電が発生する。
・雪による農業施設の被害額は農作物の10倍に及ぶ。


雪の防災事項

雪による主な防災事項には以下のようなものがあります。

・大雪による交通障害
・積雪や路面凍結による交通障害
・吹きだまりによる交通障害
・降雪による視程障害
・電線や架線、樹木などへの着雪
・農作物や農業施設の管理

(注)なだれと落雪に関する防災事項は省略してあります(現在、情報収集中のため)。

種類として多いのが交通障害に関するものです。その要因としては「大雪」「積雪や路面凍結」「吹きだまり」です。

交通障害とは鉄道や飛行機にあっては運休や遅延、自動車にあっては発進不能や立ち往生の発生です。

列車運休.png

出典:HBC北海道放送

また、降雪やふぶきによる視程障害は自動車運転に支障を与えます。その他には、電線や架線、樹木などへの着雪、農作物や農業施設の被害があります。

東京出身の自分が分かりにくかったものをまとめてみました。


吹きだまりによる交通障害

吹きだまりとは、雪が風に吹かれて1か所にたまったところのことです。

自動車が吹きだまりに突っ込むと雪に乗り上げてしまい、動けなくなります。また、停車中の車両の周りに吹きだまりができると発進できなくなったり、排気管が吹きだまりにより塞がれ車内に排気ガスが流入する危険があリます。

車列の先頭の車が止まってしまうと後続車が軒並みストップしてしまい、被害が拡大します。

トラック立ち往生.png

深さ20センチの吹きだまりでも車は動けなくなると言います。近くに避難できる場所がないところで吹きだまりにはまってしまった場合は、排気ガスによる中毒防止のためにエンジンを切って車内で待ちます。

しかし、平成25年(2013年)3月、北海道で暴風雪の中、立ち往生した車の中で娘を抱きかかえたまま力尽きた父親のニュースがありました。

北海道湧別町.png

大雪注意報、暴風雪注意報の時はできるだけ自動車で外出しないこと、もし運転するなら防寒具、手袋、長靴、スコップを準備しておくことが大切です。


降雪やふぶきによる視程障害

暴風に加えて雪を伴うことによる視程障害などによる重大な災害のおそれがあるとき、暴風雪警報が発表されます。

雪が舞い上がると視程障害、いわゆるホワイトアウトが発生し、数メートル先も見えなくなります。このため自動車は立ち往生してしまいます。

ホワイトアウト.png

東日本高速道路(株)新潟支社管内の冬季の通行止めの50%以上が降雪による視程不良だと言います。

500台立ち往生.png

対策としては、道路防雪林や防雪柵、視線誘導施設の整備、視界情報の提供や交通規制などが行われます。


電線や架線、樹木などへの着雪

0℃前後の雪は着雪しやすく、電線にも着雪します。雪の重みで電線の切断、送電線のショート、送電鉄塔の倒壊が発生すると停電となります。

鉄塔倒壊.png

山奥で送電線が切断するとバックカントリーのスキーで入山して修理をするそうです。

ほくでん.png

出典:北海道電力

高速走行中の鉄道の車体に雪が付着すると、落下した着雪がバラスト(線路の砂利)を跳ね飛ばす危険性が高くなります。この予防として速度を落として運転するため、遅延が発生します。


農作物や農業施設の管理

農作物は茎が折れたり枯れたりして出荷できなくなるほか、畜産は換気不足が発生します。しかし、被害金額では農業施設の損害が大きいようです。

農業用施設とは農畜産物の生産、集荷、貯蔵などに使われる施設です。具体的にはハウス(ビニールハウス、パイプハウス)、育苗施設、牛舎、鶏舎、養殖施設などがあります。

積雪により施設倒壊が発生しますが、農道の除雪が進まないために全容把握と復旧には時間を要することがあります。また、生乳を集める集乳車が積雪のため回れず、廃棄を余儀なくされることもあります。

ハウスの倒壊.png

出典:京都新聞

統計によると農業施設の被害額は農作物の10倍ほどになります。対策としては冬期間に使用しない施設の撤去、補強、除雪作業に支障となる物を移動します。


参考文献:
吹雪時の視程障害度の評価に関する研究(寒地土木研究所)
http://www2.ceri.go.jp/jpn/pdf2/panf-200907-poorvisibility.pdf
北海道地方における暴風雪に対する取り組み(札幌管区気象台)
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/yohkens/21/Appendix1.pdf
電線着雪災害の変遷とその研究史(北大低温科学研究所)
http://www.eng.hokudai.ac.jp/nds/311.pdf
吹雪はこんなに恐ろしい!もしもの時に身を守る方法(防災科学研究所)
http://www.nhk.or.jp/sonae/column/20131212.html
できていますか?暴風雪への備え(北海道総務部)
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/ktk/bsb/snow_p.htm
平成28年から29年冬期の大雪等による被害状況(農林水産省)
http://www.maff.go.jp/j/saigai/teion/20170111.html


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9月の気象情報 [アーカイブ]

2017年9月に発表された気象情報の中からいくつかの例を見てみます。

生の気象情報を掲載する観点から解説は加えていません。tenki.jpやsunny-spot.netなどで過去の天気図を見ながら学習してください。

今回のポイント

・9月は台風に関する気象情報がほとんどであった。
・前線に暖かく湿った空気が流れ込み大気の状態が不安定となり、記録的短時間大雨情報が続出した。


9月の全般気象情報

 台風第15号に関する情報         4件
 大雨と雷及び突風に関する全般気象情報   7件
 台風第18号に関する情報        28件
 大潮による高い潮位に関する全般潮位情報  1件

大雨と雷及び突風に関する全般気象情報

11日から12日にかけて前線が本州付近を南下し、全国的に雨となりました。

大雨と雷及び突風に関する全般気象情報 第2号

平成29年9月12日04時40分 気象庁予報部発表

(見出し)
西日本から北日本では12日夕方にかけて、北日本では13日未明にかけて、雷を伴った激しい雨が降り局地的に猛烈な雨が降って、大雨となるところがあるでしょう。土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒・注意してください。また、落雷や竜巻などの激しい突風に注意してください。

(本文)
[気圧配置など]
 前線を伴った低気圧が、日本海を発達しながら東北東に進み、12日午後は北日本を通過するでしょう。また、低気圧からのびる前線が西日本と東日本を南下する見込みです。低気圧や前線に向かって、暖かく湿った空気が流れ込むため、西日本から東日本では12日夕方にかけて、北日本では13日にかけて、大気の状態が非常に不安定となる見込みです。

[防災事項]
 <大雨・雷・突風>
 前線近傍の西日本では、雷を伴い非常に激しい雨が降り、四国地方では猛烈な雨の降っているところがあります。
 西日本から東日本では、12日夕方にかけて、北日本では13日未明にかけて、雷を伴った激しい雨が降り局地的に猛烈な雨が降って、大雨となるところがあるでしょう。

 13日6時までの24時間に予想される雨量は、いずれも多いところで
  四国地方                      200ミリ
  近畿地方、北陸地方、東海地方、東北地方、北海道地方 120ミリ
  北陸地方、甲信地方                 100ミリ
です。

 西日本から北日本では、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒・注意してください。
 また、落雷や竜巻などの激しい突風にも注意が必要です。発達した積乱雲の近づく兆しがある場合には、建物内に移動するなど、安全確保に努めてください。

[補足事項等]
 地元気象台の発表する、警報や注意報、気象情報等に留意してください。
 次の「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報」は12日17時頃に発表する予定です。
[訂正事項]
 見出し・本文に猛烈な雨の記述を追加。四国地方の24時間雨量を修正。


奈良県では1時間の間に記録的短時間大雨情報が4回発表になりました。

奈良県記録的短時間大雨情報 第1号

平成29年9月12日07時12分 奈良地方気象台発表
(見出し)

7時奈良県で記録的短時間大雨
田原本町付近で約120ミリ
広陵町付近で約110ミリ


奈良県記録的短時間大雨情報 第2号

平成29年9月12日07時19分 奈良地方気象台発表
(見出し)

7時10分奈良県で記録的短時間大雨
天理市付近で約120ミリ
桜井市付近で約100ミリ
三宅町付近で約100ミリ


奈良県記録的短時間大雨情報 第3号

平成29年9月12日07時29分 奈良地方気象台発表
(見出し)

7時20分奈良県で記録的短時間大雨
大和高田市付近で約120ミリ
橿原市付近で約120ミリ
桜井市付近で約120ミリ


奈良県記録的短時間大雨情報 第4号

平成29年9月12日08時00分 奈良地方気象台発表
(見出し)

7時50分奈良県で記録的短時間大雨
明日香村付近で約100ミリ



台風に関する情報

台風18号は日本の本土4島(九州、四国、本州、北海道)全てに上陸した初めての台風となりました。勢力を維持しながら5回にわたって上陸を繰り返し日本列島を縦断したため、台風情報は12日から18日にかけて28回発表されました。

平成29年 台風18号に関する情報 第107号

平成29年9月17日11時12分 気象庁予報部発表

(見出し)
大型の台風第18号や活発な前線の影響により、18日にかけて、西日本から北日本の広い範囲で大荒れとなるでしょう。暴風やうねりを伴った高波、大雨に厳重に警戒してください。

(本文)
[台風の現況と予想]
 大型の台風第18号は、17日10時には枕崎市の南約60キロにあって、1時間におよそ30キロの速さで東北東へ進んでいます。
 中心の気圧は975ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は30メートル、最大瞬間風速は45メートルで中心から半径190キロ以内では風速25メートル以上の暴風となっています。  今後、台風は次第に速度を速め、暴風域を伴って17日夜にかけて西日本を通過するでしょう。台風の接近に伴って、四国沖から本州の南海上にのびる前線の活動が活発になり、18日にかけて西日本から北日本を北上する見込みです。
 18日は、台風が温帯低気圧の性質を帯びながら、東日本から北日本の日本海側を北東へ進むため、暴風域や強風域が広がり、台風の中心から離れた地域でも、暴風や強風に警戒・注意が必要です。台風は18日夜にはサハリン付近へ進み、温帯低気圧に変わる見込みです。

[防災事項]
<大雨・雷・突風>
 台風や活発な前線の影響により、18日にかけて、西日本から北日本の広い範囲で雷を伴った非常に激しい雨が降り、局地的に猛烈な雨の降るおそれがあり、大雨となる見込みです。

 18日12時までの24時間に予想される雨量は、多いところで、
  四国地方             350ミリ
  近畿地方             300ミリ
  九州北部地方、中国地方      250ミリ
  東海地方、東北地方、北海道地方  200ミリ
  九州南部、関東甲信地方、北陸地方 150ミリ

 19日12時までの24時間に予想される雨量は、多いところで、
  北海道地方  100から150ミリ
  東北地方    50から100ミリ
  北陸地方    およそ50ミリ
 です。
 土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重に警戒してください。
 また、落雷や竜巻などの激しい突風に注意してください。発達した積乱雲の近づく兆しがある場合は、建物内に移動するなど安全確保に努めてください。

<暴風・高波>
 九州では海上を中心に猛烈な風が吹き、海は大しけとなっているところがあります。台風の接近に伴って、17日は、西日本を中心に、猛烈な風が吹き、大しけとなるところがある見込みです。18日にかけて、東日本と北日本でも非常に強い風が吹き、大しけとなるところがあるでしょう。

 17日に予想される最大風速(最大瞬間風速)は、
  九州南部、九州北部地方、四国地方、中国地方
                30メートル(45メートル)
  近畿地方          30メートル(40メートル)
  北陸地方、東海地方     25メートル(35メートル)
  関東甲信地方、東北地方   20メートル(30メートル)
  北海道地方         18メートル(30メートル)

 18日に予想される最大風速(最大瞬間風速)は、
  東北地方、北海道地方    30メートル(45メートル)
  中国地方          30メートル(40メートル)
  近畿地方、北陸地方     25メートル(35メートル)
  東海地方          23メートル(35メートル)
  関東甲信地方        20メートル(35メートル)
  四国地方          20メートル(30メートル)

 17日に予想される波の高さは、
  九州南部・奄美地方、九州北部地方、四国地方、近畿地方
                8メートル
  東海地方          7メートル
  中国地方、関東甲信地方   6メートル
  北陸地方          5メートル

 18日に予想される波の高さは、
  北海道地方         8メートル
  四国地方、近畿地方、東海地方、東北地方
                7メートル
  中国地方、関東甲信地方   6メートル
  北陸地方          5メートル
 です。
 暴風やうねりを伴った高波に厳重に警戒してください。

<高潮>
 西日本から北日本では、台風の影響で潮位が高くなる見込みです。海岸や河口付近の低地では、高潮による浸水や冠水に警戒・注意してください。

[補足事項]
 今後の台風情報や地元気象台が発表する警報、注意報、気象情報等に留意してください。
 次の「台風第18号に関する情報(総合情報)」は、17日17時頃に発表する予定です。


台風が上陸するたびに台風情報が発表されます。

平成29年 台風18号に関する情報 第108号

平成29年9月17日11時36分 気象庁予報部発表

(見出し)
台風第18号の中心は、17日11時半頃に、鹿児島県九州市付近に上陸しました。

(本文)
なし。


18日12時過ぎに、台風は北海道に上陸しました。

平成29年 台風18号に関する情報 第143号

平成29年9月18日12時27分 気象庁予報部発表

(見出し)
台風第18号の中心は、18日12時過ぎに、北海道胆振西部に上陸しました。

(本文)
なし。

気象庁予報部による台風情報は、第143号に次ぐ第148号(18日16時33分)が最後となりました。

台風18号は18日21時にサハリン付近で温帯低気圧に変わりました。

平成29年 台風18号に関する北海道地方気象情報 第11号

平成29年9月18日22時36分 札幌管区気象台発表

(見出し)
台風第18号は、18日21時に温帯低気圧に変わりましたが、あと1から2時間、大雨による土砂災害に警戒し、19日未明にかけて暴風や高波にも警戒してください。

(本文)
<気象概況>
 台風第18号は18日21時に温帯低気圧に変わりました。中心はサハリンの北緯47度、東経143度にあって、1時間におよそ45キロの速さで北へ進んでいます。中心の気圧は976ヘクトパスカル、最大風速は30メートルで、中心の南東側1100キロ以内と北西側370キロ以内では風速15メートル以上の強い風が吹いています。
 台風は、18日21時にサハリン付近で温帯低気圧に変わりましたが、北海道地方では、19日未明にかけて、気圧の傾きの大きい状態が続く見込みです。

<防災事項>
 北海道地方の大雨のピークは過ぎましたが、これまでに降った雨により地盤の緩んでいる所や河川の水位が高くなっている所があります。北海道地方では、あと1から2時間、大雨による土砂災害に警戒してください。
 また、日本海側北部を中心に19日未明まで非常に強い風が吹くでしょう。北海道地方の海は19日未明にかけて、大しけが続く見込みです。暴風や高波に警戒してください。

<風の予想>
19日にかけて予想される最大風速(最大瞬間風速) 西または南西の風
 日本海側北部
  海上 28メートル(40メートル)
  陸上 25メートル(35メートル)
 その他の地方
  海上 20メートル(30メートル)
  陸上 15メートル(30メートル)

<波の予想>
19日にかけて予想される波の高さ
 太平洋側東部 7メートル
 日本海側北部 6メートル
 その他の海域 5メートル
 太平洋側ではうねりを伴うでしょう

<風の実況>アメダスによる速報値(単位:メートル)
17日20時から18日21時までの最大風速
 日高地方 えりも岬    西南西 26.6(18日15時45分)
 根室地方 根室市納沙布  東南東 25.7(18日13時36分)
 宗谷地方 稚内市宗谷岬  東   23.7(18日13時09分)
17日20時から18日21時までの最大瞬間風速
 日高地方 浦河町潮見町  東南東 35.7(18日10時09分)
 釧路地方 釧路市幸町   東南東 35.0(18日11時38分)
 宗谷地方 稚内市宗谷岬  東北東 34.7(18日13時14分)

<雨の実況>アメダスによる速報値
17日20時から18日21時までの1時間雨量の最大値
 十勝地方 大樹       85.0ミリ(18日10時34分)
  (1時間雨量の最大値は、1976年の統計開始以来1位の値を更新)
 日高地方 えりも町目黒   54.0ミリ(18日08時54分)
 網走地方 斜里町宇登呂   53.0ミリ(18日13時34分)
17日20時から18日21時までの雨量
 胆振地方 登別市カルルス 316.0ミリ
 十勝地方 大樹      220.0ミリ
 渡島地方 福島町千軒   209.0ミリ

 引き続き、地方気象台・測候所の発表する防災気象情報に留意してください。

 北海道地方気象情報は、これで終了します。



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気象予報士の賞状が届きました [箸休め]

気象予報士の賞状が届けば、受験からの一連の作業もひと段落です。
しかしこの最終段階に至っても小さな落とし穴があるので、はまらないように気をつけてください。

今回のポイント

・気象予報士登録通知書は、いかなる理由があっても再発行されない。

・気象予報士登録通知書を収める額縁は「尺七大」サイズを指定する。


通知書の再発行はないので、取り扱いには注意を!

賞状が郵送で届いたのは10月21日でした。賞状と言いましたが、正式には「気象予報士登録通知書」と言います(業務法では「気象予報士の氏名、登録番号を記載した書類」と言っています)。

予報業務は「許可制」ですが、気象予報士は「登録制」なんですね。

気象庁まで申請に赴いたのが10月12日だったので、わずか9日目には届いたことになります。非常に迅速な対応でした。

申請時の記事はこちら:
気象庁に予報士の登録申請に行ってきた!

郵送で配達されると、賞状が折られてしまわないかという懸念がありました。そこで申請時にわざわざクリアファイルを持参したのですが、それは受付窓口で返却されてしまいました。

しかし、申請時に添付した返信用封筒(角形2号:長さ33㎝、幅24㎝程度)に気象庁が台紙を入れて関連書類とともに送ってくれたので、そこはほぼ問題がありませんでした。

IMG_7207.jpg

しかし、他に問題点が一つありました。この時は台風21号が接近していました。大潮とも重なり、22日投票の衆議院選挙を離島では繰り上げ実施するという状況でした。

気象庁長官は19日の会見で次のように述べています。

明日が週末で金曜日でございます。それから土日になりますので、明日の段階で関係する地域に対しては、しっかりと気象台の方から地元で説明会を行って、改めて注意喚起をして臨みたいと思っております。

そんな大雨が予想されているときに、「一生モノの書類をなぜ、今この時に送ってくるんだ!という話です。紙の封筒に入っているんだから、濡れるじゃないですか(実際に濡れてました)。

実はこの通知書、再発行されないんです。合格の美酒に酔いしれてお酒をこぼしてしまってもダメなんです。火災で焼失してしまってもダメなんです(多分)。

同封されていたレターの冒頭にこう書いてあります。

気象予報士の登録手続きが完了しましたので、「気象予報士登録通知書」を送付いたします。この通知書は再発行しませんので、大切に保管してください。

そんなんだったら、わざわざ台風が近づいている時期を外して送ってくれても良かったのになぁ、と思わずコボしてしまいした。

ちなみに通知書を紛失した場合、名簿の登録内容の開示請求により気象予報士であることの証明はできます。

あくまでも頑なな対応ですね、自動車免許証だって再発行できるというのに。

ともあれ大事な通知書を汚さないよう、額に入れて保存しておくのが良さそうです。

と、そこで次の問題が発生です。

額を購入するときにはサイズに注意を!

額に収める場合、「尺七大」を購入してください。許可証の大きさは311×218mmという変なサイズなんです。
 
ネット注文などで特段の意識をしないと、「尺七」(A4)を購入すると思います。このサイズは値段も手頃(500円程度〜)なんです。私も最初、このサイズを買いました。

しかし、許可証が微妙に入らないんですね。余白がたくさんあるのでカッターなどで切り落とせば良いのですが、そこまでの勇気はありませんでした。

尺七大サイズの額は値段がグッと貼ります(〜3千円)が、一生モノだと思って奮発しました。

IMG_7205.jpg

みなさまもハッピーな気象予報士ライフを満喫されますように!

■関連する記事:
気象庁に予報士の登録申請に行ってきた!


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冬の日本海 [箸休め]

12月に入り、今季最強と言われる寒波が到来しました。

こちらは12日、9時40分の気象衛星の赤外画像です。

VIS2017-12-12.png

すじ状の雲がくっきりと浮かび上がっています。

気象予報士の学習をする前はJPCZ(日本海寒帯気団収束帯)という言葉を知りませんでしたが、今ではこの画像を見ると「日本海はどんな状況になっているんだろうか!?」という好奇心を抑えることができません。

そこで行ってきました、日本海!

スケジュールをやり繰りし夜行バスで新潟市まで向かい、そこから山形県の余目まで羽越本線で北上します。

今回のポイント

・今季最強の寒波が到来し、日本海ですじ状の雲が見られた直後の日本海を見てきた。

・新潟市周辺は佐渡島の東方にある平野部で、山雪型の時は降雪が少ない。

・日本海は雲にエネルギーが感じられ、青空も覗く積乱雲により変わりやすい天候だった。


概要

地図を見ると分かるように、新潟県は北は村上から南は燕あたりまで平野になっています。また、新潟市の西方には佐渡島が位置し、ここには標高1,100メートルの山があります。

地図.png

そんなことで、新潟市とその周辺では新潟県のその他の地域と比べると降雪は少なくなっています。

こちらは朝7時過ぎの新潟駅南口です。

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途中に通過した長岡市はもっと雪がありました。

こちらは途中の豊栄(とよさか)駅から南方向を撮った写真です。雲の隙間から青空が覗いています。

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しかし天候は変わりやすく、突然あられが降ってきました。

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日本海はこんなことになっていた!

百聞は一見にしかずです。写真をご覧ください。

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見てもらうと分かるように青空があるかと思うと、真っ黒な厚い雲があります。夏雲のようにエネルギーを感じました。

この日は西高東低の冬型の気圧配置が少し緩んだせいで、風や発雷はありませんでした。しかし天候が変わりやすく、晴れたかと思うと雪が降ったりを繰り返しました。

おまけ

鮭の街として知られる村上市で途中下車しました。

イヨボヤ会館では、三面川の分流「種川(たねかわ)」を泳ぐ自然の鮭を見ることができます。

PC144098.jpg

12月は町家づくりの街並みで「鮭の塩引街道」が開催中です。ちょっと商業的な匂いがします。

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こちらは鮭の加工品を販売する「千年鮭きっかわ」の店内。

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はらこ飯と〆張鶴を頂いてきました。

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下水道の蓋も可愛らしい鮭の図柄です。!

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